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事業承継型M&Aに必須!財務諸表とは?

2020/01/21
損益計算書

はじめに

事業承継型M&Aでは、相手先がどのような財務状況であるかを分析することが重要です。相手の財務状況が悪い場合、自社の経営環境を悪化させるリスクにもなりかねません。
初期分析を行わずに交渉を進めていき、引き返せない状態になって財務状況が悪いことに気づいても、M&Aを止められない場合があります。

初期分析を行うには財務諸表を読み解くことが必要です。そこで今回は、財務分析の方法と財務諸表の読み方についてLiens税理士事務所代表の齋藤幸生さんに教えていただきました。

目次

  1. 初期分析に必要な三つの主要項目
  2. 財務分析に欠かせない財務諸表とは?
  3. 財務三表①損益計算書
  4. 財務三表②貸借対照表
  5. 財務三表③キャッシュフロー計算
  6. まとめ

 

1.初期分析に必要な三つの主要項目

初期分析
事業承継型M&Aを行う場合の初期分析は、以下の3つの主要項目を用いて行います。

(1)財務分析

財務分析は、経営課題の分析や経営目標を立てるために行いますが、事業承継型M&Aの場合にも行います。

財務分析を行う上では、会社の収支が分かる損益計算書や、会社の体力が分かる貸借対照表を読み解くことが鍵となります。損益計算書からは、年商や原価、販売管理費、営業利益、経常利益や各種税金に関する情報を得ることができます。そして最終的に当期純利益を確認することができます。

貸借対照表は、資産、負債、純資産(資本)で構成されており、資産の構成内容として現金預金額や売掛金の額など、負債であれば借入金の金額が把握できます。そして資産から負債を引くことで会社の体力である純資産を確認することができます。

これらの財務諸表を活用してM&Aの実施可否の判断だけでなく買収価格を算出するための企業価値算定も行われます。

(2)事業分析

財務分析は、経営課題の分析や経営目標を立てるために行いますが、事業承継型M&Aの場合にも行います。

財務分析を行う上では、会社の収支が分かる損益計算書や、会社の体力が分かる貸借対照表を読み解くことが鍵となります。損益計算書からは、年商や原価、販売管理費、営業利益、経常利益や各種税金に関する情報を得ることができます。そして最終的に当期純利益を確認することができます。

貸借対照表は、資産、負債、純資産(資本)で構成されており、資産の構成内容として現金預金額や売掛金の額など、負債であれば借入金の金額が把握できます。そして資産から負債を引くことで会社の体力である純資産を確認することができます。

これらの財務諸表を活用してM&Aの実施可否の判断だけでなく買収価格を算出するための企業価値算定も行われます。

(3)リスク分析

会社にとって最も大きなリスクは倒産することです。M&Aを行なって自社の経営状況が悪化することを防ぐためにも、相手先のリスク分析を行なってM&Aの可否を判断するのは重要です。買収後にリスクが発覚しないように、事前にデューデリジェンス(相手先の価値やリスクなどを調査すること)を徹底しましょう。

実務上のリスクとしては「財務リスク」「人事リスク」「税務リスク」「法務リスク」の4つに分けられます。

財務リスクには、粉飾決算や「オフバランス」と呼ばれる帳簿に載っていない債務のリスクがあります。例えば、未払い残業金の発生や就業規則を従業員が知らない、あるいは退職金制度の有名無実化などが挙げられます。

売却側は、企業価値を高めるために負債等を貸借対照表に記載しない場合があります。オフバランスを知らずにM&Aが成立すると、必要以上に高い金額でM&Aをすることになったり、購入後に債務を持たされてしまう場合があります。

人事に関するリスクでは属人性が挙げられます。営業活動を1人の社員に依存していた場合、その社員が抜けることで売り上げが大幅に下がってしまう、というリスクの有無を考慮することも重要です。また、M&Aによる人材の流出や顧客離れといったリスクも考えられます。

税務リスクとしては、繰越欠損金や申告漏れがあった場合に追徴課税の支払い義務が生じます。金銭的なデメリットはもちろん、企業としての信用問題にも発生します。また税務リスクがある場合、企業価値が下がるので高値で買収してしまったことにもなります。

法務リスクの分かりやすい例として、訴訟を抱えるリスクがあります。M&A成立前に販売した製品に重大な瑕疵があり、損害が発生したと訴訟を受けた場合に対応する必要が出てきます。また特許使用やライセンス契約も、会社の支配権が移った場合には契約解除の可能性があります。改めて契約を行うにも、敵対企業のライセンスであれば契約ができずにビジネスが行えないというリスクも考えられます。

2.財務分析に欠かせない財務諸表とは?

 
齋藤幸生さん

財務分析を行うためには財務諸表が必要です。そこで、財務諸表とはどのような書類なのか紹介していきましょう。

(1)会社の経営状況を知ることができる

財務諸表は、企業活動を行う上で重要な情報で、年に一度決算という形で会社の経営状況を公開するために使用します。会社の収益性や生産性、成長性を分析し、財務状態や経営状況を客観的な数値で把握することができます。

財務諸表によって公開された情報に基づき、金融機関による融資の判断や取引先との決済方法や期間の判定にも使用されます。財務諸表はどの会社も同じ様式を使用しているので、財務諸表を読み解くことができるようになると、全ての企業の経営状況を知ることができます。

M&Aを行う場合、相手先の経営状況を知ることは最重要項目の一つです。過去の経営状況の推移を分析することが欠かせません。最低でも3年から5年の経営状況の推移を比較することで、会社がどのような経営を行なってきたのかを分析します。

財務分析は「収益性分析」「安全性分析」「生産性分析」「成長性分析」の4種類に分類され、M&Aにおいては収益性分析と成長性分析が特に重要です。

収益性分析では、企業が投入した資本に対して効率よく利益を生み出しているかどうかを分析します。

特に売上高、粗利、営業利益は重要な項目です。業界や事業規模から判断できる平均水準との乖離を見ることで、例えば「前年に10%あった営業利益が5%に下落しているにも関わらず、粗利が変化していない」という企業の場合、「販管費に手が加わった」などと判断することができます。

中長期的な観点で経営状況を知りたい場合には成長性分析が有効です。

成長性分析とは、前期や数期前と比較して売上高がどれだけ伸びたのかを確認する指標です。増収率や増益率という指標で評価しますが、これが高ければ事業が成長していることを表し、低ければ事業が衰退していることを表しています。

(2)財務諸表が必要な場面

財務諸表は、買収価格を決定する場面で必要です。特に貸借対照表は買収価格を決める企業価値算定を行うために欠かせません。企業価値算定を行う際の評価方法には主に3つの方法があり、時価純資産法、DCF(Discount Cash Flow:割引キャッシュフロー)法、類似会社比較法のいずれかの方法で企業価値算定を行います。

中小企業のM&Aを行う場合は、時価純資産法とDCF法の2つの方法で評価を実施し、中間の値を評価値とするのが一般的です。時価純資産法は「今、会社が持っている資産を全て売却し、負債を全額支払った場合にいくら残るか」を算出する方法で、評価は貸借対照表の純資産に近い値になります。

時価純資産法は、主に創業から10年以上の企業を評価する場合に用いられます。これは企業が蓄積している純資産に着目して企業評価を行う手法なので、社歴の長い企業ほど高く評価されます。

一方で、財務三表に現れない企業ブランドや人的資源に関する評価が考慮されないので、成長中の企業やビジネスで「のれん」と呼ばれるブランド力、技術力の高い企業は評価されにくい傾向になります。

DCF法は5年の事業計画を策定し、割引計算する方法です。会社が将来生み出す価値を「フリーキャッシュフロー」で推計し、「資本コスト」で割り引いてDCF(現在価値)に換算して会社を評価する方法です。「割引キャッシュフロー」や「割引現金収支法」と呼ばれることもあります。

DCF法では会社が将来的に生み出すであろうキャッシュを、リスクなどを勘案した割引率によって現在価値に割引いて評価額を算出します。「割引現在価値」が大きいほど、その会社が将来獲得するキャッシュが多いと判断できます。

DCF法では、会社の持つ人的資源や「のれん」によって評価が変化します。また時価純資産法に比べて成長している企業が高く評価されることになり、社歴の短い企業でも将来性のあるビジネスをしている場合には良い評価を得られます。

一方で、将来確実に成長するかは不確定なので、事業計画の実現可能性の高さが評価のポイントとなります。また、企業価値が過大評価されている場合にも実態と乖離した評価が与えられる場合があるなど、客観性に欠ける評価指標でもあります。

現在のM&Aでは、時価純資産法とDCF法の2つの評価を行い、中間の数値を評価額とするのが一般的な評価方法です。この評価を行うためにも財務諸表は欠かせません。

(3)主要な書類は財務三表

財務分析を行う場合には財務三表を使用します。財務三表は、財務諸表の中でも特に重要な3種類の書類の総称で、「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」を指しています。
この3つの書類を必要な状況に合わせて組み合わせて分析することで、会社の財政状態や経営状況を分析することができます。

3.財務三表①損益計算書

損益計算書は、事業年度の利益を分析できる書類で「P/L」とも呼ばれています。損益計算書を理解する上では以下の2つのポイントが挙げられます。

(1)利益を分析できる書類

損益計算書には、会計期間内に会社がどれだけの売上高や利益をあげているのかが、勘定科目ごとに記載されています。経営戦略を計画する際に重要な書類で、会社の収益力や利益構造を分析するための書類であるといっても良いでしょう。M&Aにおいても企業価値算定や事業の継続性を判断するために使用します。

(2)5つの利益を理解

損益計算書で把握できる利益のうち、「粗利率」「営業利益率」「経常利益率」「税引き前当期純利益率」「税引き後当期純利益率」の5つが経営分析に必要な数値です。特に、中小企業を評価する上で重要な指標が営業利益率です。一般的な中小企業では財務活動はほぼ行わず、営業外で発生する支払いは借入金の利息など限られた項目です。したがって、営業利益率を分析することで企業の経営状況や事業の継続性を読み解くことができます。

損益計算書の評価には、単年度で評価する場合と複数年で評価する場合があります。単年度で損益計算書を評価する場合には、売上原価率や販売費率、売上高販管費率などから収益構造を分析します。

複数年で評価する場合には、過去3年から5年の売上高比率の変動が大きい勘定科目に注目し、増減内容を分析することで今後の経営方針を決定します。

M&Aを行うための初期分析では単年度分析で相手先の収益構造を把握し、複数年度の分析で経営上の特徴や長期的な事業の持続性を把握するのが一般的です。

4.財務三表②貸借対照表

貸借対照表
貸借対照表は財務上の健全性を理解できる書類で「バランスシート(B/S)」とも呼ばれており、企業がどのくらいの財産を所有しているかを把握できる表です。貸借対照表を理解する上では、以下の2つのポイントを押さえておきましょう。

(1)財務上の健全性を理解できる書類

貸借対照表は「資産」「負債」「純資産」から構成されており、M&Aを行う場合には財務上の健全性を分析するために用いる書類です。

資産には現金や預金などの金融資産だけでなく、売掛金や土地建物などの固定資産が計上され、負債には借入金や支払手形なども含まれます。

貸借対照表を分析する上で重要なのが負債です。負債額の中でも借入金がどれくらいあるのかを分析するのが重要です。倒産のリスクも貸借対照表から読み解くことができます。自己資本比率が50%以上であれば優良企業とされていますが、自己資本比率が10%を切っている場合には倒産リスクが高いといえるでしょう。

また、近年は赤字上場する新興企業が増えています。ベンチャーキャピタルなどから出資金を多く集め、赤字を出資で補っているという場合があります。このような企業は、将来性があるので資金が集まるという傾向にあります。事業規模に比べて出資金の多い企業のM&Aを検討している場合には、損益計算書と比較して事業の継続性があるかどうかを判断する必要があります。

(2)資産・負債・純資産の部門を理解

貸借対照表を構成する3つの部門の内訳や項目ごとの特徴を理解しておくことも重要です。

資産は現金、預貯金、売掛金、固定資産などから構成されています。固定資産は、製造業においては工場や機械などの固定設備があるので多くなり、サービス業においては少ない傾向にあります。また、固定資産の購入時期から減価償却のサイクルを読み解くこともできます。

負債には、対外債務としての買掛金、借入金、中小企業の場合はオーナーからの借入金が挙げられます。オーナーからの仮掛金はM&Aにあたってトラブルの原因になりやすいので、M&Aの交渉時に合意しておくことが重要です。例えば、オーナーからの借入金は退職金と相殺して解決する必要があります。

純資産は資本金や資本剰余金などの出資金、利益剰余金が主となります。自己株式を株主から購入している場合には、自己株式も純資産に含まれます。自己株式を購入していると、その分株式数が減っているので一株あたりの単価が上昇することになります。

5.財務三表③キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計画書
キャッシュフロー計算書は「C/S」とも呼ばれ、会計期間のお金の流れを知るために必要な書類です。キャッシュフロー計算書を活用するためには、以下の2つのポイントを押さえておきましょう。

(1)会計期間のお金の流れを示す書類

会計期間に増減した現金預金の金額と、その内容が記載されている書類です。上場企業でない場合は作成義務がありませんが、企業のお金の流れを把握して黒字倒産を防ぐために作成する企業も多いです。

ビジネスにおいて会計上の利益と「運転資金」と呼ばれる手元にある現金はイコールではありません。製品やサービスを生み出す前に仕入れを行う必要があるビジネスは多いので、損益計算書上では利益が上がっているように見える場合でも、資金繰りが悪化するというリスクは存在します。資金繰りを安定させるためにも、キャッシュフロー計算書によって資金の流れを把握し、余裕を持って経営判断を行うことが重要とされています。

M&Aにおいては、これまでの現金の流れを分析することで、どのような企業活動を行なってきたかを把握することができます。また資金繰りの状況を確認することで、財政面での弱点がないかどうかを分析することができます。

(2)3つのキャッシュフローを理解

キャッシュフローは「営業活動」「財務活動」「投資活動」の3つのキャッシュフローで構成されており、それぞれのお金の流れが確認できます。一般的に黒字経営の企業においては営業活動のキャッシュフローがプラスになり、営業活動で得たお金をどのように配分するかを判断して財務活動や投資活動に振り分けます。

キャッシュフロー計算書を読み解く方法として、例えば「営業活動のキャッシュフローはプラスだが、財務活動のキャッシュフローはマイナス」「経常利益が営業利益より少ない」などという企業があった場合には借入過多ということがわかります。

また、投資活動のキャッシュフローが急激に増えた場合には「設備を売却して現金を集めた」という可能性があります。この場合は貸借対照表と比較することで企業がどのようなアクションを起こしたかを把握することができ、業績悪化や事業縮小の兆候を掴むことができます。

キャッシュフロー計算書と貸借対照表を使って借入金の多寡の推測を行うこともできます。貸借対照表の支払利息が営業利益よりも多く、キャッシュフロー計算書の財務活動のキャッシュフローがマイナスで営業活動のキャッシュフローがプラスの場合、営業活動の利益を借入金の返済に回している場合があります。この場合には、借入金の支払利息によって経営環境が悪化しており、借入過多であると推測することができます。

6.まとめ

事業承継を行う場合、財務諸表を用いて初期分析を行うことが成功の第一歩です。相手先の経営状況の推移やお金の流れを把握することで、買収後のシナジー効果が得られるのか、買収後に自社の経営環境が悪化しないかなどのリスク分析が可能となります。

事業承継型M&Aに関する財務分析に自信がない場合には、M&Aの財務分析に強い会計士やM&A仲介会社に相談するのも一つの選択肢です。まずは事業承継型のM&Aを検討していると相談してみることから始めてみましょう。

〈話者紹介〉
齋藤幸生さん
Liens税理士事務所

代表
齋藤幸生

東洋大学経済学部卒。平成28年に税理士試験合格し、都内税理士事務所にて国際税務に従事。
平成29年5月 Liens税理士事務所を開業と同時に経営革新等支援機関となる。

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