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建設好況の中で進む土木工事業界のM&A・事業承継の注意点を解説

はじめに

土木関連事業は、建設業界の中では地味なイメージを持っていますが、実は建築関連事業よりも安定して活況が続くといわれています。しかしながら土木関連事業は人材不足であり、古い体質を持つ「オールドな業界」ということもあって、M&Aにおいては注意しなければならないポイントがいくつも存在します。

土木工事業界特有の慣習や構図をしっかり理解しておかなければ、M&Aが進んでからトラブルが発生しかねません。今回は、土木工事業界のM&Aに詳しいアドバンスト・ビジネス・ダイレクションズ株式会社の森さんに、M&Aの注意点やスキームについてお話を伺いました。


1.土木工事業界の特徴

土木工事会社に関してM&Aを考えている場合は、古い体質といわれる土木工事業界の特徴を理解しておく必要があります。土木工事会社の事業内容や景況について概説してみましょう。

(1)近年仕事が増えてきている土木工事業界

土木工事業界は、基本的に公共工事主体のビジネスです。道路や河川の治水などで、民間企業が土木工事を発注することは少なく、官公庁の発注が主体の業界といえるでしょう。

この業界では、公共事業を請け負う場合に経営審査事項、略して「経審」と呼ばれるいわば入札の資格審査のようなものがあります。これは、「財務状況」や「施工実績」あるいは「有資格者が何人いるか」などから総合的に判断され、点数がつけられるものです。

それによって企業のランクが決まり、どういう工事に入札できるかが決まります。資格者が数人いて、社員が20人から30人ほどの会社が多いのもこの業界の特徴です。

(2)土木会社の景況は良好

主に、公共工事の入札によって仕事を得るのが土木業界ですが、昨今の業界環境、景況は良好です。前提として道路などの老朽化もあれば、2019年のような大規模災害によって治水工事などの需要が生まれているからです。

国の国土強靭化という流れもあり、国や地方公共団体が予算をとって工事を行うので、目下のところ土木の仕事は絶えません。
若干波のある建築関連事業と比較すれば、土木工事の方が今後も継続して仕事があると見込まれます。一時期、具体的には民主党政権時代にかなり公共工事が絞られた反動もあるかもしれません。

その一方では、主任技術者や監理技術者を担うことが出来る資格を有する人がいなければ、工事そのものを受注することが出来ません。これは、建設業法が適用されているからです。

工事を受注するには、基本的に資格者がいなければならないので、事業をダイナミックに拡大するためには社内に資格者を多く確保する必要があります。仕事はたくさんあっても、資格者不足で受注できないのが大きな課題であり、そういった背景も含めてM&Aが検討されるのです。

2.土木工事会社がM&A事業承継を考える動機

土木工事現場

土木工事会社がM&Aを行う際、どのような背景が動機になっているかをよく把握しておく必要があります。土木工事会社がM&Aを考える代表的な理由は2つあります。有資格者が欲しいことと、土木の中において業務の分野を広げたいことです。もう少し詳しく見ていきましょう。

(1)有資格者が集まらない

土木工事業界の資格者とは、監理技術者や主任技術者を担うことが出来る有資格者を意味しますが、多くの土木事業者が資格者を求めていて、それがM&Aにおけるひとつの大きなモチベーションになっているのが現状です。

なぜなら、公共工事を受注するためには有資格者を要するだけではなく、ある公共工事を担当する資格者は、それが終わるまで他の公共工事を担当することは出来ないことが多いからです。

民間の工事はその限りではありませんが、そもそも公共工事主体の業界なので、工事の受注を増やすためには有資格者の人員数を増やすことが必須の要件になります。つまり、買収や合併をする相手方の会社が今請け負っている目先の仕事や売上が欲しいわけではなく、実際は資格者を確保したいのが本音でしょう。受注できそうな仕事が潤沢にあったとしても、有資格者不足によって新たな仕事を受注できず、どの土木工事会社も資格を持った人間を雇用したいのです。

とはいえ、そう簡単には集まらないので、資格者を募る代わりに土木工事会社を丸ごと買収することを考えるようになります。売上をさらに伸ばしたい土木工事会社は、なかなか受注数を伸ばすことができないので、さらなる売上確保のためにM&Aという手段を選ぶようになります。

新卒の社会人を採用し、人材として育てるという考え方も当然ありますが、資格を取得して一人前に仕事ができるまで早くても5~6年は必要です。そのための時間とコストを考えれば、M&Aの方が総合的には得策だと考える経営者もいます。

(2)土木工事の中で専門性を拡大したい

土木工事会社において、受注件数の伸び悩みを解消するためにM&Aを選択する会社も増えています。同じ土木工事でも得意な分野が企業それぞれにありますが、ひとつの分野だけでは伸びしろがそう多くはありません。従来手がけていなかった分野に長けている会社をまるごと買い取って、受注範囲を広げたいということです。

3.土木工事会社をM&A事業承継するメリット

土木会社がM&Aによって同業の会社を買収することには、当然売手と買手の双方にメリットがあります。ここからは、土木工事会社におけるM&Aのメリットについて触れておきます。

(1)売手のメリット

売手のメリットは、体力のある会社に買い取ってもらうと受注の安定や増大につながること、また従業員の雇用も安定化されることです。

土木工事業界は地域性が濃く、横のつながりが強いので、顔見知りの相手とのM&Aは嫌がられる場合が多いでしょう。感情的な部分も多く考えられます。

もちろん土木工事業界に限らないことですが、日本の企業は「売られる」ということに抵抗を持つ人がまだまだ多いです。経営者も十分理解していると思いますが、社員の感情としては複雑なものがあるでしょう。

とはいえ、買手が大きい会社であれば信用力も高まるため、安定的な雇用を継続するという部分からも事業承継のメリットは大きいといえるでしょう。

(2)買手のメリット

まず買手には同業者が多いため、土木工事業界におけるM&Aの最も大きなメリットは、買収によって売手である土木工事会社の資格者を含めた人材を得られることといえます。

もうひとつは、得意分野を広げることができるということです。土木工事業界と一言でいっても、土木の分野としては道路工事、河川工事、山の法面工事などがあります。

その中で、河川専門や道路専門など、それぞれの得意分野に分かれていることも多く、自社にないものを持つ会社を買収して総合力を上げることが可能です。

近年見られるのは、道路関係の仕事に強い会社が道路の仕事が頭打ちで先細りになり、河川の事業分野を広げるために得意な会社を取得するというパターンです。

4.土木工事会社におけるM&A事業承継の流れ

建築・ビジネスマン

土木工事会社がM&Aを成立させるまでには、買手と売手それぞれの流れがあります。ここからは、それぞれの立場からM&Aの流れについて説明します。

(1)買手の場合

まずは、M&Aを考えている経営者が事業の構想をきっちりと構築する必要があります。それができれば、その構想を多くはまず取引銀行に相談します。銀行は、様々な融資先やネットワークの中から、そのビジョンを実現しやすいような売手企業をあたります。

うまく条件に合致するめぼしい企業が見つかれば、具体的に会社を買収するかどうかを検討する必要がありますが、土木工事業界においてはここを判断するのが大変難しいのです。

前述した経審と関連して、決算書などの粉飾リスクが高く、財務諸表と実態が乖離していることがあります。そのため、会社の実力や現状を把握しにくいという問題があります。

対象となる土木工事会社が本当に帳面通りの健全な財務状況になっているか、どのような工事を誰が主体となって受注しているのかなどという収益構造や現場実務の実態を確認するために、コンサルティング会社などの外部専門家を活用するケースが多くあります。

この作業をデューデリジェンスといいます。実際にデューデリジェンスを実施する際、施工現場に足を運ぶことは多くありませんが、様々な定量データやヒアリングから得た情報群を俯瞰して経営の実態をジャッジします。

これらの調査結果から、DCF法やマルチプル法などの一般的によく用いられる事業価値評価と、中小企業のM&Aで多く用いられる時価純資産法をミックスすることで、買収価格のレンジを想定するのです。ここで算出した買収価格のレンジと買手が提示する予算のレンジをもとに、最終的な売却価格の交渉が進められることになります。

M&Aにおいては、「価格に正解があり、その価格でなければ成立しない」というものではありません。それぞれの希望する価格を参考にして、交渉によって売却価格を最終的に決めるというのが適切な進め方です。

(2)売手の場合

売手は、税理士や銀行などの金融機関、M&Aの仲介会社などに相談して事業を売却しています。金融機関にはネットワークがあるため、同じエリアでは買手をあまり探してくれませんが、別のエリアであれば買手を速やかに探し出してくれるケースが往々にしてあります。

土木工事業界では、圧倒的に優良な売手が不足しているため、売手の情報を持っている方が優位になり、買手にとって希少性の高い案件を提案することができるのです。

5.土木工事会社のM&Aを行う際の仲介会社の選び方

土木工事会社がM&Aを行う際に仲介会社を選ぶ場合、担当者によって対応に違いがあります。中には早急に契約の成立を促すタイプの担当者も見られます。そういう担当者には注意が必要です。

M&Aを相談するにあたって信頼できる担当者とは、売手・買手のどちらであっても、M&Aに何を求めるのか、そのビジョンや考えに耳を傾けてくれる担当者です。そうでない担当者は、M&Aを相談しても要望をあまり聞かず、あるいは要望を聞く前に対象となる会社のリストを出すといった拙速な対応に出てきます。

ビジョンや戦略などの方針をきちんと聞いた上で、その条件にマッチした会社を探してくれる担当者は、M&Aに対して真摯に向き合ってくれていると考えられます。

M&Aを仲介している会社の報酬の体系にも注意することが大切です。手付金の設定はどの程度か、成功報酬をどのような計算で設定しているのかなど、仲介会社によって様々な違いがあります。

報酬額の設定方法によっては、仲介会社に支払う料金が最終的に大きく変わってくる場合があるので、そのあたりの注意も必要です。

6.土木工事会社のM&A事業承継を成功させるためのポイント3点

工事現場で働く女性

(1)財務体質の見極め

土木業界においてM&Aを成功させるポイントの1つ目は、経営事項審査の現状やランク、財務の実態などを見極めることです。

たとえば、土木業界は公共工事が主体なので、たいていは3月末に受注分は終了し、4月に残務処理をするとしても5月から8月までは閑散期という会社が多いです。

買手が自社の仕事をさせるということなら問題ありませんが、そうでなければその時期を乗り切る体力を持っているのかどうかが見極めのポイントといえるでしょう。営業力やコネクションも含めて、その時期を乗り切れるかどうかです。

完全に公共工事一本の会社だとすると、その間は人件費などの固定費が負荷となるので、閑散期の稼働を埋める力を持っていなければ、M&Aの相手としては厳しくなります。

中小企業のM&Aにおける買収金額の相場として、年間収益の3〜4倍の金額が打倒だと言われることがあります。それほど大きく伸びる業界でないと考えられているため、そのような評価をされることが多いでしょう。

また、純資産価格という面で見ても、多くの建設会社の場合、保有している資産が本社と重機ほどのため、アセットの金額も大きくなく、そういう面でも金額はあまり上がらないといえます。

その会社の利益が魅力で買収するのであれば、財務状態の実情をきちんと調べるべきであり、単に資格者が欲しいのであればそこまでこだわらなくてもよいでしょう。

認可や資格によって制約を受けるビジネスなので、どんな目的を持ってその会社を買収するかを明確にしなくてはいけません。目的を定めないと、完全子会社にするのか、本体に事業譲渡するのか、などの建設業法を考慮した適切なスキームが組めないのです。

(2)有資格者の情報の確認

2つ目のポイントは、買収する会社に自社が求める資格者がどれだけいて、年齢層はどれくらいなのかを知っておくことです。資格を持つ社員がいても、高齢の場合、数年しか働けない可能性があるからです。

事業承継をする際、資格者を手に入れようとばかり考えてしまいがちですが、職員の年齢や職務レベルといった情報を手に入れることも大切なのです。

(3)M&A後のビジョンや戦略の明確化

3つ目のポイントは、M&A成立後のビジョンや戦略を明確にしておくことです。売手の事業をどのように展開したいのかをよく練っておかなければ、話が違うなどといわれかねません。相手も相当な覚悟をして事業を譲るのですから、この点を曖昧にしておくとM&A成立後、トラブルに発展するリスクが生まれます。

7.まとめ

土木工事会社のM&A事業承継は、古い体質によるどんぶり勘定などにより、表面と実態の乖離などという落とし穴があることも考えられるため、慎重に臨まなくてはなりません。それでも、建設景況で仕事は潤沢であっても、資格者不足で受注したくてもできない土木工事会社がたくさんあり、それがM&Aのひとつのトリガーとなっています。

加えて、かつてはメインだった道路関係の工事が先細りする中、従来手がけていなかった分野の土木工事も自社のカテゴリーとして広げていこうという前向きなビジョンがあいまって、これからも土木工事業界のM&Aは盛んになっていくことでしょう。

話者紹介

森さん
アドバンスト・ビジネス・ダイレクションズ株式会社
森 智広

2007年 東京中小企業投資育成㈱入社、未上場の中堅・ベンチャー企業へのデューデリジェンス・投資・成長支援業務に従事し、自動車部品メーカー、建設機械部品メーカー、遊技機メーカー、電子部品メーカー、食品メーカーなどに投資を実施。
2013年~ アドバンスト・ビジネス・ダイレクションズ㈱入社後、金属部品加工会社、運送会社などへのデューデリジェンス業務ならびに事業再生支援、
および、建設会社、産業装置メーカーなどに対するM&Aフィナンシャルアドバイザリー業務に従事。
早稲田大学商学部卒。

 

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