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企業の価値を評価する3つのキーワードとは?それぞれの概要を徹底解説

2020/04/03

はじめに

自分たちの事業やビジネスを展開していく上で、継続的に安定して成長することは簡単ではありません。内的要因や外的要因を含めて、事業の撤退や会社経営の終焉を迎えることもあります。難しい局面に追い込まれた時に頼りになる手法としてM&Aが挙げられます。

M&Aを行う上で認識しておきたいのが企業価値を評価する方法についてです。M&Aを行う際にはさまざまな用語が出てきますが、その中でも「事業価値」や「企業価値」、「株式価値」について正しく理解することがポイントです。M&Aや事業承継問題に精通しており、その中でも企業価値の評価方法に詳しい新日本総合事務所所長の猪股さんにお話を伺いました。


1.事業価値の概要や考え方

握手

M&Aを行う上ではこれら3つの言葉について正確に理解することが必要ですが、株式価値や企業価値と同様に、事業価値も企業を評価する際の欠かせない要素であり、対象企業を正しく評価するための基礎となります。その中でまずは事業価値の考え方について確認していきます。
企業価値との関係性も大きいのが事業価値の特徴であり、事業価値を理解することで企業価値の理解促進にもつながります。会社は事業を行う集合体ですから、その価値を判断することはとても重要です。改めて事業価値の考え方やM&Aとの関係性について確認していきましょう。

(1)事業価値の概要について

事業価値とは、企業が行っている事業そのものの価値のことを指します。具体的な事例を挙げてみると、ある中小企業では商店を営むかたわらで駐車場ビジネスを手掛けていると仮定します。日本の地方都市でよくみられる例です。その場合、この中小企業では小売業と不動産賃貸業の2本柱で会社経営を行っていることになります。商店の営業と駐車場ビジネスは社内それぞれ独立して行っている事業であり、それぞれ「事業価値」として評価することができます。

会社によって部署やチーム、プロジェクトなど、さまざまな呼び方がありますが、それぞれの組織が行っている事業ごとの価値が事業価値ということです。複数行っている事業もあれば単独で行っている事業もあるでしょう。それぞれの事業に対して評価が下され、価値として見なされるのが事業価値の特徴です。

個々の事業価値をまとめて全体化したものが企業価値であり、換言すると企業価値とは「事業価値の集合体」だと考えることもできます。企業価値の大半を占めるのが事業価値ですが、残りの部分が事業外資産という形で割り出されます。つまり、この価値を評価する場面では、「企業価値=事業価値+事業外資産」という考え方が成立します。

事業外資産に該当するのは、遊休資産や余剰資金といったものです。活用していない土地や大きな利息を生まない現預金なども事業外資産の一部と見なされます。事業外資産については、事業価値と比べればそれほど大きなものとはならないでしょう。また事業外資産が過大にあることは反って問題となります。

遊休資産がある場合はそれらの活用も含めて事業化することで、会社としての経営体力を高めることができます。その結果、事業価値や企業価値の向上につながる可能性が高まると理解しておくと良いでしょう。

(2)事業価値とM&Aの関係性

各事業の価値を把握することで、企業全体の価値を理解しやすくなります。M&Aを検討している企業がどういった事業活動を展開しており、その実績や収益はどうなっているのか明確に確認することで、その後の方針も決めやすくなります。

まだそれほど実績のない事業であっても将来性が見込めるようであれば、積極的にM&Aで買収に踏み切るという判断もできるでしょう。一方で、長年継続している事業であっても市場規模が縮小していたり、売上が伸び悩んでいたりする事業が多い場合、安易にM&Aを行うのはリスキーです。

M&Aを行うに当たって基本となるのが事業価値であり、企業そのものの価値と言い換えても問題ありません。それだけ事業価値を重視した上で最終的な結論を下すことになります。

2.企業価値の概要や考え方

続いては、企業価値の概要や考え方について整理していきます。M&Aを行う際に検討する基本的要素として企業価値も挙げることができます。3つの要素を総合的に把握することで、M&A交渉にあたって全体観をもった取引を進めやすくなります。

経済状況の変化や社会情勢の変化によって企業の存続が危ぶまれることもあるでしょう。どんな状況でもその企業の本質的な価値と言える部分です。M&Aを検討する際はもちろん、日常の事業活動を行う上でも意識しておきたい考え方です。

(1)企業価値の概要について

企業価値とは、まさに企業そのものの価値だと考えることができます。企業全体の価値と言うこともできますし、一部分にフォーカスするというよりも組織全体として捉える際に浮かび上がってくる価値のことをいいます。

先の商店の運営と駐車場ビジネスを行っている中小企業を例にすると、「小売業」と「不動産業」のそれぞれの部門ごとの価値を事業価値と呼びます。この2つの事業を束ねて算定したものが企業価値であり、企業全体を評価する指標となります。

会社によっては事業ごとにチームや部署を設けて組織運営を行っているケースも多いでしょう。そうした各チームや各部署の実績を総合して評価するのが企業価値です。つまり、企業価値の大部分は事業価値が占めていると考えられます。会社全体を評価する指標として企業価値があると理解しておきましょう。

(2)業価値とM&Aの関係性

M&Aを実行する上でも企業価値の算定や把握は欠かせないものです。企業価値の大部分を占めるのは事業価値であり、その企業がどういった事業を行っていて、どんな事業資産を持っているのかといった点が問われます。

M&Aに際しては買収する側にもメリットがあることが必要条件であり、事業価値や将来性、規模などを含めて総合的に勘案する必要があります。それらの要素をまとめているのが企業価値であり、M&Aを行うか否か検討する際にも大きなウェイトを占めます。

M&Aをすることによってどういった利益やメリットを得ることができるのか、改めて確認する際のファクターとして企業価値の重要性を理解しておくと良いでしょう。

3.株式価値や概要の考え方

交渉イメージ

企業価値を評価する3つ目のキーワードとして、最終的にディール価格に直結する株式価値については企業買収や事業承継を進める上でも確実に理解しておきたいものであり、企業価値や事業価値とあわせて企業そのものを把握する上で重要な概念となります。

近年、中小企業の間ではM&Aが行われるケースも多くなってきており、大企業からでも企業買収の話が持ち込まれることが珍しくありません。実際に会社や個人としてそういった立場になった場合に慌てることがないように、株式価値の考え方について理解しておきましょう。

(1)株式価値の概要について

株式価値については、一言でいえば株主に帰属する価値だと言うことができます。「株主以外に帰属する部分を除く」株主に帰属する価値という条件が付きます。株主以外に帰属する価値とは、借入金や社債といった有利子負債のことを指します。

企業価値が会社全体の価値だと仮定した場合、株式価値は株主に影響のある価値のことです。わかりやすいところで言えば、株価が挙げられるでしょう。株主にとって株価はまさに直接影響を受ける価値であり、株価が高ければ株式価値も高く、株価が低ければ株式価値が低いと判断することができます。

その株式価値を算定するためには、やや複雑な計算を行う必要があります。具体的には、生み出される利益に注目をして会社の事業価値を計算し、それに事業外資産を加算して有利子負債を控除するという流れになります。つまり、「株式価値=事業価値+事業外資産-有利子負債」という計算を行うのが一般的な算定方法です。1株当たりの株価については株式価値を発行済み株式数で除すれば算定できます。

M&Aにおける株式価値は、貸借対照表上で日常的に目にする資本金や純資産の部を修正した考え方で算定されるため、買収する側も買収される側も、この考え方を持った上で検討や交渉を進めないと、お互いの認識の溝が埋まらず上手く行きません。

(2)株式価値とM&Aの関係性

株式価値の概要や考え方について理解することで、その企業の本質的な価値が見えやすくなります。実際にM&Aを検討する場合は、企業価値と事業価値、そして株式価値の3つの価値を分析した上で冷静な評価を下すことが求められます。

特に株式価値については市場からの評価が入っている部分もあり、きちんと計算した数字を把握することでより客観的に企業の評価を行うことができます。売上や利益だけでなく、見えざる資産や事業の方向性や将来性など、さまざまな情報を織り交ぜながら対象企業について評価し、M&A実務を進めていきます。

それらの1つに株式価値があることによって、社会や市場という第三者の目も入れながら評価を行うことができます。企業の評価により客観性を持たせるという意味で株式価値の重要性は大きく、M&Aを検討する上でも重要な要素となる部分です。

4.M&Aにおける3つの価値の関係性とは?

M&Aを実行する上では、3つの価値がそれぞれ相互に影響を与える重要な要素になることを理解しておく必要があります。事業価値と企業価値、そして株式価値の3つの価値について把握することで、1つの企業をより大きな視点で分析できるようになります。

大きな視点を持って分析を行うことで、最終的にM&Aを実行するのが良いのかどうかといった判断もしやすくなります。M&Aの場合は特に買収する側にも大きな影響を与えます。将来的なことも踏まえて冷静に判断することが重要です。そのために必要な考え方として、3つの価値の関係性について確認していきましょう。

(1)バランスシートの分析

3つの価値の関係性を把握する上では、バランスシートの分析が基本です。バランスシートでは、左側に会社が保有する資産が記載されており、右側に会社が追っている負債が記載されています。「資産=負債+純資産」の関係性となるのがバランスシートの特徴です。

バランスシートを確認することで、その会社の現在地を客観的に判断することができます。単純に資産が多ければ良いというわけではなく、負債が多いと悪いというわけでもありません。大切なのは今後の成長性に期待が持てるかどうかという部分を意識することです。

現在は負債に当たる部分であっても、将来的に回収が見込まれている事業や案件であればそれほど問題ありません。一方で、本当に単なる赤字で補填のために運転資金の負債が膨らんでしまっている場合は、なかなか状況が好転しない可能性があります。

そうした視点を持ちながらバランスシートを分析することで、M&Aに向けて動き出すべき時期なのかどうか検討しやすくなります。資産や負債といった数字的な部分も重要ですが、その奥に隠れている状況も冷静に確認するようにしましょう。

(2)企業価値とは事業価値のこと?

M&Aを検討する際に意識しておきたいこととして、企業価値の大半を占めるのは事業価値であるという点が挙げられます。3つの価値の概要や考え方の箇所でも取り上げましたが、それぞれの事業価値の集合体が企業価値だと言えます。実際には事業外資産も含めた形で最終的な企業価値が算定されますが、それでも大部分を占めるのは事業価値であることに間違いありません。

企業というのは事業活動を行う組織です。非営利団体の場合は異なりますが、一般的な企業は何らかの事業やビジネスを行って売上や利益を上げることを目的に活動しています。その目的を達成できているかどうか客観的に分析できるのが事業価値であり、第三者から見ても重要な指標です。

M&Aの検討に際しては特に意味を持つ価値であり、企業価値そのものと置き換えても差し支えないでしょう。改めて企業価値の大半を占めるのが事業価値であり、M&Aの際にも重要な指標となることを理解しておきましょう。

5.企業価値・株式価値・事業価値を評価する際の手法

スーツを着ているビジネスマン

ここからは、企業価値や株式価値、事業価値を評価する際の手法について取り上げていきます。M&Aを検討する上で3つの価値が重要になってきますが、それぞれの価値を評価する手法について理解することも大切です。

具体的にどういった形でそれぞれの価値を評価すれば良いのか理解することで、企業の総合的な価値をより把握しやすくなります。その手法としては「コストアプローチ」と「インカムアプローチ」、「マーケットアプローチ」の3種類を挙げることができます。それぞれの手法の概要や考え方について理解を深めていきましょう。

(1)コストアプローチとは?

コストアプローチとは、主に中小企業で使われる手法で、別名「ネットアセット・アプローチ」とも呼ばれます。貸借対照表の純資産価値に注目するところに特徴があり、純資産価値をベースとして企業価値を算定する手法です。

基本的には簿価を時価評価し現時点での時価純資産に注目するので、収益性や将来性、価格変動などの要素が含まれていないところも特徴です。また、本来であれば純資産に含まれているはずの含み益も算定されないので、過小評価になってしまう恐れがあります。そうした要素があることを理解した上で活用することが重要です。

コストアプローチの場合、基本的に個社の純資産価値が対象となるので、事業価値を測るという点では不十分です。M&Aに向けては資産の変動状況や収益性、将来性なども踏まえた上で企業価値を図る必要があり、あくまでも企業価値を図る1つの手法だと理解しておきましょう。

(2)インカムアプローチとは?

インカムアプローチとは、企業の将来の収益予測に焦点を当てて価額算定を行うことを指します。企業の現在の価値に加えて将来性や期待値といったものを組み合わせることによって、該当企業の本質的な価値を割り出そうとする考え方に特徴があります。

インカムアプローチを行う上で代表的な手法となるのがDCF法と呼ばれるものです。DCF法とは「ディスカウンテッドキャッシュフロー法」の略で、該当企業が将来的にどれくらいの収益を上げることができるのかキャッシュフローの視点で検討する方法です。一般的には10年間といった一定期間のキャッシュフロー予測を行い、割引率で割ったものを企業価値と見なします。

割引率とは加重平均資本コストと呼ばれるもので、DCF法を用いる際にポイントとなる数値です。一般的には10年という期間を指標に計算を行いますが、IT業界などのように変化が早い業界や企業では5年間やもっと短い期間で計算を行うことがあります。

DCF法を用いることによるメリットとしては、現在価値を基準としているので、ビジネスプランを反映させやすいことが挙げられます。現時点の価値も重要ですが、M&Aを行う上では将来予測も慎重に検討する必要があります。その点において、先の見通しを反映させられることが大きな特徴であり、企業価値を評価する手法としても利用される頻度が多くなっています。

(3)マーケットアプローチとは?

最後にマーケットアプローチについて確認します。マーケットアプローチとは、比較対象となる業界や企業を基準として企業価値を算定する手法のことを言います。具体的には類似企業比較法と呼ばれる手法で、企業の経営体力や稼ぐ力などを算出します。類似企業比較法にも2種類の考え方があります。

1つ目は類似企業のデータから稼ぐ力を割り出す方法で、PER(株価収益率)と呼ばれる株価の状況を判断する指標を活用して計算を行います。PERとは会社の利益と株価を比較して、どれくらい割安なのかという割安性を算出するものです。

例えば、上場している他の類似企業のPERを算出すると、その数値を指標として該当企業の価値基準を判断することができます。同じような業界や業態の企業の数値を複数にわたって比較することで、M&Aを検討している企業の価値を判断することができます。類似企業比較法は手早く企業価値を算出する手法として優れており、スピード感を持った検討に役立ちます。

類似企業比較法の2つ目の手法は、PBR(株価純資産倍率)に当該企業の当期純利益の実額を掛けて計算する方法です。PBRとは当該企業について市場が評価した値段(時価総額)が、会計上の解散価値である純資産の何倍であるかを表す指標のことを指します。PBRは株価を1株当たり純資産(BPS)で割ることで算出できます。

1つ目の類似企業比較法と同様に2つ目の手法も比較的スピーディーに計算を行うことが可能であり、意思決定の際に役立つところに特徴があります。いずれも市場からの評価となる株価を取り入れて計算を行うので、ある程度客観的な視点を持ちつつM&Aの検討を行えるところが魅力的です。

6.まとめ

M&Aの検討に際しては、対象企業の価値をできるだけ正確に把握することが重要であり、第三者の視点も取り入れながら冷静に分析を進めていくことが求められます。企業価値を正しく分析するためには、株式価値や事業価値を含めて、複数の価値の概要や考え方の視点から検討することが不可欠です。

その上で、3つの価値を適切に評価する手法を実践的に活用することが求められます。コストアプローチやインカムアプローチ、マーケットアプローチを相互的に組み合わせながら企業価値を算定することによって、より交渉に有利な具体的で客観性のある金額を見出しやすくなります。

M&Aを行う上では、現状の価値だけに目を向けることはリスキーです。現状の価値に加えて、将来性や期待値といった部分も加味する必要があります。そのためにインカムアプローチを適切に用いながら、正しい評価軸を持ってM&Aの交渉に臨むようにしましょう。

〈話者紹介〉

猪股真さん

新日本総合事務所所長、東京都事業引継ぎセンター相談員、SBI大学院大学講師
猪股 真(いのまた まこと)

1973年神奈川県生まれ。専修大学法学部法律学科卒業。グロービス・マネジメント・スクールCBA。2002年に行政書士試験に合格し、2003年に「あつぎ法務事務所」を開設。各種許認可手続や相続手続、公正証書遺言の作成支援などを行い、事務所を立ち上げる。2004年に医療法人よりコンサルティングに携わり、2008年のリーマンショック以降は本格的にコンサルティング分野に集中してM&A支援を行っている。経営全般に関するコンサルティング歴は10年以上。
さまざまな企業の事業計画や経営戦略を策定する他、経営大学院の講師としても活躍中です。

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