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インボイス制度の導入による変化とは?制度の概要や注意点を詳しく解説!

2020/04/17
更新日:2021/02/26

はじめに

2023年に施行されるインボイス制度。まだ期間があるとはいえ、制度について理解して事前に準備しておくことが、スムーズな事業運営をするために欠かせません。

今回は、インボイス制度や消費税などに詳しい、税理士法人税務会計センターの平山鉄郎さんに、インボイス制度の概要や注意点についてお話を伺いました。


1.そもそもインボイス制度とは?

まずはインボイス制度がどのような制度なのかを説明します。

(1)消費税の税額控除を受けるための要件が定められている

インボイス制度は、「適格請求書等保存方式」というのが正式名称です。インボイスというのは簡単に言えば請求書や領収書のことです。消費税法に定められた一定の要件を満たした請求書等をインボイスと呼び、このインボイスを発行する事業者からものを買い、サービスを受けた場合にだけ、仕入税額控除をすることができる、というのがインボイス制度の概要です。
現行の消費税法では、取引相手が誰であっても、その取引が消費税の課税取引に該当すれば、消費税額を計算する際の仕入税額控除を受けることができます。つまり、本来消費税が含まれるはずのない取引であっても、消費税が含まれているものとして取り扱うことになっているということです。

例えば、会社の備品を法人から買った場合とインターネットオークションで買った場合では、同じ計算方法で消費税を計算します。しかし、インターネットオークションで個人が販売した備品の場合、買手が消費税を支払ったとしても、売手である個人のほとんどは受け取った消費税を納付せずに自分の懐に入れてしまっているという少し不公正な事態が生じています。

(2)インボイスの交付義務が免除される取引もある

インボイス制度が導入されると、購入者は仕入先にインボイスの交付を求めることができます。しかし、3万円未満の公共交通機関や、出荷者が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売、3万円未満の自動販売機での商品の販売など、インボイスの交付が困難な取引については、インボイスの交付義務が免除されます。よって、インボイスの交付義務が免除された事業者との取引では、 インボイスの交付を求めることができません。

2.インボイス制度のメリット

お金

インボイス制度が施行されることで、いくつかのメリットがあります。

(1)多段階税率に対応した消費税額を計算できるようになる

欧米の多くの国は多段階税率の消費税制を敷いており、日本のような帳簿方式の計算では正しい税額計算が行えないため、インボイスを集計する形で納付税額を計算します。日本も同様に、8%と10%の複数税率になりましたが、適用税率が2つしかない現状では既存のシステムで十分に計算が可能です。インボイス制度の導入は、今後さらに多くの税率を用いた多段階税率の消費税制度にしていくための布石なのかもしれません。

インボイス制度の下ではインボイスに記載された消費税額を集計して税額計算を行うため、インボイスを発行できない事業者との取引は、消費税の計算上仕入税額控除をすることができません。日本でもインボイス制度が本格的に導入されると、インボイスを発行することができる事業者との取引についてのみ消費税額の仕入れ税額控除の対象になります。今までと税額計算の考え方が大きく変わるため、しっかり理解したうえで制度の導入に備える必要があります。

(2)益税の排除が見込める

現行の制度では、免税事業者が徴収した消費税は、誰にも納付されることなく免税事業者の懐に入っていました。これを「益税」と呼び、現行消費税法の問題点として指摘されています。インボイス制度の導入によりこの益税を限りなく少なくすることができ、消費税の税法としての網羅性と正確性は向上することになるでしょう。

3.記載すべき事項の変更点

インボイス制度の下では、インボイスに記載すべき事項が決まっています。

現行の制度でも、請求書や領収書に取引の相手方や日付、取引内容や金額を記載しなければなりません。また、消費税が10%に上がった際に8%の軽減税率が導入されたことで、税率区分ごとの消費税合計額を記載しなければならなくなりました。

2023年10月からインボイス制度が適用されると、現行の記載事項に加えて、適用税率と適用税率ごとの消費税額、および適格請求書発行事業者の登録番号を請求書や領収書に記載しなければならなくなります。例えば法人の場合、アルファベットの「T」の後に法人番号を付けたものを登録番号とすることが決まっています。
個人事業者についてはマイナンバーをそのまま使うわけにはいかないため、改めて別の番号が付されることとなりました。

また、飲食店や小売店、タクシー業など不特定多数の相手と取引する事業所の場合、相手の名称などの必要な記載事項の一部が省略された簡易なインボイスで構わないこととされています。

いずれにしても現行の制度よりも求められる記載事項が減ることはありませんので、早いうちに適用税率と適用税率ごとの消費税額を記載した書式に変えてしまい、制度導入前にインボイス制度に対応した請求書等を使うことは可能です。登録を受けた後、登録番号を追加するだけで良い状態にしておけば導入もスムーズにいくのではないでしょうか。

4.インボイス制度の注意点

注意

インボイス制度の施行に向けて、あらかじめ注意点を知っておくことが大切です。ここからは、インボイス制度の注意点について説明します。

(1)課税事業者しかインボイス発行事業者になれない

消費税の納税義務がない事業者を免税事業者といいます。2年前の課税売上高が1,000万円以下である等の一定の要件に該当する小規模な事業者です。

インボイスを発行できるのは課税事業者のみなので、免税事業者は課税事業者になることを選択しない限り、インボイスを発行することができません。そのため、現在は免税事業者であっても、インボイスを発行したい場合、課税事業所になってからインボイス発行事業者になる必要があるのです。つまり、規模が小さい事業所だからといってインボイスを発行できないわけではないということになります。また、課税事業者であっても、インボイスを発行しないという選択肢もあることを知っておきましょう。

(2)課税事業者に変更するかを判断しなければならない

事業者を相手に事業を行っている事業者(いわゆるBtoBの事業者)は、インボイスを発行しないと消費税分を請求しづらくなってしまう可能性があります。インボイスの発行がないと相手方で税額控除を受けることができないためです。

また、このような事業者が免税事業者であった場合、簡易課税制度を利用すれば、課税事業者となって適格請求書発行事業者としての登録を行い、相手方から消費税分を受け取るようにすることで、手元に残る利益が増えるケースも考えられます。

今後は免税事業者のまま事業を行うのか、課税事業者を選択するのか、課税事業者となる場合にはインボイスを発行する適格請求書発行事業者の登録を行うのか、それぞれの事情に合わせて選択をすることになります。

インボイス制度の開始日である2023年10月1日から適格請求書発行事業者になるためには、同年3月31日までに申請をしておく必要があります。
消費税は以前から届出関係が複雑で、届出の誤りがとても多いのですが、半年も前に手続きが必要ということになれば混乱が予想されます。登録申請は2021年10月1日から可能です。早い段階から準備と検討を重ね、手続きの漏れや遅れがないようにしたいですね。

(3)適切な手続きをしなければ思わぬ負担が生じてしまう

適格請求書発行事業者である必要がなくなった場合、「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出することで、適格請求書発行事業者ではなくなり、インボイスを発行する必要はなくなります。
ただしこの届出を行っても、消費税の課税事業者であることには変わりはありません。要件を満たして免税事業者となりたい場合には、別途「課税事業者の選択不適用届出書」も提出する必要があります。
先ほども少し触れましたが、消費税の届け出はとても複雑です。税理士に任せる場合でも、普段からコミュニケーションをとっておくようにしましょう。

(4)契約を継続させようとする免税事業者が出てくる可能性がある

インボイス制度が導入されると、インボイス発行事業者との取引でなければ、仕入れ時に発生した消費税を税額控除に使えなくなってしまいます。そうなると、取引相手から消費税分を受領しにくく、取引を避けられてしまうような事態も想定されます。

そのため、インボイス発行事業者として登録していないにも関わらず、従来の契約を継続させるために、虚偽の登録番号を請求書や領収書に書くことで、インボイス風にしてしまう免税事業者が出てくるかもしれません。

インボイス発行事業者として登録されていれば、インボイス発行事業者かどうかを検索して確かめられます。しかし、法人の取引先の数は膨大になることが多いため、全ての取引相手がインボイス発行事業者かどうかを確かめるのは難しいはずです。このような行為をどのように防いでいくかが難しい問題となるでしょう。

5.インボイス方式を採用するかどうかの判断基準

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インボイス制度が導入されることによって、インボイス発行事業者になるべきか悩むかもしれません。ここから説明する内容を参考にして、インボイスを発行した方が良いかどうかを考えておきましょう。

(1)インボイスを発行するメリット

ここまで見てきたように、インボイス制度の下では各事業者がインボイスを発行するのか否かを自分で選択することになります。そして今までは消費税法とはあまり関係のなかった免税事象者も消費税の納税義務者となることについて考える必要が出てきます。
取引の相手先は消費者がメインなのか事業者がメインなのか、インボイスの発行にはどの程度手間がかかりそうなのか、それぞれの業務内容と事業の置かれている環境、事務処理能力等を総合的に勘案して検討することになります。

消費者はインボイスをもらっても使い道がありませんから、インボイスの発行を求めるのは消費税の課税事業者だけです。売上先のほとんどが消費者であるような事業であれば、インボイスの発行を求められることはほとんどないというケースも考えられます。このような場合、課税事業者であっても適格請求書発行事業者の登録は必要ないということもありそうです。
一方で、事業者相手の仕事については、インボイスを発行しないと消費税分を取引先から受領することが難しくなるかもしれません。現行の消費税転嫁に関する法律上は、買手が売手に対して消費税分の値引きを求めることは禁止されているので、支払いを渋られるということはないはずですが、相手先から嫌われて取引を敬遠されてしまうかもしれないという心配があります。このような場合、免税事業者は消費税を請求しないか課税事業者の選択をして適格請求書発行事業者の登録をするかのいずれかを選択しなければならなくなるでしょう。簡易課税制度を活用することで、あえて課税事業者となりインボイスを発行して消費税の納付する方が、手元に残る利益が多くなることもあり得るというのは先ほど述べた通りです。

売上の維持や利益の確保のためにどのような選択をすべきなのか、事業を行うすべての人に関係するお話ですので、しっかりと検討をしてほしいですね。

6.まとめ

インボイス制度が施行されると、取引先がインボイス発行事業者であるかどうかによって今後の関係性が変わってくることが予想されます。

ここで説明した内容を参考にして、制度の概要とあなたの事業内容をよく考えて、インボイス発行事業者になるべきかどうかをあらかじめ考えておきましょう。

<話者紹介>

平山さん

税理士法人税務会計センター
税理士 平山鉄郎

2003年 中央大学法学部法律学科卒業
2004年 税理士法人税務会計センター入社と同時に税理士試験の受験を開始
2012年4月 税理士登録
やっとグローブがはめられるようになった小1の息子とのキャッチボールが明日への活力。

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