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理想のエグジットとは?メリット&デメリットを詳しく解説~M&AとIPOの比較も行います~

2020/03/30
更新日:2021/02/09

はじめに

エグジット(イグジット)という言葉が、昨今の経済情報でしばしば聞かれます。ベンチャー企業の華やかな成功によって、大きい対価を得て会社を売却する意味で使われたりします。

では、中小企業経営で使われるエグジットとはどういうことなのでしょう。あわせてエグジットとも関連するIPOやMBOとは何を意味するのでしょうか。今回は、企業のM&Aやエグジットに詳しいiSGSの五嶋さんにお話を伺いました。


1.そもそもエグジット(イグジット)とは?

希望のイメージ

最近よく見かける「エグジット(イグジット)」というワードは多くの場合、ベンチャー企業の株主が株式を売却して投資金を回収する意味で使われます。しかしそれには同時に “exit” の持つ意味の通り、オーナー経営者が株式を売却するとともに経営から退く、という意味も含まれています。

また、華やかなベンチャー企業だけの話ではなく、仕事に人生を捧げてきた中小企業オーナーのエグジットを決して忘れてはいけません。まずはエグジットの基本的な意味合いを確認することから始めましょう。

(1)エグジットの持つ本来の意味

ハーベスティングとも呼ばれるエグジットは、簡潔にいうとオーナー創業者が投資ファンド所有の自社株式を売却し、その売却益で投資資金を回収するとともに、経営から離脱することです。

ベンチャー企業の話題で使われる場合は、企業価値を上げて株を高額で売却するサクセスストーリー的なニュアンスを含んでいます。ベンチャーキャピタルからの出資を受けるベンチャー企業にとって、エグジットはひとつの目標かもしれません。

しかし肝心な意味である「経営から離れる」という部分はあまりクローズアップされていません。中小企業オーナーにとってのエグジットは資金回収ということ以上に、満を持して経営から離れるさまざまな感慨を伴うアプローチとして考えられます。

必ずしもサクセスストーリーではなく、どういう経緯であれ企業オーナーが、経営から退くとともに株式も手放すこと自体がエグジット本来の意味なのです。

(2)エグジットのパターンあれこれ

エグジットにはM&AによるものやIPOによるものがあり、関連するものとしてMBOやEBOがあります。アメリカではIPOよりも実現の可能性が高い、M&Aによるエグジットが主流です。

日本においては、特にベンチャーキャピタルによる投資の出口は、M&AよりもIPOによるエグジットが主流でした。M&Aという言葉が持つ「身売り」というややネガティブなイメージが反映していたのかもしれません。

しかし近年では日本でも、ベンチャーキャピタルにとっても企業オーナーにとっても、M&Aによるエグジットが増えてきつつあります。若いベンチャー起業家だけではなく、M&Aに対して前向きに考える中小企業オーナーも多くいるのです。
時間と手間暇と費用がかかるIPOと異なり、買収相手との交渉で決定するM&Aを選ぶ経営者は、今後も増えていくと考えられます。

ベンチャー企業にとっては、IPOにせよM&Aにせよ、具体的な期限を決めてどのようなエグジットを実現するかという計画を示すことで、ベンチャーキャピタルの投資を獲得しやすくなる場合もありますし、ストック・オプション制度を活用するなどにより、経営陣・従業員のモチベーションを上げることにもつながります。

(3)IPO(新規株式公開)によるエグジット

IPOは「新規株式公開」のことです。会社の発行している株式は、そう簡単には売れません。未上場の会社の株を売るためには、買ってくれる人を自分で探し、デューデリジェンスをうけ、価格の交渉をし、契約書を作成し、授業員や取引先に売却を説明する、ということをやり切る必要があります。

株式を上場すると、株式市場で原則だれでも株の売買ができるようになります。上場することで市場価格がつくため、仮に相続や売却するとなった場合も、資産の評価がされやすくなります。

(4)M&Aによるエグジット

実はIPOをしているかいないかは、M&Aの本質には関係ありません。ひとつの事業会社に対して、一般的には50%以上の株を所有し経営権を獲得することをM&Aと言います。株の売却と経営権の移動が同時に行なわれるのがM&Aによるエグジットの基本です。

2.MBO・EBO・LBOとは?

エグジットの際に、会社の内部の人間や外部の人間が50%の株を取得してその会社を買収する行為をバイアウトといいます。バイアウトには様々なパターンがあります。それぞれを見ていきましょう。
余談ですが、SNSなどでは会社を売却することを売主側が「バイアウトした」という表現をたいへん多く見かけますが、本来は買手側が「買収する」ということを「バイアウトする」という表現が正しい使い方です。

(1)MBO(マネジメント・バイアウト)とは?

MBOはM&Aの手法のひとつで、経営者や経営幹部による自社株の買収を意味します。投資ファンドからの出資や銀行などの金融機関からの融資によって資金を調達し、自己資金で自社の株式を買い集めることで会社全体の経営権を獲得する、あるいは特定の事業部門を買収して独立、もしくは経営権を取り戻そう、というアプローチです。

実際に多く見られるMBOとしては、上場企業の創業者が市場から自社株を買い戻して、株式非公開に戻りたいというときに、外部株主がそれに応じて株を売却する、というケースです。

たとえば創業者が10%しか株式を持っていないという上場企業もたくさんあります。そのような創業者などが株を買い集めて50%以上にし、再び経営権を手に入れる、あるいは100%の株式を買い集めて非上場化するのもMBOの一つです。

オーナー経営者からみれば、エグジットという意味ではIPOとMBOは対極にあります。IPOはオーナー経営者株式を売却する機会を得ることであり、MBOは逆に経営者が株を買い戻す話なので、経営者にとっての株式売却の機会ではなく、外部株主にとってのエグジットになります。

(2)EBO(エンプロイー・バイアウト)とは?

一方、EBOは、従業員もしくは従業員のグループが、同様に投資ファンドなどの後押しを背景に株式を取得して会社の経営権を手に入れるアプローチです。日本では頻繁にはありませんが、アメリカではしばしばあるようです。

日本での現実的なEBOとして考えられるのは、中小企業のオーナー創業者が高齢になり、会社の経営から退く際に同時に株も手放すという場合に、従業員の中の数名が株式を取得するケースです。

MBOにもEBOにも共通して言えることは、経営権を取得するための株式の購入には億単位から数百億単位の多額な資金を要するというケースもあることです。表面的には経営者が買い戻したり従業員が取得したりという形ですが、ほとんどが裏側にファンドが控えているのです。

特に従業員だけで資金を出し合って買収資金を工面することは現実的には難しく、投資ファンドのからの資金調達があってこそ実現できるものです。

(3)LBO(レバレッジド・バイアウト)とは?

LBOとは、買手企業がM&A対象企業の資産および将来に期待されるキャッシュフローを担保として捉え、金融機関から資金の調達を図って買収する方法です。少ない自己資金で大きい買収を行なうので、レバレッジ(テコ)を効かせる、ということで、レバレッジド・バイアウトと言います。

M&A成立後は、買収の買手となった会社と買収された会社を合併させることで、借入金を買収した会社の負債に位置づけることができます。ここから事業の改善によってキャッシュフローを増やして返済していくのが基本スキームです。

なお、MBOとEBOはともに社内の人間が行うバイアウトで、「MBO」の「M」はManagement(経営者)を指し、「EBO」の「E」は、Employee(従業員)を指し、いずれも買手が誰なのかを指すのに対し、LBOの「L」はLeveraged(てこ)を指し、これは買収の手法の一つです。つまり「LBOを用いたMBO」という使われ方がある、ということです。

3.IPOには大変な作業と費用が必要

投資イメージ

IPOは株式を市場に上場させ、誰にでも株を買うことができるようにする、ということなので、基本的に大変な作業を伴います。世間の誰もが買える株にするためにはきちんと情報を公開しなければならないためです。

経営者には、会社のすべてのことに対する説明責任があります。株主総会を適法に開催することはもちろんき、決算説明会も開催しなければなりません。そのために人材を採用するなど、さまざまな費用と人手が必要になります。

また、上場すると上場維持費用がかかります。証券会社、信託銀行、東京証券取引所等に支払う費用も莫大です。総会の開催、情報開示、人件費、各種手数料などを合わせると、安く見積もっても年間1億円以上のコストが必要となるでしょう。

4.IPOによるエグジットのメリット&デメリット

株式チャート

(1)IPOのメリット

未上場の株を売ろうと思っても、そもそも価格などあてにならないため、購入者がいないことが多いでしょう。もし買うとしても「この会社は適法に経営されているのか、ちゃんと納税しているのか」「会社にその価値が本当にあるのか」などを証明することが難しくなります。

IPOをすることで、マーケットから自社の株価に適正な価格をつけられ、信用が得られるというメリットがあります。
もちろん上場すれば必ず株式が必ず売れるということはないですが、市場のメカニズムで買手がいない株は値段が下がっていくことで買手がつき、適正な価格に落ち着いていきます。

また、会社経営の観点では、IPO後は資金調達が行いやすくなります。新株の発行をはじめとして様々な資金調達手段を活用することができますし、銀行の融資に関しても、上場しているということは経営もしっかり行われているだろう、借入金返済のために市場から資金調達もできるだろう、という認識を持たれるため、融資が通りやすくなります。

IPOにより会社に信用がつくことで優秀な人材の採用もしやすくなり、新規取引先のアカウントも開きやすくなります。名もないベンチャー企業と上場企業では、やはり社外の人からの対応も異なります。

このように、IPOによるエグジットから得られるメリットはたくさんあるのです。

(2)IPOのデメリット

IPO後は会社経営における重要な数値である売上計画や決算を公表しなければならないので、経営者の行う施策の内容や途中経過と結果、あるいは経営者の経営能力そのものに厳しいチェック機能が働き、経営の自由度が下がることがデメリットです。そのうえ予算達成のための努力も必要で、未達成だとその説明も行わなければなりません。そして、そこからリカバーする義務を課せられます。

IPOを行なえば経営者は私人ではなく公人として扱われます。それゆえ、普段から公人としての生活が必要です。また、株価は市場で決まるので、経営者の思い通りにはなりません。価格決定の自由度はほぼなくなり、自社株買いで市場に流通する株式を減らすなどで調整を試みることはできますが、それとて結局市場で株価が決まる以上株価をコントロールできるはずもなく、基本的に株価マーケットで決まります。
IPOをしていなければ株価が実勢を反映していない的外れなものでも、買う人がいればその株価での売買は成立します(税務上の問題は別として)。

上場企業の株式にはマーケットが決めた市場価格がついているので、たとえば社長が息子に1円で株を売ることなども絶対にできません。税務上の問題は別として、未上場であれば相続などで家族に安く売りたいといったこともできますが、上場しているとそれは不可能です。

このように、当然のことですがIPO後は会社を思い通りに動かすことができなくなるデメリットがあるので、非上場に戻る会社もあります。

5.M&Aによるエグジットのメリット&デメリット

会議イメージ

(1)M&Aによるエグジットのメリット

オーナーは自社株を売却することで譲渡益を得ることができます。事業が引き継がれ、従業員の雇用も保証される場合が多いです。また、シナジー効果のある企業に買収された場合、事業を大きく伸ばすこともできるでしょう。

(2)M&Aによるエグジットのデメリット

M&Aは企業買収なので、当然経営権がなくなることはオーナーにとってはデメリットです。雇われ社長として引き続き経営を任されることもまれにありますが、株式を50%以上持っているわけではないので、株主総会で取締役に選任されなければそこまでです。

会社売却後も一定の責任は残る、というデメリットもあります。たとえば、売却した会社にM&Aの時点では経営者も知らなかったような瑕疵があった場合に、ある程度責任を負わないといけません。

売却してから過去の瑕疵が原因で訴訟問題が起きることもあり、売った後だから関係ないと安心はできません。場合によっては買い戻しや買収価格の変更などに発展することもあります。

ほかには、未払いの残業代があるとすれば、従業員が退職した後も債務として2年間有効で、支払う義務を負っていることになります。極端な例でいうとM&Aで大きい会社に買収された際、会社の金回りが良くなっただろうということもあり以前辞めていった人たちから過去の残業代を集団で請求され、その額が数億円レベルとなるという可能性がある企業もありえるのです。

6.理想的なエグジットのために必要なこと

ビジネスグループ チームワーク

本来エグジットは経営者が包括して株を売却し、それに伴って経営から退くことです。良い会社でないと良い買手はつきません。救済買収を受けるのであれば、売手に交渉力はほとんどありません。経営者にとって良いエグジットを目指すには、まず良い経営を行なうこと、つまり黒字を出して顧客にとっても従業員にとっても良い会社であり続けることが大切です。

それには安定した質の高い経営ときちんとした社内体制、そして良質な顧客を持っているかが重要です。それがM&Aの相手との交渉力の源泉となります。救済のようなタダ同然のM&Aになるか、納得できる対価が得られるM&Aになるかは、とにかく「真っ当な経営」がキーポイントになります。

また、M&Aをスムーズに成立させるためには、ものすごく基本的なことですが「日頃の行い」が重要です。

● きちんと税金を払っているか?
● 書類が整理してあり、必要な情報にすぐにアクセスできるか?
● 伝票をきちんと整理しているか?
● きちんと残業代を払っているか?
● 従業員の能力や特性を把握できているか?
● 在庫や備品に関してどこに何があるか把握しているか?
● 所有する不動産や金融資産の現在価値を正しく認識し決算に反映させているか?

以上のような、基本的なことが本当に大事なのです。社内のブラックボックスはなくさなければいけません。
これらをシビアに査定するものが、M&Aにとって重要なデューデリジェンス、つまり投資やM&Aなどの取引にあたっての対象企業への調査活動なのです。

M&Aの買手にとって魅力的な会社とは、そこで働く経営者も社員も皆が「自社のこと」や「顧客の姿」を誰よりも深く精緻に理解している会社です。「うちの事業はこういう事業で、ここが強い、ここが弱い」「うちのお客さんはこのような方たちだ」と経営者や社員が内容を魅力的に語ることができる会社なら、買手も大きな魅力を感じ、その会社の将来に期待を持つことでしょう。

7.まとめ

ビル前の人の往来

自社や顧客の姿をきちんと捉えた経営をしていないと、M&AやIPOは円滑に進まず、それ以前にM&AやIPOの対象になりづらいでしょう。特に、利益の源泉は顧客であり、つまり企業の価値の源泉は顧客なのです。顧客の姿をしっかり捉えている企業かどうかが、エグジットの場面では厳しく問われます。

M&AやIPOでエグジットを目指すのであれば、顧客に求められるサービスを提供し続けることで利益を出し続けることができる、正しい経営をしていくことが重要です。

〈話者紹介〉

五嶋さん
五嶋一人(ごしまかずひと)
株式会社iSGSインベストメントワークス 代表取締役 / 代表パートナー
銀行での法人融資を担当後、大手ベンチャーキャピタルで投資先企業の発掘・ファンド管理業務、事業子会社の立ち上げ等に従事。2006年、株式会社ディー・エヌ・エー入社。同社の投資及びM&A責任者として、株式会社横浜DeNAベイスターズを始め、多数の投資・買収等を主導。2014年、株式会社コロプラ入社後もベンチャー投資及びM&A等に従事。同社での主な投資実績は、ランサーズ株式会社等。2016年6月、株式会社iSGSインベストメントワークスを設立、代表取締役 代表パートナーに就任。

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