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病院・クリニックの事業承継にM&Aが効果的?売手(譲渡企業)と買手(譲受企業)のメリット

2020/01/07
更新日:2021/02/09

はじめに

少子高齢化に伴い、企業の後継者不足は深刻化しています。クリニックにおいても、経営者の高齢化と後継者不足の傾向は避けられないのが現状です。加えて社会保障費の負担増や医療制度改革、また人材の確保など業界特有の課題もあり、収益減少、赤字経営を余儀なくされるクリニックが増えつつあります。

クリニックは地域医療を支える「社会的公器」としての役割も果たしています。廃院が地域に及ぼす影響は少なくありません。このようにクリニック業界においても、事業の継続を目指し、M&Aを検討するケースが増加傾向にあります。M&Aをはじめとする医療機関の第三者継承支援や継承先の開業支援をメインに、医院経営をトータルにサポートする株式会社メディカルプラス代表取締役の濵田朋彦さんに業界の現状を伺いました。


1.クリニック業界の現状~多くの企業で後継者不足が課題になっている~

さまざまな業界、多くの企業で後継者不足が課題となっています。医療業界においても同様で、後継者問題に頭を抱えるクリニックは少なくありません。

厚生労働省(厚労省)の調査によると、日本にある医科クリニック約10万件のうち、院長が60歳以上の割合は実に47%です(平成28(2016)年医師・歯科医師・薬剤師調査)。院長の高齢化が進み、世代交代の時期にさしかかっているクリニックが多数あることがわかります。加えて開業医にヒアリングした調査結果によれば、後継者がいないと答えた医師が9割近くにのぼっているということです(帝国データバンク「業種別後継者不在企業調査」による)。

後継者である子どもが医師でないケース、医師であっても診療科目が異なったり、都市圏での開業を希望していたりと必ずしも後継者になりえないのが実情です。世代交代が進む中、後継者不足で廃業せざるを得ないクリニックも少なくありません。

その一方、開業するクリニックも緩やかですが増加しています。年間約6,000件近くのクリニックが廃業する中、新規開業するクリニックも7,000件近くあるのが実情です。(平成30(2018)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況より)

現状、データ上では新陳代謝が行われているように見えます。しかし、少子高齢化が進み、人口が減少する日本において、クリニックの数だけが増え続けているのです。

医師が新規で開業した際、少し前までなら開業半年で損益分岐点を突破できるケースがほとんどでした。ところが今では、開業後、1年あるいは2年経っても黒字化しないままで、赤字経営を余儀なくされるケースも増えてきています。患者数が減少する中、新規開業を考える医師にとっては、今後も厳しい状況が続いていくと考えられます。

後継者不在に悩み売却を検討する既存クリニックの医師、元々あるクリニックの患者やスタッフをそのまま引き継いでの開業を希望する医師。それぞれが売手、買手となることで双方のニーズを満たすのがM&Aの活用です。クリニック業界でもM&Aの案件が増加する傾向にあります。

2.クリニックを売る側のメリット~主なメリットは3点~

濵田朋彦氏のインタビューシーン1
後継者不足をはじめ、クリニック業界もさまざまな課題に直面しています。
M&Aを活用し、医院を売却することでどのようなメリットが得られるのでしょうか。

クリニックのM&Aに関しては、承継する病院が個人開業か医療法人か、また医療法人においても社団か財団か、持分ありかなしかなどの条件でもスキームが異なります。基本的な事業承継のパターンを中心に解説していきます。

(1)後継者問題の解消

クリニックの事業承継では一般の事業承継と異なり、引き継ぐ側も医師免許を持っている必要があります。医師が高齢のため一線を退き、後継者に後を託したいと考えてもそう簡単でない理由のひとつです。ですから、親族に医師がいなければ、事業承継のハードルは高くなります。

ご子息・ご息女や親族が医師であっても、必ずしも後継者候補とはなりえません。その理由は次のようなものです。

●診療科目が違う
例えば実家が整形外科のクリニックで、後継者候補が内科の医師であるケースが該当します。

●勤務医志向が高まっている
新規開業の難しさから、安定した勤務医を選ぶ医師もいます。また自分の研究、やりたいことに没頭する場合もあるでしょう。

●都心部での開業を希望している
実家が郊外の場合によくある例です。家族の生活基盤が東京などの都心部にあると、郊外での開業に難色を示す医師が少なくありません。

職住近接を希望される医師は少なくありません。ただ、都心部での承継案件は数もそう多くはありません。また、人が多い都市部ではクリニックも当然多いですから、同業者間の競争が激しいことが予想されます。クリニック経営に必要な固定費(家賃や人件費など)もそれなりにかかります。

その反面、郊外エリアでは、廃業によるクリニックの減少が住民に大きな損失となっています。郊外といっても東京など都市部が通勤圏のベッドタウンであれば、収益性の高いクリニックもあります。そういった医院を事業承継し、生活の拠点は都心部のまま、郊外のクリニックに通勤するのも一案といえるでしょう。

(2)クリニックの譲渡益が得られる

M&Aが成功すれば、クリニック売却による譲渡益を手にすることができます。また、院長が代わりますがクリニックは存続しますので、地域住民やクリニックに勤務するスタッフへの影響も軽減できる点もメリットです。

(3)廃院にかかるコストが削減できる

廃院を選択すると、それに伴う多額の費用がかかります。M&Aの活用でクリニックを引き継げれば、コスト削減につなげることができます。

3.クリニックを買う側のメリット~主なメリットは5点~

問診の風景
M&Aによってクリニックを承継し、開業した側、買手から見てもメリットは多数挙げられます。

(1)初日から利益をあげることができる

患者がついている、経営基盤がはっきりしていているクリニックを引き継ぐわけですから、開院当初からある程度の患者数が見込まれます。初日から利益をあげることが可能です。

(2)患者やスタッフを引き継げる

クリニックの成功には、優秀な従業員の存在が欠かせません。専門的な知識を持ったスタッフもそのまま引き継げることは、大きな財産といえます。人材募集にかけるコストも削減できます。また患者もそのまま承継できますから、集患に費やす時間や費用もほぼ必要ないでしょう。

(3)開業までの期間を短くでき、時間や費用のロスが少ない

医療機器や機材などもそのまま引き継げるため、あらためて準備をする必要がありません。クリニックの内装も、そのまま使うことが可能です。新規に購入するものも最小限で済むため、開業にかける費用を抑えることができます。

一般の新規開業だと1年から1年半くらいはかかりますが、事業承継では3ヶ月ほどと、スピーディに進むケースもあります。高齢の先代院長が体調不良で譲渡される場合は、さらに短期間で進む場合もあります。

一方、デメリットもあります。

(4)医療機器や内装面での自由度が少ない

引き継いだクリニックの医療機器や内装をそのまま引き継げるのは、メリットである反面、デメリットともいえます。自分の使用したい医療機器を新たに導入したり、床や壁、導線などをリフォームするには別途費用がかかります。

このように、医療機器や内装に関しては、費用をかければ済むことです。しかし、患者や優秀なスタッフは、お金を支払っても一朝一夕に手に入れることは困難です。

(5)先代クリニックと診療方針が合っていない

クリニックに通院する患者は、先代の診療方針を支持して集まっている方々です。そのため、先代の院長からやり方を大きく変えると、患者が離れてしまうリスクも否定できません。新しく院長に就任しても、自分のやり方に固執しすぎないよう、少しずつ変えていくことが大切です。

4.クリニック売却時の流れ

M&A(買収)のストラクチャー

M&A・事業承継を検討している方へ

当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。


クリニックの売却を考えている場合、どのような流れで手続きが進むのか、売手側からの大まかな手順をご紹介します。

(1)事前相談

クリニックの概要、譲渡理由、譲渡先、譲渡価格などの希望を相談します。

(2)秘密保持契約

具体的な医療承継の検討が決まったら、当社のようなM&Aコンサルタントとクリニックとの間で、クリニックの営業情報や財務情報、従業員の個人情報、取引先情報などを第三者へ開示しないことを定めた契約を結びます。

(3)業務委託契約

業務の目的、業務範囲と内容、報酬額と算定方法、契約期間、専任・非専任契約に関する事項などを締結します。

(4)決算書や賃貸者契約書や従業員名簿の確認

それぞれ、必要な書類を確認します。

(5)譲渡価格の算定

譲渡対象資産を簿価から時価評価へ修正、財務内容と事業収益性などを分析、評価した上で譲渡価格を算定します。

(6)後継者探し

当社に登録いただいている開業希望医師や既存顧客である医療法人に提案するなどさまざまなアプローチから後継者探しをスタートします。

(7)面談

売手側の院長と買手側の医師がトップ面談を行い、クリニックの見学などからマッチングを行います。お互いの人柄や引き継ぎのタイミングなど診療方針などを話し合います。

(8)基本合意契約(優先交渉)

売手側と買手側で譲渡条件交渉を行った結果、お互いの合意点が定まると基本合意契約を締結します。これは買手側に対する独占交渉権、つまり一定期間の優先交渉権を与えるものとなっています。その間売手側は、他の買手候補先と交渉を行うことのできない権利です。

(9)DD(デューデリジェンス)

一般的なM&Aと同様に、財務、税務、法務などさまざまな視点からDD(デューデリジェンス)を行います。買手側の医師が、譲渡価格が適正なのかどうかを判断する重要な要素となります。

財務面では簿外債務、例えばスタッフの未払残業代や賞与が負債として計上されているか等をチェックします。税務面では税務申告書の調査等、また法務面では、登記や許認可、行政への届出等について調査します。

クリニックM&AならではのDDとしては、開業エリアの人口構成や人口動態、競合医院について、商圏の将来性等の診療圏調査は欠かせません。また(5)譲渡価格の算定でも触れましたが、不動産、土地や建物などの時価評価額を適性に評価することもポイントです。

(10)最終契約

DDの結果から、最終条件の調整を行います。合意が確定したら、最終譲渡契約書を締結します。

(11)資金決済

買手から売手に売買代金の支払決済を行い、着金確認と受領書を発行し、クロージング完了となります。

(1)~(11)までの期間は、おおよそ半年から1年くらいを要します。

5.クリニックのM&Aと居抜きとの違い

クリニックのM&Aと居抜きは似ているように考える方がいるかもしれませんが、まったくの別物です。M&Aは事業の譲渡であり、居抜きは単なる有形資産を引き継ぐのに過ぎないからです。

クリニックのM&Aは、無形資産として営業権の譲渡や患者さんを引き継ぎますが、居抜きでは内装や医療機器といった有形資産を譲り受けることになります。

6.クリニックのM&Aの相場は?

クリニックの譲渡価格は、譲渡資産の時価+営業権で金額が決定します。営業権とは、クリニックの将来性や収益性のことで、今後高い収益が見込まれる場合は営業権は高く見積もられます。

営業権はクリニックの収益力によって異なりますが、平均的なクリニックの経営では2,000万~3,000万円くらいが相場となっています。当社が扱う案件の平均的な譲渡価格は、3,000万~5,000万円くらいが比較的多くなっています。総事業費として5,000万~7,000万円くらいとなり、新規開業と比べると8割程度に抑えられる金額です。

勤務医の平均年収は約1,500万円です。ですから、EBITDA(イービットディーエー、営業利益 + 減価償却費)で1,500万円以上出ているどうかが分岐点となっています。営業権の相場はEBITDAの2年から3年分、つまりEBITDAが1,500万円以下であれば、勤務医を辞して引き継ぐメリットはないことになってしまいます。

クリニックの後継者探しは、ある程度患者数が見込め、利益が出ているうちに開始することをおすすめします。

その他、個人のクリニックではなく医療法人などでは、保養所やゴルフ会員権など、クリニックに必要のないものは見直してみるといいでしょう。また公私の区別が曖昧な資産は、DDで問題視される可能性もあります。事業に必要のない資産などがあれば整理し、クリニックを「売りやすい」状態にしておくことも大切です。

クリニックM&Aの流れは、一般的なM&Aと大差はありません。しかし、基本的には医師が引き継ぐことが条件であり、買手が限定される事情があります。行政上の手続きを含め、規制が厳しい業界でもあり、医療制度への専門的な知識も必要となります。

売手側はいつまで現役で働くのか、誰に承継するのかを考えて自身のライフプランを見つめなおすことが大切です。また新規開業を考える買手側も、すでに患者がついているクリニックを事業承継するという選択肢を検討する余地は大いにあるでしょう。

売手、買手どちらにとっても、クリニックM&Aのもたらすメリットは少なくありません。専門家のアドバイスのもと、検討してみてはいかがでしょうか。

 


話者紹介

濵田朋彦氏プロフィール

株式会社メディカルプラス
代表取締役 濵田朋彦(はまだ ともゆき)

クリニック開業支援コンサルタントを経て独立起業。平成28年にクリニック・医療法人のM&Aを専門に扱う株式会社メディカルプラスを設立し代表取締役に就任。現在は年間30件程度のクリニックM&Aの成約を仲介。

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