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事業承継におけるエスクローとは?事例や流れを詳しく説明!

はじめに

事業を買収すると、デューデリジェンスをしても把握できなかったリスクを買収後に知って、思わぬ損害が発生するという事態があり得ます。そのようなリスクに備えるための手法の1つに「エスクロー」があります。
今回は、一部上場企業で8年間M&A・事業買収に携わり、多岐にわたる業種28件のM&Aを実施してきた経歴のある琉球M&Aパートナーズ株式会社の代表取締役、長野様にエスクローの概要や事例、メリット・デメリットについてお話を伺いました。


1.エスクローとは?

契約

買収後に損害が発生するリスクを回避するためには、エスクローというサービスを利用する方法があります。まずはエスクローの概要について理解して、安全にM&Aをするためにどのような場合にエスクローが利用されているかについて知っておきましょう。

(1)そもそもエスクロー(取引保全)とは?

M&Aでは売買契約を結びますが、それとは別にエスクロー契約といって、契約当事者の間に金融機関のように第三者を介入させて、代金決済の安全性を担保するというサービスのことを、エスクロー(取引保全)と言います。

アメリカをはじめ、海外のM&Aではよく行われるのですが、日本でエスクローが利用されることはあまり多くありません。特に中小企業のM&Aではほぼ使われませんが、まれに契約に第三者を介入させたいと当事者が希望する例はあります。

(2)エスクローが利用される取引規模

取引金額の多寡がエスクローを利用する判断材料になるわけではありませんが、あまりにも取引規模が小さい案件の場合は、費用倒れしてしまうため利用件数は少なくなります。逆に取引規模が大きければ、取引の保全性の重要性も高まるため、費用をかけてでもエスクローを利用するインセンティブが働きます。いずれにしても、当事者間でエスクローを利用することに合意されれば利用されます。

(3)買手は損害発生時の対策が必要

M&Aでは、売買契約成立後に買手側が何らかの損害を受けると、売手に対して損害賠償を請求することがあります。そのため、売買契約時に損害賠償について取り決める「補償条項」を定めるケースが一般的です。
売手は事業を売却する時に、自身の事業について熟知していますが、買手は買収する事業の全面を把握しているわけではありません。このような情報の非対称性を埋めるためにあるのが「デューデリジェンス」です。しかし、デューデリジェンスを行っても完全に情報の格差を埋めることはできないため、最終的に売買契約時に補償条項を定めざるを得ないのです。

よくある事例として、買手は決算書をベースに事業を買収するか判断しますが、決算書自体が正しい会計処理に基づいて作成されたものであるかは把握できません。もしも決算書の情報が誤っていた場合、そもそも投資判断としての前提が間違っていることになります。

買収する前のデューデリジェンスにおいて、ある程度会計処理の精査は行いますが、それでも見落とす点があり、買収後に発覚するケースもあるのです。
また、法務面においても様々な買収後のリスクは生じる可能性があります。例えば、買収企業に未払い賃金があることを買収後に判明した場合、実質的に買手がその費用を負担することになります。デューデリジェンスにおいて労働時間の精査を行っていたとしても、買手が完全に網羅することは難しいのです。
このようなケースが発生することがあり得るため、売買契約を結ぶ際に売手に対して損害賠償を請求する権利を定めた補償条項を定めるようことが多いのです。

(4)補償条項の安全性を担保するためにエスクローが使われる

売買契約に補償条項を定める際に、損害賠償を契約締結後に何年間請求できるのか、損害賠償額の上限をいくらにするのかといった内容を決めていきます。ここで決定した補償条項の安全性を担保するためにも、エスクローがよく使われるのです。

M&Aが成立したら、買手は買収金額の全額を支払いますが、後になって損害賠償が発生したとしても売手に損害賠償額を全額支払ってもらえない場合があります。そのため、損害賠償額の上限である買収金額の一部を第三者であるエスクローエージェントに預けておくことで、損害賠償額が支払われなかったという事態を避けることができるのです。損害賠償請求の対象となる期間が終了すれば、預けていた金額が売手にリリースされます。つまりM&Aにおいて、エスクローは買手にとっての保険のような存在になるのです。

M&A成立後に発生したトラブルが損害賠償の対象になるかどうかは、基本的には当事者同士の話し合いで決めていきますが、境界の違いや齟齬が生じることによって話し合いで解決しない場合もあります。そのような事態に備えて、エスクローを利用して金融機関などの第三者を介入できるようにしておくことで、問題が起きたときに客観的な判断をしてもらえるようになるのです。

(5)前提条項の設定の際にもエスクローが使われる

売買契約内に、何らかの特定の条件が満たされれば譲渡金額を払うといった前提条件条項が備えられている場合に使用されるケースもあります。これは、売手側に安心感を与える効果があります。例えば、事業譲渡の場合に、許認可の更新や賃貸借契約の地位承継、従業員の雇用継続が決済の前提条件として定められている場合、売手側の協力も欠かせないため、前提条件さえ満たせば確実にエスクロー口座から支払われるよう担保しておくことで、売手が安心して手続きを行うことができます。

2.エスクローを利用したM&Aの事例

交渉

エスクローの利用に至るまでに、事業の買手はリスクを抑えるためにさまざまな手法を取ります。ここからは、実際に事業を買収した企業がどのようにリスクを抑え、エスクローがどのように利用されるのかについて説明します。

(1)アーンアウトを採用して買手のリスクを減らすこともある

売買代金の支払いには、分割払いのような機能を持った「アーンアウト」という方法があります。例えば、事業を買収してから当初見込まれた利益が出た場合に、売買代金の残額を支払うという取り決めがアーンアウトです。
特に大企業のM&Aではアーンアウトを採用する事例がよくありますが、中小企業ではあまり使われません。アーンアウトを採用する場合は、追加で支払うための費用をエスクローに入金しておいて、アーンアウト条項が満たされた場合に追加の売買代金が売手に入金されます。

(2)安定した収益性が見込めるかどうかによって契約方法が変わる

中小企業でアーンアウトが採用される事例もありますが、業種によって長期的に安定した収益性が見込めるかどうかによって採用の是非が変わってきます。例えば農業や建設業のように収益の増減が毎年大きく変化するため、収益の見通しが立てにくい事業の場合は、買手としては買収するかどうか悩むところです。

翌年は売手の収益増が見込めると判断しているのであれば、買収した翌年に条件を満たす利益が出た場合に、追加の売買代金を支払うことについて第三者を含めて契約しておけば、万が一損失が出た時でも追加の費用を支払う必要があるのかを客観的に判断してもらえます。

このように、売買契約成立後の損害に対処できるように、あらかじめ起こりうる不利益を想定して、買手に生じうる全ての不利益への対応方法を売手と買手の間で交渉しておくことが重要です。金融機関のようなエスクローエージェントは、交渉によって定められた条件について全て文字に起こして証拠を残すようにしています。

近年では、大規模な自然災害や疾患の流行による経済的損失のリスクまで、しっかりとカバーしたいという買手が増えてきています。そのような買手は、事前に起こりうるリスクを想定しながらアーンアウト条項を制定して、さらにエスクローを使用することで損害発生時に補償してもらえるように備えています。

(3)エスクロー口座から分割してリリースするケース

前提条件条項の設定においてエスクローを使用する場合に、一部条件が充足されるごとに分割してリリースしていくケースもあります。例えば、事業譲渡により買収する飲食店が10店舗あったとして、賃貸借契約の地位承継のために、それら全ての家主と交渉することになります。しかし、家主の中には買手と新たに賃貸借契約を結ぶのを拒否して店舗を引き継げないこともあります。そのため、地位承継が完了した店舗ごとに売買代金をエスクロー口座から支払うといった活用方法もあります。

3.エスクローを利用する時の流れ

書類

まずは、契約者間でエスクロー口座から出金するための条件についての取り決めをします。その後エスクローエージェントにエスクローを利用することを伝え、売買契約とは別にエスクロー契約を締結します。エスクロー契約書には、売手と買手に加えて、エスクローエージェントも契約当事者となります。

エスクロー契約の出金条件が満たされれば、エスクローエージェントへ連名で出金の申請を行います。

4.エスクローのメリット・デメリット

合意

エスクローを利用することには、メリットもあればデメリットもあります。これらを理解しておくことで、適切にエスクローを利用できるようにしておくことが大切です。

(1)エスクローを利用するメリット

エスクローを利用するメリットは、売買契約に第三者を介入させることで取引の保全ができることや、契約者同士の見解の相違が無いようチェックする機能を果たしてもらえることです。

売手にとっては、決済条件が成立したとしても、買手が本当に売買代金を支払ってくれるかどうか心配になります。そのため、エスクローを利用することで売買代金の支払いを第三者が保証してくれるという安心感が得られます。

買手にとっては、売買代金を全額支払った後に損害が発生して、売手に損害賠償請求をするケースもあるため、エスクローに売買代金の一部を入金しておくことで、損害賠償を支払ってもらえないというリスクを回避できるというメリットがあります。

(2)エスクローを利用するデメリット

エスクローのデメリットは、サービス利用時に費用がかかるということです。これはM&Aを行う際にM&A仲介会社に依頼するのと同じことです。
特に中小企業のM&Aの場合は売買代金に対する費用負担が大きいことから、エスクローを利用する取引は多くありません。
また、エスクローを利用する際に、支払い条件などを細かく設定しなければならないため、手続きが面倒になるというのもデメリットです。

5.まとめ

本記事では、エスクローがどのようなサービスであるのかということや、実際にエスクローが利用される場面、エスクローを利用するメリット・デメリットについて説明しました。事業を売買する際は、売買代金が正しく支払われるかということだけでなく、損害が発生した時に損害賠償金がスムーズに支払われるかという保証があると安心して取引できます。

日本でエスクローが利用されるケースは多くありませんが、安全にM&Aを行うためにも、エスクローの概要について理解しておき、事業を売買する際の参考にしてください。

話者紹介

長野様

琉球M&Aパートナーズ株式会社 代表取締役 長野様

中小企業診断士・宅地建物取引士

大分県出身で現在は沖縄県那覇市在住。趣味は海外旅行。慶應義塾大学経済学部卒業後、一部上場企業の経営企画室にて8年間M&A・事業買収に携わる。外食、流通、製造業、介護、農業等、多岐にわたる業種28件のM&Aを実施。沖縄県に同社を立ち上げ、県内企業の事業承継問題を解決するため、M&Aの助言を行う。

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