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オンラインで事業承継・M&Aの相談!?~対面相談との比較を徹底解説~

はじめに

新型コロナウィルスの感染拡大の影響によって、事業承継・M&Aのオンライン相談が増加する流れが加速しています。近年のM&Aマッチングサイトの増加といった状況も踏まえながら、オンライン相談の現状、対面相談との違い、メリットとデメリットなどについて、M&A、事業承継の専門家である株式会社みどり未来パートナーズの三村 尚さんに解説していただきました。


1.オンライン相談が普及するきっかけはマッチングサイトの登場

スマホの画面から飛びだしての握手
まずはオンライン相談が広まる前段階としてのM&Aマッチングサイトについて解説していきましょう。

(1)M&Aマッチングサイト登場の背景

M&Aでオンライン相談の活用が目につくようになったのはここ数年のことです。他の業種で扱っている商品に該当するものがM&Aでは会社であり、売買時の金額も高額になります。以前は大きな金額が動くM&Aの相談をオンラインでするのは抵抗があるという声が多かったのですが、その流れが変わる一つのきっかけとなったのはマッチングサイトの登場でした。

M&Aは専門家、M&A仲介会社を介して行うのが一般的な流れなのですが、売手が買手を見つけて、成約するまでには複雑な行程があり、多くの労力と時間を費やするだけでなく、コストもそれなりにかかります。M&Aマッチングサイトを運営する企業が数多く登場した背景には、中小企業のM&Aが増えてきたことがあげられるでしょう。M&Aの手続きにかかるコストをできるだけ削減したいと考えている中小企業の経営者にとって、マッチングサイトはM&Aへの第一歩のハードルを下げる効果があるからです。

M&A専門企業、アドバイザーによるマッチングサイトの他に、就職サイトのマッチング・システムやフォーマットをM&Aに応用するなど、幅広い業種からの参入も目立ってきました。

(2)M&Aマッチングサイトのメリット

ここでは売手にとってのM&Aマッチングサイトのメリットを見ていきましょう。

①コストが安い

M&Aマッチングサイトの大きなメリットの一つはコストが安いことでしょう。現在では数多くのマッチングサイトが展開されており、料金設定もさまざまですが、売手はコストがゼロで、成約時に買手が一定の手数料を払うというシステムが一般的です。

②買手を幅広く探せる

ネットを通して買手を探すことになるので、地域や業種に限定されず、幅広く探すことができます。

③ダイレクトな交渉が可能

売手と買手がネットを介して、直接コミュニケーションを取ることになるので、交渉の速度が速くなることが期待できます。

(3)マッチングサイトのデメリット

①売手会社の情報が広がる危険性がある

M&Aは秘密厳守で行われるのが原則ですが、ネットで買手を募集する場合は匿名で行っていても、売手会社が特定されてしまうこともあり得ます。情報が拡散される危険性がゼロではないことを踏まえておく必要があるのです。

②買手が見つからない場合もある

マッチングサイトに登録しても、反応がない場合も考えられます。登録してしまえば、あとは買手が現れるのを待つだけなので、どれくらいの時間がかかるのか、時間をかけても見つからないのか、判断が難しくなる場合もあります。

③マッチングサイトだけで完結するのは難しい

マッチングサイトで買手候補を見つけたとしても、具体的な交渉に入る際にはやはり専門家のアドバイスが必要となってきます。知識がないがゆえに損をし、トラブルが生じる可能性があるからです。マッチングサイトはあくまでも最初の段階で活用するものと考えておいたほうがいいでしょう。

2.事業承継・M&Aのオンライン相談の現状

パソコンの画面でのオンライン解説

マッチングサイトが普及したことによって、オンライン相談に対する認識が変化してきた背景がある中で、コロナ禍によって、利用する人が一気に増えてきているというのが現状です。自然な流れがコロナ禍によって加速したという言い方もできます。オンライン相談の現状について、くわしく見ていきましょう。

(1)コロナ禍がオンライン相談のニーズの増加を加速化

もともとはM&Aに関する相談は対面が基本だったのですが、コロナ禍によって大きく状況は変化しました。オンライン相談に抵抗感を持っていた人も、自粛要請による外出、移動の制限、リモートの推奨などによって、オンラインを選択せざるを得ないケースが増えているのです。

これまでは「オンラインでどうですか?」と聞くと、「いや、会社に来てほしい」という方が多かったのですが、コロナ禍以降は「こちらに来ないでほしい。オンラインでお願いしたい」との要望が増えています。

(2)オンライン相談と対面相談で行程の違いはあるか?

事業承継・M&Aで悩んでいる経営者が最初に相談する段階ではオンラインのほうが心理的なハードルが低く、気軽にできるという利点があると思います。ただし相談からM&Aの成約に至るまでの行程はオンラインと対面とで特に違いがあるわけではありません。これまでに実際の現場でやってきたことをそのままオンラインに置き換えて行っているという認識でよいでしょう。

3.オンライン相談で使用するミーティング・ツール

パソコンのキーボードの上に置かれたスマホ

オンライン相談をする場合はパソコンやスマホでミーティング・ツールを使用してのやりとりとなります。ツールについても簡単に説明しておきましょう。相談を受ける側が知っておくべきことが中心になりますが、相談する側も知っておいたほうがいい基本的な知識も含まれているので、参考にしてください。

(1)相談者の使いやすいツールを使うのが基本

現在、多く使われているのはZoom、Skype、Microsoft Teams、LINE、Google Meet 、Whereby、Messenger、Webex Meetingsなどです。この他にもたくさんのツールがあり、会議に特化したもの、面談に特化したものなども出てきています。どれも基本的な機能は備えているので、使いたいものを使うということでいいのではないでしょうか。

中小企業の経営者はご高齢の方も多いので、ITにそんなにくわしくない場合は、こちらから使いやすそうなものを提案させていただいています。ある程度、オンラインを使われている場合には、基本的には相手が使いやすいツール、使い慣れたツールを使うのがいいでしょう。

弊社のホームページではオンライン相談用にBioGraphというツールを使っています。このツールにはスケジュール調整の機能があること、操作が簡単であること、使用にあたって登録する必要がないこと、スマホでも使用可能なことなどのメリットがあります。

(2)セキュリティー面には万全を期す必要がある

M&Aに関する相談は情報が漏れないように、サイバーセキュリティーに万全を期す必要があります。安全対策として考えられるのは次の3つです。

・最初の段階でセキュリティーの設定をしっかりする
・アプリのバージョンアップを忘れずに行い、最新のツールを使用する
・セキュリティーソフトを導入する

4.オンライン相談のメリットとデメリット

スマホを確認するビジネスマン
M&Aを進行する行程に違いはないものの、オンライン相談と実際の対面相談ではやはり相違点があります。ここではその違いを踏まえて、オンライン相談のメリットとデメリットを解説していきます。

(1)オンライン相談のメリット

①移動コストと時間のロスがない

移動のコストがかからない、時間のロスがないことは相談者にとってはもちろん、M&AアドバイザーやM&A仲介会社にとっても大きなメリットです。弊社でも移動に費やすロスを減らすべく、オンライン相談を増やしてきた流れがあります。

②場所を選ばない

オンラインならば、どんなに遠方からの相談でも受けることができます。

③アポイントメントが取りやすい

経営者は忙しい方が多いのですが、オンライン相談ならば、実際に相談している時間だけ作っていただければいいので、期日の設定がしやすくなります。実際に対面の場合は、時間を合わせるのにある程度の日数が必要になるケースが多いのですが、オンラインならば、日時がすぐ決まるケースがほとんどです。簡単な相談ならば、その場のオンライン上で完結することもあります。

④資料の共有が容易

対面相談でも同じ資料を見ながら会話しているので、違いはないのではないかと思われるかもしれませんが、オンラインは画面共有ができるので、資料の同じ部分を確実に共有できることがメリットとなります。対面の場合は紙の資料を用意しても、理解の早いお客様の場合はさっと読むだけで、こちらが見てほしい部分を見てもらえないケースもかなりあるのです。オンラインの方が資料の共有という点では確実になるので、理解が深まりやすくなります。

(2)オンライン相談のデメリット

オンライン相談はメリットがたくさんありますが、対面相談と比較すると、デメリットとなる部分もいくつか出てきます。

①時間が短くなりがち

実際に対面での相談と違い、オンラインという環境では通信環境による制限もあって、レスポンスにタイムラグが生じたりするため、必要なことだけの会話になってしまいがちです。予約段階で1時間となっていたものが30分で終わってしまったというケースも多くあります。時間が短い・イコール・情報量が少ないということにもつながってしまうのです。

②対面よりも情報量が少なくなる

オンラインによって、相手の表情や様子を見て取ることはできますが、実際に対面した場合よりも情報量は少なくなってしまいます。雰囲気や気配など、画面からは伝わらないもの、対面でなければわからないものもあるのです。

5.オンライン相談の注意点と有効活用のポイント

たくさんの顔の映像の前でスマホにタッチ

上記であげたオンライン相談のデメリットはやり方次第で解消することができます。要点をいくつかあげて、説明していきましょう。

(1)コミュニケーションを取ることを心がける

オンラインであれ対面であれ、面談で重要なのはしっかりとコミュニケーションを取ることです。レスポンスにタイムラグがあるならば、間を取りながら話すように意識するといいでしょう。

一対一ではなくて、ある程度の人数がいる場合は進行役をはっきりさせるなど、会話の交通整理も必要になってきます。

(2)雑談がヒントになることもある

相談を受ける側としては業務内容だけに終始するのではなく、「お時間は大丈夫ですか?」と確認して、先方が問題ないならば、話を広げるように工夫しています。雑談がヒントになることもあるからです。

アーリー・リタイアを考えている経営者から相談を受けた時の例を紹介しましょう。後継者がいないという悩みを抱えていたのですが、「お子さんはいらっしゃるのですか?どこにお住まいなのですか?」という話から雑談になり、娘さんが2人いること、そのうちの1人は近く結婚することなどがわかりました。その娘さんの結婚相手が会社の経営者の息子で、後継者候補としての要素を満たしていることも判明したのです。その時はその情報を活かすことはできませんでしたが、後になって話をうかがったら、娘婿さんが継ぐことになったとのことでした。率直に話していただくことが問題を解決する突破口になることもあります。雑談も時には必要であることを念頭に置いてください。

(3)オンライン相談をする場所の選定も重要

ノートパソコンやスマホで相談をする場合はつい場所を選ばず、どこまでもオンライン相談ができると考えがちです。しかしM&Aに関する話は情報が外部にもれないように注意する必要があります。社長室、会議室、事務所であれば、他の社員からは聞こえない場所がいいでしょう。

相談を受ける側として心がけているのは機密性が保たれている場所を選ぶことです。また画面は暗いよりは明るいほうが精神的にもいいので、明るい場所を選ぶなど、配慮するようにしています。オンラインであっても、じっくり腰を据えて話せる環境であるかどうかで、面談の内容の充実度が変わる可能性もあります。

6.まとめ

ネットワークを指で指すビジネスマン

マッチングサイトの出現によって、オンラインへの心理的なハードルが下がり、コロナ禍の影響でオンライン相談の割合が一気に増えてきています。コロナ禍が収束に向かったとしても、この流れは続いていくでしょう。

今後、5Gが普及して通信環境が整備されると、オンライン相談はさらに広がることが予想されます。重要なのはオンライン相談の特徴を理解した上でしっかりと活用することです。コミュニケーションを取って、意思の疎通を図り、信頼関係を築くことが重要であるのはオンラインであれ対面であれ、変わりません。事業承継、M&Aを進めていく上でのひとつの指針として、オンライン相談を上手に活用してください。

話者紹介

三村 尚さん

株式会社みどり未来パートナーズ
事業承継アドバイザー
三村 尚(みむら ひさし)

M&Aシニアエキスパート。香川県高松市生まれ。横浜国立大学経営学部を卒業後、百十四銀行、帝国データバンク勤務。2012年より株式会社みどり未来パートナーズ勤務。延べ2,000社の企業評価を行った経験を活かしM&Aを中心とした事業承継を手掛ける。

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