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ビル管理会社のM&A 押し寄せる事業承継のタイミングの背景にあるものは?

2020/05/21

はじめに

ビル管理会社は比較的安定した経営ができる業種といわれ、オーナーが高齢であっても他の業種ほど事業承継が進んでいませんでした。しかし経済環境の変化によって、そのような流れに変化が生まれています。
今回は安定していたビル管理業界に生じた変化とM&Aについて、ビル管理会社のM&Aに詳しい株式会社ストライクの渋谷さんにお話を伺いました。


1.ビル管理会社とは

ビル管理
世の中にはビルと呼ばれるものがたくさん存在します。具体的にはオフィスビルや商業施設、ホテルやマンションなどです。ビル管理は、それらを管理する仕事です。ひと口にビル管理といっても、その業種の中にも色々なカテゴリーがあります。

(1)ビル管理の定義

ビル管理とは、オフィス、商業施設、ホテルなどの建物を管理する仕事です。広義の意味では、プロパティマネージメント、例えばオフィスのリーシングやテナントの収益面の対応まで含めます。

狭義の意味ではハード面の仕事、いわゆるビルメンテナンスと呼ばれる建物の維持管理です。一般的にビル管理といったときには、狭義のビルメンテナンスを指すことが多いです。

(2)ビル管理の多岐にわたる業務内容

ビル管理業務の中には様々な種類の仕事があります。例えばオフィスの建物で共用部分の掃除やトイレ掃除などの清掃を中心とした清掃管理業務があります。

ビルであれば当然浄化槽や貯水槽などがあります。そういった給排水関係の設備を清掃したり維持したりする業務です。

他にも消防設備やエレベーターなどの設備管理をする業務というものがあります。また、建物の保守と合わせて、建物の警備業務も合わせて行うことがあります。

建物に関する全体の管理サービスを提供する総合ビルメンテナンス会社もあれば、個別に清掃業務だけを提供している会社もあります。中小企業は個別のカテゴリーに特化して業務を行う会社が多いようです。

2.ビル管理業界の構造的特徴

ビル管理業界には構造的な特徴があります。例えば〇〇〇不動産の建物があったとして、その系列会社がビル管理業者として入ることが多いです。デベロッパーの系列の建物の場合、その系列会社の管理会社が、鉄道系列が保有する建物であれば、その系列会社が管理会社として入ることが多いです。

そこから実際に業務を担当する会社に発注します。危険を伴う窓ガラスの清掃を専門に扱う会社に発注したり、貯水槽の清掃について専門の会社に発注したりします。

このようにビル管理業界は、ある意味で建設業に近い、下請け構造的な面がある業界です。実際に下請けや孫請けとして、現場で作業を行う人員を抱えて業務を担当するのは、多くの場合、中小零細企業です。

3.ビル管理会社のM&A事情

ミドル ビジネスマン

ビル管理会社の事業承継やM&Aに関する状況を見てみましょう。

(1)ビル管理会社のM&Aが少なかった背景

まず、ビル管理会社のオーナーは他の業界に比べて、比較的高齢になっても続けられているケースが多いです。理由としては、法律改正や技術革新などが他の業種に比べる比較的少ないということが挙げられます。

つまりビル管理業務は、一旦業務の仕組みができあがってしまうと人員管理が中心となるため、オーナーとして非常に続けやすい安定した仕事なのです。このため他の業界に比べると世代交代が進み切っていないといえます。

(2)業界環境の変化によるM&Aの活発化

しかし、最近はそのような傾向が変わってきています。業界環境について言えば、人手不足で人員確保ができないという問題が出てきています。残念なことにキツイ、汚いとのイメージがあることが人材確保をより困難にしている理由の一つです。

現場では、もはやそのような業種ではないともいわれていますが、世間的には未だにそのようなイメージは残っており、景況感がよくなって他に選択肢が色々とあれば、そちらに人材が流れやすいのです。これは人材集約型のビジネス全般にもいえることかもしれません。

清掃業の仕事はアルバイトやパートタイマーを中心に行われていることが多く、賃金は時給で支払われることが多いですが、最低賃金も上昇し、東京では時給1,000円を超えています。それに応じて清掃業務に従事するアルバイトやパートタイマーの給料を上げざるを得ません。

このように、人手不足と最低賃金の上昇が、ビル管理会社のコストをじわじわと圧迫します。
それをデベロッパーとの価格交渉で解決するのも現実的にはなかなか難しいようです。ビル管理会社は力関係が弱い立場であり、値上げするぐらいであれば他の業者に頼むなどといわれると、苦しい状況でも経営を継続せざるを得ません。

こういった状況から、先行きを考えて利益が出ているうちにM&Aを検討するオーナーが増えてきているのです。このように、オーナーが高齢という理由だけではなく、業界環境の変化も理由のひとつになっています。

(3)売手側がM&Aを行う理由

ビル管理会社が事業承継の手段としてM&Aを選択する理由はいくつかあります。まずは一般的なM&Aと同様、後継者の問題の解決、事業規模やエリアの拡大、サービスの拡充などです。

また、人材不足の状況にある売手のビル管理会社はM&Aを行って、買手である大手の会社名で募集をすれば人材が確保しやすいのではないかと期待します。

M&Aを行うのは、身内や従業員の中に後継者がいないという理由もありますが、それだけではなく上記のような営業的な要素も含めてM&Aを検討するケースが増えてきています。

(4)買手側がM&Aを行う理由

ビル管理会社のM&Aを行う買手側の理由はどのようなものでしょうか。他の業者で比べると比較的安定しているとされるビル管理業界は、買手企業にとってM&Aに取り組みやすい業界です。

コスト構造としては人件費が最も多いです。もちろん機材などへの投資は必要ですが、製造業のような多額な設備投資が必要なわけではありません。よって、新規には参入しやすいビジネスになります。

新規参入する際、新規の建物であれば、ビル管理会社はその建物のオーナーと系列の管理会社に営業し、新しく仕事を取れることもあります。一方、既存のビルや建物については、一般的には価格競争に勝って仕事を取るという傾向が強いです。かりに価格を下げて仕事は取れたとしても、結果的には経営が苦しくなることもあります。

また、実際に業務を行う人員をどうするかという問題もあります。新たに仕事は取るのと同時に、人材を確保しなければなりません。このような状況で、得意先も従業員もセットでついてくるM&Aは事業承継のやり方としては有効です。

事業の規模の拡大や新たなエリアでの顧客の開拓を行おうとするとき、すでにそのエリアにあって得意先もあり、従業員も抱えている会社を買収した方が、時間もコストも省略できます。

また、清掃以外の設備や消防などの様々な業務の拡大を意図した、ビジネスの領域を広げる意味でのM&Aもあります。

(5)海外で活発に行われるビル管理業界のM&A

大手のビル管理会社は海外進出を行っています。国内市場が極端に落ち込んでいるわけではないですが、今後の爆発的な成長は見込めません。業界大手のビケンテクノはベトナム、ハノイやマレーシア、インドネシアなどアジアエリアへとM&Aで市場を拡大させています。

海外進出する際にゼロから立ち上げるケースもありますが、海外進出の成立までの期間をショートカットできるのでM&Aという選択肢を選ぶことがあります。香港やベトナム、シンガポール、インドネシアなどで、そういう事例が見られます。

国内では集約的なM&Aは行われており、公表されていませんが、中小企業のM&Aに関しては非常に活発に行われています。

4.ビル管理会社のM&Aを行う際の注意点

ビルと人々

ビル管理会社のM&Aを行うにあたっての注意点がいくつかあります。項目別に解説しましょう。

(1)関係者への報告や説明

M&Aを行う際に大切なのが、売手企業の既存の仕事をきちんと引き継ぐことです。そのためには発注元との契約の内容を確認することが必要です。契約の内容によっては、引継ぎ前に発注元の了承が必要な場合もあります。そういう契約がなくても、主要な得意先には適切なタイミングできちんと引き継ぎに関して説明することが大切です。

また、会社の関係性にもよりますが、M&Aを行う前に売手の発注元のデベロッパーに報告をする方がよい場合もあります。
こういった必要な報告さえ怠らなければ、最近の傾向としてはM&Aで別の会社の子会社になることを理由に取引をやめるようなことはなくなってきています。

(2)M&A実行のタイミングについて

M&Aを実行するタイミングですが、官公庁内の清掃業務は入札になるケースが多いので注意しましょう。入札のタイミングで代表者を変えてしまうと入札に応募できなくなることもありますので、M&Aを行うタイミングには注意が必要です。

(3)ビル管理会社のM&Aのスキーム

ビル管理会社のM&Aのスキームに関しては、比較的株式譲渡の方が事業譲渡よりも多いようです。事業譲渡では煩雑な事務手続きが発生します。また、従業員が転籍してくれないリスクなどもあります。株式譲渡は様々な契約関係をそのまま引き継ぐので、そこで働いている従業員の雇用も引き継がれます。また、取引先も継続するので仕事がなくなるということもありません。

5.ビル管理会社のM&A 買収価格の相場

ビル管理

ビル管理会社のM&Aにおいての具体的な買収価格は、売手の利益を含む財務の状況によって決まるものであり、一概にはいえません。一般的な買収価格はその企業の利益の数年分を純資産に上乗せするのが相場ですが、もう少し上がる可能性もあります。
なぜなら、買手企業がM&Aによって比較的安定していて投資がしやすいビル管理会社はそれなりに魅力があるからです。

実際にビル管理会社を買いたいという企業の数は、他の業種に比べて非常に多く、同業だけではなく異業種の企業がM&Aを使ってビル管理会社を買収して参入してくるケースもあるぐらいです。

ビル管理会社は買手が多い業種なので、M&Aの買収価格としては総体的に上がりやすいということです。

6.まとめ

ビル

昨今、中小企業の場合、足元の業績がよくても人手不足や最低賃金の上昇などが経営を圧迫しています。このような状況において、ビル管理業界は比較的安定しています。ですから、現状ではM&Aを考えているオーナーはとりたてて多いとはいえません。

一方、ビル管理会社を買いたいと思っている企業は多いので、売手としては売り時のマーケット環境です。ビル管理会社オーナーにとっては、先のことを考えて好機と捉え、M&Aを決断することも事業承継の1つの有力な選択肢ではないでしょうか。

話者紹介

渋谷さん
ストライク執行役員 渋谷大

2001年より新日本監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)にて勤務後、2006年にM&A仲介会社、株式会社ストライクに参画。以後、後継者問題に悩む中堅中小企業、
事業の選択と集中を図る企業などの間をM&Aにて取り持つ。

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