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成功事例インタビュー

残したかったのは「千分の一ミクロンの精度」を追求する技術。社名も残り、未来も拓けた株式譲渡

製造業

譲渡事例
2021.12.20

08

先々への不安を抱く日々から将来のビジョンを描く日々へ劇的に変化

創業53年という歴史のある北信精機は、研削加工に特化した高い技術力を持つ会社です。専務である田中福太郎さんの祖父が創業し、田中さんの父親が二代目の社長を務めていました。田中さんが株式譲渡を決断した理由は、コロナ禍による業績の悪化と社長である父親が高齢になったことでした。

譲渡先は、取引先のプレス加工会社です。譲渡により社長は交代しましたが、社名は残り、田中さんはそのまま北信精機の社員として仕事を継続しています。「53年間培ってきた技術を次世代に残したい」という田中さんの思いが譲渡先とも一致して、未来へのビジョンが拓けるM&Aとなりました。株式譲渡に至るまでの流れと成功の要因について伺います。

譲渡企業

譲渡企業

北信精機

業種:
製造業
売上:
約5,000万円
社長年齢:
60~70歳
譲渡理由:
先行き不安
譲受け企業

譲受け企業

社名非公開

業種:
製造業
売上:
非公開
上場:
未上場
譲渡理由:
事業拡大

株式譲渡の時期と概要を教えていただけますか?

田中:2021年5月に、仕事上の付き合いがあったプレス加工会社の専務さんに「一緒に仕事をやりませんか?」と私から提案し、2021年12月に株式譲渡が成立しました。私たちの会社の名前を残し、社長のみ交代という形のM&Aです。私も含めて従業員は相手の会社の社員になりました。今まで役職だった父と母は、パートという形でそのまま会社に残っています。

将来的には譲渡先のプレス加工会社と一緒になる予定ですが、それぞれ種類の違う仕事をやっていることもあり、時間をかけてお互いの会社を馴染ませてから一緒の会社になる予定です。

北信精機はどのような会社ですか?

田中:富山県で唯一、研削加工と研磨を専門分野としている会社です。最終仕上げを請け負い、多品種少量生産でやってきました。取引先は富山県内の大手の会社と中小企業約40社です。創業は1969年、今年で53年目となり、従業員数は私を含めて3名です。

私たちの強みは技術力と設備です。技術に関しては、同じ業界の方でなければ分からないと思いますが、千分の一ミクロンから万分の一ミクロンの加工精度を追求しています。どのようにして誤差をその範囲内に納めるか、工場の温度は何度が良いのか、溶剤は何を使うとよりスムーズなのか、今日まで追求し続けてきました。

設備としては中小企業には少ない恒温検査室を完備し、世界のトップメーカーの測定器を使用しています。弊社には自動加工機は一切ありません。汎用機械しか使っていないので、技術者というよりも、むしろ職人というニュアンスが近いと思います。自分の目で見て、音を聞いて、どれだけ削れているかを判断し、作業しています。たとえば研削時の火花の出方を見て、「これだけ火花が出ていたら、強く当たりすぎている」など、経験や感覚に基づいて判断して、微調節していくという作業です。

事業譲渡を考えたきっかけを教えてください。

田中:コロナ禍になったことが大きかったです。一昔前までは研削加工の仕事はそれなりに需要があり、多種多様な注文をいただいていたのですが、コロナの影響で急減に減ってしまいました。

これではいけないと思い、色々な商談会にも参加しました。しかし、私たちは研磨加工しかできないんですね。創業以来、専門に特化していることに誇りを持ってやってきましたが、今の時代のお客さんが求めるのは「最初から最後まで全ての加工ができること」なんです。「全部出来なければ、発注できません」と言われてしまい、成果がありませんでした。全加工に対応するためには、設備投資をし、人員を揃える必要がありますが、そんな余裕はありません。

そんな中、仕事上の付き合いがあったプレス加工会社の専務さんと仲良くなりました。コロナ禍ということもあり、色々話していくうちに「お互いに協力して、1つの目標に向かってやっていけないか」ということになったのです。一緒になれば、全加工に対応することもできます。それで私から提案して最終的にこのような形になりました。

決断する際に迷ったり悩んだりしましたか? ご両親の反応は?

田中:他にはほとんど選択肢がなかったので、特に迷うことはありませんでした。「他の会社と一緒になって、全加工に対応できる会社にしたい」という私の提案を、父も母も受け入れてくれました。父も母も「あと何年続けていけるだろうか」と考えていたようです。父は高齢であり、会社で作業する時間もだんだん短くなってきて、仕事量も減っていました。「あと何年仕事ができるか分からない」と母も話していましたし、私としても父の負担を減らしたいとの思いもありました。

状況が状況だったので、私が跡を継ぐという選択肢はありませんでした。コロナ禍で仕事は減っている、設備は老朽化してきている、親は高齢になっている、コロナ禍による借金もあるなど、問題がいくつも重なっていたため、「廃業も視野に入れて」という話も出ていました。株式譲渡するにはいいタイミングだったのではないかと思います。

譲渡する相手が先に決まっているのはM&Aでも珍しいケースです。相手を決める際にこだわったのはどんなことですか?

田中:先方の会社と一緒にやりたいと思ったのは、将来に向けての目標や考え方が共通していたからです。私自身、会社の研磨の技術を将来に残したいという思いが強かったのですが、先方の専務さんも同じように、自分の会社の技術を将来の子どもたちに残していきたいと考えていました。将来のビジョンが合致したのが一番大きなポイントです。

当社の経営状況を包み隠さず話したのですが、それでも「一緒にやりたい」と言ってくれたことも大きかったと思います。私としても目標を共有できたことで、一緒にやりたいという気持ちが強くなりました。

私たちにも先方にもメリットが沢山あるM&Aになったと思います。会社の名前を残すことで、今までの取引先との信頼関係を崩すことなく継続していけますし、私たちが53年間培ってきた技術を残すこともできます。先方にとっても、当社の技術がアピールポイントになるはずです。今までは外部に委託していた業務を社内で1つに集約できるので、コスト面でのメリットもあります。仲介会社の方からも「これだけ条件が揃っているケースは珍しい」と言われました。

リクルートの事業承継総合センターに依頼した経緯を教えていただけますか?

田中:まず元々知り合いの方に相談しました。その方から「リクルートさんに相談してみては」と勧められてリクルートへ相談に行き、仲介会社を紹介してもらいました。その仲介会社に条件のすり合わせや手続きをしてもらい株式譲渡が成立した、というのが大まかな流れです。

私自身、M&Aに関してはまったくの素人なのですが、当初は「吸収合併」という方向でリクルートさんにお話させていただきました。自分なりに色々とネットで調べたところ、「吸収合併」が最も早く成立出来そうだと判断したからです。

仲介会社の方から「株式譲渡という形でやったほうが早く成立する」とのアドバイスをいただきました。よくよく聞くと、吸収合併のほうが複雑な手続きが沢山あるため、時間がかかることが分かりました。「株式譲渡のほうが、会社の名前も残るし、複雑な手続きもいらないので、早くスムーズに出来ます」とのことだったので、最終的には株式譲渡を選択しました。

私が早さにこだわったのは、仕事量が目に見えて減っていたため、一刻も早く会社を復活させたいという思いがあったからです。先方の会社にも当初は「吸収合併」という方向で話をしていましたが、先方からの言葉で印象に残っているのは「自分の会社の名前に誇りは持っていないのか」ということでした。

M&Aが成立したのは、リクルートさんや仲介会社さんのおかげです。自分は早さにこだわりすぎるあまり、焦りすぎていたかもしれないと反省しました。リクルートや仲介会社の担当の方はM&Aの知識を豊富に持っているので、気軽に相談できましたし、的確にアドバイスしていただき、安心してお任せできました。リクルートさんに相談して良かったと実感しています。

M&Aの具体的な手続きで大変だったことは?

田中:仲介会社が間に入る前の時点で、先方の専務とおおよその方向は決めていたので、スムーズに進みました。仲介会社の方にやっていただいたのは、従業員と私の立場をどうするかということや給与関係の調整、父と母の退職金の金額など、事務的なところでした。経理に関しては、「良い経営をしていますね。お金の管理もしっかりしていますね」と、仲介会社の方に言っていただきました。お金の管理をしっかりやっていたこともスムーズに進んだ理由かと思います。

退職金計算の仕方などは全く分からなかったのですが、仲介会社がしっかりしたところでしたので、適切な金額を提示していただき、スムーズに進みました。手続きで困ったこともありませんでした。従業員も「会社が生き残っていくためにはベストの選択」ということを理解してくれました。周りの皆さんにも納得していただける株式譲渡になったのではないかと感じています。

株式譲渡が成立して、周囲の反応はいかがですか?

田中:先日「株式譲渡しました」という案内状を出したところなのですが、取引先からよく言われるのは、「会社の名前、残るんですよね」「取引関係も変わらないんですよね」ということでした。もし株式譲渡ではなくて吸収合併を選んで、社名が先方の会社名に変わっていたら、少なからず影響が出ていたのではないかと思います。

今は取引先の皆さんから、期待していただいていることを感じています。「全加工対応になるんだって? いつから頼めるの?」という質問をされるようになりました。今のところ、仕事面でのマイナスはありません。

父も社長を退任したことで、少しは楽になったのではないかと思います。現在77歳なのですが、年も年ですし立ち仕事なので、これを期に父の仕事時間も午前3時間・午後3時間のトータル6時間に短縮しました。体力的にも限界に近づいているのは分かっていましたし、経営者としての責任からも少しでも早く解放してあげたいと思っていたので、少しホッとしています。

事業承継を考えている同業の方へのアドバイスをいただけますか?

田中:事業承継を考える際に最も重視すべきことは、将来会社をどうしたいかということだと思います。私の場合は「全加工にシフトして、会社を大きくしたい」という目標があったので、そこに向かっていくために何をすべきかを考えていました。譲渡先のプレス加工会社と目標が一致したので、今回のM&Aがスムーズに進んだのだと考えています。

将来的に一緒にやっていくことを考えると、同じ方向を向いていないと前に進んでいくことができません。一緒になったけれど、向いている方向が違ったら、一緒になる意味はありません。「同じ目標を持っている方をいかに見つけるか」が大切です。

あとは、知識と経験が豊富な専門家に相談することですね。M&Aを考えているならば、自分一人だけで悩まずに、リクルートさんのようなしっかりとしたところに相談すると、道筋は見えてくるのではないかと考えます。

将来のビジョンを教えてください。

田中:先方から今後の方向性として言われているのは人員補強と設備投資です。設備に関しては、助成金制度も視野に入れて、柔軟に対応できるように準備を進めています。せっかく一緒になったからには、どんどん攻めていかなければと考えています。

自分の気持ちもかなり前向きになっています。以前は「会社はいつまでもつのかな?」ということばかり考えて、不安や心配を抱えていましたが、会社が一緒になってからは、「どう攻めたら、どう売上が上がるか」という方向に頭を切り替えることができました。将来のビジョンも広がり、積極的に挑戦していこうと考えています。たとえば、自動車部品であれば、今後EV化が進んでいくのは間違いないので、その分野にも食い込んできたいですし、会社の可能性を広げていきたいです。

もう1つ、考えているのは後継者の育成です。自分たちがこれまで培ってきた技術を次の世代に伝えていくことが自分たちの役割だと感じています。これからは同世代ではなくて、若い世代を雇用して、育てていかなければなりません。おそらく、私たちの今後最も重要な仕事は人材育成になるでしょう。人材を最優先して仕事をしていこうと考えています。

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