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整骨院・鍼灸院業界の動向からM&Aを進める際のスキームや注意すべきポイントを紹介!

はじめに

近年、整骨院・鍼灸院の診療所をよく見かけるようになり、増えてきたと感じる人は多いのではないでしょうか。実際、この十数年、整骨院・鍼灸院の診療所は急激に増えています。

整骨院・鍼灸院業界には大手企業の参入も多くなっており、地域密着形で経営してきた個人事業主が、競争で生き残るのは厳しいといわざるを得ません。将来を見通すと、このまま経営を続けることに不安を覚える経営者も多いことでしょう。

そこでこの記事では、株式会社ヒルストンの石坂 裕さんに、現状の整骨院・鍼灸院業界のM&Aについて詳しくお話を伺いました。今後、事業承継を進めるにあたっての参考にしてください。


1.そもそも整骨院・鍼灸院とは

整骨院や接骨院、鍼灸院などをよく目にするとはいえ、これらの診療所の区別がつかない人は多いのではないでしょうか。まず、ここでは整骨院や鍼灸院においてどのような施術をするのかを説明します。

(1)整骨院とは

「整骨院」と「接骨院」ですが、この2つは呼び方が違うだけで、同じ診療所のことを指します。「ほねつぎ」といわれることもありますが、この記事では「整骨院」で統一して表記します。

整骨院を開業するためには、「柔道整復師」という国家資格が必要であり、養成学校で3年以上専門教育を受けた後、国家試験に合格しなければなりません。国家資格を有していますので、医学的な知識も豊富で、国家資格を必要としない「整体」とは異なります。

整骨院では、捻挫、骨折、打撲などの怪我に対して治療を行います。手で揉んだりする手技治療から、低周波治療、遠赤外線治療などの電気施術まで受けることができます。整骨院での一部の治療には健康保険が適用されるものもあるため、患者にとって治療負担が少ないことが1つの大きな利点でしょう。

整骨院で保険適用となる施術は、大きく次の5つに分けられます。
・骨折(単純骨折、疲労骨折など)
・脱臼(肩や肘が外れて抜けてしまった状態)
・打撲(交通事故や転倒などの打ち身)
・捻挫(足首や手首などの靭帯を痛めた状態)
・筋挫傷(筋肉や腱が無理に伸ばされた状態)

(2)鍼灸院とは

「鍼灸院」とは、鍼(はり)と灸(きゅう)で治療する診療所のことをいいます。鍼灸師という国家資格を有した人だけが鍼灸院を開業できます。鍼灸師は、柔道整復師とは異なり、直接的に保険を取り扱うのではなく、医師の診断と同意書がなければ、保険適用の治療を行うことはできません。

鍼灸院で医師の同意書があれば、保険適用となる施術は次の7つです。
・神経痛
・リウマチ
・腰の痛み(ぎっくり腰を含む)
・五十肩
・頸腕症候群
・頸椎捻挫後遺症
・その他、痛みを伴う慢性疾患(腱鞘腱など)

2.整骨院・鍼灸院業界の動向とは

施術台
2006年から2016年までの調査によれば、整骨院などの診療所数は、25%増加していることがわかります。先述したように、柔道整復師は医師と同様に一部保険適用の治療を行うことができ、収入が安定しやすいといったことが人気の理由でしょう。交通事故などの場合は、保険会社を通して保険診療が可能となるため、このような案件が安定収入に繋がりやすいといえます。

しかし、一部保険適用の治療が可能とはいえ、適用外の腰痛や肩こりなどのマッサージでも不正に保険請求する診療所は後を絶ちません。度々、マスコミに取り上げられるなど社会問題化していました。現在は、保険診療請求について厳格化の方向にあり、あからさまな不正請求に対してはチェックが厳しくなっています。

このような問題を抱えつつも、柔道整復師の人気は衰えることなくその数は増え続けています。

当然のように、養成学校の数もこの数年で急増しています。柔道整復師の人気が高いため、授業料が高額であっても生徒が集まりやすいことがその理由でしょう。異業種の専門学校でさえも、この分野へ参入しているようです。柔道整復師の人気が高まるにつれ、養成学校が増え、さらに整骨院の増加へ繋がるという流れになっています。

また高齢化が進み、慢性的な疾患を抱えている人が多くなってきているのも、整骨院・鍼灸院が増加しているひとつの要因でしょう。人生100年時代といわれ、健康寿命を気にかける健康志向の人も顧客として獲得することができます。

整骨院・鍼灸院は、独立志向の人が多く、新規開業の多い業界です。しかし、競争は激しくなる一方であり、廃業も少なくありません。実感としては、非常に出入りが激しい業界といえるでしょう。

3.整骨院・鍼灸院業界のM&Aの動向は

整骨院・鍼灸院の数は、この十数年もの間に増加の一途を辿っており、競争が激しさを増しています。競合店との差別化や多店舗展開のため、柔道整復師や鍼灸師の有資格者を獲得する競争も激化しているようです。

このような市場環境のなか、シェア拡大を目指す大手企業によるフランチャイズ店設立や、業界中堅企業のM&Aは増えつつあります。売手側の背景には、複数の事業を展開している企業が「選択と集中」のために事業を譲渡するケースや、オーナーの高齢化による事業承継などがあるようです。

全体的に整骨院・鍼灸院業界のM&Aは、1〜3診療所の事業を譲渡する事例が多く、小規模案件が一般的です。多店舗展開を目指す企業が多いため、株式譲渡というよりも事業譲渡が多いようです。

診療所数が増えるにつれ、患者のニーズにあった豊富な施術メニューやWEBマーケテイングの活用、また回数券の発行や会員制度の導入など、新しい経営ノウハウが必須となってきています。今までと同じような経営方針では集客が難しく、M&Aによって顧客を獲得する事例が多く見られます。

市場の変化もさることながら、今後は社会保障費の削減が予想され、こういった理由からもビジネスモデルの転換は欠かせません。今まで保険適用頼みのビジネスを行っていた診療所も岐路に立っており、今後、どのような経営を目指すべきかを改めて考える必要があるでしょう。

4.整骨院・鍼灸院業界のM&Aを行うメリットとは

女性
それでは、整骨院・鍼灸院業界において、M&Aを行うことで得られるメリットとはどのようなことが考えられるでしょうか。売手と買手、それぞれの立場から見ていきましょう。

(1)売手のメリットとは

まず、売手のメリットから説明します。

①経営の「選択と集中」が可能となる

一般的に整骨院・鍼灸院業界のビジネスでは、他飲食店などのオーナーが兼営で手がけていることが多いです。そのため、採算の合わない診療所をM&Aで譲渡することで、本業に集中することができます。

多店舗展開している場合は、遠方の診療所まで目が行き届かず、管理することが難しいといった理由もあるようです。人材や資金を本業へ集中させることで、経営の無駄を省くことができます。

②従業員の雇用を維持できる

中小企業の後継者不足は深刻な問題ですが、整骨院・鍼灸院もオーナーが高齢の場合、事業を引き継ぐ人が見当たらず、M&Aで事業承継する事例が多いです。

M&Aを選択することで、引き継いだ経営者が従業員の雇用を維持してくれるため、売手の経営者は安心して事業から手を引くことができます。

③患者を引き継ぐことができる

ある程度の患者を抱えている場合、診療所を存続させることは、患者への責務ともいえるでしょう。長年、治療に通っていた患者からすると、突然診療所がなくなることは大変不便といえます。
M&Aによって、患者をそのまま買手に引き継いでもらうことができ、患者も慣れ親しんだ診療所で治療を続けることができます。

④設備や治療機器を引き継ぐことができる

使用していた設備や治療機器も引き継ぐことができます。特に整骨院には電気施術に利用する治療機器が揃っていますが、これらの機器を整骨院以外で汎用することは難しいでしょう。事業そのものを引き継いでもらうことで、こういった機器も無駄にならずにすみます。

⑤大手資本を期待できる

大手企業の傘下に入る場合、充実したノウハウを共有することで、新規顧客獲得や事業基盤の強化が図れます。さらに、従業員のキャリアアップや待遇改善も期待できるでしょう。大きな資本が流入することで、攻めの経営を期待できます。

⑥売却益を得られる

M&Aで事業を売却できれば、売却益を得ることができます。厳しい経営が続いていた場合や借入金額がまだ残っている場合、個人保証や担保を外すことができます。金銭的なストレスから解放されることも、大きなメリットではないでしょうか。

(2)買手のメリットとは

次に、買手の立場から見たメリットを説明します。

①人材を確保できる

柔道整復師になるためには国家資格が必要であり、柔道整復師は貴重な人材といえるでしょう。整骨院・鍼灸院が増えていることで柔道整復師の数も増え続けていますが、優秀な人材を確保することは難しいというのが現実です。しかし、M&Aを行うことで、事業拡大と人材確保の両方が可能となります。

このように、求人にかける時間や資金を節約でき、すぐに経営を始められることは大きなメリットといえるのではないでしょうか。企業の成長スピードが期待できるでしょう。

②事業エリアを拡大できる

整骨院・鍼灸院業界は、多店舗展開する場合が多く、M&Aで事業を引き継ぐことでシェア拡大を見込めます。特に地域ナンバーワンを目指す企業が多く、早期に目的を果たすことができるでしょう。

また他エリアの診療所を引き継ぐことで、新規エリア開拓の足掛かりともなります。大手企業だけでなく、中堅企業も店舗数を増やすための1つの効率的な手段としてM&Aを選択しています。

③新規患者を獲得できる

買手がM&Aを行う場合、売手の患者数は重要な判断基準となります。患者の多い診療所を引き継ぐことができれば、M&Aを行うことで多くの患者をそのまま獲得できます。さらに、通院履歴のある患者へDMを流すなどの戦略で、再度足を運んでもらえる可能性も出てくるのではないでしょうか。

ゼロから患者を獲得するにはそれなりの時間を要しますが、事業を引き継ぐことによって、最初からある程度の利益を見込めます。さらに経営のノウハウがあれば、少しのテコ入れでぐっと利益を上げることも可能でしょう。

5.整骨院・鍼灸院業界のM&A事例

こちらで仲介した事例ですが、2つの介護事業所を運営している会社が事業領域の拡大を目指し、ある整骨院を買収しました。その時点における整骨院の売上高は年3,500万円、EBITDA(支払利息に加えて減価償却費も除いて算出される利益のこと)は400万円。最終的に買収価格は、EBITDAの3倍である1,200万円となりました。介護事業所を運営している会社は、ほぼ全ての資金を金融機関からの借入れで準備して買収したケースです。

通常の買収金額は、EBITDAの2倍ほどのケースが多いのですが、異業種からのM&Aは、買収金額が高くなる傾向にあります。

別の事例ですが、これは、東海地方でオーナーが1人で運営していた整骨院のケースです。このオーナーは、引っ越しを期にM&Aを準備していました。オーナーが1人で運営していたため、そのオーナーがいなくなることによって、当整骨院の運営は立ち行かなくなることは予想されます。しばらく買手を探していましたが、結局買手は見つからずに事業承継することは叶いませんでした。

整骨院・鍼灸院の場合、M&Aが上手くいくかどうかは、その整骨院の従業員次第といえるでしょう。オーナーが経営から離れても、問題なく運営できるかどうかが最も重要視されます。そのため、この業界でのM&Aは、人材が非常に価値を持ちます。4〜5人の受け入れ態勢で整骨院がしっかりと運営されていれば、買手企業は現れるでしょう。

6.整骨院・鍼灸院業界のM&Aの特徴

先述したように、整骨院・鍼灸院業界は、株式譲渡より事業譲渡の方が多く、シェア拡大を目指したM&Aがほとんどです。そのため、ほとんどが近接エリアの診療所を買うケースになっています。

この業界のM&Aで多いスキームは、顧問会計士などのプロに相談する方法と、マッチングサイトを利用する場合の2通りが考えられます。

日頃から経営の相談をしている顧問会計士に、話を持ち掛ける経営者は多いようです。その後、金融機関や仲介会社などに相談し、買手を見つけるといった流れになります。ほとんどの買手が同じエリア内なので、地元の銀行や公的機関の相談窓口を利用することで、買手が見つかる可能性は高いでしょう。

もう1つの方法としては、マッチングサイトを利用したM&Aです。後継者不足問題が大きくなるにつれ、M&Aに特化したマッチングサイトが多く誕生しています。マッチングサイトであれば、容易に事業承継を始めることができ、料金もそれほどかからずにすむため利用しやすいのでしょう。

整骨院・鍼灸院業界のM&Aは、それほど規模が大きい訳ではありません。オーナーが1人で経営している場合は、気軽に事業承継を始められると感じるのではないでしょうか。

また、マッチングサイトを利用することで、全国規模で買手を探すことができ、想像もしていなかった異業種の会社からの申し込みもあるようです。

7.整骨院・鍼灸院業界でM&Aを成功させるポイントとは

施術台

M&A・事業承継を検討している方へ

当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。


整骨院・鍼灸院業界でM&Aを成功させるためのポイントを、売手と買手のそれぞれの立場から説明していきます。

(1)売手から見たM&Aを成功させるためのポイントとは

売手から見たM&Aを成功させるためのポイントは、次の5つです。事業承継を検討しているのであれば、少しずつできるところから準備していきましょう。

①従業員のレベルアップを図る

この業界のM&Aで最も価値があるのは、優秀な人材です。柔道整復師は国家資格であり、簡単に取得できる資格ではありません。働いている従業員に資格を取るように促してスキルアップのための研修を設けるなど、従業員のクオリティを上げることは大切です。

②オーナー不在でも診療所が問題なく運営できるように整える

買手が見つかるかどうかは、オーナーがいなくても診療所が問題なく回るかどうかにかかっています。オーナーの技量が優れている場合、オーナーを頼って通院している患者がほとんどというケースが考えられます。このようなケースでは、オーナーがいなくなることで患者も離れていくことが目に見えています。

従業員の技量が足りない場合は、自分の技術をしっかりと伝え、少しずつ担当の患者を割り振っていくようにします。経理や業者との取引なども従業員に任せましょう。オーナーが去った後も、その診療所が問題なく運営されるような体制づくりが大事です。

③個人と会社の財布を明確に区別する

個人事業主であれば、個人と会社の財布が曖昧であることが多いのではないでしょうか。事業承継をするのであれば、資金の流れをクリアにしておくことは大事です。買手がデューデリジェンスを実施することは前提なので、資金の流れを明確に提示するためにも曖昧な部分はクリアにしましょう。

④治療機器のメンテナンスを行う

整骨院は、低周波治療器、遠赤外線治療器などの電気治療機器を使用しますが、これらの治療機器のメンテナンスをしっかりと行います。M&Aの後にその診療所に残って働く従業員のためにも、誠実に責任を果たすように心がけましょう。

⑤早めに準備に取りかかる

事業承継を検討し始めたら、とりあえず早めに準備することが大事です。上述したように、人材が最も価値のある財産なので、従業員の教育は欠かせません。診療所の運営を教えるにしても、技術を教えるにしても、人に何かしらを教えるには時間がかかります。能力のある人を早い段階で見極め、診療所の様々なことを引き継いでいきましょう。

(2)買手から見たM&Aを成功させるためのポイントとは

次に、買手から見たM&Aを成功させるためのポイントを紹介します。

①オーナーが去った後も診療所が回るかどうかを見極める

買手が最も注視しなければならない点は、オーナーが去った後も変わらずに運営できるかどうかです。デューデリジェンスを実施して、提供された資料を基にしっかりと確認しましょう。

また、残った従業員と患者との関係性も大事です。整骨院・鍼灸院業界では、患者は施術する人につくことが多いので、患者との良好な関係を保っているかどうかも確認しましょう。

②従業員が辞めないように配慮する

M&Aの目的が人材確保というケースも多いことでしょう。M&Aの後に従業員が退職してしまうと元も子もありません。場合によっては、従業員が感情的になって反対することも考えられます。従業員が納得できるような、待遇や給与体系の提示は非常に大切でしょう。人対人ですから、買手の真摯な態度がM&Aの成功を決めるといっても過言ではありません。

③治療機器が問題なく使用できるか確認する

治療機器のメンテナンスがしっかりとなされているかどうかを確認します。M&A後に治療機器が使えないとなると、想定外の費用がかかります。治療機器も重要な財産の1つです。

④契約前に、売手、買手、従業員の3者面談を行う

この業界のM&Aでは、従業員が残ってくれるかどうかがポイントなので、場合によっては、契約前に売手と買手、それに従業員を加えて3者が揃って話し合うことがあります。

従業員に事情を話してM&A後の将来像を見せることによって、安心して新しい経営者の元で働いてくれるようになるでしょう。

8.まとめ

この十数年、整骨院・鍼灸院数は急激に増えました。同様に、柔道整復師の資格所有者も専門学校も増え続けています。飽和状態にあるとの意見もありますが、この業界でのM&Aは増える一方です。大手企業や異業種からの参入も多く、今後もこの流れはしばらく続くことでしょう。

整骨院・鍼灸院業界のM&Aでは、従業員がしっかりと診療所を運営することができれば、ほとんどの場合に買手がつきます。M&Aを成功させるためのポイントは、診療所で働く従業員であるといえます。売手と買手、双方のトップが従業員に対して誠実な対応を心がけることが良い結果へ繋がるでしょう。

話者紹介

石坂 裕さん
株式会社ヒルストン
石坂 裕(いしさか ゆたか)

1968年石川県金沢市生まれ。東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルートキャリア入社。
20年以上にわたり新卒・中途採用支援に携わる。東京・富山・熊本・大阪での勤務を経て独立。
ヒルストングループとして税理士事務所への顧問先紹介、地域特化・職種特化型の人材紹介、
中小企業に特化したM&A仲介及びアドバイザリー業務の3つを柱に事業展開している。

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