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事業承継補助金とは?補助金獲得迄の流れや申請書作成のポイントを5分で解説

2020/01/06
更新日:2021/05/06

はじめに

長い間、地域に密着して発展してきた中小企業が、事業承継者不足によって事業を断念せざるを得ない状況に陥るということは、決して珍しいことではありません。特に、地方において地域の雇用を支えてきた企業の存続は、そのままその地域の経済を揺るがすほどの問題になりうることもあります。

そこで国は、このような継承者不足に悩む中小企業を対象に、事業承継補助金という制度を設けて支援しています。

ここでは、事業承継補助金の対象者や申請期間、申請書を作成するときの重要な加点ポイントについて、事業承継に詳しい円満相続税理士法人の税理士桑田悠子さんに詳しく話を聞きました。


1.事業承継補助金について

事業承継補助金とは、事業承継が行われた後に新しいサービスや商品開発に取り組む場合、その取り組みにかかる費用のうち一定の割合の金額が交付される補助金のことです。ここで勘違いしやすいのは、事業承継そのものに補助金が交付されるのではなく、事業承継後に新しく何らかの取り組みをすることに対して補助金が交付される点です。

2.事業承継補助金の対象者について

事業承継補助金に応募するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。

(1)事業承継の2つのタイプ

事業承継は、経営者交代タイプとM&Aタイプの2つのタイプに分かれます。

経営者交代タイプは、主に親から子どもへ、社内のトップが交代する事業承継のことを指します。しかし、親族間の事業承継のみでなく、法人や個人が経営していた企業を異業種の経営者が引き継ぎ経営していくケースも含まれます。

一方、M&Aタイプの事業承継とは、企業を買収して事業を行っていくことをいいます。こちらのケースでは、企業全体の買収だけでなく、企業が行うある事業のみの買収も対象になります。

(2) 事業承継補助金を応募するための要件

経営者交代タイプとM&Aタイプは、どちらも事業承継補助金の対象となります。対象者として満たすべき共通の要件は、事業承継や再編・統合を一定期間内に完了するかまたは完了予定であることです。

事業承継の完了とは、企業の代表権がすでに移行している状態のことを指し、たとえば代表取締役が父親から子どもへすでに代わっているといった状態のことです。

(3) 事業承継がすでに完了していても応募可能

ここで注意すべき点は、「事業承継がすでに完了してしまった」という企業でも、ある期間中に事業承継が完了していれば応募できることです。前回の公募では、2016年4月1日〜2019年12月31日の間に、事業承継の完了または完了予定であれば応募可能でした。

現在すでに事業承継が完了している場合でも、これから新しい取り組みをする予定であれば応募が可能になることも考えられ、次回の公募要項を注意深く確認していきたいところです。

(4) 企業規模も一定の要件を満たす必要がある

さらに、事業承継補助金を応募できる企業は、一定の規模であることが要件のひとつです。中小企業、個人事業主、特定非営利活動法人は、総称して中小企業者等と呼ばれますが、これらの中小企業等が補助金対象となっています。基本的に資本金が5,000万円以下もしくは従業員数50人以下であれば、中小企業に該当すると考えられています。

ただし、大企業の資本が多く入っている中小企業は、資本金が5,000万円以下であってもみなし大企業となり対象外です。補助金対象になりえるのかどうかなどの詳しいことは、専門家に相談することをおすすめします。

3.申請の受付期間について

カレンダー

申請の受付期間は、おおよそ3週間から1ヶ月半くらいです。まだ確定ではありませんが、本年度(令和元年度)もすでに概算要求されているため、予算に組み込まれ、、2020年度4月中旬くらいから公募が始まると予想されています。中小企業庁のサイトで確認できますので、事業承継を考えている経営者の方は、随時確認することをおススメします。

※参考:中小企業庁「事業承継補助金」

4.事業承継補助金の申請から交付までの大枠の流れ

事業承継補助金の申請から交付までは、どのような流れでどのくらいの日数がかかるのか説明していきます。

(1) 補助金申請から取り組み完了までの流れ

事業承継補助金の公募に申請して約1ヶ月後に交付が決定してから、申請した新しく始めたい取り組みを行うことができます。ただし、実際の補助金は、取り組みが完了した後に交付されるため、一時的に費用を立て替える必要があります。

たとえば、新しい設備を導入する場合、設備費用はまず企業が支払い、実際に支払った金額に一定の割合を乗じた金額が後で交付されます。そのため手元資金で足りない場合は、金融機関等から一時的な借入が必要になるので注意しましょう。

(2) 取り組み完了から補助金受け取りまでの流れ

新しい取り組みが完了した後、30日以内に実績報告書の提出が必要です。その後、2〜3ヶ月で補助金が交付されます。

(3) 5年間、事業収益を報告する義務がある

補助金交付を受けた後の5年間、補助金を利用して新しく始めた事業の収益状況を報告する義務があります。補助金とはいえ、その5年間で一定以上の収益が出た場合は、収益の一部を返金することになっています。しかしながら、返金する金額は交付金額が上限であり、利益が出ていない場合は返金の必要はないので損になることはありません。

5.採択されるための申請書作成のポイントについて

桑田悠子さん

申請書を作成するにあたっては、公募要項の審査基準をしっかり読み込み、申請の目的を明確にわかりやすく説明することが大事です。さらに、採択されるためには、どのような項目が重要な加点ポイントになるのかを知っておく必要があります。

(1)加点ポイントは「地域貢献度」?

どちらの事業承継タイプにも盛り込まれている要件は、「地域の需要や雇用を創出し、さらにその地域の需要や雇用を支え、地域経済に貢献していること」です。中小企業庁のHPに掲載されている交付例を見ても地域密着型の企業が多くあることから、「地域貢献度」が非常に高い加点ポイントになっていることが伺えます。

(2)「地域貢献度」を測る指標は?

「地域貢献度」を測る主な指標は、所在する地域又は近隣地域からの売上高・仕入高・住民の雇用の3つです。そのほかにも、地元特産物を生産するなど、地域の強みを活用することが大きな加点ポイントになるでしょう。地域の需要や雇用において、地域経済に大きな影響力のある企業は、交付対象になりやすいといえます。

(3)都心の企業は補助金の対象になりにくい

多くの企業が集中している東京都の中央区、千代田区、港区にある会社は、なぜか、ほとんど交付対象になっていません。その理由は、所在する区や隣接する区から仕入れ、売上げ、雇用をしている地域密着型の加点が取りにくいからかもしれません。この事実も鑑みると、これらの中心地以外の地方の会社においては、交付比率が高いので、やはり地域密着型が加点ポイントであると推測されます。

(4)その他の加点も忘れずに

加点ポイントは「地域貢献度」だけではありません。比較的取りやすい加点として、
・「中小企業の会計に関する基本要領」又は「中小企業の会計に関する指針」の適用
・経営力向上計画の認定
が挙げられます。「中小企業の会計~」を満たしているかどうか、事前に顧問税理士等に確認しておきましょう。さらに、申請時点までに経営力向上計画の認定を受けられるように、早めに策定~届け出を行っておくことで、公募前から有利に準備を進めることができます。
ただし、加点要素は毎年変更になるため注意が必要です。昨年7月に始まり、すぐにものづくり補助金で加点要素になった「事業継続力強化計画」の認定も加わりそうです。

(5)賃上げも大きな評価ポイント

事業承継補助金のみならず補助金全般において、従業員の賃上げは重要な評価ポイントとなる傾向があります。たとえば、ものづくり補助金の申請でも「賃上げ1%以上」という加点項目があり、応募者の8割近くがこの加点項目を利用しています。事業承継補助金の加点項目として明確な記載はありませんが、国の政策として賃上げを推進していることから、賃上げにつながるかどうかも重要な評価ポイントとなっている可能性が高いと考えられます。

(6)申請書を書くときの注意点は?

そのため「設備投資をして効率化することで、人員削減につながる」というような青写真では、「地域の雇用を支える」という項目から外れ、大きなマイナスの評価につながりかねません。
この場合は、「設備投資をして従業員の業務がより高度になり、結果として賃金がアップする」というほうが綺麗な形に収まります。

また、特にⅡ型で複数の事業者が関わるような場合に、どの会社がどの会社や事業を引き継ぐのか、といった「事業承継のスキーム」をわかりやすく図で示すなど、当事者には当然のことであっても、初めて見る人でもわかるよう、しっかり伝える必要があります。

2019年度から完全電子申請になったことで、フリーテキストで記述する欄が少なくなりました。添付する補足資料では文章よりも図や写真、フローなどを多く活用することで、実施する新たな取り組みの内容や期待できる成果をわかりやすくアピールしましょう。

(7)どのような将来像が理想か?

「前経営者が大切にしてきた地元とのつながりを引き継ぎながら、そこに継承者の経験が加わり、新しいサービスや商品開発をすることで企業の発展を目指す」という姿が理想的かと個人的には考えております。

経営者の高齢化に伴い、家族や従業員以外の第三者への事業承継にも国は力を入れ始めています。
第三者の新しい視点や発想、技術の導入によって本人も気づいていない事業価値を再発見する、そのような取り組みも今後は求められていくと思っています。
そのような第三者承継を促進するために、外部から後継者候補をトライアル的に雇用するための、承継トライアル補助金という新設補助金も、2020年度の予算案には盛り込まれているのでこちらも注目です。

(8)申請する経費の内容は?

新しい商品やサービスの開発、新しい生産販売方式の導入など、目新しいことに取り組むことが重要です。新しい取り組みを始める場合は、その多くを委託や外注に依存するような方法よりも、自社で「機械設備を購入」したり「人を雇用」したり「内装工事をする」ほうが交付率が高いようです。

6.申請時には、認定支援機関への依頼が必要~税理士への相談について~

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当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。

事業承継補助金を申請する際、申請書作成を税理士等の専門家家に依頼する必要があるのでしょうか。実際、どのくらいの割合の人が税理士に依頼しているのでしょうか。

(1)「 認定支援機関」の協力が必要

結論からいえば、必ずしも税理士に依頼する必要はなく、「認定支援機関」の認定を受けている専門家へ依頼すれば申請は可能です。申請には、「認定支援機関」が作成した確認書を添付することが必須です。

※参考:中小企業庁「経営革新等支援機関認定一覧について」

(2)税理士に依頼している人の割合は?

実際に税理士に依頼している人の割合は、平成30年度第二次補正の公募では、経営者交代タイプで13%、M&Aタイプで11%ですので、それほど高いという訳ではありません。税理士でも、この補助金について詳しく知っている人の割合が少ないのが原因だと思われます。

顧客の中で対象者になりえる人がいても、税理士が事業承継補助金について知識がないため、そもそも提案という話にもならないのでしょう。

(3)実際はどの支援機関が携わっているの?

商工会議所が50%ほど、銀行と信用金庫が17〜43%で、補助金の80%以上がこれらの支援機関を通して申請されています。事業承継補助金については、税理士や会計士の知識の底上げが必要ですね。

(4)税理士に事業承継補助金申請を依頼するメリットは?

事業承継補助金申請には、事業計画書などの書類作成が必要ですが、税理士にとってこれらの書類作成は専門分野で慣れています。また、事業承継には後継者問題だけでなく、株式譲渡や税金問題も含まれることが多く、税理士であれば一度に解決できるのが大きなメリットだといえるのではないでしょうか。

7.まとめ

事業承継補助金は、経営者交代タイプであれM&Aタイプであれ、次の継承者が新しくサービスを始めたり商品開発に力を入れられるように、事業をスムーズに継承し、さらに発展するために活用すべき補助金です。

事業承継を完了した後であっても申請可能なので、新しいことにチャレンジしていきたいと考えている継承者の方は、事業承継補助金について中小企業庁のHPで内容を確認することをおすすめします。公募があるとすれば、次回は2020年4月ごろでしょう。応募の際には、「地域貢献度」がポイントになることを覚えておいてください。

地域密着で長らく地域の雇用や経済を支えてきた企業が事業承継を考えている場合は、2020年の公募に向けて準備する価値があるといえます。事業承継に関して、後継者以外にもさまざまな問題を抱えているのであれば、事業承継に詳しい税理士に相談してみてはいかがでしょうか。

 


話者紹介

桑田 悠子
円満相続税理士法人
代表社員税理士 桑田 悠子(くわた ゆうこ)

成蹊大学法学部卒業後、アパレルを個人事業で行う。
その後、一転して税理士を志し、大手税理士法人で経験を積んだ後、円満相続税理士法人の代表社員税理士としての現在に至る。

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