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M&A・事業承継で重要な内部統制とは?M&Aによって事業承継を進めるうえでの内部統制の導入法

はじめに

内部統制は大手企業を中心に、適切な組織運営を行うために用いられる制度です。中小企業を経営する上ではあまり意識されていませんが、M&Aの場面では内部統制の有無が売買を成立させるかどうかの判断基準の一つとして機能します。
M&Aによる事業承継を検討している場合には、内部統制を企業内に導入することで財務諸表や企業の作成する書類などの信頼性を高めることが可能ですが、内部統制の導入にはどのようなプロセスや注意点があるのでしょうか。

今回の記事では、クローバー会計事務所の公認会計士・税理士の柴田亮さんに事業承継における内部統制の必要性や導入プロセスについて教えていただきます。


1.内部統制とは?概要と中小企業が導入する意義

事業承継における内部統制とはどのような意味を持つのでしょうか。まずは内部統制の意味についてご紹介していきます。

 

(1)内部統制の概要とJ-SOX法

内部統制は金融商品取引所の上場企業で制度化されている概念で、企業活動を進める上で適切な組織運営を行い、法令等の遵守や適正な会計管理を行うことを目的として企業を統治するための概念です。
2008年に「J-SOX法」が成立してからは上場企業には「内部統制報告書」の作成と、公認会計士や監査法人によって内部統制報告書の内容が適正かどうか監査を受けることが義務づけられ、内部統制の重要性が広く周知されることとなりました。

J-SOX法は通称で、正式には金融商品取引法第24条の4の4、第193条の2第2項などに正式な条文が記載されています。

J-SOX法では内部統制の目的を
「財務報告の信頼性」
「法令等の遵守」
「資産の保全」
「業務の有効性・効率性の構築」
としています。

また内部統制は次の6つの要素から構成されています。

「統制環境」…内部統制に対する経営者及び従業員の意識を高め、社内ルールの適用と徹底した遵守によって健全な運営が可能になることを、関係者全員が認識していること。
「統制活動」…経営者が示す社内ルールなどの規定を、確実に実行するための方針とプロセスが存在していること。

「リスク評価」…内部統制の4つの目的の達成を阻害するようなリスクについて調査、分析し、排除する対応を取り、想定しうるあらゆるリスクを管理するためのリスクマネジメントが実施されていること。

「モニタリング」…内部統制が正しく機能しているかを継続的に監視していること。

「情報・伝達」…内部統制を実施するために、必要なタイミングで適切な情報が関係者に伝達され、あらゆるリスクに対する情報が関係者全員に伝達されていること。

「ITへの対応」…事業活動に欠かせないITを正しく導入し、迅速な情報伝達、履歴(ログ)の調査、各種手順(作業/承認/調査等)のマニュアル化など、内部統制の有効性にIT化が欠かせないことを理解し、整備を欠かさないこと。

が内部統制を進める上で重要だとされています。

上場企業や、上場企業の子会社・グループ会社では内部統制の導入が進んでおり、M&Aにおいても内部統制の有無が買収を決定するうえでの一つの判断基準です。特に買主が大手企業の場合は内部統制の有無で売買の可否を決定する場合があります。

 

(2)内部統制を中小企業が導入する意義

内部統制は上場企業が義務として作成しているイメージが強いのですが、中小企業においても「仕組み」づくりを進める上で重要な概念です。
仕組みとは業務を属人的にせず、誰でもお金を生み出し、仕事を回していく制度や体制のことです。
中小企業の場合は、特に社長が営業や資金繰りなど会社を経営するうえで重要な業務を全て一人で行います。それを組織として営業や資金繰りができるようにするのが「仕組み」づくりです。

中小企業で内部統制を行っているかは企業によって異なりますが、社長の力量に依存して、一人の担当者に任せっきりになっている企業では、マニュアルなどもなく仕事は属人化しています。
内部統制は、この誰か一人でも欠けてしまうと仕事が成り立たない状況を改善していくことで効率的な経営を目指していく概念です。

企業としては顧客がいて商品があり、売上をあげて利益を確保することが最も重要ですが、組織があって経営を持続させる仕組みがあることも重要です。
内部統制によって企業の属人化を防ぐと、業務を依存している人に何かあった場合にも業務を継続することができ、企業自体の持続可能性が高まります。

また、内部統制がある方が財務諸表など経営に関する重要書類の信頼性も得られます。
事業の持続可能性や財務諸表の信頼性はM&Aにおいても重要なポイントとして見られるので、内部統制を行っているほうが信頼できる企業として評価されやすくなります。

内部統制が機能していると、従業員の不正を未然に防ぐことも可能です。例えば経理社員がお金を使い込んでいたとしても、属人性が強い職場ではお金の流れが不透明になり、問題がなかなか発覚しません。
しかし内部統制が機能しているとそもそも従業員が不正を起こす気にもならないことから、リスク回避の方法としても有効であるといえます。
しかし、管理ばかりにリソースを投入してしまうと無駄な作業が増えて非効率になってしまうので、コストパフォーマンスの良い方法で内部統制を行うのが効率化に向けたポイントです。

そして、内部統制において最も有効性が発揮されるのが経営者に対する統制です。
大企業でも経営陣による不正が報道されますが、これは経営陣を統制する機能が会社に備わっていないからです。会社内や社会への影響力を考えると、経営陣への統制を進めなければ企業や業界全体を揺るがすような不正を無くすことはできません。
相次ぐ大企業の不正を受けてJ-SOX法が施行されましたが、非上場企業や中小企業でも経営陣の統制は重要です。義務化されていないのに自主的に内部統制を行っている会社であれば企業としての信頼性を高めることができます。

(3)内部統制の導入のために中小企業が解決すべき2つの課題

内部統制において重要なのが「組織(仕組み)」と「財務報告」です。特に中小企業はこの2つに課題を抱えています。
内部統制を行うためには正しい管理や決算ができた上でマネジメントや日々の業務を行うのが重要ですが、組織や正しい決算が行われないまま経営が行われているのが実情です。

M&Aにおいては決算資料が正確ではない会社を買収するのはリスクが高いと買手側に忌避されます。特に財務諸表の重要性を認識して、信頼性の高い資料を作成する必要があります。
財務報告の信頼性はM&Aだけでなく金融機関からの融資にも影響を及ぼすので、一度会計士などの専門家に調査してもらい、信頼のおける財務諸表が作成できているか確認してもらいましょう。

M&Aにおいては売手と買手のマッチングにおいて、大まかなスケジュールや譲渡の方法を定めた基本合意書を作成しますが、その中で買取監査(デューデリジェンス)の合意も行われます。

買収監査とは、M&Aを進める上で買収先の経営状態や資産の保有状況がどうなっているのかを知るための調査で、買収監査は監査法人や会計士が数日間かけて行い、財務諸表の確認や登記内容・定款・就業規則・社員名簿・仕入先や顧客との契約書・社内のマネジメント体制や在庫の状況など、企業のさまざまな情報を精査します。
この監査の結果報告を受けて買手はM&Aを行うかどうかの最終決定を行うので、M&Aにおいては最も重要なプロセスとされています。

買収監査において瑕疵が見つかるとM&Aが進行しなくなる可能性があるため、売手は財務報告の信頼性を高めておくように日頃から内部統制を推進していきましょう。
中小企業の場合は「事業承継計画」を立案しておくことも重要です。
どのタイミングでM&Aが成立するかは不明ですが、例えば経営者が60歳であれば10年後までに会社を売却する前提で「1年後から内部統制に着手する」、「3年後には財務体質の改善に取り組む」、「5年後から8年後の3年間は黒字経営を続ける」などの計画を立てておくだけでも会社としての仕組みづくりや決算に対する意識が変わります。

2.中小企業が内部統制を導入するために必要なこと


内部統制を進めようとしても、いきなり内部統制に関する施策やマニュアルを作成するのは中小企業では難しいのが現実です。そこで、内部統制を進めるために具体的に何をすれば良いかをご紹介していきます。

(1)複数社員によって業務を分担する

少人数で会社を運営している場合には、内部統制のために新たな人材を雇用することも難しいので、まずは自分以外の人に業務を任せて内部統制のきっかけを作っていきましょう。
中小企業の経営者に集中している業務を他の社員に引き継ぐだけでも、引き継ぎの場面で仕事内容や業務の進め方が別の社員に共有されます。また一つの業務を複数でチェックするだけでも事業や経理の透明性が高まるので、まずは業務を複数の社員で分散することをお勧めします。

内部統制に明確な決まりはないので、どこまでやるかは企業次第です。特に人材を何人配置できるかによって、どこまで内部統制を行うことができるかが大きく変わります。

必要最低限の対応を行うのであれば、管理部門に2名の人材を置いて業務を分離し、お互いに相手の業務をチェックして最後に社長がチェックするだけで内部統制として機能します。
ここに顧問税理士や弁護士など外部の人材が加わると、内部統制としての実効性や第三者から見た時の信頼性が高まります。まずは相互チェックの体制を構築することからスタートしても良いでしょう。

規模が大きくなるに従い、内部統制を推進する人材の雇用や外部人材の活用による監査機能の強化など、最も効率的な内部監査の手法を推進していきます。
中小企業はどうしても内部統制よりも売上や利益を重視しますが、大企業は売上や利益の確保よりも管理に目が行きがちなので、そのバランスをどう取るかがポイントです。

企業の規模に合わせて適切な内部統制を実施していきましょう。

(2)タイムスケジュールと内部統制計画を作成する

M&Aを前提として内部統制を行う場合には、希望する売却の時期から逆算してタイムスケジュールを作成し、内部統制をどのように社内に浸透させるかを計画します。

内部統制はすぐに社内で導入できるわけではありません。3年・5年といった中長期的なスパンで計画を立てる必要があります。M&Aによって事業承継を考えている場合には、事業承継を行う時期をゴールとして内部統制計画書を作成しましょう。
計画書に沿って内部統制を推進していくことで、買手からの印象や買収監査時の財務諸表、各種資料の信頼性が高まるのでM&Aをスムーズに進行できます。

1年目は内部統制計画の立案と業務の分担、2年目に資産の保全と不要資産の処分、3年目は財務諸表の改善、5年目は業務の棚卸しといった内容で内部統制を推進していきます。

まずはすぐに取り組める社長の業務を棚卸しして、社員に分担させることができる業務を徐々に移譲していくことから始めていきましょう。徐々に複数の社員に業務を任せ、最終的には相互にチェックしながら仕事を進めていくように企業文化を醸成していきましょう。

3.事業承継型M&Aに向けて内部統制を推進するための注意点


M&Aによる事業承継を目指して企業価値を向上させる方法の一つとして内部統制の推進があります。この章では、中小企業において内部統制を推進するためにどんな点に注意すべきかをご紹介していきます。

(1)社長自らが内部統制を推進する

M&Aによって事業承継を進める上で大切なのは、冒頭でご紹介した「仕組み」が会社にあるかどうかです。企業を経営するための仕組みがないと属人性の高い組織となり企業としての価値は半減してしまいます。

特に事業承継の場合には、親族だけでなく第三者に対しても企業を譲渡する可能性があります。しかし「仕組み」ができていないのに譲渡を計画しても、後継者がうまく事業を引き継いで経営できないと判断されてしまい、買手がつきません。これでは企業を渡すにも渡せない状態になってしまいます。
また、このような状態では会社としての価値を低く見られ、譲渡時の株価に影響されてしまうので、内部統制の有無がM&Aそのものの成果を左右します。

意図せずに社内が統制されている会社は、ワンマン社長やオーナー社長が強いリーダーシップを持って社内を統率している場合があります。しかし創業者の場合はうまくいっても、二代目以降は創業者ほど強いリーダーシップを持つ人材は多くありません。そこで仕組みをつくることによって内部統制を図っていく必要があります。

(2)社外人材の参画と従業員の意識づけで内部統制を加速していく

家族経営の場合は事業承継に向けての動きを始める前に、会社としての信頼性を高めるために内部統制を始めると良いでしょう。可能であれば社外取締役を設け、弁護士など親族以外の人間を経営に参画させることで内部統制を行っていくと企業としての信頼性や透明性が高まります。

M&Aなどで事業承継を考えている場合には、どれだけカリスマ性の高い経営者だったとしても、承継する相手に同じようなカリスマ性を求めることはできません。引き継ぐ次の世代のためにも仕組みづくりを行うことが企業を持続させるためには重要です。
まずは内部統制計画書を作成し、役割分担を行いながらリーダーが全社に向けて「仕組み」づくりを行う重要性を発信していきます。従業員の意識はすぐに変化しませんから、時間をかけて徐々に計画を進め、役割分担の明確や複数社員での業務分担が発生したタイミングでマニュアル作成を進めていきます。

従業員によっては「仕事を分担すると自分の存在価値がなくなる」と考えて仕事を分担することに抵抗を示すこともあります。特に旧来型の価値観では、自分にしかこなせない仕事がある方が価値のある人材だと捉えがちです。しかし人材の流動化が進んだ現在の企業にとって、属人化はリスクの方が大きくなってしまいます。ベテラン従業員が多い会社ほどベテランが大勢引退した後のことを考え、仕事を分担することの重要性について時間をかけて説いていきましょう。

 

(3)人材の定着にも配慮して内部統制を推進する

内部統制の推進は、M&Aの買収企業からの信頼性やイメージ向上だけでなく人材の定着にも寄与します。
言うまでもなく企業を支えているのは従業員です。昨今のビジネス環境で特に若手社員に「見て覚えろ」で仕事を覚えさせようとしても通用しません。
将来的には人口減少に伴い、特に若手社員の確保が難航することが予想される状況では、マニュアルの作成によって読めばすぐに仕事ができる組織体制を構築しておく必要があります。
創業者や経営陣は会社や事業に対する思い入れが強く、主体的に仕事を覚えて自発的に質問を行うのは当然と考えがちです。しかし一般社員でそこまで熱意を持って仕事に取り組む人材はごく一部です。多くの社員は会社で指導して、マニュアルやフローに従って業務を進めていくことで仕事に対する自信が生まれ、その後に仕事への愛着や愛社精神が生まれます。
人材が定着する会社は、内部統制に従って入社から一人前に成長するまでの効果的な育成プランを立てて人材マネジメントを行います。人材の定着や能力開発の観点からも内部統制を進めていきましょう。

4.まとめ

M&Aによる事業承継は株の売買だけで成功するわけでなく、滞りなく事業承継が済んで初めて成功といえます。内部統制は事業承継をスムーズに進める手法の一つなので、M&Aを見越して内部統制を推進する場合には、早めに着手することをお勧めします。

特に買手が上場企業や上場企業の関連会社、グループ会社の場合は内部統制についてシビアに審査されます。財務諸表や作成資料の信ぴょう性がない会社では、どれだけ良いビジネスをしていても買うに値しない企業だと判断されてしまいます。

まずは内部統制をしっかり行い、企業としての信頼性を高めてより良い買収企業とのマッチングを目指していきましょう。

話者紹介


クローバー会計事務所
所長
柴田亮(公認会計士・税理士)

上智大学卒業。地方銀行や中堅監査法人を経て新日本監査法人入社。上場企業の会計監査業務を経験。
平成20年に公認会計士登録。財務系コンサルティングにて中堅・中小企業の株価算定・事業再生・M&A業務を経験。平成23年より東京さくら監査法人のパートナーに就任。またクローバー会計事務所を開設して所長に就任。平成24年に税理士登録を行い、株価算定や株式公開支援を中心として多くの企業のアドバイザリー業務に従事。

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