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バリュエーションとは?M&Aにおけるバリュエーションの方法と注意点について解説

2020/02/04
01_バリュエーションとは?M&Aにおけるバリュエーションの方法と注意点について解説

はじめに

バリュエーションとは「企業価値評価」のことです。M&Aにおいては、売手と買手の両社が合意に至るための指標となる価格を見出すためにバリュエーションを行います。本稿では、バリュエーションの定義や流れ、3つの主要な手法(インカムアプローチ、マーケットアプローチ、コストアプローチ)、バリュエーションを行う上での注意点などについて解説します


1.M&Aにおける「バリュエーション」とは? 

03_M&Aにおける「バリュエーション」とは?

M&Aにおけるバリュエーションとは、端的に言うと企業価値の評価を行うことです。M&Aにおいて売買される会社は、一般の商品のように市場で頻繁に取引されるものではないため、市場価格が形成されにくく、個々の企業により価格はまちまちです。従って、M&A取引に先立って売買対象となる企業の価値を評価し、当事者間(売手企業と買手企業)で最終的な合意に至るための指標となる価格を算出する必要があります。

【3種類の評価方法】

M&Aにおけるバリュエーションの手法、つまり企業価値を算出する手法は、大きくは「インカムアプローチ」「マーケットアプローチ」「コストアプローチ」の3種類に分けられます。

「インカムアプローチ」は企業の収益性に基づく評価方法で、企業が将来的に獲得するであろう収益の総額を現在価値に割り戻して企業価値を算出します。

「マーケットアプローチ」は市場価格に基づく評価方法で、類似企業の株価や類似のM&A取引の実績を基に企業価値を算出します。

「コストアプローチ」は企業の資産性に基づく評価方法で、財務諸表上に記載された純資産を基に、簿価純資産法、時価純資産法、修正簿価純資産法などの方法を用いて企業価値を算出します。

両社が納得のいく合意価格を形成するために、これらのアプローチで算出された企業価値をベースに、専門家も交えながら話し合いを進めて最終的な取引価格を決定します。その際、どのアプローチで算出された企業価値を基準にするかはケースバイケースです。一般的には取引される企業の実態を見極め、それぞれのアプローチのメリットとデメリットを勘案しつつ単独または組み合わせて、できるだけ実態に即した取引価格を決めていくことになります。

【取引価格決定までの流れ】

M&Aの交渉は、買手と売手が「この位の価格であれば」という希望価格があって、その上でその希望価格が妥当なものであるかどうかをバリュエーションで検証していく流れになります。

買手は、バリュエーションを通じて企業価値の算定を行います。次いで、デューディリジェンス(企業の資産性、収益性、リスク、事業モデルなどを精査する作業)を実施し、バリュエーションで算定した企業価値を修正する作業を行った結果、その修正後価格で取引を実行するかどうかを判断します。

その修正後価格で取引を実行すると判断した場合、買手は売手にその価格を提示します。そして、売手がその価格を受け入れれば取引成立、受け入れなければ取引不成立、または再度調整していくという流れになります。


2.インカムアプローチ 

04_インカムアプローチ

インカムアプローチは企業の収益性に基づく評価方法で、その代表的な方法がDCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)です。DCF法では、企業が将来的に獲得するであろうフリーキャッシュフロー(FCF)の総額を現在価値に割り引いて企業価値を算出します。

ちなみに、フリーキャッシュフローとは、企業活動の結果として生じた会社が自由に使えるお金(キャッシュフロー)のことです。フリーキャッシュフローは、営業キャッシュフロー(営業活動で獲得したキャッシュフロー)から投資キャッシュフロー(設備投資等の事業維持成長のために必要なキャッシュフロー)を差し引いて算出します。DCF法では、企業が将来的に獲得するであろうキャッシュフロー(将来キャッシュフロー)の合計を算出し、一般的にWACC(加重平均資本コスト)と呼ばれる割引率を用いて現在価値に割り引いて企業価値を算出します。

インカムアプローチのメリットは、企業そのものにスポットを当て、企業の長期的な収益性(将来にわたってどの程度稼ぐことができるか)を前提に企業価値を算出する点です。その意味で、理論的かつ原則的な方法と言えます。

一方で、売手の経営者が作成した事業計画(一般的には5か年計画)をベースに企業価値を算出しますので、どうしても主観が入りやすいというデメリットがあります。売手はできるだけ高値で売りたいという意識が働くため、見栄えの良い事業計画を作ろうという意識が働きます。将来の事業計画であり、専門家がデューディリジェンスを行ったとしても、妥当な計画数値がどの程度かはなかなか見抜けないため、算出される企業価値は事業計画の数値によって左右されることになります。


3.マーケットアプローチ 

05_マーケットアプローチ

マーケットアプローチは市場価格をベースにした評価方法で、類似企業の株価や類似のM&A取引事例を基に企業価値を算出します。非上場企業の場合、一般的に類似会社比準法と類似取引比準法が利用されます。

類似会社比準法では、株式公開企業の中から類似の企業を複数社選定し、PER(株価収益率)、PSR(株価売上高倍率)、PBR(株価純資産倍率)などの指標を計算してその平均値を算出します。そして、売買対象企業の税引後純利益、売上高、純資産額などにその倍率をかけて企業価値を算出します。

一方、類似取引比準法では、過去にあった類似のM&A取引事例を参考にして取引価格を決めていきます。

マーケットアプローチのメリットは、いずれの手法も類似企業の株価やM&A取引事例といった外部データを基に算出しますので、客観的な手法である点です。一方、デメリットは、類似の上場企業やM&A取引事例の選定が難しく、なかなかふさわしい類似企業が見つからない場合がある点です。


4.コストアプローチ 

06_コストアプローチ

コストアプローチは企業の資産性に基づく評価方法で、財務諸表上に記載された純資産(資産総額から負債総額を差し引いた金額)を基に企業価値を算出します。帳簿上の価格をそのまま採用する「簿価純資産法」、時価に換算して利用する「時価純資産法」、含み損益のある土地や有価証券などの主要な資産のみを時価評価する「修正簿価純資産法」などがあります。

コストアプローチのメリットは、帳簿に裏付けられているため、客観性がある点が挙げられます。一方、デメリットは、事業の継続性や将来の収益性が反映されない点が挙げられます。

なお、時価純資産法は簿価純資産法よりも実態を反映していると言えますが、時価の評価が難しく、恣意性が入りやすい側面があります。また、実務上全ての資産負債を時価評価することが難しいため、時価純資産法を使用するケースは限られます。時価評価を行う場合、修正簿価純資産法を用いて、含み損益が多く、時価を入手しやすいもの、例えば、土地、有価証券などを時価評価するのが一般的です。


5.ベンチャー企業におけるバリュエーション 

ベンチャー企業は、事業を立ち上げるべく多額の先行投資を行っているため、設立当初は、キャッシュフローがマイナスになっている会社がほとんどです。とはいえ、従来にない新しい技術やビジネスモデルにチャレンジしているのですから、赤字だったとしてもその将来性は高く評価される傾向にあります。

そうしたベンチャー企業は赤字のためマーケットアプローチによる利益マルチプルが利用できなかったり、インカムアプローチによるDCF法を利用したくても将来計画が不確実すぎて評価結果に信頼が置けないため、一般的な企業評価の手法が利用できないという問題があります。
そこで、ベンチャー企業におけるバリュエーションでは、ベンチャーキャピタルメソッドと呼ばれるベンチャー企業の上場時に得られる金額を投資時現在に割引いて評価額を算出する方法が行われます。また、類似の上場企業や過去のM&A事例を基に相対評価することもあります。その際、利益が出ていないベンチャー企業が多いため、評価指標として「利益」ではなく「売上高」を利用します。具体的にはPER(株価収益率)ではなくPSR(株価売上高倍率)が使用されます。つまり、類似企業の株価が売上高の何倍になっているのかを算出し、ベンチャー企業の売上高にその倍率をかけて企業価値を算出するのです。


6.バリュエーションを行う上での注意点 

07_バリュエーションを行う上での注意点

最後に、バリュエーションを行う上での注意点を、売手、買手に分けて説明します。

【売手の注意点】

可能な限り貸借対照表をシンプルにわかりやすく、損益計算書を魅力的なものにして、買手が買いやすい状態にしておくことが大切です。具体的には、売掛金の回収、借入金の返済や未払金・買掛金の支払など滞留している資産や滞留負債がない状態にしておく。また、できる限り売上高を伸ばし、コストを削減することでキャッシュフローを増やしておきましょう。

そのためには、できるだけ早期にバリュエーションを行い、自社の分析をしっかりとしておくことが大切です。「業績が良くないからすぐに売りたい」と考えがちですが、赤字だとなかなか買手が手を挙げにくいものです。会社にも「売り時」があり、「業績は非常に好調だが、今後下がってくる可能性があるので今のうちに売っておこう」というタイミングがベストです。その状態にないのであれば、売りやすい状態にしていく必要があります。早期にバリュエーションを行い、必要かつ可能な対策を講じましょう。

【買手の注意点】

買手にとって、バリュエーションを通じて企業の適正な評価額を知ることは極めて重要です。買収を思い立った当初は「このくらいの金額で買えるだろう」と、経験則に基づいて見積る方が多いでしょう。しかし、それが必ずしも適正な価格であるとは限らないことに注意しましょう。特に、複数の買手でM&Aを競い合う状況になった場合、売買価格がつり上がっていくケースがあります。どこまでなら買えるのか、あるいは買えないのかといった判断基準がないと、妥当な価格より高く買ってしまいかねません。そうしたリスクを回避するためにも、個人的な見解や余計な思惑を入れずに、客観的な視点から適正なバリュエーションを行っておくことが大切と言えます。

 


話者紹介

02_profile_公認会計士税理士古川事務所 古川孝之氏
公認会計士税理士古川事務所
代表公認会計士・税理士
古川 孝之(ふるかわ たかゆき)

慶應義塾大学法学部法律学科卒、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務コース・知財戦略講座プログラム修士課程卒、東京工業大学大学院社会人MOT知的財産戦略コース修了。東京地方裁判所知財計算鑑定人。株式会社NTTデータに入社し、システムエンジニアとして東京金融取引所のシステム構築、人工知能(AI)の共同研究に参画。その後、公認会計士税理士古川事務所を設立。M&A財務・税務調査、企業評価、事業承継、税務、知財・フォレンジック会計の各サービスを提供している。セルサイド及びバイサイドのアドバイザリー業務にも注力している。

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