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中小企業の倒産・廃業を避けるための後継体制構築とシナジー追求とは?

はじめに

中小企業や零細企業は、後継者不足によって事業の継続が困難になる時代を迎えているといわれています。しかし、実態はどうでしょうか。本当に後継者がいない場合もあるでしょうが、そうではなくて後継者を育てる努力をしていなかった場合もあるのではないでしょうか。

倒産や廃業という事態に陥らないために、後継者が育つ体制づくりや自社の力に対する客観的な認識、シナジーを生む戦略などを常に経営者は考える必要があります。

今回は、中小企業の後継者問題やM&Aに詳しいタナベ経営のチーフコンサルタントである文岩さんにお話を聞きました。


1.「後継者不足」が本当に意味するものとは?

文岩さん

中小企業の生き残りが熾烈な時代になって久しいですが、創業者の高齢化も進み、次世代の経営者たる後継者がいないという理由で、廃業という選択肢を選ぶ企業も残念ながら存在します。後継者不足というものを少し掘り下げて考えてみましょう。

(1)中小企業の事業承継の難しさ

事業は承継されても、経営者が代替わりしてから経営が傾くケースが多いのも事実です。とりわけ、それは創業社長から二代目社長に変わったときに顕著に表れます。

なぜなら、基本的に創業者というものは天才肌気質があるもので、二代目社長がそれを超えることはなかなかハードルが高いからといえるでしょう。創業者はビジネス感覚が優れているので、どこで資金がショートし、どうやったら儲かるかということに対して敏感です。

だからこそ生き残り、事業も続いてきたということはいえます。もちろんそういった企業の多くはトップダウン型のワンマン経営であり、基本的に社員は社長に従いなさいというやり方でやってきました。

それが事業承継によって経営者たる社長が二代目に代わったとき、先代社長と同じ土俵で勝負しようとすると、まず失敗に終わります。先代社長と同じようなやり方でやって、古参の幹部が二代目社長に信奉してついてくるわけがなく、成功するのは至難の技といえるでしょう。

経営者の資質と一言でいっても、創業者と二代目の社長とでは求められる資質が全く違います。つまり、創業者はすべて一人でやってきたので人に頼ることをしません。自分自身の嗅覚が鋭いので頼る必要もなく、部下に説明したところで理解が追いつかないのです。

(2)創業者と二代目の資質の違い

しかしながら、創業者にはできない組織経営というものに関しては、実は二代目社長こそが取り組みやすい立場にあります。しっかり部門の長をおいて自分の右腕や左腕を作ることができるのは、二代目というスタンスの方が向いているのです。

ゼロから一を生み出すのは創業者ならではの仕事ですが、一を百にすることに関しては二代目の方に成功事例が多いのです。二代目社長はワンマン経営ではなく、次世代幹部を育てながらチームを構築して進んでいくことが成功の要であり、事業承継に必要不可欠なファクターです。

気軽に跡を継いでも、先代社長についてきた生え抜きの古参幹部が控えるなか、皆を納得させて引っ張っていくことは不可能に近いといえます。そんなに強い影響力が最初からあるわけがありません。

一方、古参幹部もそれまでは社長が道を切り開いてきたのであり、何かをジャッジするときも社長の判断で乗り越えてきたものですから、どうしていくべきかが分からないのです。

したがって、二代目社長はそういった古参幹部とも腹を割って相談しながら、同時に次世代の幹部候補を巻き込んで経営チームを形成し、一体となって進んでいかなくてはなりません。その並走期間ともいうべき期間として二、三年はかかります。

それができずに倒産に至るケースも残念ながら少なくありません。後継者の社長も生身の人間です。心が折れることも多々あるでしょう。結局「後継者が不足している」部分だけではなく「後継者を育てられていない」ことも見逃してはいけないぐらいにあるということです。

名目上の後継者がいたとしても、うまく承継できなければ後継者不足と同じ意味になります。創業社長が誰かを後継者として考えていたとしても、事業を承継できる体制を作ってきたのかどうかに左右されます。

頭数だけの後継者はいないも同然と考えれば、実際にいわれている以上に「後継者不足」は深刻であるといえるでしょう。創業社長が後継者を育てることができなかった、あるいは後継者にスムーズにバトンタッチできるフォーマットを作れなかったというケースは、中小零細企業ではよくあります。

しかし、それを倒産や廃業の言い訳にするのはどうでしょうか。一般論として、もし幹部が部下を育てられずに営業成績を落としてしまったら、経営者は納得するでしょうか。納得するわけはありませんよね。とはいえ、会社の後継者を育てられないのは、それとまったく同じことなのです。

もし、現業に手がいっぱいで後継者を育てる余裕がなければ、企業コンサルタントを活用するという選択肢もあります。それもしない、何もしないで倒産や廃業に至るならば、それは残念ながら自業自得としかいえないのです。

2.倒産と廃業の違い

悩むビジネスマン

廃業とはあくまで会社の生き方における一つの選択肢です。経営者が自分自身で深く考えた末に会社をたたもうと決断し、ブレーンの理解も得たうえで粛々とおこなうものであり、納得した自分が自ら行うものです。

一方、倒産とは予期せぬ事態であり、やっていこうと思ってもやりようがない状態をいいます。会社が回らなくなった結果であり、やむを得ないことなのです。廃業は、黒字の状態だからこそ退くタイミングを決断できる類いのものです。すなわち、廃業と倒産は似て非なるものなのです。

百年企業といわれるほど長く続いている企業は、時代に即してどんどん事業内容を転換してきました。そうでなければ、世紀を超えて事業を継続することは不可能です。どんなに現業が好調であっても、常に新しい事業への視点を持つことは、事業継続のために必要不可欠です。

そういう視点があればこそ、自社の強い部分と他社の強い部分が組み合わされ、シナジー効果が生まれると気づいたうえでM&Aの着想が生まれるのです。優秀な経営者は、常にそれを考えています。

その視点があれば、安易に廃業という選択肢を選ばずとも、生き延びる方法が見つかる可能性は存在します。事業譲渡は、一つの有力な選択肢でもあるのです。

3.事業譲渡のメリットとデメリット

文岩さん

M&A・事業承継を検討している方へ

当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。

事業譲渡には様々な面があり、総合的に考えてプラスなのかマイナスなのかで判断するべきものです。メリットとデメリットを整理してみましょう。

(1)事業譲渡のメリットとは?

事業譲渡の最大のメリットは、事業が継続することにつきます。廃業や倒産は、いずれも事業が永久に存在しなくなるので、大きな違いだといってよいでしょう。

極端な話ですが、廃業するぐらいであれば、従業員の生活などをかんがみて、たとえ希望どおりの金額にはならないとしても、買ってくれる企業があれば買ってもらうという選択肢があります。

もちろん、経営者としてのプライドもあるでしょうし、それまで自分が人生をかけてやってきたことの証ともいえる売却価格は、ある意味で一つのバロメーターとして高値を付けてもらいたいのは当然です。

しかし、それ以上に残された従業員のことを考えて、少し低い評価額であったとしても買ってもらう決断ができる人こそ、経営者としては立派なのではないでしょうか。

無理に安く売る必要はありませんが、たとえ満足のいかない金額であっても、事業と従業員の将来を託せることは、経営者にとって評価額よりも大切なことでしょう。

事例としてあったのは、価格的には折り合わないものの、自分の若い頃を彷彿とさせる買収元社長の「人となり」を気に入り、「この人なら従業員と事業を任せたい」と決意した経営者のケースです。あっぱれな決断をされたといえるでしょう。

その方がいうには「この人なら従業員もついていくだろうし、経営をしっかりやってくれると感じた」とのことでした。

(2)事業譲渡のデメリットとは?

事業譲渡でたまに起こるのが、社内に抱えている何らかの問題を隠蔽して売ってしまうケースです。後になってそれが露見し、話が違うとクレームが出て、訴訟問題に発展する場合もあります。そういうリスクが、デメリットとしては最も大きいでしょう。

もちろん、それを見抜くのもアドバイザーの仕事ではありますが、会社が故意に隠蔽しようとする事柄を見抜くのは難しい場合が多いのです。

アドバイザーは裁判に関与できないので、デューディリジェンス、つまりM&Aの取引に際して行われる売手側企業の不動産や金融商品の資産調査を徹底するのです。それと同時に、アドバイザー同士の信頼関係や、当事者である売手側と買手側が信頼関係を構築しておくことが欠かせません。

4.廃業や倒産を避けるためにできることとは?

ビジネスイメージ―継続か断念か

中小企業が倒産や廃業を避けるためにやっておきたいことを、アドザイザーの視点から言及します。

(1)後継者というよりも後継体制の確率

たとえば、夫婦や兄弟とやってきた家内経営であれば、譲渡するものも営業権ぐらいしかなく、廃業という選択肢は現実味があります。

しかし、せっかく組織的な企業体としてやってきたのであれば、後継者がいないという問題に将来直面しないように、早めに次世代の経営者を育成する手を打っておくことが重要です。

それもただ単に「後継者」を育成するというよりは、「後継体制」を構築することに置き換えて考えた方がより実践的な戦略をとれるでしょう。個人に負担を背負わせるのではなく、継続できる環境を作るということです。

(2)自社を客観的に評価してシナジー戦略を常に模索

また、自社の価値を客観的に評価する眼を養う必要もあります。かつて、コンサルティングを行ったあるスーパーマーケットでの事例があります。この会社の強みを聞いた私の問いに対して、先方の社長からは「品揃えの豊富さと社員の商品知識の深さ」という答えが返ってきました。

その裏付けを取るために顧客アンケートを実施したところ、そのスーパーを利用する理由の最も多いものは「自宅から近いから」であり、対するクレーム内容としては「品揃えが悪い」「店員の商品知識が乏しい」でした。

自社の強み把握はとても大切なことですが、それが自分で思う強みなのか、はたまた顧客が感じる強みなのかをよく認識し、それを踏またうえで、どういった会社と一緒になればより素晴らしい事業が生まれるかという視点も必要なのです。

それは、アドバイザーも真摯に考えることですが、経営者自身が心して考えるべきものでもあります。その方がよりよい相手を見つけられるでしょうし、相手も興味を持ってくれることでしょう。多少経営状態が芳しくなくても、マッチングによるシナジーが想定できればM&Aが成立する可能性があります。

今でこそM&Aを求める案件の数が多いので、案件の紹介レベルだけでもマッチングできる可能性は高いです。譲渡先を探している経営者に対して、「こういう案件がありますが売却の話を相談しますか」などという具合にです。

5.中小企業M&Aの今後の流れは?

文岩さん

しかしM&Aがこのままどんどん進めば、本当に買いたいと思わせてくれる会社でないと対象になりにくくなっていくでしょう。倒産に至る前に後継体制を作ることは大前提として、自社の力を活かすM&A選択の仕組みがあるのかということも模索する方がよいでしょう。

単に企業価値だけの売買ではなく、シナジーがより大きなものを生み出せないかと常に考えていると、気づかなかった自社の力に気づき、「これを伸ばせばやっていける」と考えてM&Aを選択肢から外すケースもありえます。

M&Aを考えるのであれば、まだ体力があるうちに考えた方がよいということがいえます。切羽詰まって是非もなく譲渡先を探すようになれば選択肢も狭くなり、自社の強みをPRする余裕さえもなくなってしまいます。

そうなれば不本意な売却になることや、そもそも誰も買ってくれない可能性も考えられます。様々なことを考えて手を打ち、それを踏まえて専門家であるアドザイザーに相談することもよいでしょう。しかし、何でもかんでも相談して何とかなるのは、恐らくここ1〜2年ぐらいしかないかも知れません。

今後、まずは後継者を探す事業者自身が「どういう組み合わせが自社の事業を伸ばせるのか」、「社会に貢献できるのか」という視点を持つことが大切です。単なるマッチングだけではなくて、ビジネスの道をどんどん深掘りして模索していくことも同様に欠かせません。

そういう意味において事業譲渡というものは、次第に戦略的な色彩を帯びてくるでしょう。しかし、そういう視点で物事を考えていれば、今まで問題点として捉えていたものが消えてゆき、譲渡以外の選択肢も浮上することだってあるでしょう。

6.まとめ

握手

中小企業や零細企業にとって、倒産や廃業を避けるためには早くから後継者と後継体制を意識して経営することが欠かせません。その上で自分たちの力を客観的に認識し、常にシナジーを生むためのビジョンを模索し続けていれば、多様に前向きな選択肢を持つ可能性も広がります。

話者紹介

文岩さん
タナベ経営
経営コンサルティング本部
東京 M&A アライアンスコンサルティング本部
チーフコンサルタント 文岩 繁紀

企業の良きパートナーとして、常にお客様の立場に立ったコンサルティングを展開。特に「クライアントの課題を共有化し、共に改善実行し、成果を挙げる」ことを大事にしている。スピード感ある連携ときめ細かなフォローで、M&Aコンサルティングを中心に企業の成長を支援している。

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