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スーパーマーケット・小売業界のM&A動向、事例について徹底解説

はじめに

スーパーマーケット・小売業は、市場規模が縮小する中で競争が一層激化してきており、特に中小企業は厳しい経営を強いられている状況にあります。スーパーマーケット・小売業の市場動向、M&A動向・事例、売手が抑えておくべき成功ポイントや注意点などについて、株式会社MAパートナーズ代表取締役の池井良彰様に聞きました。


1.スーパーマーケット・小売業の市場動向

1. スーパーマーケット・小売業の市場動向
スーパーマーケット・小売業は、市場規模が縮小する中で競争が一層激化してきており、各社とも生き残りをかけた戦いを強いられています。

日本チェーンストア協会が公表している「チェーンストア販売統計」によると、ピークとなる1996年度の市場規模は約17兆円でしたが、2012年度以降は12兆円台で推移しています。人口の減少、高齢化による平均消費量の低下、消費者の節約意識の高まりなどにより、スーパーマーケット・小売業は市場規模が縮小し、ここ数年は停滞している状況にあります。

市場規模の縮小・停滞は売上高の低下や伸び悩みをもたらし、各社の利益を圧迫しています。全国スーパーマーケット協会発行の「スーパーマーケット白書2020」によると、2018年度の営業利益率は全体平均で1%を割り込みました。売上高100億円未満の中小企業のスーパーだけで見ると赤字に転落しています。

大手以上に中小スーパーが苦戦している要因の一つに、卸業者による選別が挙げられます。近年、合併により売上高2兆円を超える巨大食品卸業者が複数社誕生し、市場に対して再び大きな力を持つようになってきました。大手スーパーには比較的安価で大量に卸しますが、中小スーパーには卸さない業者も出てきています。そうなると、中小スーパーは二次卸業者から仕入れるしかありません。その結果、大手と中小の間で仕入れ価格に大きな開きが生じることになります。

これに追い打ちをかけたのが、2019年10月の消費税増税による消費の落ち込みです。売上高が5%近く下落したスーパーも珍しくありません。さらに、人件費が高騰し、パート従業員の採用に苦戦するスーパーも見られます。大手インターネット通販サイトの脅威も市場全体に暗い影を落としています。

アメリカでは、生鮮食品は会社帰りにスーパーなどで買いますが、飲み物や菓子などはネットで注文する流れが鮮明になっています。日本も同様の傾向を示すと考えられており、大手インターネット通販サイトとの差別化を図るために、総菜部門を一層強化することが業績向上へのカギを握るものと思われます。

売上低下、競争激化、消費増税が重なる厳しい市場環境の中で、特に利益率の低い中小スーパーは経営の悪化に苦しんでいます。赤字になると企業価値評価は難しくなり、最悪倒産に追い込まれることにもなりかねません。経営の立て直しが難しいと判断したら、できるだけ早い段階でM&Aを検討していくことが大切です。


2.スーパーマーケット・小売業のM&A動向・事例

2.スーパーマーケット・小売業のM&A動向・事例

日本におけるM&Aの歴史は、スーパーマーケット・小売業から始まったと言われています。大規模小売店舗立地法(大店立地法)により、大型店の出店を制限されたダイエーが、地域の有力スーパーをM&Aで傘下に取り込んでいったのがはじまりです。

現在、スーパーマーケット業界の主要プレーヤーとして挙げられるのが、イオングループとセブン&アイ・ホールディングスの2大巨頭です。彼らが展開するM&Aのほとんどは、地域一番店の買収、またはそれとの資本提携です。イオングループは1990年代に積極的にM&Aを展開し、2010年以降もマルナカ(香川県高松市)、ピーコックストア(東京都杉並区:現イオンマーケット)、レッドキャベツ(福岡県福岡市)などを子会社化してきました。ただ、現在は自社で展開する方向に舵を切ってきているようです。一方、セブン&アイ・ホールディングスは、2000年代にヨークベニマル(福島県郡山市)やヨークマート(東京都千代田区)などを子会社化。現在は、20~30%の資本提携という形で地域展開を進めています。

【地域スーパーがグループ連合を形成する動き】

地域のスーパーがグループ連合を形成する動きも見られます。北海道ではアークス(札幌市中央区)が2000年以降に北海道と東北に拠点を置くスーパーマーケット8社を買収して食品流通グループを形成しました。アークスグループは、八ヶ岳連峰のように同じ高さの山々が連なる企業連合「八ヶ岳連峰経営」を謳い、各社の社長はそのままに、メーカーや卸業者から連携して大量に仕入れることでイオンと同等レベルの仕入れ値の実現を目指しています。

更に、地域を超えた連携の動きも見られます。アークス、バローホールディングス(岐阜県多治見市)、リテールパートナーズ(山口県防府市)の3社は、2018年12月に資本業務提携を発表し、「新日本スーパーマーケット同盟」を発足しました。共同会社の設立は行わず、3社が相互に株式を持ち合う形を取り、情報共有(地場商品、産地情報、取引先情報等)、共同購入(資材、什器、備品等)、ノウハウ共有(店舗開発・運営、物流センター運営等)などを行うとしています。共同仕入れも可能になれば、大手のイオンやイトーヨーカ堂などと遜色のないレベルの仕入れ値を実現できる可能性があります。ただ、共同仕入れ会社設立の試みはこれまでにもありましたが、総じてうまく進んでいません。今後の動向が注目されるところです。

【ディスカウンターや異業種がスーパーを買収する動き】

ディスカウンターがスーパーを買収する動きとしては、ドン・キホーテ(東京都目黒区)によるユニー(愛知県稲沢市)の買収、大黒天物産(岡山県倉敷市)によるマミーズ(福岡県柳川市)の買収、ジャパンミート(茨城県土浦市)による花正(東京都港区:肉のハナマサ)やタジマ(埼玉県越谷市)の買収、クリエイトSDホールディングス(神奈川県横浜市)による百合ヶ丘産業(神奈川県川崎市:ゆりストア)買収などがあります。ディスカウンターはスーパーに比べて粗利が低いですが、その分人件費を抑えることで安く販売できるノウハウを持っています。価格競争力を生かしたスーパーの再生が注目されています。

クリエイトSDホールディングスは、2020年1月、神奈川県川崎市で食品スーパー「ゆりストア」を5店舗展開する百合ヶ丘産業を買収しました。百合ヶ丘産業を子会社化することで、川崎市北部でのドラッグストア・調剤薬局と食品スーパーとの複合出店、および食品取扱いノウハウの共有を図るとしています。百合ヶ丘産業は売上高50億円未満の会社ですが、以前は100億円を超えていました。売上高が減少する中で、おそらく同業では買手が見つからなかったものと思われます。一方、ドラッグストアは総じて食品分野が弱いため買収に踏み切ったものと思われます。

ジャパンミートは精肉卸業からスタートし、安価な肉を提供する小売業へと進出。2013年に「肉のハナマサ」を運営する花正を買収してスーパー事業に本格的に乗り出し、2019年には埼玉県でスーパーを運営するタジマを買収しました。ジャパンミートはどちらかというとディスカウンターとしての立ち位置でしたが、M&Aにより野菜などの生鮮食品も充実してきています。

異業種参入の動きとしては、穴吹興産(香川県高松市)のM&Aが挙げられます。同社は香川県に本社を構える東証一部上場の総合不動産会社(デベロッパー)で、自社ブランドの分譲マンションを、西日本を中心に展開しています。食品スーパーを備えた複合型の分譲マンションを開発するために、2016年にジョイフルサンアルファ(長崎県長崎市:ジョイフルサン)からスーパー事業を買収しました。先述したマンションは2020年春の開業予定で、マンションとスーパーを一体的に開発することで物件の付加価値を高める戦略を展開しています。

【中小・零細スーパーのM&A(売却)事例】

私が調査したところによると、スーパーマーケットのM&A件数は2017年が13件、2018年が27件、2019年が20件でした。おおよそ年間20~30件で推移しています。一方、帝国データバンクの調査では、2016年以降年間20〜30件のスーパーマーケットが倒産しています。つまり、両者を合わせると、毎年50社程度が市場から消滅していることになります。

地方の中小スーパーのM&A事例としては、昨年に富山県内で4店舗を運営するオレンジマート(富山県富山市)を県内最大手のアルビス(富山県射水市)が買収した事例や、同じく富山県で同年に8店舗を運営していた三幸(富山県高岡市:サンコー)をバローホールディングス(岐阜県多治見市)が買収した事例が挙げられます。アルビスの案件は地域でのシェア拡大を目的とし、一方バローはエリアの拡大を目指したM&A案件でした。

このように中小スーパーでも、赤字であっても、店舗立地が魅力的、または生鮮など何か特徴のある店舗を運営していれば、買い手候補は容易に見つかります。


3.スーパー・小売業におけるM&Aのメリット・理由

3.スーパー・小売業におけるM&Aのメリット・理由
売手のメリットは、雇用の維持と経営者の保全です。倒産すると従業員の雇用を維持できなくなりますし、店舗閉鎖による周辺住民への影響も甚大です。一方、買手のメリットは展開エリアの拡大です。特に地域一番店を安価に入手できればそのメリットは大きいでしょう。また、買収により事業規模を拡大することで仕入れ力が高まり、より安価に仕入れられる可能性も高まります。

なお、売手がM&Aに踏み切る理由は、先行き不安や後継者不在というケースもありますが、その多くは経営の悪化です。

赤字が続いて手元資金がなくなってくると銀行は融資を渋ることになります。すると店舗への投資は抑えられ、それによって客足は離れ、ますます売上は落ちます。最終的には従業員の給料も払えなくなり、倒産せざるを得ない状況となりますので、そうなる前に早期にM&Aを検討することが大切です。実際、赤字になると企業価値はほとんどつかなくなります。倒産を避けるためにも、業績が悪化する前にM&Aを検討することが大切です。

多少なりとも黒字であれば企業価値が付いて売却が可能になり、従業員の雇用も維持でき、社長は個人保証からも解放されます。仮にオーナー社長が個人保証している負債が10億円あった場合、株式を1億円で売却したとしても、10億円の個人保証から解放されるわけですので、実質的には11億円で売却したことになります。利益さえ出ていれば負債があっても売却できる可能性は高まります。反対に、赤字だったり負債が多過ぎたりするとM&Aは難しくなる傾向にあります。


4.売手が抑えておきたい成功ポイント・注意点

4.売手が抑えておきたい成功ポイント・注意点
最後に、売手がM&Aを行う上で押さえておきたいポイントや、注意点について説明します。

① 黒字のうちにM&Aを決断する

先述のように、赤字の場合、企業価値が付きづらくなってしまいます。まずは黒字のうちに売却を決断することが何よりも大切です。直近で赤字の場合は、売上を少しでも伸ばし、損益分岐点を超える努力をしましょう。そのためには、来店しやすい店作り、品ぞろえ、顧客サービスなどを工夫し、顧客の来店頻度を高め、購買単価を上げる努力が不可欠です。黒字のうちに決断することが何よりも重要ですが、そうでない場合は早期の黒字化を目指しましょう。

② 特徴のある店づくりをする

特徴ある店づくりも重要です。パンに強い、生鮮食品に強い、販管費をうまく抑えている、人材が優れているなど、何か光るものを持っていると買い手が付きやすくなります。立地も特徴の一つ。立地が良ければ買い手が付きやすいでしょう。

③ 決算書に不明な点を残さない

どの業界も同じですが、粉飾(売上や在庫の架空計上、不正リベートなど)を始め、不明な点、疑わしい点、曖昧な点を決算書に残さないようにしましょう。買手は当然嫌がりますし、DD(デューディリジェンス)を行えばわかることです。

④ 交渉に当たって優先順位を付ける

買手候補と交渉する前に、優先順位を付けておくことも大切です。例えば、5億円以下では売らない、お店だけは残してほしい、店名だけは残してほしい、社長をあと3年は続けたい。優先順位を付けておけば、買手の交渉でどこまで譲歩できるかがわかり、話がスムーズに進みます。逆に、あれもこれもと求めると交渉は長引き、最終的に話が決裂して折角のチャンスを逃すことにもなりかねません。


話者紹介

池井 良彰さん
株式会社MAパートナーズ
代表取締役
池井 良彰(いけい よしあき)

三菱商事株式会社勤務後、株式会社レコフにて日本初のM&A専門会社の創業に参画。株式会社オークネット執行役員、株式会社レコフ常務執行役員等を経て、2007年11月に株式会社MAパートナーズを設立し、代表取締役に就任。全国スーパーマーケット協会のシニアアドバイザー。これまで約100件を超えるM&Aの成約に携わるとともに、商工会議所、大学および上場企業の役員会向けにM&Aの講演・勉強会を開催。

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