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エステ・リラクゼーション業界のM&Aの事例と注意点を詳しく解説

2020/05/22

はじめに

近年、エステ・リラクゼーション業界の市場規模が拡大し続けており、事業者数も増えています。その背景にはストレス社会における「癒やし」の需要の増加、美容や健康への意識の高まり、「モノ」から「コト」へ消費者の意識の変化などが挙げられます。
エステ・リラクゼーション業界の現状と問題点、さらにはM&Aの流れやM&Aを成功させるポイントについて、具体的な事例を挙げながら解説します。M&Aアドバイザーであり、株式会社フォーナレッジの代表取締役、加藤綱義さんにお話を伺いました。


1.エステ・リラクゼーション業界の好調の現状と問題点

ろうそくの火が灯るエステ店内
成長を続けているエステ・リラクゼーション業界ですが、好調の背後で数多くの問題を抱えています。エステ・リラクゼーション業界の現状と問題点を見ていきましょう。

(1)エステ・リラクゼーション業界の現状

日本人の美容・健康意識の高まりとともに、エステ・リラクゼーション業界は成長を続けています。高級エステから安価なエステまで、立地や価格帯も多様化し、業態も全身からフェイシャル、フットケア、手もみ、ネイル、マツエク(まつげエクステ)、脱毛、リラクゼーションまで多岐にわたっています。また、ここ数年、低価格リラクゼーションが急激に拡大しています。

(2)エステ・リラクゼーション業界の問題点

成長し続ける業界である一方、脱毛など違法な医療行為や無資格者によるリラクゼーション、高額な前払金の問題などが顕在化しており、コンプライアンス遵守の確立は業界として必須です。

価格破壊も起きていて、厳しい経営状態の店も数多くあります。そのため、出退店が激しい業界です。また、人手不足にも悩まされています。

(3)エステ・リラクゼーション業界のビジネスの特徴

エステ・リラクゼーション業界では大手企業の数はさほど多くなく、個人事業主が多い特徴があります。他の業界と比べると経営者の年齢層が若く、女性の比率が高い傾向があります。

顧客が店舗ではなく人につくことが多く、人材確保は収益に直結するため、優秀なスタッフの確保が重要です。また、近年、採用コストやコンプライアンス遵守による残業代支給、アルバイトの時給上昇による労務コストが増大しているため、営業時間の短縮、新規出店の縮小などで対応している状況です。

(4)リラクゼーション業界での低価格化の進行

リラクゼーション業界では、近年、株式会社りらくが急成長。元々、ヘアサロンを運営していた会社が新規事業として60分2,980円(税別※)のりらく(現屋号:りらくる)を創業したのが2009年のことで、現在は600店舗を超え圧倒的な最大手となりました。当時は1時間10,000円が相場だったものを、価額破壊を起こすことで、ふだんリラクゼーションに通わない新たな顧客層の取り込みに成功しました。
※現在は60分3,600円(税込)

2.活発に行われているエステ・リラクゼーション業界におけるM&A

フェイシャルエステを受ける女性
エステ・リラクゼーション業界におけるM&Aは小規模事業者による出店・退店が繰り返されています。
大手では東証2部のRVHが2016年にミュゼプラチナムを、2017年には不二ビューティー(たかの友梨)を傘下に収めるなど、積極的な動きをみせています。また前出のりらくも創業者3名が2013年にアドバンテッジパートナーズに売却し、現在は2つ目のファンドであるCVCが株主になっています。

(1)生き残りをかけたM&Aが活発化

エステ・リラクゼーション業界は、各地域には同業他社が競い合っており、生き残りをかけたM&Aが活発化しています。
弊社でもこの3年間で7件のエステ・リラクゼーション案件のお手伝い(成約)をしています。

(2)エステ・リラクゼーション業界 のM&A で多用される手法

エステ・リラクゼーション業界に限りませんが、株式譲渡、事業譲渡、会社分割が一般的です。

株式譲渡は法人売却、事業譲渡は部門売却といわれています。それぞれメリットとデメリットがあります。その中間でメリットとデメリットをうまく活用できるのが会社分割です。

3.エステ・リラクゼーション業界 におけるM&Aのメリットとは

リラクゼーション店内風景
エステ・リラクゼーション業界 でM&Aをするメリットを売手と買手、それぞれの立場から見ていきましょう。

(1)M&Aにおける売手のメリット

どの業界にも共通しますが、売手の最大のメリットはキャピタルゲイン(売却売買差益)を得られることです。従業員だけでなく、仕入先など、取引先との関係も守られます。

そして、忘れてはならないのは「お客さま」です。お客さまも引き続き、同じ店舗を利用できます。

売手だけの力では事業を拡大することが難しい場合があますが、M&Aで大手傘下に入った場合には、拡大と発展が期待できます。人材の採用、消耗品仕入れの共有化による原価の低減、コンプライアンス・ガバナンス対応など、様々な面でのプラスが見込めるからです。

(2)M&Aにおける買手のメリット

エステ・リラクゼーション業界では拡大のために物件と人が必要なのですが、M&Aによって、買手は経営資源(ヒト・モノ・ノウハウ)を一気に手早く手に入れることができます。
流行に左右されやすいエステ・リラクゼーション業界ではタイムリーに流行りの業態を出店することが重要なので、この速度は大きなメリットです。

また、既存会社・事業の業績を確認することができるので、経営予測や投資回収予測が立てやすく、リスクの低い経営が可能になります。

4.エステ・リラクゼーション業界におけるM&Aの流れとポイント

握手するビジネスマン
エステ・リラクゼーション業界におけるM&Aがどういう手順で行われるのか、見ていきましょう。

(1)M&Aでの売手側の流れ

①ミーティング及び店舗視察
②スキーム(具体的な方法や枠組みの作成)及び譲渡価額の確定
③ノンネームシート(匿名の概要書)による案内(メーリングリスト、HP掲載、ロングリストなど)
④ネームクリア(売手による買手候補の選別)
⑤買手候補から秘密保持契約書差入(締結)
⑥資料開示及び質問対応
⑦意向表明 ※適宜受領
⑧トップ面談
⑨追加資料開示及び質問対応
⑩基本合意(独占交渉権の付与)
⑪デューデリジェンス(買収監査)
⑫最終契約(株式譲渡契約書/事業譲渡契約書/会社分割計画書等)
⑬クロージング・決済

上記の手順でポイントとなるのは買手の候補選びの段階を匿名で行えることです。M&Aが成約までには数か月から半年ほどの時間がかかります。検討している初期段階で、M&Aのうわさが広まると、従業員や取引先に動揺が広がる可能性もあり、成約するまでは内密に進めることが重要です。

(2)M&Aでの買手側の流れ

①ノンネームシート(匿名の概要書)受領
②ネームクリア(売手様による買手候補の選別)
③売手への秘密保持契約書差入(締結)
④資料開示及び質問対応
⑤お客さまとして店舗視察
⑥意向表明
⑦トップ面談
⑧追加資料開示及び質問対応
⑨基本合意(独占交渉権の付与)
⑩デューデリジェンス(買収監査)
⑪最終契約(株式譲渡契約書/事業譲渡契約書/会社分割計画書等)
⑫クロージング・決済

エステ・リラクゼーション業界ではM&Aにおいて、注意しなければならないポイントがたくさんあります。客としての店舗視察や施術を受けることはもちろん、資料やデータが揃っていないこともありますので質問対応などをしっかり行うことが重要です。

5.エステ・リラクゼーション業界のM&Aの成約事例

握手する女性と男性
弊社で扱ったエステ・リラクゼーション業界 のM&Aの事例をいくつか紹介しましょう。

(1)新宿、銀座でのネイルサロン3店舗のM&A(2019年2月)

売手は新宿、銀座でのネイルサロン3店舗を展開していた30代の女性経営者で、出産のためのリタイアでした。買手は大手企業を辞めて独立した個人経営者で、次にやることを探していて、このM&Aによって新規で事業を始めました。

(2)名古屋のマツエク・ネイルサロン3店舗(2019年12月)

売手の本業であるマツエク・ネイルサロンでは利益が出ていたのですが、過去に手がけていた他の事業での負債が重く、キャッシュを得るためにM&Aで売却しました。買主は多角的に経営を行っていて、同業でもあり、事業譲渡を引き受けました。
その結果、売手は社会保険などの未払分を返済することができました。銀行への返済分が残ってしまい、会社は破産しましたが、個人破産はせずに済み、ダメージを最小限に抑えることができました。

(3)新大久保のリラクゼーション1店舗(2019年8月)

売手は新大久保で韓国系のリラクゼーションを1店舗経営していたのですが、大手リラクゼーションサロン創業者に売却しました。大手企業経験者のノウハウで様々なコストの削減ができ、業績の安定が見込めるようになりました。

6.エステ・リラクゼーション業界のM&Aで注意すべきポイントとは?

客と面談するエステティシャン
エステ・リラクゼーション業界のM&Aを成功させるための注意事項がいくつかあります。買手・売手ともに確認しておくべきポイントを説明していきましょう。

(1)顧客がスタッフについている場合が多い

顧客がスタッフについているケースが多く、スタッフの退職がそのまま減益につながる可能性が高いのが、エステ・リラクゼーション業界です。場合によってはM&Aによってスタッフが一斉に辞めてしまうことも考えられ、慎重な対応が必要です。
カリスマ・エステティシャンによって成り立っている店舗は、そのカリスマが引き続き残るのか、売却とともに離れるのかによって、大きく価格が変わります。スタッフの退職リスクに留意が必要です。

対策としては、売手に一定の期間は残ってもらう雇用条件を保証するなどがあります。いずれにせよ、買手が誠意を持って対応することが大切です。

(2)双方が納得できる適正価格をつける

エステ・リラクゼーション業界に限らず、実質営業利益の3倍から5倍がのれん代(営業権)と言われていて、その価額に譲渡資産(株式譲渡の場合は時価純資産)を加えるのが一般的な評価の方法です。

エステ・リラクゼーション業界の場合は、リニューアルや美容機器など設備投資が短期間で必要になることもあるので、譲渡資産(店舗の内外装や設備、道具・備品等)の評価は低く、評価も3倍程度になりがちです。
ただし、エステ・リラクゼーション業界では実質営業利益の何倍という設定ではなく、1店舗あたりの価額を重視する買手もいます。特に同業の場合はこの傾向があり、少数店舗で高収益なM&Aは価額の折り合いが難しくなります。

(3)右肩上がりのときがベストのタイミング

少しでも高い評価を得るには、業績が右肩上がりのときがベストなタイミングです。ただし、M&Aのプロセスは3ヶ月から1年かかることが通常なので、最初にノンネームシートで見ていた業績と数ヶ月経たデューデリジェンスのときに確認した業績にかい離があれば、当然ながら譲渡価額は減額され、最悪の場合は破談になります。

タイミング以外では、会社・事業を魅力あるもの(黒字は必須)にしておくことと、売手が抜けても会社・事業が継続できる組織作りをしておくことも重要です。

(4)高額な機器の扱いの確認が必要

エステサロンに置かれている高額な機器はリースとなっている場合が多いので、この扱いをどうするか確認することが必要です。

(5)回数券・前払金の扱いに注意

エステ・リラクゼーション業界のM&Aで注意しなければならないのは回数券・前払金の扱いをどうするかです。継続性のあるものであれば、広告宣伝費のような扱いで買手が負担(役務の提供)するというやり方でも良いのですが、継続性がなければ買手にとっては負担でしかありません。
金額の多寡も含めて、譲渡金との兼ね合いをどうするか、買手売手双方で相談する必要があります。

7.M&Aはゴールではなくてスタートライン

一本道に書かれたSTARTという文字
昨今、売手も買手も自らM&Aのことを学ぶことが重要になってきています。特に小規模事業者のM&Aではすべてを専門家や仲介会社にゆだねてしまうと、アドバイザーに払うフィーやデューデリジェンス費用が割に合わなくなります。経営者自身である程度、判断できるようにしておくことがスモールM&Aには求められます。
そして何よりも重要なのがPMI(M&A後の経営統合)、つまりアフターM&Aです。買手にとってはM&Aはスタートです。

人事、給与などの条件や規則をどうするのか、売手とコミュニケーションを図って慎重に進める必要があります。売手側は友好的M&Aであっても不安の方が大きいので、不安を取り除くような対応や施策が必要です。そのためにも買手はM&A後のビジョンを明確に持っていることが不可欠です。

話者紹介

加藤綱義
加藤綱義(かとうつなよし)
M&Aアドバイザー
株式会社フォーナレッジ 代表取締役

早稲田大学教育学部英語英文学科卒。日本電信電話会社で広報部、営業部門を担当後、ジー・コミュニケーションに入社。常務取締役としてFC加盟、物件開発、管理本部、経営企画本部、外食事業本部などを担当。2011年、M&Aアドバイザーとして独立し、株式会社フォーナレッジを創業。多様な業種の数多くのM&Aに携わっている。

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