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個人が会社を買う時代の到来?個人によるスモールM&A成功のポイントと注意点を解説

2020/12/16
更新日:2021/02/09

はじめに

近年、注目を集めているのがスモールM&Aと呼ばれる個人による会社の売買です。インターネットを通じて、売手と買手との仲介を行うマッチングサイトが数多く登場しており、ほとんどのサービスがネット登録だけで手軽に使えるため、利用者が増え続けています。しかし会社売買のハードルが下がってきたからこそ、慎重に検討すべきポイントを踏まえておきたいところです。個人でM&Aをする場合の成功ポイントと注意点について、M&Aの専門家であるSeven Rich法律事務所の代表弁護士の石原一樹さんに解説していただきました。


1.個人によるM&Aが増加している現状とその背景

机の上に並ぶノートパソコンとカメラとスマホ
ここ数年、個人によるM&Aが増えています。会社に勤めながら、副業として会社を経営したい、もしくは退職後の職業として、会社経営という選択肢を確保しておきたいと考えているサラリーマンがたくさんいるのです。スモールM&Aが増加している要因と背景を説明しましょう。

(1)中小企業における後継者問題の深刻化

経営者の高齢化が進行し、中小企業の後継者問題がさらに深刻化しています。行政もこの問題を打開すべく、事業承継税制を改正するなど、事業承継やM&Aを奨励する施策を積極的に打ち出してきました。そうした背景もあり、会社の売却という決断をする経営者が増加してきています。中小企業の売手の数が増えていること、つまり売買する会社の供給が増えたことが個人によるM&Aの増加につながっていると考えられます。

(2)マッチングサイトの登場

近年、スモールM&Aをサポートするマッチングサイトが数多く登場したことも、個人によるM&Aの増加を後押ししているといっていいでしょう。マッチングサイトにもさまざまな種類があります。マッチングだけでなく、M&A成立までをサポートするサービスを展開しているマッチングサイトもあります。登録料は無料で成約までお金がかからないというシステムを採用しているサイトもあり、心理的にも経済的にもM&Aを検討するハードルが大きく下がっているところが特徴的です。

マッチングサイトで会社の買収情報を見た個人が、会社はこれくらいの値段で買えるのかと知り、M&Aを前向きに検討し始めたというケースもおそらく少なくはないでしょう。

マッチングサイトが登場する以前から、個人が会社を買うケースがまったくなかったわけではありません。しかし縁故のある人から「買いませんか?」と相談されて買う、事業承継に困った会社の経営者が地元の有力者に打診して買ってもらうなど、それまでにあった人間関係に基づいて成立するものがほとんどでした。マッチングサイトの登場によって、それまでは地域に限定されていた情報を全国どこでも入手することができるようになり、それまでまったく関係のなかった個人同士でのM&Aが可能になったのです。

2.個人によるM&Aが行われるケースとは?

個人経営のパプが入っているビル
個人が会社を買うM&Aの特徴について、説明いたします。

(1)個人が購入する対象は小企業、個人事業主が多い

個人が会社を買う場合、大きな会社はあまりありません。対象となるものの多くは従業員が数人程度の中小零細企業や個人事業主となります。価格も500万円以下の取引がメインといっていいでしょう。個人が会社を買う場合、飲食業、小売り・サービス業、製造業などの業種が多いという特徴があります。

またインターネット運営会社を売買するケースも増加する傾向もあります。アフィリエイトサイト、クリエイトサイト、ECサイトなどの売買も広義の意味でのM&Aといっていいでしょう。

(2)店を開業する感覚で会社を買うケースもある

個人が会社を買う場合、起業を目的としたもの、副業を目的としたものなどがあります。会社経営した経験のないサラリーマンが店を開業する感覚で会社を買うケースも少なくありません。

ゼロから店をスタートさせようとすると、かなりの手間と時間とお金がかかります。会社の設立はもちろんのこと、店舗の入る場所を選定して、不動産屋と契約、内装費をかけてリフォーム、従業員の募集と採用、商品の仕入れなどなど、たくさんの手続きを踏む必要があり、多大な労力が必要となります。しかしM&Aで会社を購入すると、時間を大幅に短縮することができます。場合によっては会社を購入して、すぐに営業をスタートすることも可能でしょう。個人によるM&Aは短期的なビジョンに基づいて行われるケースも多いのです。

(3)規制業種のM&Aもある

個人M&Aに限らないのですが、規制業種の会社を買うケースもかなりあります。風俗店、ラブホテルなどは新規には作ることができない場合もあるので、参入しようとしたら、既存の会社を買う以外に手段がありません。日本酒の醸造所も規制業種のひとつです。日本酒の醸造所の経営を考える場合には、新規で作りにくいこともあり、M&Aによって手に入れるのがリーズナブルといえます。

3.個人M&Aの会社選びでの注意点

壁に貼られた紙を見つめる人間の後ろ姿

M&A・事業承継を検討している方へ

当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。


個人が会社を買うハードルが下がっているという傾向がありますが、手軽に購入して失敗するケースも目立っています。購入する会社を検討する際の注意点を解説しましょう。

(1)事前にシミュレーションすることが必要

会社を買う前に事業を具体的にどう展開していくのか、シミュレーションしておくことも大切です。たとえば会社員が副業として会社を購入し経営する場合、平日の夜と土日以外の時間は事業に割けないケースもあるでしょう。平日の日中はどのように対応するのか、事前に想定して準備をしておかないと、円滑に事業を展開できない可能性もでてきます。できる限り、具体的にイメージしておくことがポイントです。

(2)信頼できるマッチングサイト、M&A仲介会社に依頼

マッチングサイトもM&A仲介会社もM&Aの成約によって報酬を得るシステムが一般的です。成約させることのみを最優先させるのではなくて、買手と売手の希望する条件を共有し、買手にとっても、売手にとっても納得のいくM&Aの成立に尽力してくれる信頼できる業者を選ぶようにしましょう。

(3)会社購入がゴールではない

個人のM&Aでよくあるのは、会社を購入したことに満足し、失敗するケースです。むしろ会社は買ってからがスタートという認識を持つことが必要でしょう。

4.個人M&Aにおけるよくある失敗パターン

倒れたコーヒーカップと紙にこぼれたコーヒー
個人M&Aでの失敗の多くには共通するパターンがいくつか見られます。主なケースを説明しましょう。

(1)前の経営者への依存度が高く売り上げが激減

前の経営者への依存度が高すぎることにより、会社の売り上げが激減してしまうケースは少なくありません。仕入れ先から「前社長だったから、この価格にしていましたが、社長交代のタイミングで変更させてもらいます」と言われたという話もあります。経営者の交代によって、経営コストが上昇する可能性もあるのです。会社が小さければ小さいほど、相対的に社長の影響力が大きくなる傾向があります。購入を検討している会社では経営者への依存度がどの程度あるのか、社長の交代によって、どんな影響が考えられるのかなど、考えられる状況を想定しておく必要があるでしょう。

(2)従業員の退職

会社を買って、経営者が替わったタイミングで、それまで勤務していた従業員や役員が同時に辞めてしまうというケースも考えられます。こうした状況も前経営者の影響力の大きさが要因となっていることが多いでしょう。会社の経営において、人間関係は大きな要素となります。従業員との信頼関係をきちんと築けるかどうかが、会社のスムーズな引き継ぎに繋がるのです。

(3)簿外債務の存在が判明

会社を買うにあたり失敗要素のひとつとして挙げられるのは、金銭まわりのトラブルです。簿外債務があって、思わぬ負債まで引き継いでしまう場合もありえます。こうしたトラブルを回避するためには、最終譲渡契約を締結する前に、デューデリジェンス(買収監査)をしっかり行うことが不可欠です。デューデリジェンスは財務、法務、税務、IT、環境など、多岐にわたっているため、それぞれの専門家に依頼するのがいいでしょう。

5.個人M&Aを成功させるためのポイント

オフィスの透明のボードに描かれた上昇する矢印のマーク
個人M&Aを成功させるためには失敗のリスクをしっかり回避していくことが必要です。そのためのポイントを説明しましょう。

(1)人間関係の構築が不可欠

会社を経営したことのないサラリーマンが会社を買った場合に、どこから始めていいのかわからずに困惑してしまうというケースもありえます。最初にしなければならないのは人間関係の構築です。従業員や役員に対してどのような処遇をするのか、給料、福利厚生など、具体的な内容を説明するとともに、会社を運営していくうえでの姿勢を理解してもらうことも大切になってきます。また、取り引き先に挨拶回りをするなど、関係を継続していけるように務めることも必要でしょう。

(2)前経営者からの丁寧な引き継ぎ

会社の引き継ぎを丁寧にやることが、個人M&Aを成功させる上での大きなポイントとなります。そのためには前経営者とのコミュニケーションをしっかり取ることも必要です。前経営者との会話の中には従業員との付き合い方、会社の経営改善点など、ヒントとなるものがいくつもあるでしょう。

(3)経営のビジョンが必要

会社を買うことはゴールではなく、スタート地点でもあります。今後どのような経営をしていくのか、どのような会社にしていきたいのか、ビジョンを明確にして、従業員と共有していくことも成功の秘訣となるでしょう。

6.まとめ

マッチングサイトの登場によって、個人による会社売買のハードルが下がり、スモールM&Aが増加しています。しかし手軽になったからこそ、買う会社の選択、買収監査などのさまざまな手続きをしっかりと行う必要があるのです。信頼できる専門家、M&A仲介会社に相談して、進めていくことをおすすめします。

話者紹介

Seven Rich法律事務所
代表弁護士・弁理士 石原一樹さん(いしはら かずき)

京都大学法学部、神戸大学法科大学院を卒業。弁護士としての道を歩み始め、株式会社コラビットのジェネラルカウンセル、リース株式会社のジェネラルカウンセル、株式会社ココナラの監査役、株式会社ミラティブの監査役など、多数企業の監査やアドバイスを行う立場として活躍中。
Seven Rich法律事務所では代表弁護士を務めており、第二東京弁護士会に所属。法律というツールを武器にして多くの人たちと関わり合い、成長できるような環境を求めて弁護士活動を行っている。

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