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システム開発会社のM&A動向・事例を紹介!高く売却するためのポイントも解説

2020/06/08
更新日:2021/02/09

はじめに

クラウド、ビッグデータ、IoTなどの成長が見込まれるIT業界において、システム開発会社のM&Aは年々増加しています。大手企業を中心に、システム開発を内製化する動きが活発化している一方で、慢性的な人手不足から経営難に陥り、自社の売却を検討する経営者も見られます。

ここでは、システム開発会社の市場およびM&A動向と事例、M&Aを成功させるポイントについて、レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社の高橋慧様、稲葉康太様に聞きました。


1.システム開発会社の市場環境

システム開発会社の市場環境
システム開発会社とは、広義にソフトウェアの設計・開発・販売を行う会社のことを指します。

業務内容は業務形態や規模によって異なりますが、一般的にユーザー企業(発注者)に必要なシステムの企画・設計・実装・運用・サポートを行います。

近年、スマートフォンやタブレット端末向けアプリの多様化もあって、WEB系のアプリ開発会社も多く、業界内の競争も激化しています。クラウド・ビッグデータ・AIなどの先進分野をはじめ、新しい市場が開拓され始めていますが、中小企業においてはまだ投資フェーズにあり、収益化できている企業は多くありません。今後ますます活用の場が広がると予測されます。

IT業界の市場規模は約15兆円と言われており、依然として増加傾向にあります。一時期、リーマンショックや東日本大震災の影響で大きく縮小しましたが、マイナンバーの導入や金融機関のシステムの刷新、SNSやECの拡大、働き方改革の推進に伴う自社システムのIT化など、開発投資も活発化。ITの発展するスピードは早く、かつて主流だった技術もあっという間に陳腐化するため、多くの企業で過去に構築した自社システムをリプレイスしたいというニーズも高まっています。

【システム開発会社の経営者が抱える課題】

システム開発に対する需要が高まる一方で、課題を抱えているシステム開発会社の経営者も少なくありません。広義のシステム開発会社を含むIT業界の構造としては、SI(システムインテグレーター)がユーザー企業からシステム開発案件を受注し、自社内で処理する業務以外を一次下請け、二次下請け、三次下請けの企業に発注するピラミッド構造になっています。

新規参入が容易であることから中小企業や小規模事業者が数多く存在しますが、多重構造の最下層にいる企業は途中でマージンが抜かれていくため、下層になるほど収益は低下傾向にあります。

そこで、新しい開発案件を受注できれば問題ないのですが、業界構造上スケールメリットが働くため、大規模な案件を受注するには一定の規模が必要です。システム開発を発注する際に、例えば50人、100人、300人、500人、1000人という単位でシステム開発会社を選定するユーザー企業も少なくありません。下層から脱却できなければエンジニアに質の高い案件を提供できないばかりか、充分な給与を支払うことができず、結果的にエンジニアの離職につながりかねません。

さらに、システム開発会社における慢性的な人材不足は深刻で、『IT人材白書』によるとIT人材の量・質ともに大幅に不足していると答える企業は年々増え続けていることがわかっており、2030年には最大で79万人のIT人材が不足するとも言われています。実際、技術者を採用できないという経営者の声を耳にするケースも増えています。

また、経営者だけでなく従業員が高齢化しているという企業も少なくありません。急速に進歩するIT分野において、技術者はシステム開発に必要な知識・技術を身につけなければならず、高齢化ゆえに新たなスキルの習得が困難になる場合もあります。

若手や優秀な技術者の確保が難しくなり、技術者のリテンション(定着)もできないとなれば、負のスパイラルに陥り、事業や売上に大きな影響を及ぼします。こうした状況に一層拍車をかけているのが、システム開発会社特有の契約形態です。

「システム開発会社」と一括りに言っても、さまざまな企業が存在します。顧客から技術者派遣の要請を受け、人的リソースを提供する「SES(システムエンジニアリングサービス)」。顧客からシステム開発の依頼を受けて、成果物(データ)を納品する「請負契約」という契約形態もあります。SESは客先で常駐して業務に携わることが多く、技術者にとってみればさまざまな現場で働けるというメリットがある一方で、それがストレスに感じる場合も。そのため、地に足をつけて開発に携われる請負契約を好む技術者が大半です。

さらに言えば、クライアントワークよりも、自社サービスの開発に携われるシステム開発会社を希望する技術者は多くいます。瑕疵担保責任の問題や資金の問題、顧客のセキュリティ意識の高まりもあって、SESから請負、請負から自社開発と簡単に変えられるものではありません。

こうした経営者が抱える課題を解決する経営戦略として、M&Aが注目されています。

2.システム開発会社のM&A動向

システム開発会社のM&A動向

システム開発会社の経営者からは「10名規模の会社でもM&Aできるか」といった相談を受けることがあります。

結論から言えば、システム開発会社への需要は高まっており、10名規模の中小企業でも売却することは可能です。システムの内製化に舵を切る企業も増えており、SI企業のみならず事業会社からのニーズも強いためM&Aをするなら今が大きなチャンスだと言えるでしょう。

これまで、日本企業の多くは社内にIT人材を囲い込む資金的余裕がなく、また、技術者を採用するノウハウもないため、自社システムの開発をSIに外注していました。しかし、データ活用がビジネスの成功を左右する昨今では、システム開発を外注するよりも内製化し、ノウハウを構築していきたいと考える企業が増えているのです。

実際、弊社のお客様でも、自社内でシステム開発を行う体制を構築するために、非IT分野の上場企業が10名規模のシステム開発会社に関心を示している事例が多くございます。今や同業種だけでなく、異業種がシステム開発会社の買手となるケースも珍しくありません。

採用難と言われる昨今において、「そもそもどういった技術者を採用して良いのかわからない」「どういったカルチャーを築いていけば良いのかわからない」「どういった研修(教育)制度を用意すれば良いのかわからない」といった悩みを抱える非IT企業は多いものです。自社のシステム開発部門の強化、つまり「アクハイアリング(採用・人材獲得)の延長」としてM&Aを検討しています。

ここで「延長」と表現したのは、M&Aの目的が単なる「個の人材確保」でないことを意味します。人材確保が目的であるとするならば、人材紹介会社などを利用して個別に技術者を採用すれば良いわけですが、仮に10人の技術者を採用できたとしても、プロジェクトを一つにまとめることは難しいでしょう。常駐開発、SESを行っているシステム開発会社の多くはチーム単位で常駐しており、技術者間の連携がプロジェクト成功の重要な鍵となるため、買手となる企業は、システム開発会社が持つチーム力に興味を持っていると言うことができます。

チームでの開発体制のみならず、教育力や採用力も買手が気にするポイントです。前述したように、非IT企業の多くは技術者を採用するノウハウや研修(教育)制度を持っておらず、技術者の採用・育成に課題を抱えています。業歴の長いシステム開発会社であれば、独自の採用ノウハウも蓄積され、研修制度も充実しており、M&Aを行う上でそれらは貴重な無形資産として評価されます。譲渡価格に影響するポイントとしても理解しておくと良いでしょう。

ただし、前述したようにシステム開発はスケールメリットが働くため、ある程度の規模は必要です。たとえば、5名程度のシステム開発会社であれば、ゼロから採用した方が効率的と考える買手もいます。とはいえ、M&Aを実施したことのある買手は少なく、また、M&Aはさまざまな統合リスクも伴うことから、リスクヘッジの観点から最低でも10名規模のシステム開発会社の買収を検討する傾向にあります。

3.システム開発会社のM&Aを行うメリット

システム開発会社のM&Aを行うメリット

M&A・事業承継を検討している方へ

当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。

システム開発会社を含むIT企業のM&Aが盛んに行われています。以前はM&Aに対してネガティブなイメージを持っていた経営者も、経営戦略の一つとしてM&Aを活用するケースも増えており、特にIT企業の場合、創業当初からEXIT(出口)を見据えてM&Aを検討するケースも見られます。ここでは、M&Aを行うメリットについて解説します。

【売手がシステム開発会社のM&Aを行うメリット】

システム開発会社に限ったことではありませんが、M&Aを行うことで後継者問題を解決できるというメリットがあります。業歴の長いシステム開発会社であれば、いずれ経営者自身も高齢化し、事業承継を検討するタイミングがやってきます。しかし、管理職やマネジメント職に魅力を感じない技術者も多く、社内から後継者を見つけ出すのは簡単でありません。事業承継におけるM&Aは、経営を他の会社に引き継ぐことで、従業員の雇用を守りながら取引先との関係を維持、発展させていくことが可能です。

また、M&Aによる会社・事業売却を行うと、所有する会社株式と引き換えに売却益を手にすることができます。その際、買手が企業の価値を高く評価するほど、多くの売却益を得ることができます。また、株式譲渡を行うと、資産とともに負債も承継することができます。金融機関からの借入金や個人保証などから解放され、売却資金を元手に新たな事業に挑戦することも可能です。

他にも、資金力や営業力を持っている買手と協業することで、自社だけでは成し遂げられなかった企業成長の機会が得られますし、双方の販売チャネルを共有することで、さらなる企業成長も期待できます。

M&Aを行うことで、従業員のキャリアパス拡大や待遇改善に役立てられるのも大きなメリットです。例えば、自社よりも元請けに近いSIなどに売却することで、今よりも上流工程から携わる機会を従業員に提供することができますし、重要なシステム開発業務に関わる機会を与えることで技術者たちのモチベーション向上にも活用できます。システム開発会社の多くは、従業員の定着率の低さに悩まされていますが、大手グループの傘下に入ることで、雇用・労働条件などの待遇改善も見込まれ、結果的に離職率を下げることが可能です。

4.システム開発会社のM&A事例

システム開発会社のM&A事例

【システム開発会社のM&A事例①】

<譲受企業>
業種:人材事業
売上規模:100億円以下
従業員数:数千人

<譲渡企業>
業種:SES・システム受託開発
売上規模: 10億円未満
従業員数:50人以下

本件の背景:
売手の会社(以下、「対象会社」)の株主(以下、「売主」)は70代と高齢であり、ご子息はいましたが、会社を継ぐ気はありませんでした。売主は過去に大きな赤字を計上した経験があり、先行き不安という状況から会社の譲渡を検討。一方、買手はITエンジニア不足を背景に深刻な人材不足に悩んでおり、自社での採用のみでなく、人材の確保という観点からM&Aを積極的に行っていました。

取引の経緯:
売主は譲渡を決断した段階から、M&A仲介会社にマッチングを依頼。ロングリストの中から具体的に5社と面談及び交渉を進めました。条件としては金額目線はもちろん、経営者の人柄や社員を大切にする社風を重視しました。

買収後のPMIと経営状況:
買手のPMIの方針は以下の通り。①買収後3年間はお客様 ②役員派遣はせず企業文化も変えない ③買主が改善点をみつけ、対象会社に主体的に行動させる

買手が以前初めてM&Aを行った際、買収した会社には自らトップダウン形式で経営を行ったとのことで、その結果、社員の離職から企業価値が大きく毀損しました。その経験から買収した会社はお客様同等に接し、気持ちよく経営を行ってもらうよう心がけていたとのこと。また、買手からキーパーソンの派遣は行わず、さらに、買手が偉そうに見られるのを避けるために買手自ら対象会社に足を運ぶことも禁止しているとのこと。対象会社の経営陣に本社に来てもらい、改善点を徹底的に挙げることに注力しました。またその改善点を修正することも「指示」ではなく、対象会社社員に問題意識を持ってもらい自ら行動をとってもらうことを最優先しているとのことです。社員が自ら率先し、これまでできていなかった点を改善することにより、買収前の対象会社営業利益は10百万円の赤字から1年後20百万円の黒字に転換しました。

【システム開発会社のM&A事例②】

<譲受企業>
業種:非IT系事業会社
売上規模:数百億円
従業員数:数万人(派遣社員含む)

<譲渡企業>
業種:web系開発会社
売上規模:5億円~10億円
従業員数:50人~200人

本件の背景:
売手のweb系開発会社(以下、「対象会社」)の株主(以下、「売主」)は別の大手人材会社の役員を兼任し、専属でその人材会社に専念するということで、対象会社の譲渡を検討していました。買手はある分野のリーディングカンパニー。既存事業の一つにITエンジニア派遣を行っており、既存のその事業の領域を拡大させるという目的でweb領域の人材ビジネスを検討していました。

取引の経緯:
対象会社の特徴として、単価及び人材のスキルは市場平均と比較し高い状況もあり、複数の会社が譲受を検討している状況でした。売主の希望は①譲渡代金②現状の会社の文化を大胆に変えないという2点を大きく条件として掲げました。本件の買手は本業の業績が好調であり、DXが大きな課題であるため、本件に関する熱は高く、入札額及び対象会社を成長させていくプランが売主に響き、独占交渉権を獲得しました。意向表明書の提出以降のディールはスムーズに進み、提出後1ヶ月で最終契約書の調印が完了しました。

5.売却しやすいシステム開発会社、M&Aを成功させるポイント

売却しやすいシステム開発会社、M&Aを成功させるポイント

手塩にかけて育ててきた会社を売却するなら、できる限り高く売却したいもの。取引金額を上げるには、買手が注目するポイントを把握した上で自社の企業価値を高めることが必要です。ここでは、M&Aを検討する際に自社の企業価値を高めるために準備しておきたいポイントを解説します。

【ポイント①】財務状況を整理し収益力を上げる

M&Aを行う際、買収を行う企業が対象企業の情報を収集し、分析することをデューディリジェンス(買収監査)と言います。一般的に、事業、財務、法務、税務、人事などの観点から行われます。財務状況が悪いと企業価値を低く評価され、売手の期待とギャップが生まれるので注意が必要です。業歴の長いオーナー経営の企業では、節税対策として利益を抑えてきた結果、企業の内部留保が少なく、純資産が積み上がっていないケースもあります。内部留保を厚くするなど、健全な財務状況にしておきましょう。

また、企業が持つ収益力も企業価値を構成する重要な要素になります。仮に赤字であっても他社よりも有利な顧客基盤、開拓難易度の大手顧客企業のネットワークを保有していれば、それらの価値も充分考慮された上で買収価格が決まります。前述したようにIT業界は多重下請構造になっており、顧客と直接契約を結ぶ一次下請案件(プライム案件)を保有していれば、利益を多く得ることもできますし、システム開発における納期や開発環境などの取り決めに対して、交渉することも可能です。プライム案件を扱ってきた実績があれば、大きな安心材料になるので買手にアピールできるでしょう。

M&Aを実施する買手にとって、売手の将来性は最も将来な要素です。売手にとっても自社のビジネスをしっかり評価してもらうために、事業計画を用意しましょう。用意された事業計画の信憑性が低く、将来利益をもたらさないと判断されるとディールがブレイクになったり、買収金額が低くなったりする可能性もあります。50名未満のシステム開発会社ですと通常、M&Aの譲渡価格は過去3期分の実績をもとに、直近期営業利益利益の3~5倍の価格で算出されます。(もちろん一概には言えませんが)毎期安定して成長している企業であれば、過去3期分の実績ではなく、事業計画をもとに算出した株価で交渉できるケースもあります。

【ポイント②】優秀な従業員の離職を防ぐ

技術者の確保が一層厳しくなっている現在、離職率に注目する買手が増えています。というのも、離職率の高い企業は、人員を補充するための採用コストや教育にかかるコストが膨らみ、経営を圧迫する原因になりかねないからです。これらのコスト上昇を抑えるためには、従業員のリテンションマネジメント(定着管理)が不可欠です。若手や優秀な人材の早期退職に悩む企業であれば、権限移譲、能力に見合った報酬、能力開発の機会を与える、評価をフィードバックするなどの施策を検討するのも良いでしょう。

また、企業が抱える従業員の職種・人数も買手が見るポイントです。一般的にIT人材と呼ばれるエンジニア、クリエイター、マーケターなどの求人数は多く、買手企業も必要とする職種です。特に、システム開発において、プロジェクトの成功を左右するPM(プロジェクトマネージャー)、PL(プロジェクトリーダー)の存在がますます重要になっている昨今、PM、PLを抱える企業はそれほど多くありません。M&Aを実施する前に、従業員のスキルや職種、経験などをシートにまとめておくと良いでしょう。

話者紹介

レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社 高橋 慧 -稲葉 康太

レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社

代表取締役 社長 高橋 慧
早稲田大学在学時より、EC系スタートアップ創業に携わりつつ、広告・イベント関連法人の立ち上げを行う。輸出事業の立ち上げ、オウンドEC構築、業務効率化、物流、採用、Webマーケティング、マネジメント等幅広く携わる。2015年レバレジーズへジョイン。SES事業を手掛けるレバテックの大阪支店立ち上げ、採用責任者(総合職/エンジニア/クリエーター/マーケター等)、経営企画(M&A、新規事業創造)等に参画。IT領域特化型M&A支援事業『Leverages Strategic M&A』を立ち上げ、2020年4月同社専門子会社の代表取締役に就任。

マネージャー 稲葉 康太
大手金融機関にて法人営業に従事。領域は主に、IT・不動産を中心に担当。
事業承継問題を抱える経営者支援を深くしていきたいという想いでレバレジーズにジョイン、高橋と共にM&A支援事業の立ち上げに参画。
財務や分野特化の知見を活かしアドバイザーとして、多数のディールに携わる。
また、フィンテック系東証一部企業や非IT系JASDAQ企業等、バイサイドに対するコンサルティングも手掛ける。

ご相談・着手金は無料です

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