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有限会社はM&Aで売却できる? 株式会社との違いや注意点を知りたい

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はじめに

株式会社をM&Aで売買できることはよく知られていますが、有限会社を売買することも可能なのでしょうか。その際に株式会社の場合とどのような違いがあるのでしょう。中小企業のM&Aに詳しい、名南経営の荻野恭弘さんに教えてもらいました。
 


荻野恭弘さん

話者紹介

司法書士法人・行政書士法人 名南経営 代表
荻野恭弘(おぎのやすひろ)

株式会社リーガルマネジメント名南代表。一般社団法人相続証明事務センター理事。一般社団法人信託制度保障協会理事。1992年早稲田大学法学部卒業後、名南経営センター佐藤澄男税理士事務所へ入社。M&A、信託、遺言、相続業務に従事。現在は事業・財産運営のコンサルティングやリーガルテック事業を展開している。

 

 

1.有限会社とは?

荻野恭弘さんのインタビューシーン1

そもそも、有限会社とはどのような企業なのでしょうか。株式会社と比較しながら、確認してみましょう。

(1)有限会社と株式会社の違い

有限会社と株式会社には、大まかに下記のような違いがあります。

①有限会社の特徴

有限会社は、取締役の任期に制限なし、決算公告の義務もなし、と規定されています。そのため煩雑さが減り、経営者は事業に集中することができます。これは家族経営や個人事業など、中小規模の事業を営む企業にとっては大きなメリットと言えるでしょう。一方、有限会社はM&Aによって他社を買収することができないため、規模を拡大することは株式会社に比べて困難です。

②株式会社の特徴

株式会社は取締役会を設置するため、株主による「所有」と役員による「経営」の分離を図ることが可能です。経営に関与しない株主から資金を幅広く調達するのに適しており、有限会社と比べて規模の拡大がしやすい傾向にあります。また、上場することも可能であるため、市場でさらに広く出資を募ることもできます。

③株主総会特別決議とは

両者を比較する上で大きなポイントとなるのが、株主総会特別決議の要件についてです。

例えば、発行済み株式の総数が100株で、A(50株)、B(20株)C(30株)が株主となっている有限会社があったとします。この場合に株主総会特別決議には、総株主の半数以上である2名以上(A+BorA+CorB+C)の賛成が必要になります。さらに、総株主の議決権4分の3以上を得なくてはなりません。仮に、AとBがともに賛成した場合であっても、株主の4分の3(75%)を満たしていないので決議をとることはできません。

一方、株式会社の場合は、定款で定足数要件を3分の1以上に引き下げることができるため、その場合にはABCの誰か1名が出席し賛成すれば、株主総会で決議を取ることが可能です。

そのため、有限会社が株主総会特別決議で物事を決める場合には、より緻密に株主の状況を確認する必要があると言えます。

(2)特例有限会社とは

2006年の会社法施行以降、新たに有限会社を設立することはできなくなりました。そのため、現在存続している有限会社はそれより前に設立された会社です。現在、有限会社は商号には「有限会社」の文字を用いたとしても「会社法上の株式会社」とされ、一定の範囲で会社法の「株式会社」の規定が適用されています。

こうした会社のことを、「特例有限会社」と呼びます。特例有限会社は一定の手続きを行えば、完全な株式会社に変更することも可能です。

2.有限会社のM&Aは可能?

荻野恭弘さんのインタビューシーン2

有限会社でも、M&Aでの会社売却はできます。前述のとおり、会社法施行と同日にそれまでの有限会社は「会社法上の株式会社」として一定の範囲で株式会社の規定が適用されるため、有限会社でも株式譲渡、事業譲渡、会社分割、吸収合併等による他の会社への事業承継が可能です。

(1)定款変更と株券発行会社

有限会社をM&Aで売却したいと思ったら、まず定款変更と株券発行会社について確認しておきましょう。

①定款変更について

■有限会社で生じる現象
有限会社には役員任期がないため、役員の改選手続きが不要です。これにより登記手続のコストカットができるというメリットがある一方で、定款の見直しがなされにくいというデメリットもあります。特に特例有限会社は2006年の会社法施行により大幅に定款変更されているものとみなされているため、古い定款に基づいて手続を行うと、誤った手続となってしまう場合があり注意が必要です。

また、事実上変更がなされた前提で事業活動を行っていても、法的な定款変更という形が取られておらず定款が設立時のままとなっている会社もあるため、売却を進める前によく確認した方がいいでしょう。

一方、株式会社においては、役員の改選が定款を見直すと機会となるため、比較的そのような事態は起きにくい傾向があります。

■定款変更と有限会社のM&A
一般的に、定款の変更は以下のような事項において必要となります。
・事業目的の変更
・本店所在地の変更
・種類株式の設定または変更または廃止
・役員員数の変更
・代表取締役の選定方法
・監査役の設置または廃止(氏名と住所が定款記載事項)
・決算期の変更
・附則の変更

M&Aを行う際には、会社の実体に合わせた定款のメンテナンスが必要となることがあります。特別決議によって定款の変更が可能なのかどうかを確認しておきましょう。

②株券発行会社について

会社法施行前に設立された有限会社は、会社法施行後にあえて定款で株券発行会社の定めを置いた場合を除き、株券を発行することができません。そのため多くの有限会社では、M&Aを行う際に、株券の交付なき譲渡の無効主張や転々取得者の出現、株券廃止手続きのコストといった、株券に関する諸問題を考慮する必要がありません。

3.有限会社をM&Aする理由

荻野恭弘さんのインタビューシーン3

有限会社でM&Aが行われるのは、主に以下のようなケースです。

(1)後継者がいない

有限会社は家族経営をしているような小規模の会社が多く、働いている従業員は家族同然。長期雇用されている人が少なくありません。中には、特殊な技能を持っているものの他社に転職することは難しい職人などがおり、有限会社は彼らのために簡単に廃業するわけにいかないという事情があります。

そこで、M&Aにより買収先を探すことで会社を存続させ、事業や従業員の雇用を守ることが考えられます。経営者は保有している株式の売却によって、利益を得ることも可能になります。

(2)休業している

事業を行わず休業している会社を休眠会社と言い、一般的には休業届を税務署等に提出した会社のことを指します。実は、特例有限会社の場合、事業を行わず休眠会社となっている会社は少なくありません。

廃業にあたっては面倒な手続きが多くなるため、M&Aによる売却を検討する例が増えてきています。売却ができれば経営者は利益を手にすることもできるため、一石二鳥となるわけです。

(3)人員が不足している

買い手は、人材不足解消のためにM&Aを行うことがあります。M&Aを行うことで、売り手の従業員を引き継ぎ人材を補充することができます。

4.有限会社のM&Aにおける注意点

荻野恭弘さんのインタビューシーン4

有限会社をM&Aで売買するときに気をつける点として、以下のようなことが挙げられます。

(1)特例有限会社は上場できない

特例有限会社の全ての株式は譲渡制限株式であり、その譲渡制限の規定を廃止することはできません。つまり、特定有限会社は上場することができず、事業を拡大していくことはできないのです。

(2)株主の資格を限定している有限会社も

古かったり家族経営をしていたりする有限会社の中には、株式を第三者に売れないよう定款で規定している会社が少なくありません。これは会社を守るために、創業時に定めた規定だと考えられます。この場合、定款を変えるために株主総会特別決議を開き、総株主の半数以上かつ議決権で4分の3以上の賛成を得ることが必要になります。

事業を広げていきたいと考えている経営者にとっては、M&Aは手っ取り早く売上を上げることのできる手段です。株式会社であれ有限会社でれ、国内のマーケットが全体的に縮小傾向にある中で、利益を上げている会社は買い手にとって大変魅力的です。

しかし、有限会社の経営者が売却を検討するときは、どこの誰が必要な書類を保持しているのかなど、株式会社とは異なる悩みが出てくるもの。もし悩んだときには、行政書士などのプロに相談してみるといいでしょう。

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