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運送業界の現状と問題点とは?M&Aのポイントを事例も交えて解説

2020/03/31
更新日:2021/02/09

はじめに

近年、インターネット通販・宅配サービスの需要増加によって、運送業の重要性はさらに高くなっています。しかし運送業界を取り巻く環境は決して良好とはいえません。規制緩和による新規参入が増えたことによる競争の激化、慢性的なドライバー不足、ハードな労働環境など、さまざまな問題を抱えており、M&Aを選択肢のひとつとして考えている中小企業の経営者もたくさんいます。

運送業の現状と問題点、さらにはM&A成功のためのポイントを、M&Aアドバイザーである、キャピタル・エヴォルヴァー株式会社の代表取締役、前垣内佐和子さんに解説していただきました。


1.運送業界の現状と問題点

運送業界がどのような問題を抱えているのか、くわしく見ていきましょう。

(1)運送業界の最大の問題はドライバー不足

トラック運送業界の最大の問題はドライバーが慢性的に不足していることです。出勤スケジュールも不規則、睡眠、食事、入浴などの時間帯も不規則で、長時間労働となる割合が高く、ハードな労働環境にあるため、人材の確保が難しい状況が続いています。特に大手と比較すると、知名度の低い中小の運送会社では人

材難はより深刻で、人手不足から廃業に追い込まれるケースもあります。

また軽油・ガソリンなどの価格の変動によって、輸送コストが大幅に左右されるなど、不確定の要素があることも安定した経営を難しくしています。

(2)正規雇用と非正規雇用の格差問題

ドライバーは不足しているのに、競争が激化していて、コスト削減が必須となり、人件費を増やす余裕がないという運送会社側の事情もあり、近年、正規雇用と非正規雇用のドライバーの賃金格差が拡大する傾向があります。

人件費を削減するために、正規雇用よりも低い賃金で非正規雇用のドライバーを雇うケースが多くなっているからです。しかし非正規雇用のドライバーは賃金がハードな仕事内容と見合わないため、定着しない傾向があります。その結果、正規雇用のドライバーの高齢化が起こっています。格差問題は業界全体で取り組んでいかなければならない課題のひとつなのです。

アパレル・食品・医薬品などを中心に物流センター事業を展開しているハマキョウレックスが2015年に千葉三港運輸を完全子会社化しました。ハマキョウレックスのメリットは千葉三港運輸が持っている石油化学製品における物流サービスのノウハウの共有、新規顧客の獲得、首都圏での拠点の拡充などです。

(3)運送業界の問題改善への取り組み

近年、運送業界全体を挙げて諸問題を改善する取り組みが行われています。2015年には国土交通省・厚生労働省によって、「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」が設置されました。この協議会はその名前のとおり、トラック輸送の適正取引の推進やドライバーの長時間労働の抑制を目的としたものです。協議会が作成したガイドラインに基づいて、荷主とトラック運送事業者が協議して業務内容を見直すなど、改善に向けての動きが活発化しています。

また、公益社団法人・全日本トラック協会の指導のもと、新卒者の中型免許取得のための助成金の拠出、女性が働きやすい環境の整備などの取り組みが行われています。新卒ドライバー、女性ドライバーを積極的に雇用することが人手不足、高齢化などの問題の解消につながるからです。

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2.運送業界のM&Aは多様

前垣内佐和子さん

運送業界のM&Aは大企業、中小企業ともに活発に行われている傾向があります。まず現状と特徴を見ていきましょう。

(1)運送業界は広範囲に渡っている

運送業(運輸業)は、使われる経路によって、陸運の他に、空運、海運に分けられており、また、貨物輸送だけではなく、人を運ぶ旅客輸送なども含まれ、それぞれ特徴も業態もまったく異なっています。例えば、トラック運送の99%以上は中小企業ですが、海運は大手3社(日本郵船・商船三井・川崎汽船)の売上げが全体の80%を占めていて、寡占化が進行しています。陸上運送(貨物輸送)について説明する前に、運送という点でつながりが深いこともあるので、先に海運のM&Aについて解説します。

(2)海運業のM&A

海運業の中心となるのは貿易なので、世界経済の動向や原油価格などの外的要因に大きく左右される業種です。そのため海運業のM&Aは企業戦略の重要なポイントになります。近年、工場や物流の拠点が海外に移転されるケースが目立っており、海外の企業とのM&Aが増えてきています。特にカンボジア、ラオス、ミャンマーなど、ASEAN諸国の企業・工場との合弁会社の設立件数が増えています。

(3)海運業のM&Aの事例

海運業のM&Aはほとんどが大企業によるものです。日本郵船と三菱商事とが組んでアメリカに合弁事業会社(Japan LNG Investment LLC)を作り、液化天然ガスのプロジェクトを推進しています。

日本海運はミャンマーに「ミャンマー日本通運」という現地法人を設立して、日系企業の工場進出に伴う設備などの輸送、海外駐在員の引っ越しサービスの充実など、幅広く業務を展開しています。このように海外でパートナーシップを組んで、合弁会社を設立するケースが目立っているのです。

海運、運送とも関わりの深い物流業界では山九株式会社が中国、インド、ベトナム、ブラジル、メキシコなどで合弁会社を設立して、総合物流企業としてインターナショナルに展開しています。

3.運送業におけるM&Aの現状

海運業

運送業、特にトラック運送業は中小企業が多いため、効率化、コスト削減などのスケールメリットを目的として、中小企業同士との合併、物流会社との合併、大手企業への吸収など、さまざまな形でM&Aが行われています。競争の激しい業界であるだけに今後も活発に再編が行われることが予測されます。運送業のM&Aには注意すべきポイントが数多くあります。

(1)運送業のM&A、会社選びのポイントとは?

運送業のM&Aには他の業種とは違う点がたくさんあります。ここでは買手にとってのポイントを4つ説明していきます。このポイントは売手にも知っておいていただきたいものです。買手がどんなところを見て、会社の価値を判断するかを理解しておくことによって、客観的に自社の価値を認識でき、ひいては好条件のM&A成立につながるからです。

①貨物に注目することが必要

トラック運送業は扱う貨物の種類によって、車両の構造が変わったり、拠点やルートが限定されたりします。貨物は大きく分けると、消費関連貨物、建設関連貨物、生産関連貨物の3つに分かれます。消費関連貨物の中でも食品に特化していたり、冷蔵品に特化していたりもします。また、美術品、精密機器、車両、動物など、特殊な貨物があって、それぞれ得意分野が分かれます。シナジーが得られるのかどうか、M&Aを考えている運送会社の貨物の内容をチェックは不可欠です。

②荷主に注目することが必要

運送会社が同業の会社を買収する場合、新たな人材の確保を目的としている場合もあるでしょう。ところが運送会社によっては仕事の8割が大手の自動車メーカーからの発注というケースもあり、ドライバーの補填が目的で買収したものの、すでに自動車メーカーの仕事を請け負うことでドライバーが手いっぱいで、人材を目的に買収したにも関わらず、メリットがなかったということになりかねません。

建設関連の貨物を扱っている場合は景気の変動や資材価格の変動などに大きく左右される危険性があります。荷主が偏っていないか、リスク管理はできているかなど、さまざまな情報を多面的に把握しておきましょう。

③運送ルート、拠点、倉庫の確認

極端な例でいうと、東京の会社が沖縄の会社を買ったとしても、M&Aの目的によってはほぼシナジーは期待できません。M&Aを考えている運送会社の営業圏やルート、拠点を活用できるかどうか、考慮することも重要なポイントです。運送会社は積替え時間のロスをなくすために、適切な場所にターミナルを設置する必要があります。新たに設置しなければいけないのか、既存のターミナルを利用できるかによって、M&Aにかかるコストが大きく変わります。

④管理システムの確認

大手運送会社では貨物の追跡システムの導入が進んでいます。中小企業においても貨物管理、ドライバー管理などのシステムの導入は必須となりつつあります。管理システムが構築されていないと、同業会社との競争に勝ち抜くことができないからです。

システムの導入には多額の費用がかかるので、M&Aを考えている会社がどの程度までIT化が進んでいるのか、チェックする必要があります。管理システムの有無は運送会社の価値に大きく関わってくるのです。

⑤キャッシュフローの確認

運送業界は、輸送量の季節変動のある業界です。トラック業者のうち、大口利用者は運賃後納方式を取っておりその資金と季節資金は必要になりますので、どのくらいの資金が必要になるか事前に確認する必要があります。また、カーフェリーの場合は、新規航路線開設時に大きな投資が、陸運の場合は、車両の増車・更新、ターミナル施設や環境設備投資が必要になりますので、これらも事前に事業計画数値に含めていく必要があります。海運に関しては、不況時の国内輸送の減少、船舶過剰による低水準運賃や燃料費乱高下など、収益を低下させる問題が起こった時に対応できるのか、いくらくらい用意しておけば良いのかも事前に確認しておく必要があります。

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4.運送業界でM&Aをするメリット

運送業界のM&A

M&A・事業承継を検討している方へ

当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。

運送業界、特にここでは中小企業がM&Aをするメリットを売手と買手の立場に分けて、それぞれ説明していきます。

(1)運送業界のM&A、売手のメリット

他の業種にも通じることですが、会社を売却することによって、資金を得られる、債務から解放されることが最大のメリットです。会社の存続も大きなメリットです。取引先との関係を維持することもできます。表に出てくる業種ではないので、他の業種ほど顕著ではないですが、会社のブランドを守ることも可能です。大手に買収してもらった場合は、有力グループを形成することにより安定的な経営計画が描け、また、流通機能全般を一括して請け負う3PLなどの自社だけでは手間、時間、お金がかかる物流システムを構築することができます。

また、運送業界は慢性的な人手不足になっているので、M&Aが成立した場合に、従業員が解雇されるケースはほとんどなく、引き続き雇用されるため、従業員の生活を守れるというメリットもあります。

廃業を選択した場合には、車両の破棄にかなりのコストがかかります。しかし、所有している車両も一緒に売却ができたら、資産として計算されるので、大きなメリットになります。

(2)運送業界のM&A、買手のメリット

買手のメリットとしてまず挙げられるのは新たなネットワークの獲得です。エリアの拡大、顧客獲得など、時間をかけずにローリスクで実現できるのは大きなメリットになります。M&Aによってドライバーの獲得、経営基盤の強化も期待できます。

規模のメリットを享受できるため、管理コストの一元化、間接コストの削減、買手の会社のブランド獲得など、さまざまなメリットが考えられます。外注していた業務を内製化することによって、収益の改善を計ることもできます。

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5.運送業界のM&Aを好条件で成立させるには?

運送業界のM&A,好条件で成立

運送業界は人材が不足していることもあり、売手市場になっていて、M&Aの買手が見つかりやすい状況です。しかしより良いM&Aを成立させるには気をつけるべきポイントがいくつかあります。

(1)タイミングが重要

売手にも買手にもいえることなのですが、お互いに納得のいくM&Aを成立させるにはタイミングが重要です。売り時、買い時があります。運送業界は景気や原油価格に左右されやすいので、可能であるならば、買手の買い取り意欲が高まっている好調な時期に準備をスタートしましょう。

(2)会社の現状を正確に理解して適正価格を

運送業界は季節によって利潤が大きく変動するケースが多々あります。例えば、引っ越し専門の運送業者ならば、春の引っ越しシーズンとそれ以外のシーズンでは売上げに大きな差が出ます。依頼件数も1件あたりの金額も大きく異なるからです。事業計画は年次ではなく、月次で提出しないと、会社の実態が見えにくくなります。忙しい時期にドライバーを確保できているのかどうかをチェックして、確認する必要もあります。

(3)最大の資産であるトラックの確認

人材とともに保有トラック数の確認も必要です。運送業ではトラックが最大の資産となりますが、運送事業用の車両の対応年数は短いので、更新時期と更新資金を捻出できるキャッシュフローになっているのかを確認する必要があります。更新時期によって、会社の買い取り価格が大きく変わる可能性があるからです。

6.運送業界のM&A事例

運送業界のM&Aの事例

海運と違って、陸上貨物運送業界のM&Aは中小企業同士で行われるケースが多いです。また、シナジーが見込めることもあり、荷主の大手企業が運送会社を子会社化するケース、物流会社と運送会社とが合併するケースも目立っています。

荷主による運送会社の買収も数多く行われています。2018年のビックカメラによるエスケーサービスの完全子会社化もそうした例のひとつでしょう。エスケーサービスは家電工事、納品代行、オール電化工事なども展開している運送会社です。ビックカメラにとっては電化製品の販売だけでなく、設置や工事の品質向上を進めることができ、顧客満足度の向上を図れるメリットがあります。

7.まとめ

ドローンでの搬送

運送業界は技術の進歩によって、業態も変化してきています。今おもしろいのはドローンです。遠くない未来には、さらなる技術革新によって、ドローンでの搬送が実用化され、ドライバーの人材不足の解消にもつながるでしょう。

自動運転も運送業界の未来にとって、好材料です。自動運転が実現すると、人件費を大幅に削減できるようになるので、運送料も一気に下がることが予測されます。

現在、運送業界は多くの問題を抱えていますが、業界全体での問題解消への動きも活発化しています。また技術革新が運送業のさらなる発展を促す可能性は大きいので、将来的には有望な業種といえます。M&Aの売手、買手、双方にとって大きな可能性を秘めているのが運送業界なのです。

〈話者紹介〉

前垣内佐和子さん

キャピタル・エヴォルヴァー株式会社

代表取締役 前垣内 佐和子(マエガイチ サワコ)

大学時代、外資系の投資銀行でM&Aアドバイザリー業務の一端を初めて経験してから、東証一部上場会社の経営企画部やM&A専門ファームで経験を積み、キャピタル・エヴォルヴァー株式会社を立ち上げる。同社はすでに12年目となり800社以上もの顧客を抱える、業界の中では経験値の高い企業となっている。

2019年にはThe NY Timesで新しい時代のアジアのリーダーとして選出され、また、世界的な週刊誌のNewsweek(2019年)にも掲載され、注目されているM&Aアドバイザー。

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