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インターネット広告で激変する広告代理店業界 M&Aのメリットや事例を詳しく解説!

2020/05/07

はじめに

新聞、雑誌、ラジオ、テレビ等の主要四媒体における広告の取扱量が減る一方で、インターネット関連の広告代理店の規模は拡大する傾向にあります。ウェブをメインに据える広告代理店はAIやアドテクノロジーなどの技術を取り込むことでさらなる事業拡大が見込まれるのに対し、主要四媒体に紐付けされた旧来の広告代理店は生き残りをかけるためにM&Aを活用したり、経営者の高齢化により後継者に事業承継したりするケースも考えられます。

そこで広告代理店業界のM&Aの実情について、ストライクの鈴木芳憲さんの話を伺いました。


1.広告代理店業界の現況

M&A成立の想像図
インターネットと関連する広告の普及により、従来の枠組みでは広告代理店業界の範囲を捉えきれなくなっています。最初に、広告代理店業界の現況とその動向について解説します。

(1)広告代理店業界の概要

広告代理店業界と呼ばれる業種分類ですと、狭義の広告代理店とは主要四媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)の広告を取り扱っている代理店を指します。しかし、ここ20年くらいの間、主要四媒体が取り扱う広告量は減り続けています。その一方でインターネット広告が増え、サイバーエージェントのようにインターネットをメインにする広告会社やそれに関連する会社が急成長しています。そのため広告代理店の定義がどんどん広がっている状況にあると認識しています。

このような状況のなかで、どんどん規模を拡大していこうとする広告代理店もあれば、逆に状況が非常に厳しいので今後どう生き残っていくかを模索している新聞や雑誌をメインで行う広告代理店もあります。そのためインターネットでの広告業やAIやアドテクノロジーといった自分たちにない分野に参入していくようなM&Aが非常に増えているというのが、今の広告代理店業界における足元の状況だと思います。

(2)広告代理店業界の動向

広告代理店のなかでも、出稿に関して代理業務をする一方で、制作機能自体をもっていない会社もあります。広告を制作するために関連する部門を拡大したい場合にも、紙のデザインとウェブのデザイン、テレビCMやインターネット動画とでは得意分野が変わってきます。そのため広告代理店が制作部門を取り組みたいのであれば、別の制作分野が得意な会社と一緒になって、自分たちの事業の領域を広げようとします。

①ビッグデータ解析やAIやアドテクノロジーの隆盛

現在非常に注目されているのが、ビッグデータの解析やAIとアドテクノロジーの融合です。主要四媒体に比べて、インターネット広告の場合、広告を閲覧する方に対して効率的に効果測定がしやすい側面があります。閲覧者に的確な広告を打つためには、その人たちの趣味趣向にあったものを出すだけではなく、彼らの目に留まるようなコンテンツも重要です。

こうしたテクノロジーを扱う会社の方が、企業としても広告宣伝費に対して予算がつけやすい時代になってきています。そのため、テック系をベースにしたような広告関連の会社や広告代理店が今非常に力をもってきており、また主要四媒体に従事している規模のある会社も、そういう会社を取り込みたいと、今は積極的にM&Aをやっている状況です。ただ実際問題として、アドテクノロジーやビッグデータをやっている会社を買収したいという話を弊社も非常に多く伺いますが、そういう会社は急成長しているので他社に売らない状況です。

②近接する印刷業の動向

ニーズの面ではAIやアドテクノロジーの会社を取り込むというのがメインですが、実際にM&Aがかなり多いのが印刷業です。印刷業と広告業とはお互いに非常に近い業界です。ただし広告代理店業界に比べて、印刷業界はさらに厳しい状況です。基本的に紙の需要はどんどん減り続けています。そのため減った紙の需要をどう補填していくのかが課題です。紙の業界で非常に需要が高かったのは、広告やPRといったニーズを拾って印刷して出稿することでした。そのため広告代理店業務を取り込むだけでなく、ウェブのニーズも増えているためウェブの会社を欲している状況です。そこで非常に近しい広告代理店業界と印刷業界とがクロスボーダー的にM&Aを実施することが非常に増えています。

③旧来の広告代理店や関連企業の事業承継

70代や80代の経営者がもつ会社の事業承継に話を限ると、一番価値のあるビッグデータやアドテクノロジーをもつ会社ではなく主要四媒体や紐づけされた印刷会社のM&Aが結構多いと認識しています。このような会社は業務内容的に厳しい状況なので、大手の会社が買収しても同じ苦しみを共有するだけで成長は難しい状況です。ただ古い会社にも強みがあって、一番は顧客です。広告代理店にはもともとお付き合いのある顧客がいて、顧客と媒体をつなぐことによって、収益を上げています。そのため、これらの広告主が会社の価値に直結しています。

ただし顧客という強みのある中小企業でも、M&Aで非常にリスクのある点がひとつあります。それは顧客が売手企業の社長にくっついているため、社長が引退すると顧客もともに離れるリスクがあることです。M&Aを通じて株を売買することで、多額の対価が支払われます。社長が辞めても引き継ぎ期間がしばらくありますが、その間主要な顧客がいなくなれば会社の価値が失われます。規模が大きくてもこのようなリスクを抱えていれば評価が下がりますので、買手となる相手企業も非常に見つけづらくなります。

2.広告代理店業界におけるM&Aのメリット

広告代理店業界においてM&Aを行うメリットをみてみましょう。

(1)売手のメリット

M&Aの多くが後継者不足が理由ですが、後継者がいたとしても、M&Aは売手にとってのメリットがあります。親会社とのシナジー効果は勿論のこと、会社の経営・営業・財務基盤の強化が図られ、売手の経営者による個人保証もなくなります。

広告代理店と印刷会社のようにお互いが違う事業をやっている場合、買手企業は必ずしも適切な経営者を派遣できるわけではありません。そういう場合には、売手の経営者が社長が残って活躍することは買手にとっても売手の経営者にとってもメリットとなり得ます。

(2)関連する金融機関や地域のメリット

金融機関にとっても、M&Aを通じて規模のある会社と一緒になれば、その会社の与信もすごく高まりますし、悪い話ではありません。株主が安定し次期社長もいて、なおかつ大手からの支援があれば、会社が抱えていた継続的リスクが著しく下がります。地方の会社であれば、地元の経済や雇用の継続にとってもメリットがあります。

120万社くらい廃業の恐れがあると中小企業庁が公表していますが、後継者がいなくて会社を畳めば、地域の産業や雇用が失われるので、ますます地方から活力が失われます。地方を再活性化させる意味でもM&Aが有効な手段として使われていますし、弊社も金融機関や地方の税理士・会計士、公官庁から支援をいただいて事業に取り組んでいます。

3.広告代理店業界におけるM&Aの事例

デジタル化したマーケティング
広告代理店業界における会社の事業内容によって、M&Aの事例は異なります。

(1)印刷会社の事例

印刷会社の売却事例を紹介します。印刷会社の事業は紙の印刷に限りません。シールや包装紙、紙の加工をやっている会社もあります。最近だと雑誌の付録用のバッグを包装する小さな箱など、薄紙と段ボールの中間に位置するものを扱っている紙加工の会社様がいらっしゃいました。印刷をやるだけより付加価値高く利益率が良い事業なので、高値で売却することができました。

一方で、厳しいのは大量に輪転機で印刷する新聞やチラシなどです。新聞に挟むチラシは1枚当たりの印刷の単価が上代で数十銭である一方、輪転機は1台当たり1億円や2億円かかります。そうなると1日に何十万枚というレベルで刷らないと利益が出ません。今は仕事が減っているので、これらの会社はさらに厳しい状況に直面しています。

輪転機を何台ももっていると仕事を常に補充しないと苦しい状況なので、同業を買収して仕事を取り込むことは勿論のこと、営業を強化し顧客を増やすために広告代理店を買収するケースも多いです。広告代理店の側からみても、販促グッズやPRなども行うので、単に広告等に出稿させるだけでなく、会社案内やチラシ、名刺など紙系の関連グッズを作ることが可能になります。これらを受託すればグループで印刷できるので、双方にメリットが発生しるというわけです。

(2)テック系企業の買収

アドテクノロジーの会社が、CMやショートムービーなど映像コンテンツの制作をメインでやっている会社を買収するケースもあります。アドテクノロジーの会社はビッグデータやAIなどの技術をもっているので、コンテンツ制作会社とはシナジーが見込めます。今のインターネット広告では、単にGoogleやYahoo!のバナーを載せるだけではなくて、もっとターゲティングをして的確な広告を打つ技術が進んでいます。閲覧者がよくみるサイトだけでなく、好きそうなコンテンツをもつサイトに誘導したり、そのサイト自体を自前で準備したりしています。ファッション系のキュレーションサイトやニュース配信している会社に、コンテンツプロバイダーからコンテンツを吸収し、配信からどれが好きそうかを判断して、関連するサイトに誘導して本当に売りたい広告を出すこともあります。

(3)旧来の調査会社の買収

インターネット広告の場合、主要四媒体と関連した従来の広告と比較して、AIで効果測定の定量分析ができる一方、定性的な分析は難しい側面があります。そのため旧来のリサーチ会社やパネル調査会社を欲しているケースもあります。これらの調査会社では、自分たちが狙っているターゲットの顧客にサンプル調査をして、インタビューによって本当に欲しいものは何か・なぜこの広告に興味をもったのかを深堀して調査を実施しています。昔は主要四媒体と組み合わせて調査していましたが、インターネットになってデータが取れるので旧来の調査会社はある時期には必要とされませんでした。ただインターネット広告によるAIの定量分析では数値の裏付けがわからないので、もう一度パネル調査のできる会社が欲しいという傾向になっています。

4.M&Aを成功させるには

広告代理店業界のM&Aで成功するためのポイントは、いくつか挙げられます。

(1)将来性を加味した相場調査

業界ごとに、どの金額で会社を買収できるのかという相場があります。弊社では、会社の株価を算定するために現在の価値と将来の価値の両方を眺めています。将来の価値は株式市場に相当します。ただ株式市場の場合、会社の資産や利益から非常に高い株価をつけている業界と、そうでない業界の両方があります。

たとえば製造業の場合、成熟している業界のため、実際にその会社がもつ資産や将来利益はあまりぶれない堅い数字が出る傾向があります。一方で、ビッグデータやAI事業を運営する会社の場合、急成長をして5年後は売上が10倍になるという前提で株価がつけられる可能性があります。

広告代理店業界でも主要四媒体は将来非常に厳しいですが、上記のテック系企業などが携わる新しい事業を組み合わせれば、今の資産や利益に比べて非常に高く、将来性を多く加味した企業評価価値の高い企業が誕生すると思います。

(2)早いタイミングでM&Aを決断

M&Aのタイミングは、基本的に早いほうがいいです。社長が70歳を過ぎて会社の業績も悪いという状況だと、買手も不安になります。逆に社長が50歳ぐらいで社員の平均年齢が30歳前後で勢いのある会社であれば、買手もM&Aに非常に前向きになれます。そういう意味では、売らなければならないと思う2、3歩手前くらいでM&Aを模索したほうが、間違いなく会社の価値を高く見積もられます。

もちろん自分の会社を守りたいというオーナーシップや、高く売るために会社を経営しているのではないという気持ちも経営者は持っています。ただ会社の価値は経営者の年齢でいうと60歳前後くらいがピークで、70歳を過ぎると急激に下がるイメージです。

会社が一番脂の乗っているときに有能な人材を社長にすれば、その会社はさらに改善されます。事業承継に困って誰かに引き受けてもらうという発想ではなく、その一歩前の段階からM&Aを模索したほうが会社や従業員のためにもなりますし、会社が買い叩かれるリスクも減ります。

5.まとめ

広告代理店業界では、主要四媒体は非常に商売が厳しい状況です。そのため、さまざまな機能を足して、自分たちの領域を広げている状況ではないでしょうか。顧客自体は変わらないと思うので、どんな手段でお金をもらうのかが課題です。PRのコンサルティングもできるしウェブの戦略から動画まで全部できる会社のほうが、仕事を多く依頼されます。印刷しかできない会社であれば、ほかの事業も全部こなせる会社に顧客を取られるかもしれません。

インターネットが中心になっている状況なので、自社が中心にいないのであれば、中心にいる会社と一緒になったほうがいいでしょう。10年後に同じ商売ができているかも不明です。そのため、顧客をもっているという自分たちの強みがあるうちに、早くM&Aを進めたほうがいいでしょう。

話者紹介

株式会社ストライク 企業情報第6部長
鈴木 芳憲(すずき よしのり)
新潟大学法学部卒。2004年独立系M&Aブティックに入社。
2009年ストライクに入社。プロジェクト立案から新規開拓、提案、クロージング業務を経験。現在に至る。

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