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M&Aはどこに相談する?相談窓口やかかる費用、選ぶポイントを解説

2019/10/08
更新日:2021/02/26

はじめに

事業承継や会社売却(M&A)の経験がある経営者というのは、少ないのではないでしょうか。経営者にとって会社とは、自分の子供のようなものです。大切な会社を信頼できる相手に売却するため、M&Aを実行するにあたっては、専門知識のある相談相手が必要となります。初めてのM&Aで、どのように相談先を探し、何を聞くべきか、そして気になる費用などについて、株式会社サンアドバイザリーの大内陽平氏に聞きました。


1.そもそも誰に相談したらいい?M&Aの相談窓口

経営者の人生において、事業承継や会社売却(M&A)は、何度も経験するものではありません。M&Aを成功させるためにも、正しい相談相手を選びたいものです。ただ、初めてM&Aに取り組む場合、誰に相談したらよいのか迷う経営者も多いのではないでしょうか。ここでは、M&Aの相談窓口について紹介します。それぞれのメリット・デメリットを把握しておきましょう。

M&Aの相談先は数多くありますが、初期の段階では1か所に絞らず、まずは複数の相談先を見つけ、比較・検討しながら、自分に合った相談先を選んでいきましょう。一般的には、M&A未経験の経営者が相談する入り口は次の3つと思われます。

【顧問の税理士・会計士】

まずは、一番身近な顧問の税理士や会計士に相談するケースが多いのではないでしょうか。強みとしては、会社の経理やオーナーの家族構成などプライベートの情報を熟知しており、お互いに信頼関係があります。そのため、M&Aにおける資料の収集もスムーズで、株価の算定なども、安心して相談できることが強みです。ただし、買手とのマッチングや、M&Aアドバイザリーなどの専門家ではないため、その点は認識しておく必要があります。M&Aのサービスに対応している事務所もありますが、大半は初期段階の情報収集のみ対応し、提携先の専門会社に橋渡しを行うことが多いようです。

【金融機関】

次は地方銀行や信用金庫などの金融機関です。取引先サービスの一環としてM&Aに対応しているため、気軽に相談できます。特徴は、営業エリア内の企業情報を豊富に把握していて、その範囲内でのマッチング能力が非常に高いこと。ただし、営業エリア内で買手が見つからない場合、その案件はいったん棚上げにされる可能性もあるでしょう。また、地方では大型案件の買手が見つからないことが多いため、大手のM&A仲介会社に紹介して、都市圏の買手を探すことになる場合もあります。

【M&A仲介会社】

M&A仲介会社の特徴は、会社の規模が1名〜数名の小さな会社から、数百名規模の上場会社まで、非常に幅広く、会社によって取り扱う案件の規模感が異なります。強みとしては、買手とのマッチング能力が高く、M&Aのスキーム構築や税務・法務などのノウハウが蓄積されていて、業界内の動向も熟知していることです。弱みは、会社によって経験の浅い担当者がいるなど、M&Aアドバイザーのレベルが一定でないこと、また、担当者の都合によりM&A専門会社のスケジュールで進む場合があることです。

■図版:M&Aの相談窓口

  顧問税理士・会計士 金融機関
(メガバンクを除く地方銀行や信用金庫)
M&A仲介会社

・株価算定やデューデュリジェンスには強いが、
買手とのマッチングや
アドバイザリー機能を持つところは少ない
・M&Aサービスを提供する
税理士事務所や会計事務所は
あるものの、初期ニーズを
収集し提携先のM&A専門会社
に橋渡しを行うケースが一般的
・取引先サービスの一環として M&Aの仲介を行う
・対応は営業エリアに限定
されることが多い
・M&A専門部署を持たずに、
「紹介」のみを行う金融機関も多い
・M&Aアドバイザーが1名〜
数名の小さな仲介会社や、
数百人規模の上場会社など
幅広い
・各社最低報酬の設定によっ
て、取り扱い案件の規模をす
み分け





・顧客(経営者)との信頼関係が深い
・財務諸表など会社資料の収集がスムーズ
・金融機関の営業エリアでのマッチング能力は高い
・買収側のファイナンスが
スムーズに受けられることがある
・比較的買手とのマッチング能力が高い
・スキーム構築や税務、法務
などの専門ノウハウが蓄積されている






・M&A仲介、アドバイザリー
までを提供できる実績、ノウ
ハウに乏しい
・買手探しが営業エリアに限定される
・買手が見つからない場合
は、紹介までに時間がかか
ることも
・定期的に組織の異動が
あるため専門ノウハウが
蓄積されないことも
・経験の浅い担当者がいる
など、M&Aアドバイザーの
質にムラがある
・担当者の給与体系やインセンティブの都合上、
会社主導のスケジュールで進む場合も

そのほか、初動の相談先としておすすめしたいのが、全国47都道府県に設置されている事業引継ぎ支援センターです。たとえば、神奈川県の事業引継ぎセンターでは、登録されているM&A仲介会社を自分で選ぶことも、提案してもらうこともできます。提案の場合は、算出された企業価値評価からおおよその仲介手数料などを考慮し、相談内容と予算に見合った会社を提案してもらえますので、M&Aの費用や工程に対して、大枠のイメージがつくのではないでしょうか。


2.M&Aに関する相談内容で押さえておきたいポイント

M&Aに関する相談内容で押さえておきたいポイント

初めてのM&Aで「そもそも何から相談していいかわからない」という経営者も多いと思います。相談先のM&Aアドバイザーに、まずはどのようなことを伝えれば良いのでしょうか。売手・買手の立場から、それぞれ相談する内容を解説します。

【売手の相談ポイント】

この段階においてアドバイザーは、M&Aの実現可能性を見極めたいと考えています。会社にまつわる情報を正確にお伝えください。言いづらいネガティブな情報は特に重要です。相談内容の鍵となるのは以下の4点です。

① 事業内容
② 財務内容・希望条件
③ 組織・人員体制
④ 所有者(株主)の状況

①事業内容

まずは本業の事業内容を具体的にお話ください。その流れで、下記図にある「一定の安定性・成長が見込まれる業界か」をトレンドや稼働率などマーケティング的な観点から、会社価値の判断材料のひとつにします。同じく図の「売上や仕入を特定の取引先に依存していないか」「収益の源泉がオーナーに依存していないか」については、属人性の度合い確認になります。創業経営者によくある話ですが、自身で取引先を開拓し長年の付き合いがある場合や、経営者しか持っていない独自の技術がある場合など、経営者の引退と同時に取引や技術が消滅してしまうリスクがあるため、買手が懸念する点でもあります。組織化を早めに進め、課題をクリアにしておきましょう。取引先と締結した契約書などをあらかじめ整理し、簡単に目を通しておくと良いかもしれません。これらの事業内容に関する確認は、会社を売却するために最低限必要なポイントと言っても差し支えないでしょう。

②財務内容・希望条件

まず、希望の売却金額のイメージがあればお伝えください。そのうえで直近の決算書を確認し、おおよその株式価値(バリュエーション)を算出し、希望金額と乖離があり過ぎないか確認を行います。

下記図の「実質的に利益は出ているか、赤字解消の見込みはあるか」について補足です。決算書を見ると、時に節税目的で赤字にしている会社が見受けられます。その場合は、役員報酬や交際費、保険料や減価償却費など、該当項目をいったんM&A後の状態にし、本業で実質的な利益が出ているかをチェックします。例えば、決算書上は100万円の赤字でも、役員報酬に3,000万円を充てている場合などは、実質的には黒字会社ですのでM&Aの実現性は高くなると言えるでしょう。

③組織・人員体制

ここで確認したいのは、事業運営上のキーマンと従業員の年齢構成など。若い従業員が多いと買手がつきやすいという傾向はありますが、過去の事例として従業員数が10名ほどで全員が65歳以上という会社でも、強みや特徴がありM&Aが実現したケースもありました。

④所有者(株主)の状況

中小企業では、何度も相続が発生していて、株主が分散しているというケースが稀にあります。このような場合、もし株式を取りまとめできないような状況であれば、基本的にM&Aを行うことが難しくなります。

■図版:M&Aの相談内容

項目 ヒアリング項目 備考
株式 株式の全部、最低でも2/3以上の同意取付は可能か 分散している場合には取りまとめができそうかを確認
企業概要
事業内容
一定の安定性・成長性が見込まれる業界か 衰退産業の場合、買手がつかない可能性も
売上や仕入を特定の取引先に依存していないか 取引の継続性や経営者変更などによる契約内容の制限はないか
収益の源泉がオーナーに依存していないか オーナーの役割とノウハウの承継可能性を確認
財務内容 一定の企業規模があるか あまりに小規模である場合は、買手がゼロから始めたほうが早い
実質的に収益は出ているか、赤字解消の見込みはあるか 買手の目線で、引き継ぐ価値があるのかを見極める
債務超過、過剰債務ではないか 肩代わりする債務に見合ったキャッシュフローや企業価値があるか
不良資産、簿外債務はないか 隠していると後で損害賠償を求められる場合も
その他 会社資産と個人資産の切り分けは可能か 事前に明確に区分しておくことが望ましい
大部分の役職員から賛同を得られるか 特にキーマンの離職は案件破談のきっかけにつながりやすい
法令など違反した状態の事項はないか 是正できるものは事前に対応しておくことが望ましい

 

【買手の相談ポイント】

①ターゲットとなる事業内容・対象地域・資金力

これは、M&A会社に相談すると必ず聞かれる内容です。M&Aの大前提として可能な限り詳細に伝えてください。

②M&A後の運営方針

M&Aの実施後、どのように会社を運営するのかは重要な問題です。この時点での運営方針の確認と調整は、M&A実行プロセスにおける従業員の離職を防ぎ、新体制のもとでは2つの異なる文化を統合するのに役立ちます。特に、買収後の運営方針として、買収先への積極的な経営関与(ハンズオン)または現状維持のどちらを考えているのかは伝えておくと良いでしょう。

③マネジメント体制

M&A後の円滑な社内体制を構築するため、買収後のマネジメント体制の確認も、必ず話し合ってください。事業継承型のM&Aにおいては、買手からエース級の人材を常駐者として送り込み、グループ会社としてきちんとマネジメントできることをアピールできれば、大きな強みとなります。


3.M&Aの相談にかかる一般的な費用は?

ここでは、M&Aの相談にかかる費用について、M&Aアドバイザーと弁護士・会計士・税理士に分けて紹介します。なお、金融機関の費用はM&Aアドバイザーとほぼ同様です。

M&Aにおける工程は以下の流れとなります。各工程で発生する費用を確認しましょう。

■図版:M&Aの相談にかかる一般的な費用

項目 M&Aアドバイザー 弁護士・会計士・税理士
初期相談 無料
正式依頼 仲介契約 着手金(資料規模により100万〜300万円)
案件化 株価評価 評価料(50万〜100万円)※着手金に含まれる 会計士:売手による企業価値評価で50万〜数百万円
買手探し
基本合意 中間報酬(見込み成功報酬の10〜20%) 弁護士:基本合意書チェックによる手数料
買収監査 買手が依頼する調査に応じた手数料
最終契約 弁護士:最終契約書チェックによる手数料
クロージング 成功報酬(総資産+のれん、純資産+のれんベースのレーマン方式)
※最低報酬としてM&A仲介会社により数百万〜数千万円の設定
※着手金、中間報酬を含まず完全成功報酬のみの会社もある。

まず、「初期相談」の段階では、M&Aアドバイザーと弁護士・会計士・税理士のほとんどが無料と考えていいでしょう。

次の「正式依頼」の段階では、M&Aアドバイザーの場合、着手金が発生するケースが多いです。この着手金とは、主に買手探しにおける資料作成などの諸作業費にあたります。売手の資産規模によって変わりますが、100万円〜300万円ほどが目安と言えます。

次の「案件化」の工程では、株価評価を行います。M&Aアドバイザー起用の場合は、この時点で正式依頼済みでしたら、着手金に含まれるため無料となりますが、株価評価のみを依頼した場合の費用は50万円〜100万円ほどになります。会計士に依頼する場合は、精密な数値を反映した企業価値評価を行うため、会社規模にもよりますが、50万円〜数百万円が目安となります。

買手探しでは、M&Aアドバイザーへの費用は発生しません。発生する場合でも遠方への旅費実費程度でしょう。弁護士・会計士・税理士などの専門家が買手探しを行うことはほとんどないため除外しています。

「基本合意」において、M&Aアドバイザーに中間報酬を支払うケースもあります。その場合は見込み成功報酬の10〜20%が目安になります。この時点で、弁護士に基本合意書のチェックを依頼する場合には手数料がかかります。時間給制か固定金額制かは弁護士によって異なりますので、依頼をする際には必ず確認しましょう。

「買収監査」の段階では、買手が買収監査を依頼する会計士・税理士・弁護士への手数料がかかります。費用は調査の対象範囲や実施内容などによって様々で、通常は100〜200万円ほどで、大手の会計事務所や弁護士事務所ですと500万円以上となる場合もあります。調査対象となる売手の資産規模によって大きく工数が変わりますので、M&Aアドバイザーにも相談しながら依頼先の専門家と相談してください。

最後の「クロージング」において、M&Aアドバイザーには成功報酬が発生します。算出方法は、総資産+のれん又は純資産+のれんの金額に一定の料率をかけるいわゆる「レーマン方式」です。そしてほとんどのM&A会社が最低報酬として、あらかじめ数百万円〜数千万円の設定をしています。ただし、M&A会社の中には、着手金や中間報酬を一切取らずに完全成功報酬制のところもあります。これは受託する案件の目利きや成約できる自信があることの裏付けとも言えるでしょう。


4.M&Aの相談先はどうやって選ぶ?相談先を選ぶポイントを解説

04_M&Aの相談先はどうやって選ぶ?相談先を選ぶポイントを解説

世の中にM&Aの相談先はたくさんありますが、具体的にどのように選べばいいのか、決まったルールがあるわけではありません。ここで挙げる3点を念頭に置いて相談先を決めると、M&Aのプロセスをスムーズに進行できる可能性が上がるかもしれません。

1つ目は、成約実績数の多いM&Aアドバイザーがいること。この場合の実績とは「補佐」などのサポート役ではなく、あくまでも「主担当」として自ら舵取りをして成約した実績数を意味します。成約実績の多いアドバイザーは、自身と顧客の時間的ロスを避けるために、常に本質的かつ現実的な助言をするため、結果、高い成約率を実現できるのです。ですので、もし費用の多寡にこだわらないのであれば、実績数の多いアドバイザーに出会えたら、主担当になってもらうことを強くおすすめします。なお、実績数を尋ねるのは、失礼にはあたりません。むしろ積極的に聞いてください。

2つ目は、プロフィールだけで信用しないこと。有名な出身大学、大手企業の名ではなく、あくまでも担当者のこれまでの実績、実務能力、自分が会って感じたその人となりを重視してください。

3つ目は、自社の評価額に合っていること。M&Aにかかる費用は相当なものです。手取り額などの諸費用を適正額に抑えたいなら、時間をかけてでも自社の評価額に見合った最低報酬額・成功報酬テーブルのM&A会社を探して、その中で充分な成約実績のある担当者を見つけてください。

M&Aは、多くの経営者の方にとって、一生に一度の経験になるかもしれません。納得のいく担当者に出会えるまで、焦らず、多数の業者と面談を重ねることが鍵となります。自力で自社に合った専門家を探すのは大変な作業です。まずは気軽に、顧問税理士や地域の事業引継ぎ支援センターなどに相談してみるのもいいかもしれません。根気強くプロセスを進めていきましょう。

 


話者紹介

profile_株式会社サンアドバイザリー大内陽平様

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当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
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株式会社サンアドバイザリー
代表取締役
大内 陽平 (おおうち ようへい)

貴金属リサイクル等を行う松田産業株式会社(東証1部)で経理・財務業務に約8年間従事。その後IPO準備会社、M&A仲介会社を経て、株式会社FPG(東証1部)に入社。同社のビジネス基盤である全国の会計事務所、地方銀行等のネットワークを活用した中小企業向けのM&Aアドバイザリー事業の新規立ち上げを主導し、主担当として6年間で20件以上の案件を成約。2018年FPGを退社、サンアドバイザリーを設立し代表取締役に就任。

 

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