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成功事例インタビュー

事業譲渡の条件は「創業100年達成」と「挑戦的な経営」。会社の強みを磨くことで、納得の契約を実現

硝子業界

譲渡事例
2023.09

11

“深さ”を追求する会社と“広がり”を追求する会社が一緒になることで、双方の強みを補完

西尾硝子鏡工業所(以下、西尾硝子)は、1932年創業の歴史ある東京の企業です。テナント、ブランドショップ、ホテル、病院、レストランなどの加工硝子を手掛けており、技術力が高く評価されています。高透過ガラスの加工技術が海外有名ブランドに認められ、ショーケースを納入するなどの実績もあり、ブランドの発信も精力的に展開中です。創業から90年というタイミングで、創業家の4代目にあたる西尾智之様が事業譲渡を決断し、2023年9月に契約が成立しました。事業譲渡を決断した理由、詳しい経緯などについて伺いました。

譲渡企業

譲渡企業

株式会社西尾硝子鏡工業所

所在:
東京都大田区
売上:
年商(2023年5月期) 341,800千円
従業員数:
20人
譲受け企業

譲受け企業

株式会社コダマガラス

所在:
大阪府八尾市
売上:
年商(2023年6月期) 388,000千円
従業員数:
21人

事業譲渡された相手は、どのような会社ですか?

西尾:同じ硝子業界の関西の会社で、規模も同じくらいです。東京と大阪の会社が一緒になることで、エリアを拡大しつつ全国での販売を展開する、成長戦略を意識したM&Aになりました。先方の会社は、すでに関東エリアにも進出していますが、西尾硝子を関東の拠点にしたいとの狙いがあるようです。「人材と工場を持っていることに魅力を感じた」と伺っています。

事業譲渡を考えるようになったきっかけを教えてください。

西尾:リーマンショックの時期、2009年から2011年にかけて、3年連続赤字という厳しい時期がありました。2012年の経営方針発表会で、「4年目も赤字なら、会社を閉じます」と宣言し、以降は家族経営からの脱却や、トップダウンとボトムアップの両立など、さまざまな見直しを行って業績改革を断行しました。それが会社創業80年のタイミングです。そのときに「創業100年までに次の社長を育てます」と明言し、人材教育にも力を入れてきました。

一つ目のきっかけは、その20年の折り返しの時期である2022年にありました。経営者とまではいかないものの、経営者をサポートできる人材が育ってきたと感じたことでした。

もう一つのきっかけは、東京オリンピック以降、世の中の変化がさらにスピードアップしていると感じたことです。私は33歳で社長になりましたが、経営者は若いほうがいいと考えています。50~60代になると知見や経験は蓄積されているものですが、それよりもスピード感を持って動けること、チャレンジできることが会社にとって重要なものだと実感したからです。

私自身、これまで先頭に立って会社を引っ張ってきたつもりですが、いつまでもこの体制を続けることはできません。「社員の中から後継者を」との思いもありましたが、そうならなかったときのことを考える必要があります。一つの可能性として事業承継を想定し、あわせて準備を進めたことが今回の事業譲渡につながりました。

事業承継にはタイミングがあると考えています。“事業承継をしたい”と思い立っても、すぐに実現できるとは限りません。タイミングが来たときに逃さないようにするためにも、準備だけはしておこうと考えました。そして実際に動き出したのが2022年でした。

歴史ある会社の4代目として、事業譲渡の決断はかなり重いものだったのではないですか?

西尾:私の中では、「100年続く会社にしたい」という思いが強くありました。とくにリーマンショックで倒産の瀬戸際まで追い込まれた経験があるので、会社が続くことの価値は身に染みてわかっています。会社の永続が最優先事項でした。会社が続かなければ、社員も安心して働けないですし、これまで我が社が培ってきたサービスも提供できなくなります。

100年続く企業を自分の代で実現できる人は、限られているでしょう。私自身「創業100年」は大きな目標でしたので、かなり悩みましたが、長く存続させたいからこそ事業譲渡すべきだと考えました。譲渡した相手にも、「創業100年を目標としてきたので、そこだけは達成してほしい」と伝えました。

事業譲渡の準備として、どのようなことをされたのですか?

西尾:事業を譲渡するならば、“良い状態”を維持する必要があります。業績・収益・組織・顧客・設備など、あらゆる面で“価値がある”と認めていただける状態を目指しました。現時点での強みには、さらに磨きをかけるための取り組みを行いました。具体的には、自分たちの得意とする技術のレベルをさらに上げることや、自社製品のブランディングなどです。その一つとして、通常は産業廃棄物になってしまう鏡を使ったリサイクル事業を展開することで、SDGsという観点での企業価値を高める取り組みも行っています。

リクルートに相談したきっかけを教えてください。

西尾:仲の良い友人からの紹介です。相談したのは、2021年の4月でした。実はそれまで、リクルートがM&Aを手掛けていることを知りませんでした。その当時、M&Aを専門に扱っている大手の会社から、電話やDMでの営業活動が頻繁にあり、食傷気味になってしまい、以降、そのような連絡に対してはお断りしていました。

リクルートにお願いした理由は、2点あります。1点は、営業を前面に出したアプローチとは違い、話を親身に聞いてくださり、率直に相談できたことです。担当者と会話を進める中で、こちらの意図を組んだ提案をいただき、本格的に動いてみようかと考えました。もう1点は、仲介会社を複数社から選択できたことです。通常は1社独占で話が進行しますが、リクルートからはさまざまな資料をいただいた上で、オファーいただいた中から3社を選び、それぞれの会社の方と面談いたしました。

このようなプロセスで進められたことは、大変ありがたかったです。私自身、事業譲渡は初めての経験でしたので、相手の会社を選ぶ過程で判断力を磨けましたし、どういうポイントで判断すれば良いのか、自分なりに勉強できました。「全てこちらに任せてください」ではなく、あくまでもアドバイスをいただくスタンスで、自分が勉強して納得しながら事業譲渡を進められたことも、リクルートにお願いして良かったと感じた点です。

事業譲渡される相手は、どのような基準で決定されたのですか?

西尾:“人と人との相性”が大きいと実感しました。事業譲渡するということは、自分たちを全てさらけだすことが必要ですし、創業90年の会社の運命を託すことになるわけで、信頼関係を構築できなければ先に進めません。事業譲渡の相手を決めたポイントの一つは、先方の経営者が私よりも10歳ほど若かったことでした。あとはやはり人柄で、真面目であること、前向きであることも大きかったです。もともと先方の会社の存在は知っていましたが、お話をするのは初めてでした。「硝子という分野で、日本で最初に思い出してもらえる会社になることが目標です」との話を伺い、まさに共感しました。私たちも「硝子の接着と言えば、西尾硝子です」と言われることを目標としていたので、目指す方向はかなり近いと思ったのです。

もう一つ、相手の会社がYouTubeなどを通じて、積極的に発信していることに好感を持ちました。数多くの動画から前向きな姿勢やオープンな社風が伝わってきて、お互いに補完し合えるM&Aになるのではないかと感じたのです。

私たちは技術に対するこだわりを強く持っていて、自社は研究・開発に力を注ぐ“より深く”という感覚を持った、ニッチな領域でトップを目指す会社だと考えています。

先方の会社は“広げていく”という感覚を持っている会社だと感じます。

東京と大阪で補完しあうという関係だけではなく、“深さ”と“広さ”という補完関係も成立するのではないか、相乗効果が生まれる可能性を感じたことが決定の要因となったと思います。

インタビュー画像

事業譲渡をされる際にこだわった条件を教えていただけますか?

西尾:条件は「社員の雇用を必ず守る」ことと「社名を変えない」ことで、そこは了解していただきました。私の退任時期に関しては、1、2年後で合意しています。今期の途中で、自分の責務を投げ出すわけにはいきません。引継ぎが完了するまではきちんと仕事をし、やるべきことをやってからお渡ししたいと考えています。

事業譲渡をどのようなタイミングで社員や家族に伝えましたか?また、そのときの反応はどのようなものでしたか?

西尾:株式譲渡の契約成立が2023年9月末、幹部に伝えたのが10月上旬、一般社員に伝えたのは10月中旬です。10月下旬の土曜日に研修会を行う予定が入っていたので、先方の会社の社長に来ていただき、社員に対して直接ビジョンを語っていただくというステップを踏みました。当初、私から幹部に話したときには、みんな驚いていましたし、動揺していたと思います。当時のメンバーからは「よくわからない」との反応が大半でした。

幹部はM&Aの経験があるわけではないので、不安があって当然です。私の進退についてかなり聞かれました。私は、当面の間は退かないこととメンバーの待遇を守ることを説明しました。すぐに受け入れてくれたメンバーもいましたが、不安を抱えたメンバーも一定数いました。不安を抱えるメンバーにも納得してもらえるように時間をかけて説明した結果、最終的には皆さんに納得してもらえたかと思います。

業界内には、“M&A”を肯定的に捉える人ばかりがいるわけではありません。取引先も含めて、手順を踏んで丁寧に説明するように心がけています。業界紙に対しては、プレスリリースという形でM&Aの目的を説明する予定です。

母にも事前に伝えていました。多少驚いていましたが、「自分がいいと思うなら、そうするのがいい」と後押ししてもらい、全面的にバックアップしてくれました。

事業譲渡をするまでの過程で苦労したことはありますか?

西尾:先方からの難しい要望がなかったため、やりとり自体はスムーズでした。全体的に苦労はほとんどなかったと言えます。ただ、細々とした作業が煩雑ではありましたね。例えば、今回は不動産の売買を同時に行ったのですが、創業90年の歴史があるためか名義や権利関係などが複雑になっており、確認と整理の作業は大変でした。

事業譲渡の契約が成立した瞬間の心境を教えていただけますか?

西尾:銀行の借入の連帯保証人から解放され、スッキリして気が楽になりました。また、自分が当初考えていたM&Aのイメージと実際とでは違うところが多々あり、デューデリジェンスのプロセスを実行する過程で、「事業を譲渡した」というよりも「会社を棚卸しした」という感覚を覚えました。財務面に関しては、かなりしっかりやってきたつもりでしたが、見落としていたことがいくつかあり、アドバイスをいただきながら整理できたことは良かったと思います。

今回の経験を踏まえて、事業承継を検討中の経営者の方にアドバイスをいただけますか?

西尾:会社をどうすべきかで迷うのは、決して悪いことではないと思います。大いに考えるべきですし、悩むべきでしょう。今回私が経験して感じたのは、相談相手を持ったほうがいいということです。それと同時に、相談できる環境を整備しておくことが必要だと感じました。

もしも赤字の会社であったとしたら、今回のような条件での事業譲渡は成立しなかったかもしれません。会社を常に磨くことが大切だと思います。事業承継をすぐにするかどうかは別として、いつそうした話になってもいいように企業価値を向上する努力を続けるべきです。今回、3社の中から選べたのは、事前の準備を整えていたからだと考えます。

実のところ私としては、非常に多くのオファーがあるのではないかと考えていました。業績が良かったとしても、それほど多くのオファーが来ないことを実感しました。近年の経営者にとっては、工場を持っていることがプラスにならず、逆に固定費が増えるので、それを避ける傾向もあるようです。そうした現状を踏まえると、やはり自分たちの強みを磨き続けるしかないと考えます。

リクルートに依頼して良かったと思うことを教えてください。

西尾:リクルートのご担当者も一緒に組んだ仲介会社の方も、熱心に取り組んでくれたことに感謝しています。丸投げすることなく、咀嚼かつ精査したうえで進めてもらったことが良かったと感じています。互いのコミュニケーションの量が増えることで、信頼関係が深まります。スピード感があったことも助かりました。とにかくレスポンスが早く、私もすぐに返信するタイプなので、そういった互いのテンポの良さが、よりスムーズに進められたポイントの一つだと感じました。

西尾硝子鏡工業所の今後にのぞむことはありますか?

西尾:おそらく今後、若い人たちが第一線に出てくるでしょう。老舗ではありますが、若い感覚を持った会社であってほしいです。具体的には、若い世代が活躍する活気ある会社となること、そして自分たちで発信できる力を磨き、「西尾硝子といえばXX」といったコンセプトで世間の認知を獲得できる会社になったら素晴らしいですね。「創業100年」はなんとしても実現してほしいです。

今後こういうことをやりたいなど、個人としての展望はありますか?

西尾:私は「跡継ぎ」でしたが、ずっと「起業したい」という思いを持っていました。教育関係や人材関係などアイデアはいろいろありますが、まだ煮詰めてはいないので、退任後にじっくり進めようと思っています。“人生100年の時代”なので、今までできなかったことをやりたいです。これまでは会社のことで手いっぱいでしたが、みんなが喜んでいる姿を見ることで生きがいを感じるタイプなので、自分の納得できる形で人の役に立てることをやっていけたらと考えています。

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