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ノンネームシートとは?M&Aにおける活用法と実際の流れを解説

2020/01/14
更新日:2021/02/09

はじめに

M&Aを検討している買手企業が、売手企業(譲渡企業)の情報を知りたいと考えている際、最初のきっかけとなるのがノンネームシートです。自社を売りたいと考えている売手企業にも欠かせないノンネームシートですが、交渉の初期段階においては、企業名が特定されないような匿名情報として提示されます。なぜ匿名の必要があるのか、またその役割について株式会社ストライクの辻亮人様に解説していただきました。


1.ノンネームシートとは?ノンネームシートの意味

M&Aは、売る側と買う側の取引で成立します。双方がお互いの情報を知り、検討する機会をもたなければ始まりません。そこで売手企業は譲渡先を、買手企業は買収対象企業を求め、M&Aコンサルタントなどに候補先を探してもらいます。

買手企業とのネットワークを持たない売手企業にとって、買手候補企業に関心をもってもらう重要なきっかけとなる最初の一歩が必要です。しかし、まだ本交渉の前段階ですべての情報を開示すると、情報漏洩するリスクがあります。そこで、企業名を明かさず、匿名で売手となる譲渡企業の情報をまとめた「ノンネームシート」を活用します。

ノンネームシートは企業名が匿名であると同時に、記載内容も大まかなものにとどめる必要があります。記載内容から企業名が特定され、情報漏洩につながることだけは避けなくてはなりません。

2.M&Aにおけるノンネームシートの活用方法とは

契約書記入
ノンネームシートで売手企業に興味を持った買手企業は、M&A仲介会社から売手企業の「企業概要書」を取り寄せます。こちらにはノンネームシートよりも詳細な情報が記載されています。ノンネームシートだけでは把握できない部分の情報を入手できる資料です。

業種にもよりますが、一般的には企業の概要や主要取引先を含めた事業内容、所在地、役員構成、従業員構成、株主構成、貸借対照表や損益計算書を分析した財務状況などが記載されます。場合によっては平均年齢や勤続年数、男女比、従業員の取得資格一覧などを作成することもあります。

こちらはノンネームシートのような抽象的な内容ではなく、しっかりとしたヒアリングのもと、綿密に作成します。
企業概要書を提供する場合には、M&A仲介会社は買手企業と秘密保持契約(NDA)を締結します。秘密保持契約については、後ほどふれます。

企業概要書を取り交わす前の段階が、ノンネームシートということになります。M&Aにおける「企業評価」の端緒となるポイントです。匿名とはいえ、まずは売手企業の特徴を知り、より関心を持ってもらうための重要な役割を果たす資料だといえるでしょう。

3.ノンネームシートに記載されている内容

辻亮人氏のインタビューシーン1

ノンネームシートでは、売手企業の特定を防ぐため、抽象的な情報を記載します。決まった書式はありませんが、事業内容や会社規模といった定量情報をベースに、シンプルな内容のみとなっています。ケースバイケースですが、通常はA4用紙で1枚ほどの内容になるものがほとんどです。具体的には、次のような内容が記載されます。

(1)事業内容や業種
例えば「情報サービス業」「製造卸」などのように大まかな情報にとどめます。

(2)売上高
1億円~5億円のように、幅を持たせて表記します。

(3)所在地
都道府県まで特定せず、関東エリアのように記載します。首都圏など都心部と異なり、特に地方では記載に注意が必要です。

(4)従業員数
約何名など、おおよその人数を記載します。

(5)譲渡理由
「事業発展のため」「後継者不足」など一般的な内容のみにとどめます。

(6)その他
企業名が特定されない程度の特徴を記す場合もあります。業界規模や内容によっては企業名がわかるケースもあるので配慮が必要です。

ノンネームシートの内容で、売手企業がどのエリアでどういった事業を手がけ、どんなセールスポイントを持っているのかを買手企業が判断することになります。ですから、どこまでを公開するかはとても難しいところですが、大筋では匿名性を守れる記載にとどめます。

4.ノンネームシートで気を付けることとは

M&A協議中

M&A・事業承継を検討している方へ

当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。


買手企業に興味を持ってもらうためのノンネームシートですが、何よりも情報漏洩に配慮するのがポイントです。

売手企業の機密情報や所有する個人情報が漏洩すると、会社の信用も下がってしまいます。また、M&Aを検討している情報が伝わると、会社そのもののイメージダウンにつながりかねない危険性もあります。M&A交渉が不成立になった場合、自社情報をただ漏洩しただけになってしまうのです。

また、M&Aを打診している事実が従業員に伝わるのも問題です。仮にM&Aによって雇用条件がよくなるなど、メリットのある内容だったとしても問題です。経営陣への不信感が募るケースは少なくありません。

どんな情報であれ、情報が漏れるのは信用問題にかかわります。くり返しになりますが、詳細な企業情報が漏れないよう、細心の注意が欠かせないのです。

5.秘密保持契約(NDA)の締結

辻亮人氏のインタビューシーン2

ノンネームシートで興味を持った買手企業が、さらに詳細な売手企業の情報を入手したいと考えた時に締結するのが秘密保持契約書(NDA)です。先ほども少しふれましたが、買手企業とNDAを結んだ上で、具体的な検討を進めるべく「企業概要書」をM&A仲介会社から提供してもらいます。

当社の例ですが、次のような形を取っています。

■買手企業の側から「誓約書」を差し入れてもらう
案件ごとに個別の誓約書となり、該当案件のみの情報開示

■当社と買手企業との間で契約として締結する
1つの案件だけでなく包括的に結ぶ契約。今後、さまざまな案件についての開示をスムーズに行うため、双方で契約するもの

NDAに盛り込む事項はおおよそ以下のようなものです。大枠はほぼ決まっていますが、案件によって内容に差異があります。
開示された情報は、M&Aに関連する事柄以外には使用しないこと
取得した情報を第三者に開示しないこと
秘密保持契約の有効期間と、期間終了時の秘密情報の取り扱い方法
秘すべき情報の範囲
秘密保持義務に違反した場合の制裁等

売手企業としては、多くの買手企業との交渉を望み、複数のM&Aコンサルタントや第三者に仲介を依頼したいと考えるかもしれません。しかし、それではかえって情報が錯綜し、情報拡散、漏洩につながる可能性が高まります。というのも、どのM&A仲介会社が情報を守る責務を担うのかが曖昧になってしまうからです。情報を守るためには、ある程度情報を知る人間を限定する方が安全です。

1社のM&Aコンサルタントに依頼すると決めたら、信頼して任せることが情報漏洩リスクを軽減することにもなるのです。当社でも依頼を受けた際には、基本は専任契約でお願いしています。売手企業の価値を守るための契約だと考えているからです。

6.まとめ

ノンネームシートは、売手企業と買手企業がM&Aを検討する最初のステップで重要な役割を果たします。買手企業に関心を持ってもらうためには、ある程度売手企業の特徴をノンネームシートに記載する必要があります。

とはいえ、あまりに詳細な特徴を記してしまうと、情報漏洩リスクが高まります。ノンネームシートによって売手企業の魅力や特徴が買手企業に伝わり、匿名性も兼ね備えた内容を作成しなければなりません。

ノンネームシートでは、慎重かつ、売手企業をアピールする幅広い情報を提示しなければなりません。難しい判断が必要となるノンネームシートですが、基本的にはM&Aコンサルタントがヒアリングや企業情報を加味して作成してくれます。

買手企業がどんな情報を求めているのか、どのようなポイントに利点を感じるのかを考慮しながら、慎重に情報を精査していかなくてはいけません。ノウハウを持つ専門家と相談しながら、自社に適したノンネームシートを作成しましょう。

 


話者紹介

辻氏話者紹介
株式会社ストライク
シニアアドバイザー
辻 亮人

M&Aの重要業務に精通した公認会計士や金融機関出身者など、M&A仲介実績の豊富な経験者が多い株式会社ストライクの企業情報部でM&A仲介を担当。

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