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【飲食店のM&A成功事例】外食・飲食業界のM&Aのメリットと買手が見るポイント

2019/08/02
更新日:2020/04/20

はじめに

外食・飲食業界における企業買収や資本提携は、レストランやカフェ、バーなど様々な業態で行われています。今回は飲食店の売却成功事例をもとに、M&Aを行うメリットや買手が見るポイントを、M&Aアドバイザーの岩永敦司氏に解説していただきました。


1. 外食・飲食業界における最新M&A動向とM&Aのメリット

一言で「外食・飲食業界」といっても幅広く、食堂やレストラン、そば・うどん店、ファストフード店、喫茶店、バー、居酒屋など業態は様々です。ここでは、主に顧客の注文に応じて、調理した飲食料品をその場で提供する「飲食店」を取り上げて解説します。

外食・飲食業は、参入障壁が低く、比較的誰でも開業することができるビジネス。飲食店の開業には多額のお金がかかりますが、日本政策金融公庫などからの融資も受けやすく、個人店・チェーン店問わず、日々新しい飲食店がオープンしています。新規参入しやすい外食・飲食業界ですが、その反面、開業して2,3年もすればその大半が廃業すると言われるほど、廃業率の高い業界とも言えます。また、ライバルも多く、同じ立地内で飲食店が次々に入れ替わるということも珍しくありません。

近年、様々な業界でM&Aが活発化していますが、外食・飲食業界も例外ではありません。これまで、飲食店の売却と言えば「居抜き」が多い傾向にありました。居抜きとは、廃業した店舗の内装や設備をそのまま引き継ぐことを指し、キッチンや水まわりなどの設備にかかる初期投資額を抑えることができるというメリットがあります。一方で、M&Aによる売却は、顧客や従業員など営業中の店舗をそのまま引き継ぐことを指します。居抜きと比べて初期投資額が大きくなりますが、売上と利益が予測しやすく、サービスのノウハウも獲得できるため、経営が安定しやすいというメリットがあります。それぞれのメリットを比較して、居抜きよりもM&Aで飲食店を手に入れた方が効率的と考える買手も増えています。

外食・飲食業界において、M&Aが活発化している背景として考えられるのは、人材不足や顧客ニーズの多様化があります。それぞれについて見てきましょう。

現在の外食・飲食業界では、採用難に加え人手不足が深刻な問題になっています。業界の特性上、従業員のアルバイト・パート比率が高く、立ち仕事に加え長時間労働であることも多いため、人材採用に悩む飲食店も少なくありません。アルバイト・パートを管理する正社員を採用できたとしても、多忙を極める労働環境からすぐに離職してしまう場合もあります。人材採用が難しい市場環境の中で、自社の成長戦略を考えると、M&Aを通して人材を確保するという流れは、自然と言えるでしょう。

また、SNSや口コミサイトの普及により、顧客ニーズも複雑化しています。例えば、飲食店の評判を事前に知ることで、今まで行ったことのなかった別の飲食店まで足を伸ばしたり、写真映えのする料理を提供するお店に行ったりと、これまでのセントラルキッチン方式のビジネスモデルが通用しにくくなっています。中堅・大手チェーンが個人店のような飲食店を作れるかというと、簡単ではありません。1から飲食店を開業するよりも、すでにそのような飲食店を経営する企業を買収するほうが比較的短期間で事業を開始することができます。さらに、複数店舗を買収すれば、売上拡大も充分期待できます。トレンド変化の激しい外食・飲食業界では、こうした同業種・異業態による「買いニーズ」が高まっています。


2. 外食・飲食業界のM&A成功事例

外食・飲食業界店舗イメージ(飲食店経営)

売手の強みと買手の強みがうまくマッチングすることで、飲食店のM&Aは双方に大きなビジネスチャンスをもらします。ここでは、M&Aに成功した飲食店の事例を紹介します。

東北地方で長年喫茶店を経営していたA社。年商3500万円、従業員6名ほどの小規模な喫茶店でありながら、オーナー兼経営者が作るショートケーキが地元住民や観光客の間で話題になり、知る人ぞ知る喫茶店でした。しかし、後継者がおらず、たくさんの人に愛されるショートケーキを守るために、A社の経営者はM&Aで事業を譲ることを検討していました。

A社のM&Aを行うにあたり、着目したのは「特徴」「決算書」「口コミサイト」の評判の3つです。まず1つ目の特徴という点では、ケーキの味や独自性といったところがポイントになります。外食・飲食業界では競争が激しく、1年後にはお店がなくなっていることも珍しいことではありません。消費者に好まれる味か、同業他社のケーキにはない新鮮さがあるかどうかを確かめました。

2つ目にチェックしたのは決算書。個人で経営する飲食店の場合、不要な税金を払わなくて済むように交際費を活用したり、役員報酬による調整を行ったりするケースが多く、事業単体での売上や利益が見えにくい場合があります。事業単体で利益が出ているようであれば、売却の可能性は高まります。

3つ目に確認したのが口コミサイトでの評判です。A社のショートケーキは東北地方だけでなく、全国的に知名度が高く、50人以上から投稿が寄せられていました。コメントの内容もポジティブなものが多く、たくさんの顧客から評価される喫茶店であることを買手にアピールできれば、M&Aできると考えました。

買手探しを始めたところ、全国の飲食店向けに食材の卸販売を行うB社が候補に上がりました。B社は、これまでに和菓子や洋菓子小売業のM&Aを成約しており、同様にA社の買収を希望しました。A社の強みである味と知名度は、一朝一夕では手に入れることができないもの。A社を買収することで、地域への展開と事業の拡大を狙ったのです。

双方の意見が合致し、トップ面談からわずか2ヶ月でM&A契約を締結。B社の経営者自身がA社のショートケーキを過去に購入したこともあり、買手のことを知り尽くしていたため、デューディリジェンスなどはスムーズに進み、友好的なM&Aを実現することができました。


3. M&Aを行う前に知っておきたい!買手が飲食店を見るポイント

M&Aを行い、新たに飲食店を手に入れたいと考える経営者は数多くいます。「どうせ売るなら高く売りたい」と思うのは当然のこと。買手が売手を評価するポイントを押さえてM&Aに備えましょう。

1つ目のポイントは「立地」です。立地は飲食店の売上を決定する重要な要素。どれだけおいしい料理があったとしても、集客できなければ売上になりません。一般的に駅や人通りの多い繁華街に近いほど集客しやすく、離れるほど集客が困難になります。ほとんどの大手・中堅チェーン店が、飲食店を買収する前に立地調査を行いますが、通行量や通行客の特性を時間帯別、曜日別で調べるなど、立地の選択に時間をかけています。

また、好立地であれば、異業種・異業態の飲食店を出店することに切り替えられるため、立地がよい飲食店ほど高く評価される傾向にあります。買手によっては、その立地で過去にどんな業種・業態の飲食店が入っていたのか、営業期間はどれくらいかといった業歴を調べることも。人通りの少ない立地の飲食店であっても、業歴が長ければ優良な顧客が多いと判断される場合があったり、メニューや味にオリジナリティがあると判断されやすくなります。

2つ目のポイントとして挙げられるのは「人材」です。パートやアルバイトが充足しているようであれば、採用活動で人が集まりやすいと判断する傾向にあります。反対にパートやアルバイトが充足していない場合や、離職率が高い場合は注意が必要です。パートやアルバイトを丁寧にフォローして採用活動やモチベーションアップにつなげることも大切です。

「料理や飲み物の味がおいしければ飲食店は売れる?」と質問されることも多いのですが、結論から言うと、おいしいだけで飲食店を売ることは難しいと思います。飲食店である限りは、おいしい料理や飲み物を提供できることに越したことはありません。しかし、顧客が飲食店を訪れる理由は、おいしい料理や飲み物だけではありません。従業員の接客やサービスも重要な要素となります。その他にも「待ち合わせまでに時間をつぶすような空間の提供」「写真映えするカラフルな料理を写真に撮りたい」など、料理の味以外にもお客様は様々な理由で飲食店を訪れます。

経営者自身が料理人である場合、メニュー開発や味にこだわり過ぎてしまい、顧客が見えていないこともあります。近隣の競合店や類似点はどんなメニューを提供しているのか、他の飲食店にはない強みは何か、お客様に覚えてもらえる特徴はあるかなど、改めて自社の強みや特徴と向き合うことが大切です。


4. 飲食店のM&Aを成功させるために準備すること

飲食店風景(飲食店のM&Aを成功させるために)

飲食店のM&Aは、珍しいものではありません。しかし、引き継ぎ方を失敗すると、M&A後の経営に大きな影響を与えます。「自分は現場を退くからあとは買手に任せる」という売手の経営者もいますが、自分が育ててきた飲食店のブランドやメニュー、従業員を守るためにも売手側として事前に引き継ぎの準備を進めておきましょう。

例えば、「味の引き継ぎ」も重要なポイントです。料理やドリンクを提供する場合、同じ材料、同じレシピでも作る人によって味が変わります。レシピがない場合はレシピを残すことは当然ですが、経営者が料理やドリンクを作る様子を映像に残したり、従業員が味を再現できるまで丁寧に教えたりすることもよいでしょう。

買手の買収目的が「人材獲得」の場合、従業員の雇用維持も経営者の重要な役割です。飲食店が他の業界と異なる点として、経営者が料理人を兼ねることが多く、経営者の魅力に惹かれて働いている従業員が多いということです。売手の経営者が現場を離れる際に、重要な役割や従業員(キーマン)も辞めてしまうようでは、M&Aをした意味がなくなってしまいます。売却後に従業員が退職しないよう、「売却後も以前と変わらない」ことを強調したり、売却後の待遇について丁寧に説明したりすることで安心させることが重要です。

キーマンに継続の意思がない場合には、早めに代わりとなる人材を育成し、経営者がいなくても同じ味を再現できる体制を作れるかどうかが外食・飲食業界でのM&Aの鍵と言えます。

意外に見落としがちなのが、日々の地道な努力。飲食店の場合、サービス・料理の品質・日々の接客・従業員教育を見直すことで、顧客数の増加につながり、その結果が口コミサイトやグルメサイトの評価にもつながります。パートやアルバイト、正社員スタッフを仲間として巻き込み、飲食店を盛り上げることが結果的にM&A成功のポイントにつながります。


5. 外食・飲食業界に強いM&A仲介会社の利用方法

外食・飲食業界におけるM&A件数の増加に伴い、飲食店のM&Aに精通したM&A仲介会社も増えています。着手金や仲介手数料の相場は様々で、支払う額や支払うタイミングもM&A仲介会社によって異なります。外食・飲食業界におけるM&Aは賃貸借契約や設備のリース、立地・商圏調査などもからむため、飲食店の知見や実績のあるM&A仲介会社であれば安心して任せられるでしょう。

ただし、飲食店専門のM&A仲介会社は首都圏に多く、地方で飲食店を経営する経営者にとって不安に感じるケースもあります。その場合は、地域のM&A仲介会社と首都圏のM&A仲介会社の2本立てで仲介契約を行うことも1つの手です。着手金が必要なM&A仲介会社の場合、M&Aが成立しなくても着手金を支払う必要があるため、手数料を抑えたい場合は注意が必要ですが、2つのM&A仲介会社を持つことで、優良な買手と出会う可能性も高まります。

M&A仲介会社は、大きく分類すると、業界・業態に特化した会社と、営業力・情報量が強みの会社に分けられます。業界・業態に特化したM&A仲介会社であれば、その業界のトレンドやニーズを踏まえた適切なアドバイスをしてくれますし、売手にふさわしい企業評価をしてくれるケースが多いでしょう。しかし、M&A仲介会社として業界・業態に特化していればそれで十分ということはなく、ベストな買手を探してくる営業力や情報量も不可欠。ベストな買手が見つからなければ、そもそもM&Aは成立しませんし、条件面が悪いM&Aになってしまうことも考えられます。

M&A仲介会社を探す上で、注意すべきポイントは、1つの会社に決めようと思わないこと。外部からM&A仲介会社の専門性や営業力を評価するのは簡単ではありません。ウェブサイトなどに記載されている実績や報酬体系などから、ある程度判断することはできますが、M&Aという重要な選択を行う以上、それらの情報だけでM&A仲介会社を選ぶのは心もとないでしょう。ベストな買手を見つけることも重要ですが、ベストな仲介会社を見つけることも重要です。やはり複数のM&A仲介会社を比較し、自分の目で実力や相性を確かめることをおすすめします。最近では一度に複数のM&A仲介会社を比較し、売手の要望に合ったM&A仲介会社・買手企業を選べるサービスもあるため、選択肢の一つとして利用を検討することをおすすめします。

 


話者紹介

岩永 敦司(一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会認定 M&Aアドバイザー)

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当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。

一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会認定 M&Aアドバイザー
株式会社エクステンド M&A事業部
岩永 敦司(Iwanaga Atsushi)   

一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)認定 M&Aアドバイザー(CMA)。金融機関・不動産・M&A仲介会社での経験を活かし、中小企業の資金調達(融資、リース)から、経営戦略の立案、M&Aによる事業拡大、M&Aによる財務リストラ、経営承継など企業のステージに合った提案を行う。

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