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中小企業のM&Aは今どうなっているのか?現状とM&A成功のポイントと問題点を解説

2020/12/16
更新日:2021/02/09

はじめに

ここ数年、中小企業のM&Aは増加傾向にありました。しかし2020年はコロナ禍に見舞われたことにより、経済の構造やライフスタイルに大きな変化が訪れています。中小企業のM&Aの動向はどうなっているのでしょうか?ここでは中小企業のM&Aの現状について、さらには売手と買手双方のM&Aを成功させるうえでのポイントと問題点について、M&Aの専門家であるSeven Rich法律事務所の代表弁護士、石原一樹さんに解説していただきました。


1.中小企業の定義とは

夕陽を背景とした工事現場で作業する人々のシルエット

最初に中小企業基本法による中小企業の定義を説明します。中小企業の中でも特に小さな規模の事業者を「小規模企業者」と規定しているので、その定義もあわせて紹介しましょう。

(1)中小企業とは?

中小企業は中小企業基本法によって、業種ごとに下記のように規定されています。ただしこの規定はあくまでも中小企業に関する政策対象の範囲を定めた原則であり、それぞれの法律によって、中小企業の定義は変わってくる場合があります。下記の規定によって、中小企業についてのおおよそのイメージをつかんでいただければいいでしょう。ポイントとなるのは業種によって、定義の条件が異なることです。

①製造業、建設業、運輸業、その他の業種(卸売業、サービス業、小売業を除く)

資本金の額が3億円以下、従業員の数が300人以下のいずれかを満たすこと

②卸売業

資本金の額が1億円以下、従業員の数が100人以下のいずれかを満たすこと

③サービス業

資本金の額が5000万円以下、従業員の数が100人以下のいずれかを満たすこと

④小売業

資本金の額が5000万円以下、従業員の数が50人以下のいずれかを満たすこと

引用:中小企業庁「中小企業・小規模企業者の定義」

(2)小規模企業者とは?

中小企業基本法では中小企業の中でも特に小さな規模のものを小規模企業者として定めています。

小規模企業者に関しては、卸売業、サービス業、小売業において、常時使用する従業員の数が5名以下、それ以外の業種については、常時使用する従業員の数が20名以下と規定されています。

2.中小企業のM&Aの現状

黒板に描かれた花に水をやる手

中小企業のM&Aが今どうなっているのか、解説しましょう。

(1)中小企業のM&Aは増加傾向が継続

ここ数年、中小企業のM&Aは増加傾向にあります。コロナ禍によって緊急事態宣言が出された2020年の4月から5月にかけてはM&Aの取引が一時的に中断、延期という事態もありました。しかしその後は取引の件数も着実に回復してきているというのが現状です。さまざまな業種において、組織の再編、業界の再編が加速していく傾向があるため、今後さらに中小企業のM&A件数が増加していくことが予想されます。

(2)売手側の環境の変化

中小企業の後継者不足は経営者の高齢化進行に伴って深刻化しています。親族や従業員による承継が難しいならば、第三者による承継、すなわちM&Aを選択肢のひとつとして考える経営者も増えてきました。

また、近年マッチングサイトが数多く登場し、M&Aに関する情報が広範囲で広まっていることも中小企業のM&A増加に伴う要因のひとつと考えられます。かつてはM&Aに対して抵抗感を持っている経営者も少なからずいました。しかしM&Aに関する情報が広く共有されることによって、そうした抵抗感も解消されつつあります。

コロナ禍によって、社会の構造も経済情勢も激変しつつあり、先行きが予測できない中で、経営基盤を安定させたいと考える経営者が、M&Aによって大手の傘下に入るケースも増えてきています。

(3)買手側の環境の変化

産業構造が大きく変化している時期だからこそ、積極的にM&Aを活用していこうと考えている買手もいます。地盤がなかった土地に進出したい、ニッチな市場への参入を果たしたい、会社の競争力を高めていきたいなど、M&Aに対して、会社を運営するうえでの起爆剤としての役割を期待する経営者もいるでしょう。激動の時代だからこそ、スピード感を重視するという経営者にとって新規で事業を始めるよりも買った方が早く目的を達成できるM&Aは、事業を拡大するうえでの有力な選択肢となりえます。

3.中小企業M&A成功に向けて、売手が注意すべき点

青空に向かって突き上げた手

M&A・事業承継を検討している方へ

当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。


売手は自分にとってのM&Aにおける成功とはなんなのかをまず確認しておく必要があるでしょう。必ずしも、売却金額だけが成功の目安となるわけではありません。ここでは売手の注意すべきポイントを解説します。

(1)目的に合わせたスキームの選定

会社を売る決断をした場合に、まずやらなければいけないのはスキームの選定です。スキームとは会社を売買する手法のことで、中小企業におけるM&Aのおもな手法は株式譲渡と事業譲渡の2つに分けられます。

株式譲渡は売手が株主である場合、買手に株式を売却するやり方です。基本的には会社の資産、負債、経営資源、従業員はそのまま引き継がれることになり、事業はそのまま継続します。

事業譲渡は会社の事業全体、もしくは一部を買手の会社に譲渡するやり方です。株式譲渡では売却金は売手である株主が受け取りますが、事業譲渡では譲渡会社が受け取ることになります。

売手の目的によって、最適な手法が異なるため、専門家に相談して決定する方がいいでしょう。

(2)金額以外の面における要望の明確化

売手としては高く売れるに越したことがないわけですが、M&Aでは金額以外の要素も重要になります。後継者がいないために、やむをえず売却を決断した場合には、可能であるならば、後継者の替わりとして事業を引き継いでほしいと考えているケースもあるでしょう。

会社の存続、社名やブランドの維持、従業員の雇用の維持、取引先との関係継続などを要望する経営者も少なくありません。また会社には潜在能力があるはずだから、買収をきっかけとして、これまでの経営方針にとらわれず、拡大していってほしい、海外展開してほしいなど、積極的な経営を希望する経営者もいるでしょう。

金額以外の部分が重要であると考える場合は、買手を探す段階で、その要望をM&A仲介会社やマッチングサイトにしっかり伝えて、その意志を共有する作業が不可欠となります。

(3)信頼できるM&A仲介会社、マッチングサイトへの依頼

不動産会社や人材紹介会社にも共通することですが、成約しない限り、報酬が入らない仕組みになっているM&A仲介会社、マッチングサイトの場合には成約させることを最優先する傾向があります。売手の要望する条件をしっかりヒアリングして、M&Aの交渉に反映させてくれる、信頼できるM&A仲介会社やマッチングサイトに依頼するのがいいでしょう。

4.中小企業M&A成功に向けて、買手が注意すべき点

ノートに書かれたリストをチェックする手
買手の視点に立った場合、どのような点を注意すべきか解説していきます。

(1)経営者への依存度の確認

中小企業の場合は経営者への依存度が高いケースがあります。一般的には会社の規模が小さくなるほど、また人口密度の少ない地方になればなるほど、経営者への依存の割合が高くなる傾向があります。会社を買って、経営者が交代したとたん、売り上げが大幅に落ちた、役員や従業員が一斉に退職したということになりかねません。

買収を検討している会社の経営者への依存度がどの程度かは、きわめて重要なチェックポイントなのです。

(2)デューデリジェンスを丁寧に行う

デューデリジェンスは日本語では買収監査という言葉で表されるM&Aにおける重要な行程です。一般的にはM&Aの交渉は買手と売手とが提出した情報を照らし合わせながら進行していきますが、最終譲渡契約書を締結する前に、それまでに提出された情報が正しいものであるかを確認する作業が必要となります。デューデリジェンスをきちんとしていなければ、会社を買ったあとでトラブルが起こる原因になることがあるので注意が必要です。

会社を買うことはリスクも伴います。簿外債務があった、従業員との間に金銭トラブルがあった、訴訟を抱えていた、反社会勢力との取引があったなど、トラブルが発覚して、問題に巻き込まれてしまう可能性もまったくないわけではありません。

デューデリジェンスの種類は財務、法務、税務、環境、ITなど多岐にわたっているため、それぞれの専門家に依頼して、丁寧に行うことがリスクの回避につながるのです。

5.まとめ

机の上に伸ばされた4つのこぶし

中小企業におけるM&Aを成功させるためには、信頼できるM&A仲介会社、M&Aアドバイザーなど、専門家に相談することをおすすめします。ただし、専門家にすべて任せてしまうのではなくて、売手も買手も基本的な知識は身につけておくべきでしょう。会社の売買は人生の大きなイベントと考えられます。安易に他人まかせにするのは避けたいところです。

買手と売手の双方にとって満足のいくM&Aを成約させるためには、売手と買手の連携が不可欠でしょう。買手、売手、M&A仲介会社が協力体制を整えていくことが、M&Aを成功させるポイントになるのです。

話者紹介


Seven Rich法律事務所
代表弁護士・弁理士 石原 一樹(いしはら かずき)

京都大学法学部、神戸大学法科大学院を卒業。弁護士としての道を歩み始め、株式会社コラビットのジェネラルカウンセル、リース株式会社のジェネラルカウンセル、株式会社ココナラの監査役、株式会社ミラティブの監査役など、多数企業の監査やアドバイスを行う立場として活躍中。
Seven Rich法律事務所では代表弁護士を務めており、第二東京弁護士会に所属。法律というツールを武器にして多くの人たちと関わり合い、成長できるような環境を求めて弁護士活動を行っている。

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