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円滑な事業承継のための後継者育成プランのポイントを解説

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円滑な事業承継のための後継者育成プランのポイントを解説

 

はじめに

事業承継を行うためには、後継者の確保が最初の一歩です。しかし、「事業承継の課題といえば後継者不足」と言われるように、後継者の確保がうまくいかず、廃業を選択せざるを得ないケースも増えています。ここでは、後継者不足の背景や現状を紹介しながら、後継者育成の重要性、事業承継計画の進め方などについて、法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授・玄場公規先生に聞きました。
 


法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科玄場公規氏

話者紹介

法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科
教授
玄場 公規 (げんば きみのり)

法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科・教授。大阪大学大学院工学系研究科・招聘教授。東京大学学術博士。三和総合研究所研究員、東京大学大学院工学系研究科助手、東京大学工学系研究科アクセンチュア寄附講座助教授、スタンフォード大学客員研究員、芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科助教授、立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科副研究科長・教授を経て現職に。『後継者・右腕経営者のための事業承継7つのステップ』など著書多数。

 

 

1.後継者不足問題の背景・現状

事業承継を始めるためには、まずは後継者を確保する必要があります。しかし、近年の日本の中小企業においては、候補者がいない、あるいは候補者がいたとしても同意を得ていないなど、後継者不足は深刻な問題です。2018年版「中小企業白書」のデータによると、2015年における中小企業の経営者の年齢は66歳がピークとされており、1995年には47歳だったピークが20年間で19歳も高齢化していることがわかります。

一方、この年齢に近づく60歳代の経営者の後継者確保状況を見てみると、48.7%と約半数が確保できていません。経営を退く場合、誰かに会社を承継するか、廃業するかの2つの選択肢がありますが、経営者の年齢が66歳でピークを迎えていることを考慮すれば、一定の経営者が後継者不足を理由に廃業を選択せざるを得ない状況にあると言えるでしょう。

後継者候補としてまず考えられるのが現経営者の子どもや孫、その他の親族です。これまでは、長男や次男などの子息が会社を承継するケースがほとんどでしたが、最近は職業が多様化し、子息のやりたい仕事が必ずしも親が経営する仕事ではなくなってきています。その理由は様々ですが、新卒学生の間に「大企業志向」「安定志向」「資格志向」が、より強くなっていることが挙げられるでしょう。まずは、安定した大企業に就職する、あるいは、資格を取って専門的な仕事に従事し、その仕事が軌道に乗ってきた数年後に家業を継ぎたくないと考えても不思議ではありません。また、仮に親の会社を後継したいとなっても、家族の同意を得られないケースも見られます。

日本には数多くの中小企業がありますが、多くの企業は高度成長期に設立されており、その企業の経営者は、創業経営者として活躍しているケースがほとんどです。多くの経営者は卓越したリーダーシップを発揮し、売上の低迷、倒産の危機などの様々な困難を乗り越え、会社のために一生を捧げる覚悟で企業経営を続けています。そうした親の苦労を身近で見てきた子どもにとって、親の会社を継ぐと決断することは簡単ではありません。

親族内に後継者が見つからないという場合は、親族外の役員や従業員を候補とすることも考えられます。長年従事している役員や従業員であれば、会社の内情に精通しており、顧客や取引先との関係構築も比較的容易に維持することが期待できます。ただし、企業に勤めている役員や従業員は、社内外の事業に精通しているからといって、すぐに一人前の経営者として活躍できるわけではありません。特に経営者がリーダーシップを発揮している中小企業では、役員・従業員は経営者の指示に従うことが当然と考えているケースが多く、経営者の交代に少なからず戸惑いを感じます。現経営者の代わりに会社を率いるという当事者意識を求めるのは、難しいと言えるでしょう。

近年、日本では第三者による事業承継が増えており、後継者が親族あるいは親族外の役員や従業員の中に見つからない場合には、M&Aによる事業承継も視野に入れる必要があります。とはいえ、後継者候補を探すとしても、簡単に見つからない場合が多いことを考えると、50歳代から後継者を探し始めることが望ましいでしょう。仮に後継者候補が見つかったとしても、後継者やその家族を説得する期間は数年以上の時間がかかることもあり、早めの準備が必要です。

■図版:年代別に見た中小企業の経営者年齢の分布

年代別に見た中小企業の経営者年齢の分布
中小企業白書(2018)より

■図版:社長年齢別に見た「後継者決定状況」

社長年齢別に見た「後継者決定状況」
中小企業白書(2018)より


2.後継者育成の重要性

後継者育成の重要性

「後継者が無事確保できたら、ひとまず事業承継は安心」と考える経営者は多いのではないでしょうか。事業承継とは「経営者の交代」を意味します。大企業であれば組織形態も強固であるため、経営者の交代はあまり企業活動に大きな影響を与えないかもしれません。しかし、中小企業にとっては、経営者の交代は数十年に一度の出来事であり、組織のトップが変わることで、組織活動の連続性が失われる可能性もあります。ましてや強いリーダーシップを発揮して企業を成長させてきた経営者から、経営に携わったことのない後継者に経営者が代わることで、企業の成長を望むどころか、組織としての一体感が失われ、今後の方向性を見失うことも考えられます。そのため、見つけた後継者をどのように育成していくのか、という「後継者育成」の視点が重要になります。

しかし、どんなに優秀な人材であっても、最初から優れた経営者としての能力を有しているわけではありません。特に、経営者として求められる能力は多様であり、経営者と同等の能力を備えている後継者はいないということを理解しておく必要があります。もちろん、経営の知識やスキルを身につけたり、マーケットに関する理解を深めたりすることは重要なことですが、それ以上に、当たり前ですが、古参従業員とのコミュニケーションを深めることが必要不可欠です。第三者が承継した場合はもちろん、先代経営者の親族が後継者になったからといって、すぐに従業員が快く指示に従ってくれるとはかぎりません。先代経営者が現場を離れたあとも先代経営者を支持する従業員も多くいますし、単純に後継者に対して反発する従業員が現れるケースも考えられます。とはいえ、後継者は、自分が採用したわけではない従業員の協力を得ながら、新しい経営方針への反発も抑えて、企業を成長させていくことが求められます。

そこで重要なのは、従業員をトップダウンで率いるための「支配的なリーダーシップ」ではなく、協力者を作り周りに動いてもらう「支援型のリーダーシップ」です。このリーダーシップは、従業員を支え、従業員が気持ち良く働ける環境を整えるために経営者が存在するという考え方をベースにしています。

例えば、支援型のリーダーシップでは、最初にウマが合わないと思った従業員に対して、いきなり上から命令したりすることはありません。従業員とのコミュニケーションを通して、少しずつ腹を割って話せる信頼関係を築くことを重要視します。その結果、最初は反抗的だった従業員が、少しずつ後継者との信頼関係が生まれ、場合によっては、後継者の「右腕」となり力を発揮するようになるのです。こうした「右腕経営者」は、新しい経営者の意思を組織に浸透させる役割をもつため、経営者と従業員の間に経営への共感や組織の一体感が生まれやすいという効果も期待できます。

後継者が、先代経営者と同じように会社を経営できれば良いですが、現実は、そう簡単ではありません。事業承継をきっかけに、少しずつ従業員を巻き込んだ「全員参加型経営」に移行し、自分自身と企業の継続的な成長を実現しましょう。


3.サクセッションプラン(後継者育成計画)と後継者育成のポイント

サクセッションプラン(後継者育成計画)と後継者育成のポイント

サクセッションプランとは、経営者や幹部クラスなどの重要ポストの後継者を確保し、次世代リーダーとして育成することを目的とした後継者育成計画のことです。前述したように、経営者には様々な力が求められ、経営者の能力は企業の業績に大きな影響を与えます。早い段階で後継者を選出し、事業承継を行う前から経営者に必要な考え方や新規事業創出、経営のスキームなどを計画的に身につけていくための取り組みです。

サクセッションプランに決まった形はなく、実行の仕方は会社によって異なりますが、「会社に必要な人材要件を定義する」「優秀な後継者を選抜する」「選ばれた人材を育成する」といったステップで進める場合が一般的です。ステップ1では、創業者が描き続けてきた経営理念や経営ビジョンを正しく理解し、将来経営を担うために必要な知識、スキル、マインドなどを具体的に洗い出しておくことが必要です。ステップ2では、社内で行う様々な研修や実績から優秀な人材を選抜する方法が一般的です。ステップ3では、後継者が経営に参画することで経験値を獲得し、経営者に不可欠なリーダーシップや意思決定の力を身につけたり、社外の研修や経営大学院(MBA)などに参加させることで、経営学の基礎・実践を学ばせる方法もあります。

昨今では、経営者や後継者を対象にした経営セミナーを開催する金融機関や公的機関も多いため、こうした社外のセミナーへの参加も検討したいところです。特に、こうしたセミナーや講習会は、新しいビジネススタイルや経営者に必要な知識が身につくだけでなく、他の経営者・後継者とのコネクション構築にも有効です。また、経営者には幅広い視点から物事を考える力が必要ですが、その力を身につけるには、社内で働く前に別の会社を経験させたり、社内の部署をローテーションさせたりすることも検討しましょう。

「事業承継」は資産の承継のみでは終わりません。むしろ、後継者を確保し、後継者に資産の承継が行われたあとに、企業の継続的な成長が実現できなければ、その事業承継は成功とは言えません。目に見える資産だけでなく、従業員をはじめとする人材に加え、経営者が創業当時から培ってきた顧客情報やノウハウ、経営理念を承継することが重要です。そして、それらを承継した上で、後継者自身が経営者に求められる知識やスキルを身につけ、事業承継後の成長を実現していくことを念頭に置いて事業承継に臨みましょう。


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