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電子機器・回路基板製造業界のM&Aとは?最新の業界動向から売却を成功させるポイントを解説

2020/05/09
更新日:2020/10/05

はじめに

スマホ、テレビ、カメラなど、私たちの身の回りにある家電を製造する電子機器・回路基板製造業界。M&Aにおいてどのようなポイントが重要なのでしょうか。今回は、アドバンスト・ビジネス・ダイレクションズ株式会社の森様にお話を伺い、電子機器・回路基板製造業界のM&Aにおける動向やポイント、その流れや注意点について紹介していきます。


1.電子機器・回路基板製造業界の概要について

電子機器とは、一般的に携帯電話やパソコン、ゲーム機、テレビやカメラなどの弱電機器を指すことが多いです。また回路基板というのは、そうした電子機器を動かすための、リジッド基板やフレキシブル基板等といったプリント基板のことです。

電子機器や回路基板の製造は、基本的に大手メーカーが設計や最終組立を担当しており、中小企業は、最終成品を作るというよりは一部のコンポーネントの組立や基板実装などの業務が中心となっています。電子機器の大手は、世界的に見れば鴻海などのEMS(Electronics Manufacturing Service)であり、国内ではソニー、パナソニックなどの電機メーカーが大手として挙げられるでしょう。

電子機器・回路基板製造業界は、2000年頃から、NECやパナソニック、富士通をはじめとした各メーカーが携帯電話(いわゆるガラケー)を販売した時期は、中小企業にもその恩恵として仕事が回り、景気は良好といわれていました。

しかし、スマートフォンが登場し、開発機能も製造も多くが海外に移ってしまったこともあり、国内産業は大きな打撃を受け、業界は低迷していきました。そして、しばらくその水準から回復することができず、業界は約10年にわたって縮小し、近年はようやく横這いで推移しています。

2.電子機器・回路基板製造業界でM&Aを実施する目的とは?

電子機器・回路基板製造業界の企業がM&Aをする目的は、以下の2つです。

1.チップマウンターの稼働率の向上

電子機器・回路基板製造業界の企業がM&Aを行う目的の1つには、チップマウンターの稼働率向上です。チップマウンターとは、電子部品をプリント基板に配置するための装置のことで、「表面実装機」とも呼ばれています。チップマウンターの導入コストは、高いもので1台につき数千万円ほどかかります。そのため、一定の受注数がないと投資額を回収できないという背景から、チップマウンターの稼働率を上げることを目的として、M&Aを実施することが多くあります。

2.設計力の向上

電子基板を作る際に、「基本設計」と「パターン設計」というものがあります。この基本設計だけでは基板を作ることができず、基板上で具体的な電子部品の配置を表現するためのパターン設計が必要となります。他社の技術を取り入れて設計力を高めることも、M&Aが実施される目的の1つといえます。単純な設計であれば海外の方がコスト競争力は高いので、企業の付加価値をつけるために設計力を高めることは非常に重要です。

3.電子機器・回路基板製造業界のM&Aで売手が得られるメリット

3.電子機器・回路基板製造業界のM&Aで売手が得られるメリット

電子機器・回路基板製造業界においてM&Aを実施することで、売手側が得られるメリットとしては、大きく以下の3つが挙げられます。

(1)後継者問題を解消できる

経営者も高齢になり、引退を検討したいにもかかわらず、後継者が育たずに自身がずっと現役で経営者を続け、不安を抱える経営者も多いです。M&Aで事業を承継することができれば、そうした後継者問題などの不安から脱することができ、安心して経営者を引退できます。

(2)従業員の雇用を安定させることができる

M&Aを実施することで、従業員の雇用を安定させることができるということも大きなメリットでしょう。後継者不在や収益悪化によって廃業することになった場合、これまで自社を支えてくれた従業員たちが一気に職を失うことになります。特に、転職市場の中でも中高年の従業員は再就職が難しいケースも多くあります。M&Aで信用力のある企業に承継することができれば、待遇等に変更がある可能性はありますが、そのまま従業員の雇用を維持することができます。

(3)案件の受注や顧客との関係を維持することができる

M&Aによって、取引先企業との関係もそのまま維持することができます。取引先においても、今まで自社が担っていた製品の供給がストップしてしまうと、再度供給先を見つける必要が出てしまい、結果として迷惑をかけてしまうことにもなります。
しかし、企業を存続させることができれば、製品の供給を継続できる可能性が高いので、取引先もこれまでどおりの取引を続けることができます。

4.電子機器・回路基板製造業界のM&Aで買手が得られるメリット

M&Aを実施することで買手が得られるメリットについては、大きく分けて以下の3つが挙げられます。

(1)装置稼働率を高めることができる

M&Aによって、売手企業の既存受注を引き継ぐことができ、自社装置の稼働率を高めることが出来るというのは大きなメリットです。電子基板製造業は、比較的初期投資の大きい装置産業だと言えるので、稼働率向上は非常に重要なテーマです。

(2)大手の販路を手に入れることができる

大手メーカーと取引する販路(口座)を手に入れることができるというのも、メリットの1つです。当該業界において、大手メーカーとの関係性は非常に重要です。M&Aによって、売手企業の大手取引先との販路(口座)を手に入れることができ、その結果売上の拡大も見込めることになります。

(3)設計力や提案力を強化することができる

M&Aによって、売手企業の持つ設計力や提案力を自社に取り込めることも大きなメリットです。当該業界は、提案力が企業の売り上げを左右するといっても過言ではありません。企業ごとに持つ技術ノウハウを共有し、組み合わせることができればさらに提案力が高まり、結果として売上の拡大を図ることができます。

5.電子機器・回路基板製造業界のM&Aを成功させるために欠かせないポイント

5.電子機器・回路基板製造業界のM&Aを成功させるために欠かせないポイント

電子機器・回路基板製造業界においてM&Aを成功させるためのポイントは、以下の2つです。

(1)提案力・設計力を高めること

企業が求められる提案力とは、新しい製品のアイディアを出す力だけではなく、そのアイディアをどのように実現できるかも含まれます。

大手メーカーも、以前に比べると、細部に対する技術力が弱まっている状況なので、そうした提案力と、そこで出たアイディアを実装できる技術力がある中小企業を、常に探しています。自社の需要を高めるためには、設計力などを常に高めていくことが重要です。

(2)納期対応力を高めること

この業界については、納期対応力についても重要視しておきたいです。例えばパチンコ等のアミューズメント業界は、構想や基本設計を渡しただけでパターン設計・実装まで行え、なおかつ短納期で大量の製品を納入できる会社を求めています。
こうした短納期の業界との取引を増やし、取引のサイクルを高速化させることで、実質的に参入障壁を高めることが出来るため、より利益を得られる状態を作ることができます。

特にパチンコ業界は20兆円産業といわれており、そのうち約4%が機器市場であるため、重要な市場セグメントであると言えます。買手企業からするとそういった納期対応力のある企業は、製造オペレーションが洗練されていることから、魅力的に映ります。

6.電子機器・回路基板製造業界におけるM&Aの相場

M&Aの相場を調べる際には、EBITDAを算出することが一般的です。EBITDAとは、「Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization」の略称であり、「金利支払い前、税金支払い前、固定資産の償却費控除前の利益」を意味します。

EBITDAは、税引き前当期純利益+特別損益+支払利息+減価償却費で計算し、算出することができます。一般的に、近年のM&Aの相場が上昇していることから、EBITDAの約5~7倍が目安と言われていますが、売手企業の技術や製品、取引先なども影響してくるため、その企業によって変動します。

なお当該業界は、チップマウンターや検査機等、常に設備投資が必要な業界です。その場合、単純なEBITDA×何倍という事業価値算出方法は少々粗いと考えられます。設備投資の分だけキャッシュアウトがあるわけですから、設備投資控除後を示すFCF(フリーキャッシュフロー)で算出する場合や、必要設備投資分を借入で調達すると想定して、事業価値から純有利子負債を引いて算出することもあります。

7.まとめ

電子機器・回路基板製造業界は、大きく伸びている市場ではないことから、現在は積極的な買手が多いわけではありません。しかし、独自の技術や設計力、納期対応力のある会社は魅力的に映ることは間違いありません。

M&Aを検討される場合は、将来を見通して自社の設計力向上や製造オペレーションの向上に努め、他社にはない提案力を身につけていくことが重要といえるでしょう。


話者紹介

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当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。

アドバンスト・ビジネス・ダイレクションズ株式会社
森 智広

2007年 東京中小企業投資育成㈱入社、未上場の中堅・ベンチャー企業へのデューデリジェンス・投資・成長支援業務に従事し、自動車部品メーカー、建設機械部品メーカー、遊技機メーカー、電子部品メーカー、食品メーカー等に投資を実施。
2013年~ アドバンスト・ビジネス・ダイレクションズ㈱入社後、金属部品加工会社、運送会社等へのデューデリジェンス業務ならびに事業再生支援、および、建設会社、産業装置メーカー等に対するM&Aフィナンシャルアドバイザリー業務に従事。

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