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建設業界のM&Aを解説!赤字・資金繰りが悪化していてもM&A・会社売却できる?

建設業界のM&Aを解説!赤字・資金繰りが悪化していてもM&A・会社売却できる?

はじめに

建設業界は、都心部と地方との業績格差や人材不足などにより、特に地方の中・小規模の建設業者は苦戦を強いられています。資金繰りが悪化している建設業も多く、経営を立て直す手段の一つとしてM&Aを検討する企業も増えつつあります。建設業界における中小企業の動向やM&Aの状況、赤字でも買手が見つかる条件、経営立て直しの事例などについて、建設業に特化した会社再生・事業再生・M&Aに関するサポートを行う株式会社リソアの星野進一様に聞きました。


1. 建設業界における中小企業の現状と課題

建設業界は、バブル崩壊以降、耐震強度偽装問題、サブプライムローン問題、リーマンショックなどの影響で市場規模の縮小が続きました。国土交通省の発表によると、建設業界の市場規模はピークの1992年度に約84兆円でしたが、2010年度には約42兆円にまで縮小。しかし、それ以降はリーマンショック後の景気回復、東日本大震災後の復興需要、老朽化したビルやマンションの建て替え需要、東京オリンピック・パラリンピック関連の大型再開発などにより、市場規模は回復傾向にあります。

一方で、東京オリンピック・パラリンピック関連の大型受注の影響は都心部中心で限定的であること、地方の中・小規模事業者は経営事項審査の点数が低いために公共工事の受注が難しいことなどの要因により、都心部と地方における業績格差が大きな課題となっています。また、過酷な労働環境のイメージから若年層の入職者数が大きく減少し、高齢者の引退も相まって、人材不足が一層深刻化しています。

特に地方の中・小規模事業者は、業績の伸び悩みと人手不足の両面で苦戦を強いられています。また、経営者の高齢化や後継者不在の問題を抱え、廃業や売却を検討する中小企業も多い状況です。


2. 建設業界における中小企業のM&Aの状況

建設業界における中小企業のM&Aの状
建設業界は、今後、オリンピック需要の反動、公共事業の更なる抑制、人口減少による住宅需要の低下などにより、市場の停滞が懸念されています。そうした中、大手総合建設業者(ゼネコン)やハウスメーカーによる地域の中堅総合業者(地場ゼネコン)の買収、開発業者(デベロッパー)によるリフォーム業者の買収など、地域や業態の枠を超えたM&Aが展開されつつあります。

中・小規模の事業者を買収するケースはまだ多くはありませんが、地域の賃貸マンション・アパートの管理会社が小規模なリフォーム会社を買収する動きがみられます。今後、人手不足が一層深刻さを増すと予想されることから、中・小規模の事業者においても売却のチャンスは十分にあると考えられます。

むしろ、経営不振や後継者問題を解決する手段の一つとして、M&Aを積極的に活用していくことを検討すべきでしょう。M&Aを行うことで、譲渡代金を銀行借入の返済に充てたり、別の事業にその資金を投入したりすることも可能になります。

ただ、事業を譲渡する場合、債権者の同意が必要になるため注意が必要です。債権者を無視して事業譲渡を行うと詐害行為にあたり、法的に訴えられかねません。また、金融機関から借入を行っている場合は金融機関の同意も必要になります。譲渡代金を返済の一部または全部に充当するかどうかを話し合い、債務残高がある場合は今後どのように返済していくのかを、新たな事業計画に基づき、弁護士を通じて説明する必要があります。
M&Aを行う際、様々な種類のスキームの中から最適な選択することになりますが、建設業界では株式譲渡を選択する傾向があります。というのも、建設業界は許可業種であり、各種許認可は法人に対して与えられているからです。基本的に、建設業は国土交通省(都道府県)の許可が必要な事業です。許可が不要な建設工事もありますが、建設業許可を得てほしいと言われることも多いものです。ただし、株式譲渡や事業譲渡により他者の建設業を譲り受けても、その会社の建設業許可を引き継ぐことはできません。譲り受ける会社が建設業許可を取得する場合には、その会社自身が建設業許可の申請を行い、許可を取得する必要があるため、注意しましょう。

公共事業とは異なり、住宅事業などはそうした制約が少なくなります。経営の立て直しのために、一部の事業を譲渡していくケースは今後増えていくものと思われます。


3. 赤字でも買手が見つかる条件

赤字でも買手が見つかる条件
建設業界は小規模事業者が多いという特徴があります。中小企業庁によると、全産業ベースで見ると事業者の約87%が小規模事業者(常勤従業員数20人以下)ですが、建設業においてはその比率が約96%と非常に高い割合になっています。

会社の規模が小さいと、わずかな変化で業績が大きく変動します。例えば、天候や現場の条件によって施工日数が予定より少し長くなるとその分の人件費が増え、資金がショートしてしまいがちです。だからと言ってその分を事前に見積ると価格競争力が下がり、受注も困難になります。規模が大きい会社であれば一つの現場で施工日数が一日伸びる程度の影響は軽微ですが、規模が小さい会社であればあるほどその影響は大きくなります。つまり、小規模事業者が多い建設業は赤字になりやすい業種とも言えます。

中・小規模の建設業を営む経営者の方から「赤字だから売却できないのではないか」という問い合わせを受けることがあります。M&Aにおいて、業績が赤字だと買手が付きにくくなるのは確かですが、必ずしも売却できなくなるわけではありません。一時的に「赤字」であっても、バランスシート(貸借対照表)が「黒字(資産が負債を上回る状態)」であれば、買手が付く可能性は十分にあります。赤字と債務超過は区別して考えることが大切です。一般的に、一定期間の収益よりも費用の方が大きければ赤字、貸借対照表上、債務が資産を上回る状態を債務超過と区別されます。

建設業界の人手不足は深刻な状況にあり、利益が出ていなくても人材獲得を目的にしたM&Aの動きもみられます。有資格者がいる赤字の会社を買収し、自社のシステムで教育し直して現場管理をしっかり行えば、黒字化することも可能ですし、経営者の手腕で業績を改善していくことが可能だからです。逆に、一時的に黒字であっても、バランスシートが悪化して債務超過になっていると、売却の可能性はぐっと低くなります。

また、建設業は入金のタイミングが案件により様々であるため、特に中・小規模の企業において資金繰りに悩む経営者は多いものです。例えば施工完了後の45日や60日入金の場合、その間に従業員への給料支払いが2回発生することになります。資金繰りが悪化したら、通常、未払い金の繰り延べ交渉や、銀行借入の期間延長、借り換え、借入の一本化の交渉などを行ったり、スポンサー探し(M&Aでの売却)を提案したりするケースもあります。その際も、債務超過になっていなければ売却の可能性は十分考えられます。

赤字になったり、資金繰りが悪化したりしても、純資産がプラスであれば事業価値はプラスに評価されます。加えて、目に見えない資産、例えば人材(特に有資格者)、顧客、技術、実績などをのれんとして計上することも不可能ではありません。事前にM&Aアドバイザーに自社ののれんを評価してもらい、決算書だけでは見えてこない価値を買手にアピールしていくことも大切です。


4. M&Aで経営を立て直した中小建設業の事例

M&Aで経営を立て直した中小建設業の事例
ここではM&Aで事業を立て直した中小建設業の事例を紹介します。

①大京が修繕工事施工会社の秀建を買収

全国でライオンズマンションを展開する大京グループは、2015年4月、修繕工事体制を確立するために、マンションの大規模修繕などを行う修繕工事施工会社の株式会社秀建を買収しました。秀建は売上高10数億円規模の企業で、資金的にも厳しい状況にあり、譲受け企業を探していました。秀建は大京グループの下請け会社だったこともあり、約2ヶ月で成約に至りました。

大京が秀建を買収するに至った理由は2つあります。まずは、自社の案件で修繕を行っていた実績があったこと。ただ、それだけの理由では、これまで通り下請け会社の一つとして付き合っていればよいわけですが、大規模修繕を行う会社を自社の傘下に入れることで、大京が管理するマンションの施工計画を、自社のスケジュール感で組むことができるとの狙いがあったからです。

もう一つは、自社で教育を行い、自社のやり方や品質で現場作業を進めたいとの考えがあったからです。教育も1回行えば次回以降はそれほど手間もかからなくなり、教育にかかるコストは下がっていきます。大きくはこの2つの理由で秀建を買収するに至りました。

②一部上場の地盤改良会社が小規模ビルダーを買収

当社がお手伝いをしていた案件の一つですが、社員15人、年商10億円規模の戸建て住宅を作る小規模ビルダーのA社がスポンサー探しをしていました。大手施工会社にも声をかけましたが、最終的に一部上場の地盤改良会社であるB社に事業譲渡することになりました。

A社は清算されましたが、従業員の雇用は維持され、A社の社長も事業部長としてB社に残りました。A社の社名は事業部名としてB社に残り、既存顧客のアフターサポートなどを行うことに。A社の抱える人材や顧客基盤などがのれんとして評価されたため、未払金などもB社側が弁済しました。現在、A社の元社長は退任して別の会社の顧問をしていますが、A社の従業員はB社にそのまま残っています。


5. 赤字の中小建設業者へのアドバイス

赤字の中小建設業者へのアドバイス
先述のように、業績が赤字であっても資金繰りが悪化していても、純資産がプラスであれば事業価値はプラスに評価されます。加えて、人材、顧客、技術、実績などをのれんとして評価されることも不可能ではありません。そうした目に見えない価値がどこにあるのかを事前に正確に把握し、買手にアピールしていくことが大切です。

そもそも、建設業は儲からない業種ではありません。投資利回りという観点からも、建設業は決して不利な業種ではありません。実際、ファンドが投資用に建設会社を買うケースもあります。資金を投入し、状況を改善できれば、事業を立て直すこともでき、黒字化させることも十分可能な業種だからです。また、ケースとして多いわけではありませんが、債務超過になった会社を買収すると、買手にとってその後の節税効果が大きいというメリットもあります。従って、赤字だからと言って安易に売却を諦める必要はないでしょう。ただし、業績不振の要因を客観的に分析し、買手に対して嘘偽りのない広範な情報をしっかり開示していくことが大切です。また、赤字である以上、あまりに高額な譲渡価格を望まないことも重要です。


話者紹介

株式会社リソア 星野進一氏
株式会社 リソア
代表取締役社長
星野 進一(ほしの しんいち )
父の病気を期に、家業の土建業を引継ぎ24歳の時に法人化。36歳の時に倒産し、48歳までの12年間を会社員として、ゼネコンと不動産会社に勤務。その後、建設業に特化した会社再生・事業再生・M&Aに関するサポートを行う株式会社リソアを設立し現在に至る。建設業界に限定することで、様々な厳しい条件の会社にも安価で専門性の高いサービスを提供する。これまでに、数多くの会社再生・事業再生案件に携わり、「人・顧客・技術・資金・資金繰り」すべてをサポート。特に株式譲渡や事業譲渡、事業提携など、様々なスキームを駆使し、安定した経営状態を早期に実現。後継者への承継もサポートする。

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