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事業譲渡とは何か?事業譲渡の方法や流れをわかりやすく解説

はじめに

事業譲渡とは、株式譲渡や会社分割などと共に代表的なM&A手法の一つです。株式譲渡や会社分割との違い、事業譲渡の手続き、事業譲渡に要する税金などについて、名南M&A株式会社の代表取締役社長、篠田氏に聞きました。


1.事業譲渡とは何か?事業譲渡の方法や会社分割・株式譲渡との違い

 
「事業譲渡」とは、株式譲渡や会社分割などと共に代表的なM&A手法の一つです。株式譲渡が法人格を丸ごと譲渡するのに対し、事業譲渡は事業の一部または全部を譲渡します。会社分割も事業を譲渡しますが、事業譲渡が譲渡する事業に関わる資産(建物、在庫、社員、顧客など)を一つひとつ譲渡するのに対し、会社分割では譲渡する事業を丸ごと譲渡します。なお、この3つの手法の中で法人格の移動が発生しないのは事業譲渡だけです。
 
中小企業のM&Aによる事業承継では株式譲渡を選択するケースがほとんどで、事業譲渡や会社分割を選択するケースはいずれも多くはありません。その理由は、事業譲渡を行う場合、事業に関わるすべての契約や権利を買手に引き継ぐため、手続きが非常に煩雑になるからです。
 
まずは、株式譲渡と事業譲渡の違いを見ていましょう。

株式譲渡とは、売手の株式を買手が譲り受け、その対価として売手の株主に金銭を渡すことでオーナーチェンジする手法のこと。契約関連の手続きがシンプルでスピーディであることから、多くのM&A案件で利用されています。一方、事業譲渡とは、事業の一部を選択的に譲渡する手法のこと。契約や一部の許認可などは承継することができないため、従業員や取引先に開示しながら個々と契約を結び直す必要があります。また、事業譲渡の対価として現金を受け取りますが、その主体は会社であるため、株主は直接に現金を受け取ることができません。実際、事業譲渡では、当該事業に関わる光熱費や通信費などの契約の名義、賃貸借契約の名義も変えなければなりませんし、従業員の社会保険証さえも変更になります。また、これまでの労働環境とのギャップから従業員が転籍を拒否したり、最悪の場合、従業員の離職が発生するという事態も考えられます。
 
そうした中で、あえて事業譲渡を選択する理由として挙げられるのが、「選択と集中」「法人格の継続利用」が考えられます。中小企業の場合、経営者が本業以外に不動産賃貸業など別の事業を営んでいるケースも多く、経営の負担が少ない不動産賃貸業は手元に残し、本業を売って引退後の生活資金を確保したいというときに事業譲渡が選択されます。また、手を広げすぎたノンコア事業を譲渡して、回収した資金を中核の事業に投資したり、既存の事業を第三者へ譲渡し、残った法人格で新しい事業をはじめたりするときにも用いられます。
 
また、再生型のM&Aで事業譲渡を選択するケースもあります。これは第二会社方式という再生スキームで、収益性のある事業を別会社(新会社または既存会社)に事業譲渡(または会社分割)して、不採算事業や債務が残った移転元法人を清算させます。その結果、移転元法人に対して貸付債権を持つ金融機関は貸倒損失を計上し、税金を抑えることができるという仕組みです。
 
次に、会社分割との違いを見ていきましょう。
 
会社分割は、手続きがシンプルで法人格を丸ごと譲渡できるという株式譲渡のメリットと、必要な事業を取捨選択できるという事業譲渡のメリットを兼ね備えた比較的新しいM&A手法です。
 
事業譲渡も株式分割も事業の一部を譲渡する点では同じですが、事業譲渡が譲渡する事業に関わる資産(建物、在庫、社員、顧客など)を一つひとつ譲渡(個別承継)するのに対し、会社分割では譲渡する事業を丸ごと譲渡(包括承継)する点が異なります。
 
会社分割は公告を出すなどの手続きがあり、コストもそれなりに要するため、中小企業にはなじまない場合もあります。しかし、M&A契約を締結したあと、事業譲渡は譲渡する事業に関わる契約や届け出を一つひとつ行うという非常に煩雑な手続きが発生するため、M&A仲介会社も事業譲渡をおすすめするケースはあまり多くありません。

【関連記事】徹底解説!会社分割と事業譲渡の違いとは!?税務・会計処理なども解説
 


2.事業譲渡の方法と注意点

事業譲渡の方法と注意点
 
事業譲渡を選択したい場合には、特に以下の点に注意が必要です。
 
事業譲渡は、事業という会社の資産や負債、人材といった財産を売買する行為とみなされます。そのため、事業の中に課税資産が含まれる場合は、消費税が発生するため注意しましょう。また、事業譲渡においては、原則として株主総会の特別決議が必要であることが会社法で定められています。さらに、売手が事業譲渡を行う場合、債務を移転することについて、個々の債権者の同意が必要です。事業譲渡を思い立ったら、会社法や税務関連を理解している会計士、税理士、弁護士、あるいはそうした専門家とのネットワークを構築している会計事務所にまずは相談するとよいでしょう。
 
ただ、M&A経験のない経営者が不利な状況に置かれることもあるため、顧問税理士に相談するのが一番早く安全だと思います。少なくとも顧問税理士を交えながらM&Aを進めたほうがスムーズに物事が運びますし、顧問税理士と進めていることが買手の安心材料につながることもあるため、顧問税理士に相談するのが間違いないと思います。
 
また、契約の移転についても注意が必要です。事業譲渡を行う場合、従業員に転籍同意書を書いてもらうのが一般的ですが、従業員から拒否されると事業譲渡できない場合もあります。不動産賃貸契約についても同様で、賃借人が変更になることで借りられなくなったり、賃料を値上げされたりする可能性があります。
 
事業譲渡を行う場合、会社法で売手への競業避止義務が課されていることにも注意しましょう。競業避止義務とは、同一市町村および隣接市区町村内で一定期間事業譲渡した同種の事業を行うことができないという売手に課される義務です。期間は原則20年ですが、両社の合意があれば期間を変更することが可能で、最長30年となっています。
 
事業譲渡において、情報漏えいはもっとも注意しなければならない問題です。従業員や取引先に必要以上に情報が漏れてしまえば、社内・社外で混乱を招いてしまい、最悪の場合、会社の経営が傾いてしまう危険性もあります。情報漏えいを防ぐためにも、取引先や従業員への告知はタイミングを見計らい、慎重に行いましょう。

 


3. 事業譲渡の手続きや流れ

 
事業譲渡の手続きや流れ自体は、株式譲渡と大きく変わるものではありません。一般的に売手と買手双方の希望条件がおおよそ一致した時点で基本合意契約と秘密保持契約を締結し、買手側による買収監査(デューディリジェンス)を経て、問題がなければ最終契約書を締結し、クロージング(移転手続き、対価の支払い)へと進みます。
 
しかし、事業譲渡と株式譲渡とではクロージング後に大きな違いがあります。株式譲渡のクロージングは、基本的に株式の譲渡と対価の支払いのみで終了します。株式名簿の書き換えや臨時株主総会の開催による新役員の選任なども必要ですが、中小企業の場合、クロージングは数日もあれば終了します。最終契約書の締結とクロージングを同日に行うことも可能です。
 
一方、事業譲渡の場合、クロージング後の手続きは非常に煩雑で、手間と時間を要します。特に買手は、引き継いだ資産や負債の名義変更や移転登記、再契約(雇用契約、取引先との契約、賃貸契約など)、許認可の再取得に加え、期間をまたがる売上債権・買掛債務の処理などを行うため、半年から1年ほどかかるケースもあります。基本的な手続きは買手が行うことになりますが、できるだけスムーズに事業譲渡できるように、売手も情報の開示や資料作成などの準備を進めておきましょう。
 

■事業譲渡の手続き・流れ

事業譲渡の手続き・流れ

【関連記事】事業譲渡契約書の書き方や印紙税って?注意点チェックリスト付き
 


4.事業譲渡のメリット・デメリット

事業譲渡のメリット・デメリット

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次に、株式譲渡の手続きのステップを見ていきましょう。
 
「事業譲渡」の主なメリットとしては、事業の一部を切り出して売買できること、簿外債務を引き受けるリスクを最小化することができることが挙げられます。主なデメリットとしては、個々の資産や契約などの取り直しが発生するため、手続きが煩雑で時間を要することが挙げられます。
 
これを、売手と買手に分けてより詳細に見てみると、以下のようになります。
 

■売手のメリット・デメリット

売手のメリットとしては、事業の一部を選択的に売却し、利益を会社の資金として別事業に投資できること、法人格を継続して使用できること、事業の一部のみの売却のためデューディリジェンスの負担が少ないことなどが挙げられます。デメリットとしては、契約移転の承認を得る作業に手間と時間を要すること、契約移転の承認が得られない場合は売却できなくなること、譲渡益に法人税がかかること、売却後に同一地域で同一事業を行うことが制限されることなどが挙げられます。
 

■買手のメリット・デメリット

買手のメリットとしては、負債や不要な資産は承継せずに取得したい事業を選べること、簿外債務等のリスクを最小化することができること、償却資産やのれん代(営業権)を償却することで節税効果が期待できることなどが挙げられます。デメリットとしては、購入時に消費税がかかること、クロージング後に資産や負債の名義変更や移転登記、再契約(雇用契約、取引先との契約、賃貸契約など)、許認可の再取得、期間をまたがる売上債権・売上債務の処理などが必要であり手間と時間を要することなどが挙げられます。
 
それぞれのメリット・デメリットを把握した上で、事業譲渡をするべきか、他のスキームにするかを判断しましょう。

【関連記事】株式交換と株式移転はどんなものなのか?メリットとデメリット、相違点、手続きを解説
 


5.事業譲渡でかかる税金

事業譲渡でかかる税金
 
事業譲渡は、会社の事業を売る行為であるため、事業譲渡を通して得た利益には税金が課せられます。例えば、譲渡益(売却額から譲渡資産の簿価を差し引いた金額がプラス)が発生する場合は、その年度の事業損益と合算して法人税を支払う必要があり、売却した資産の中に、建物、特許権、意匠権、棚卸し資産、のれん代などの課税資産が含まれる場合は消費税が課されます。土地や有価証券、売掛金などは非課税資産のため、消費税が課されません。法人税は各企業によってその税率が異なりますが、一般的に譲渡益の20%程度、消費税は8%が目安となるでしょう。事業譲渡をする場合はここで紹介した課税資産や法人税の税率を目安に、算出してみることをおすすめします。

【関連記事】廃業する場合に留意すべき固定資産の扱い方
 


6.事業譲渡前に準備すべきこと

 
事業譲渡に限らず、M&Aのプロセスには契約書の作成や専門的な会計処理が必要になるため、まずは顧問税理士や顧問会計士などの専門家に相談することをおすすめします。会社に税理士や会計士がいない場合は、M&A仲介会社に相談することになりますが、M&A仲介会社によって、得意とする規模やエリア、業種は異なります。特に初めての事業譲渡では、M&A仲介会社との仲介契約後にトラブルが発生することもあります。M&A仲介会社とのミスマッチを防ぐには、できるだけ複数のM&A仲介会社を比較、検討すること。一度で決めようとせずに、何度か会ってから自社に合ったM&A仲介会社を見つけることがM&A成功の鍵です。
 
「何を残して何を売るのか」を明確にし、譲渡したい事業に関わる資産と負債をリストアップすることも欠かせないプロセスです。それらを譲渡した場合に、どれくらいの期間・コストがかかるのかを算出し、譲渡できないリスクも検討しましょう。また、できるだけ高く譲渡するために、譲渡する事業のアピールポイント、強みも明確にしておく必要があります。また、「事業譲渡の方法と注意点」でも述べましたが、取引先、従業員、家族も含めて、情報漏洩には細心の注意を払いましょう。仮に買手との基本契約を締結する前に事業を譲渡するという情報が漏えいすることで、従業員の退職や取引先や顧客、金融機関の不安を煽り、経営的に大きなダメージを受けかねません。情報を漏えいしないことは、もっとも重要な留意事項という意識をもって、事業譲渡に臨みましょう。
 
※なお、税金に関する記述詳細については、法律の改正によって税率などは異なる場合があります。実際に進めるにあたっては顧問税理士などの専門家への確認をお願いいたします。

 


話者紹介

名南M&A株式会社 篠田 康人

名南M&A株式会社
代表取締役社長
篠田 康人(しのだ やすひと)         

名南M&A株式会社代表取締役社長、中小企業診断士、宅地建物取引士。株式会社名南経営(現株式会社名南経営コンサルティング)に入社後、M&A支援業務を手がける企業情報部を立ち上げ、会社分割により名南M&A株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。東海エリアに本社をおく唯一のM&A専門会社として、中小企業の事業承継の事業承継型M&A支援を中心に、これまでに200件を超えるM&A成約実績を有する。

 

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