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M&Aによる「子会社化」は、合併による吸収とどう違う?メリット、デメリットも解説!

2020/03/24

はじめに

M&Aにおいて会社を取得した場合に、その会社を子会社として維持するか、あるいは合併して会社の中に取り込むか、悩む方がいらっしゃるかもしれません。どちらにメリット、デメリットがあるのかは一概にいえるものではなく、M&Aの目的により判断することになります。そこで今回は、一般的に知っておくべき「子会社化」に関する知識について、株式会社ソリューションパートナーズ 代表取締役CEO 石垣 正巳さんに教えて頂きました。


1. M&Aにおける「子会社化」とは?

1. M&Aにおける「子会社化」とは?

M&Aで会社を取得し支配するには、まずM&Aの対象となる会社の議決権の過半数以上を取得する必要があります。これにより、取締役の選任・解任や配当金の決定などができるようになり、実質的に経営権を手に入れたことになります。

さらに3分の2以上の議決権を取得していくことで、定款変更、組織再編、株式の併合など、重要事項を決める権利が得られます。また、持ち株比率が3分の2以上を超えると「スクイーズアウト」の手続きに入ることができます。この手続きによって、強制的に少数株主の株式を取得することができます。

これらを経て、M&Aの対象となる会社の株式を100%取得した場合が「完全子会社化」ということになります。「完全子会社化」することで、対立的な株主を排除し、迅速な意思決定・企業経営ができるようになります。企業グループとして一体的な経営が行われ、グループ全体として、事業シナジーが得られやすくなるでしょう。

事業承継の場合においても、基本的には会社の株式100%を譲渡する(取得すること)ことが前提となります。中小企業の場合、株主が親族に分散している場合が多いですが、これを全て買い取るために事前の準備が必要になる場合もあります。

2. 「合併」は子会社化とどう違う?

2. 「合併」は子会社化とどう違う?

「合併」は、買収した会社を、合併契約により親会社に合体させるスキームです。合併においては、事業承継の対象となる会社の全資産・負債、従業員などの全てを一体として引き継ぎ、両社を統合させることになります。

合併には、会社法上「吸収合併」と「新設合併」の2種類がありますが、事業を一体として承継する意味において違いはありません。

また、M&Aによる事業承継においては、事業の一部を譲渡(取得)する契約、つまり「事業譲渡」があります。事業譲渡の場合、顧客との取引契約や従業員との雇用契約、また賃貸借契約などをまき直す必要がありますが、合併の場合はそのような必要がないのが特徴です。

3. 子会社として維持する場合の一般的なメリットとデメリット

3. 子会社として維持する場合の一般的なメリットとデメリット

M&Aにおいて、取得した会社を子会社として維持するか、合併により吸収するかは、M&Aの目的によって個別に判断することになります。ここでは、子会社として維持する場合の一般的なメリットとデメリットを見ていきましょう。

(メリット1)経営責任が明確になる

子会社として維持することで、取得した事業の損益管理が正確に維持でき、経営責任も明確になります。事業会社で複数の事業部門を有する場合、間接部門の配賦などが曖昧となり、事業ごとの損益が明確にならないことがあります。

(メリット2)売却や上場など、臨機応変に動ける

子会社として維持した場合、事業が成長すれば子会社の株式上場をすることができ、もし事業がうまく行かなかった場合には子会社をそのまま売却するなど、機動的な動きが可能です。一度合併してしまった後に、改めて事業を分離するとなると、手続きは煩雑になります。

(メリット3)ブランドや会社イメージが保持される

子会社として維持する場合、製品ブランドや会社イメージの連続性を保つことが可能です。消費者や顧客にネガティブな印象を与えずに事業を継続することができます。

(メリット4)給与体制の調整などの手間がかからない

会社を合併すると、親会社と、給与体制や社会保障制度などの調整・共通化が必要となり、大変な時間と労力が必要になります。しかし子会社として維持する場合、そのようなことは必要ありません。

(デメリット1)コスト削減や効率化は期待できない

子会社として維持した場合、総務や経理など間接部門の効率化が進みにくい傾向があるのが難点でしょう。コスト削減のシナジーを獲得しづらい場合があります。

(デメリット2)大手企業の信用力などは必ずしも受けられない

大手企業に買収されることで、買収された会社は大手企業の信用力、ブランド力、イメージを享受できることもありますが、子会社のままだとできない場合もあります。

(デメリット3)知的財産の取得目的の場合は注意

生産拠点や生産技術、また特許権などの知的財産の取得を目的としたM&Aであれば、子会社として維持した場合、組織の効率化を進めることが難しくなることがあります。

4. 子会社のままか、合併か?状況によって選択は変わる

4. 子会社のままか、合併か?状況によって選択は変わる

例えば、特定エリアに集中して出店し、経営効率を高める「ドミナント戦略」が成長のカギとなる事業の場合、同業会社を買収してシェアの拡大を目的にする場合は「合併」が選択肢となりうるでしょう。

一例として、全国規模の大手食品スーパー事業会社が中堅の地域同業会社を買収する場合、合併し大手ブランドの看板にかけ替えることが行われます。これにより、全国ブランドとして地域のドミナントを強化する戦略を取ることができるのです。

一方で、食品スーパー事業業界では、一部業態そのものが衰退傾向にあります。この状況をふまえ、新しい業態での成長を続ける中規模会社を買収する目的であれば、これを子会社として維持することをお勧めします。そうすることで、新しい業態が親会社のイメージに影響されない成長戦略を取ることが可能になります。

また、人材派遣会社の事業承継では、登録人材との雇用契約と顧客との人材派遣契約のみを譲渡(買収)する「事業譲渡」スキームを行うことがあります。これは会社の資産・負債などを一体として承継するわけではないので、「合併」とは異なります。この場合、登録人材との雇用契約や顧客との人材派遣契約をまき直す必要があるため、継承に時間がかかることがありますが、簿外債務などを継承するリスクがないというメリットがあります。

5. 世界的ラグジュアリーブランドグループに学ぶ、子会社化の成功事例

高級ブランドを次々に買収して世界有数の時価総額企業にのし上がったLVMH(ルイヴィトン・モエヘネシー)グループは、買収してきた数々のブランド会社を「合併」することをこれまで決して行ってきませんでした。なぜなら、ブランドのイメージや独立性を保つことを絶対的に優先させているからです。

一方でLVMHグループは、ロジステックス機能の徹底したグループ間共有を追求し、また経営管理面ではグループとしての管理会計方針を徹底しています。例えば、各国の税制に決してとらわれない大胆で戦略的な損失引当処理を、日本で減損会計の導入が適用されるはるか以前より行ってきたのです。これにより、毀損したブランド商品が少しでもマーケットに流出しないよう、コントロールしてきたのです。

今回取り上げた事例は、ほんの一例にすぎません。子会社として維持するか、合併するかは、M&Aの目的によって個別に検討する必要があります。例えば目先の税務メリットだけにとらわれずに、重要な経営戦略として決定する姿勢も成功のカギになるでしょう。

話者紹介

石垣 正巳さん

株式会社ソリューションパートナーズ
代表取締役CEO 石垣 正巳(いしがき まさみ)

東北大学文学部言語学科卒業、フランスISA経営大学院を修了。MBA(経営学修士)を取得。サントリー(株)東京財務部、サンド・ジャパン(株)財務部長を経て、ルイヴィトン・モエヘネシーグループへ。同グループにてゲラン(株)取締役管理本部長、セリーヌジャパン(株)管理本部ディレクターを歴任した後、株式会社ソリューションパートナーズを設立し現在に至る。

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