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住宅・不動産業界の現状とM&Aの傾向 M&Aを成功させるためのポイントも紹介

2020/06/15
更新日:2020/06/16

はじめに

住宅・不動産業界は、世の中の景気動向から影響を受けやすい業界として知られています。景気による影響を受けるのはどの業界も同じですが、住宅・不動産業界は、商品一つひとつが非常に高額であるため、M&Aにおいてもその影響が顕著にあらわれます。不況の折に企業を売りに出しても買手がつかず、買手がついたとしても買い叩かれてしまうことも十分考えられます。この記事では、住宅・不動産業界に詳しい株式会社ストライクのマネージャー、廣田尚登さんに、住宅・不動産業界の現状とM&Aについてお聞きしました。


1.住宅・不動産業界の現状

住宅業界の景況感イメージ
住宅・不動産業界は、商品一つ一つの金額が大きいため、世の中の景気動向に大きく左右されます。

2007年の改正建築基準法による建築確認審査の厳格化、さらに2008年に起こったリーマンショックを発端とした景気低迷による影響で、国内の住宅・不動産業界で大型倒産が相次いだことは記憶に新しいのではないでしょうか。

これらの影響による住宅・不動産業界全体の不況は終わりが近づいていますが、全体的な市場規模は縮小傾向です。国内の人口が徐々に減ってきていることが要因です。住宅や不動産の需要は、人口と深い関わりがあるので、人口が減って住宅や不動産を購入する人が減れば、住宅・不動産業界の市場規模も縮小します。

こういった状況にあっても、事業規模を大きくして競争に打ち勝とうとする企業は少なくありません。そのため、住宅・不動産業界のM&Aは、近年増加傾向にあります。

2.住宅・不動産業界においてよく使われるM&Aの手法

M&Aイメージ

ここでは、住宅・不動産業界でM&Aが行われる際によく使われる手法について、詳しく解説します。

(1)株式譲渡

住宅・不動産業界のM&Aで最もよく使われる手法は株式譲渡です。その理由は、株式譲渡による事業承継の場合、国や都道府県からの許認可も同時に引き継ぐことができるからです。不動産業を営むには、「宅地建物取引業免許」を取得することが多いです。株式譲渡であれば、新たに認可を取り直す必要がなく、すぐに営業を開始することができます。

(2)事業譲渡

住宅・不動産業だけではなく多角的な経営をしている会社がM&Aを行う場合、住宅・不動産事業だけを切り離して受け渡す事業譲渡という手法が取られるケースもあります。ただし、事業譲渡の場合は、許認可について検討せねばならないことと、従業員を一度解雇して再雇用しなければならないというデメリットがある点に注意が必要です。さらに、有資格者が退職してしまうリスクも考えなければなりません。

3.住宅・不動産業界でM&Aを行うメリット

メリットイメージ

M&A・事業承継を検討している方へ

当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。


住宅・不動産業界でM&Aを行うことのメリットを見ていきましょう。譲渡する側のメリットと買収する側のメリットに分けてお伝えします。

(1)譲渡する側のメリット

譲渡する側の一番のメリットは、株式の譲渡益を得ることができる点です。未上場で後継者不在の企業である場合、株式を売却して利益を得るにはM&Aによる方法しかありません。なぜなら、株式を従業員に引き継がせようと思っても、金額的に難しい場合が多いからです。

(2)買収する側のメリット

買収する側にとっては、ブランドや商圏を手に入れることができる点が大きなメリットといえるでしょう。こればかりは一朝一夕に作れるものではありません。時間を掛けずにブランド力や商圏を手に入れようと思えば、M&Aによる買収が最も適しています。

さらに、住宅・不動産業界の営業はほかの業界よりも属人的なもので、1人の稼ぐお金が大きいのが特徴です。そのため、買収によって優秀な人材を手に入れることができれば、それだけで大きな売上を見込めます。また、住宅・不動産業界には、宅地建物取引士や建築士、施工管理士などの資格があります。こうした資格を有している人材を効率よく手に入れることができる点もメリットとして挙げられます。

4.住宅・不動産業界におけるM&Aの流れ

住宅の価値イメージ
ここでは、住宅・不動産業界におけるM&Aの流れを紹介します。譲渡する側と買収する側に分けて詳しく見ていきましょう。

(1)売手側の流れ

後継者が不在である企業の場合、まずはM&Aではなく従業員に引き継がせることを考えるオーナーが多いです。とはいえ、従業員に引き継がせるといっても、株式譲渡には莫大な資金が必要です。そのため、引き継がせる従業員がすんなりと見つかるケースはごく稀です。

多くのオーナーは、譲渡する先がなくなって初めて税理士などの専門家に相談します。そこでM&Aによる第三者への事業承継を初めて知るというオーナーもまだまだ多い印象です。

M&Aを検討するオーナーは、セミナーに参加したり、専門家に相談したりする中で、自社の価値がどのくらいなのかを考えます。後継者不在のオーナーにとって、専門家から提示される株式譲渡額は想定していたものより高くなるケースが多いです。その結果、莫大な資金が必要な従業員への株式譲渡よりも、第三者への事業承継を検討するオーナーも少なくありません。

(2)買手側の流れ

住宅・不動産業界のM&Aにおいては、譲渡したい企業が3割で、買収したい企業が7割ほどを占めます。そのため、まずは譲渡したい企業に出会うことが先決です。

買収する側は、まずはM&A仲介会社に登録するのが一般的です。その際に、たとえば「関東地区、ハウスビルダー、モダンな家を作る」などのニーズを登録します。さらに、年商規模などの諸条件も合わせて登録します。条件に一致する企業を見つけ次第、本格的な交渉に入るという流れが一般的です。

5.住宅・不動産業界におけるM&Aを成功させるためのポイント

成功の鍵イメージ
最後に、住宅・不動産業界のM&Aを成功させるポイントについて見ていきましょう。ここでは、譲渡する側に絞ったポイントを紹介します。

住宅・不動産業界のM&Aは、先述したように売手市場ですが、買手側は事業再生をしたいわけではありません。当然、業績の上がらない企業や将来性のない企業を売りに出したとしても買手は現れないでしょう。

譲渡する側がM&Aを成功させるポイントは、次の4つです。

・売却のタイミングを見極める
・自社の管理物件を持っている
・地域に特化した経営を行っている
・従業員が現役の年齢である

以下に、詳しく解説します。

(1)売却のタイミングを見極める

住宅・不動産業界は、世の中の景気動向に影響されやすい業界です。適正価格で譲渡するには、適切なタイミングで売りに出す必要があります。

端的にいえば、景気が下向きになり、自社の業績も下降傾向となったタイミングでは売りに出さないほうがよいでしょう。早め早めに準備を進めておき、最適なタイミングが来た時に迅速に売りに出すことができます。

(2)自社の管理物件を持っている

自社管理物件を持っているかどうかは、企業価値に大きく影響します。不動産業はフロービジネスが一般的ですが、管理物件といった定期的に確保できる収入源、つまりストックがあると経営も安定し、企業価値にプラスの評価となります。

(3)地域に特化した経営を行っている

地域に根ざした中小の住宅・不動産会社の強みは、その地域に特化した経営を行っていることです。地の利を活かした独自の経営を行っている企業は、それだけで企業価値が高くなります。大手が入り込めない地域独自の営業ルートや販売ルートを持っている企業は、M&Aの際に高く評価されます。

(4)従業員が現役の年齢である

従業員の年齢がまだ若く、買収しても当面の間は現役世代であることは、売却する際に大きな強みとなります。買収する企業は、優秀な営業マンや住宅・不動産業の経営に欠かせない有資格者といった人材も手に入れたいと思っています。

買収する企業が恐れることの1つは、買収後に従業員が大量に離職することです。優秀な人材が買収のタイミングで会社を去ってしまうケースは、決して少なくありません。これは、現オーナーと個人的な信頼関係で働いているようなベテラン社員に多い傾向です。

その点、若い現役世代の社員がメインであれば、売却のタイミングにおける大量離職の可能性は低いといえるでしょう。買手側に「従業員は今後も長く働くことができる」ということをアピールできれば、企業価値は確実に上がります。

6.まとめ

M&Aを成功させるためには、必ずM&A仲介会社や専門家に相談してください。オーナーの中には、数々の不動産取引をしてきた自信から、誰にも相談せずにM&Aを成立できると思っている方も多いでしょう。

しかし、不動産の売買とM&Aは根本的に異なります。企業の売買には、企業価値の算定や税金の取り扱い、買収企業との交渉、さらには売却後のトラブル解消など、専門的な知識がないと解決できない事柄が数多くあります。

専門家に相談せずに独断でM&Aを行ってしまったために損をしてしまったり、あるいは大きなトラブルに巻き込まれてしまったりするケースは決して珍しくありません。こうしたリスクを避けるためにはM&Aの専門家に対する相談が必要だと考えます。

〈話者紹介〉


株式会社ストライク
廣田 尚登(ひろた なおと)

2000年に立教大学を卒業して銀行に入行。銀行では一貫して法人新規開拓業務を担当。法人向けのソリューション提案を行う中で、提案の1つであったM&A業務に未来を感じ、2019年1月にストライクに入社。多種多様な業種のソーシングからクロージングまで、年間5件程のディールを成約している。

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