リクルートが提供するM&A・事業承継総合センターロゴ

後継者探しのご相談はこちら フリーコール 0120-15-7207 受付時間:平日10:00〜17:30 無料相談

会社清算・解散とは?清算・解散の種類や流れ、費用を解説

2020/02/27
更新日:2024/05/13

はじめに

後継者不在や資金繰りの悪化により、会社を清算・解散せざるを得ないと考えている経営者も多いかもしれません。事情により経営を継続できなくなった場合、会社の解散・清算の手続きを行う必要があります。そこで、会社を廃業するために必要な解散と清算の違い、種類や流れ、費用について解説します。


1. 会社清算・解散とは

会社清算・解散とは?会社清算・解散の違い
平成30年(2018年)版「中小企業白書」によると、2015年における中小企業の経営者のピークは66歳で、多くの経営者が事業承継を検討する時期にさしかかっています。事業承継にも様々な方法が存在しますが、ここでは事業承継と会社清算・解散との関係について解説しましょう。

(1)事業承継とは

事業承継とは、文字どおり会社などの事業、経営を後継者に引き継ぐことを意味します。中小企業にとって、オーナー経営者の経営手腕が会社の強みになっていることが多く、誰を後継者にするかは重要な経営課題のひとつです。

(2)困難な中小企業の事業承継

2018年6月に公表された「親族外承継に取り組む中小企業の現状と課題」によると、1990年には、経営者の御子息などに引き継ぐ「親族内承継」が約7割と大半でしたが、少子高齢化の現代において後継者候補を見つけることは簡単ではありません。親族内承継ができない場合、会社の役員や社員に引き継ぐ「従業員への承継」が選択肢として挙がってきますが、後継者候補に株式を譲り受ける際の資金力や、個人保証をする覚悟がないというケースも見られます。

中小企業における後継者不足の問題は深刻で、後継者候補が見つからないという理由から、休廃業・解散を選択する経営者も増えています。実際、東京商工リサーチが発表した「休廃業・解散企業」動向調査によると、2013年には3万4,800件の企業が休廃業・解散を決断したのに対し、2019年にはその数が4万3,348件にのぼるなど、休廃業・解散する企業の件数は増加傾向にあります。

(3)事業承継できなければ会社の清算・解散へと移行

事業承継できず廃業を決断した場合、解散・清算の手続きを行う必要があります。

①会社の清算とは

会社の清算とは、会社の資産や負債を処分することを指します。売掛金など債権を回収したり、会社の設備や不動産などを現金化したりすることで、負債を返済します。また資産が残れば、株主に分配します。

②会社の解散とは

会社の解散とは、会社の事業を終了させることを指します。先述のように事業承継できない場合や事業の業績悪化により事業継続を断念した場合などに、会社の解散を決断します。ただし会社を解散しても、会社は消滅しません。会社の資産や負債を清算してはじめて、会社が消滅します。

③廃業と経営破綻、倒産、破産との違い

廃業と似た言葉として、経営破綻、倒産、破産があります。資金繰りが困難になり、借金などを法的に清算する破産等と違って、一般的に廃業するには買掛金や借入金などの負債を返済し、清算することが条件となります。

④廃業後の手続き

廃業を決断すると、株主総会の特別決議によって解散決議を行います。解散決議では、清算会社になることや清算人の選任について決議を行い、一般的に解散決議と清算人の承認を経て会社は解散となって清算会社へ移行します。清算会社移行後は、会社資産の売却や債権の回収を行い、債務の弁済を経て清算手続きを完了すると法人格が消滅するというのが全体の流れです。

(4)会社の清算と解散との違い

経営者から会社清算と会社解散の違いについて質問されることがありますが、どちらも会社が行っている企業活動を中止し、会社の法人格を消滅させる手続きです。ただし、会社の解散とは、会社を清算する前に行なう手続きを指します。要するに、会社解散とは清算に入るまでの準備段階のことであり、資産・負債の清算手続きを行うのが会社清算と覚えておきましょう。


2. 会社清算・解散の種類

会社清算・解散の種類
会社清算・解散の手法は、会社の状況によっていくつかの方法があります。ここでは会社清算・解散の種類について解説します。

(1)清算の種類

清算には、「通常清算」と「特別清算」の2種類があります。

【通常清算】

通常清算とは、解散した会社が残った債務を全額返済できる場合に取られる清算方法です。清算人による売掛金や在庫などの回収や集まった資金による債務の弁済、残った財産の分配などが行われます。裁判所の監督を受けずに、清算人主導で手続きを進めることができます。

【特別清算】

特別清算とは、解散した会社が残った債務を全額返済できない場合に取られる清算方法です。債務超過などによって継続的な経営が困難になった場合の「破産」と似ていますが、破産は破産申立てにより裁判所が選任した破産管財人が主導して行われる清算方法です。特別清算を行う場合は、裁判所に特別清算の申立てをして、裁判所の監督下において株主総会で選任した清算人主導で手続きを行うことができます。

通常清算と特別清算は、ともに法律に従った方法で財産を処分する方法であるため、「法定清算」ともいわれます。一方で、存続期間の満了を迎えた会社、総社員の解散同意が得られた会社などの場合、自主的な判断で会社を消滅させる「任意清算」を行うことができます。任意清算では、財産の処分方法を任意に決めることができますが、株式会社の場合には大株主の影響が強いため法定清算のみが認められ、合名会社と合資会社だけに限定されています。

(2)解散の種類

つづいて会社解散について見ていきましょう。会社を解散する方法には、会社が債務超過の状態ではなく、自主的な意思によって解散する場合と、会社が債務超過の状態にあり、裁判所に申立てを行うことによって会社を解散する場合の2つに分けられます。

【任意解散】

任意解散とは、文字どおり会社の自主的な意思によって解散することです。一般的に、会社自身によって解散する理由は4つに分けられます。

  • ・株主総会の解散決議
  • ・定款で定められた解散事由の発生
  • ・定款で定められた存続期間の満了
  • ・合併による消滅会社の解散

 

【強制解散】

強制解散とは、破産や法的な理由によって会社の意思とは関係なく行われる解散のことで、弁護士や裁判所などの公的機関が主導となって行われます。一般的に、強制解散が行われる理由は3つに分けられます。

  • ・裁判所による解散を命じる裁判
  • ・裁判所による破産手続き開始
  • ・休眠会社のみなし解散

3. 通常清算・任意解散の流れと費用

通常清算・任意解散の流れと費用

M&A・事業承継を検討している方へ

当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。


資金繰りの悪化や業績の悪化、後継者不在などの事情から会社を廃業しようとする場合、「廃業する」と決めただけでは廃業できません。ここでは、通常清算・任意解散の主な流れについて解説します。

(1)会社解散の事由発生

会社法では、前述した会社解散の事由が発生した時点で、会社解散の手続きが始まります。

(2)解散登記・清算人登記

株主総会の解散決議承認日から2週間以内に清算人を選任し、法務局にて会社解散と清算人選任の登記を申請します。会社の定款に定められた清算人か、株主総会の決議で清算人を決定するか、取締役が清算人になるか、利害関係者の申し立てで裁判所が清算人を選任することもあります。登記には、定款や株主総会議事録などの各種書類の提出、登録免許税の納付などが必要になります。

(3)債権の届出を求める官報広告

官報公告を出して、債権者に会社の解散を知らせ、2ヶ月以内に債権の申し出を行うように求めます。会社が認識している債権者には、個別に債権申し出を求める通知を送ります。

(4)財産目録・貸借対照表の作成

清算人が現預金や売掛金、在庫などの資産、借入金や買掛金などの負債、資産を記載した財産目録を作成します。次に、作成した財産目録をもとに会社の資産と負債を表した貸借対照表を作成し、株主総会の承認を得ます。

(5)確定申告

株主総会で解散が決議されたならば、2ヶ月以内に解散確定申告を行います。資産と負債の整理が終わって残余財産が確定すると、清算確定申告を行います。

(6)会社資産の売却や債権の回収、債務の弁済

会社が持っている資産の売却、売掛金や貸付金など債権の回収などにより集めた資金で会社の債務を支払います。債務のすべてを支払い切れない場合、清算人は裁判所に対して「特別清算」か「破産」の申立てを行うことになります。反対にすべての債務を支払っても財産が残る場合には、出資者である株主に分配します。

(7)株主総会による決算報告・清算結了登記

清算手続き中の収入、支出費用、残余財産額などを記載した決算報告をもとに、株主総会の承認を受けることで会社の法人格が消滅します。清算人は、株主総会で決算報告をした日から2週間以内に法務局で清算結了登記手続を行い、会社の登記簿を閉鎖します。

個人事業者の場合には、「廃業届」を提出することで事業を廃業することができます。しかし、法人の場合には「解散」と「清算」の手続きを行い、すべての手続きが終了した段階で「廃業」となります。法人格の消滅までに最短でも2〜3ヶ月かかります。

また、会社清算・解散の手続きを行う場合、以下の費用がかかります。司法書士や税理士など専門家への依頼料など必ずしも支払う必要がない費用もありますが、廃業を検討している方はチェックしておきましょう。

□会社解散・清算手続きにかかる費用

  • ・解散登記・清算人登記 39,000円
  • ・清算結了の登記 2,000円
  • ・官報公告費用 約32,000円
  • ・司法書士への依頼 1〜十数万円程度
  • ・顧問税理士への依頼 8~数十万円程度

4. 特別清算と破産の流れ

特別清算や破産は、どちらも破産法や会社法などの法律に則って進める清算手続きですが、両者には違いがあります。

(1)特別清算と破産の違い

特別清算は株式会社のみが行えるのに対し、破産は個人や法人に関わらず行えます。また、手続きも特別清算と破産とでは異なります。破産の手続きでは、破産裁判所が破産管財人を選任し、その指導のもとで倒産処理を行います。一方の特別清算は、株主総会の議決によって清算人を選任し、その指導のもとで清算の手続きを行います。

手続きが開始される原因も異なります。破産では、債務者が債務を支払う能力を欠いているか、債務超過に陥っている場合に手続きが開始されます。他方、特別清算では通常清算の手続きに入った株式会社に債権者が多数存在したり、債権と債務の関係が複雑であるため清算に時間がかかったりするなど、清算するのに支障をきたす事情がある場合や、債務超過の疑いがある場合に手続きが開始されます。

(2)特別清算の流れ

つづいて、特別清算の流れをみていきましょう。

①特別清算の事由発生

特別清算手続きは、通常の清算手続きが開始している会社で手続きに支障をきたす事情がある場合や債務超過の疑いがある場合に開始されます。この際、特別清算の手続きを弁護士に依頼することもあります。

②株主総会で解散を決議

株主総会を開き、「特別決議」で会社の解散を決めます。この際、株主の過半数が出席し、3分の2以上の賛成が必要です。

③清算人が資産の売却を進める

株主総会で選任された清算人が資産の売却を進めます。清算人には、会社の取締役や弁護士が選任されるのが一般的です。

④官報公告で債権者に通知

会社が把握している債権者に対し、官報で特別清算を伝えます。また、債権の届出を催告する通知を債権者に対して個別に送ることも会社法で定められています。

⑤裁判所に特別清算を申立

特別清算を申し立てると、裁判所が特別清算の開始を決定します。

⑥債権の返済に関する協定案を裁判所に提出

債権者からの届出にもとづき、各債権者に支払われる債権額を決定します。この際、債権者への返済は債権額の割合に応じて平等にする必要があります。債務の減額や免除、支払いの期日を記した協定案を裁判所に提出します。

⑦債権者集会で協定を可決

出席した議決権者の過半数及び総債権額の3分の2以上の議決権者の同意によって、協定が可決されます。可決されると、裁判所が認定します。

⑧債権者への弁済

協定にもとづき、債権者に弁済が行われます。

⑨裁判所による終結決定

特別清算が結了すると、裁判所が終結を決定します。残りの債務とともに法人格もなくなります。

(3)破産手続き

破産手続きは、会社が債務超過の状態でなく、すべての債務を返済することができない場合に残った財産を債権者の債権額に応じて分配し、残りの債務は支払われなくても良いとする裁判所の手続きです。債務を免責することになるため、裁判所から選任された破産管財人が公平性を確保しつつ会社の財務状況をチェックした上で免責されるかどうかを審査します。


5. 会社清算・解散(廃業)を決断する前に

会社清算・解散(廃業)を決断する前に
中小企業の経営者には、後継者不在で会社清算・解散を検討している方も多いことでしょう。とはいえ、会社を清算・解散すると取引先等に影響を与えるばかりか従業員の雇用が失われ、結果として地域経済に大きな影響を与えてしまう可能性があるなどのデメリットがあります。廃業せざるを得ない事情もあるかもしれませんが、M&Aを活用することで、会社を清算・解散せずに会社を残すことができるかもしれません。

M&Aを活用することで得られるメリットはいくつかあります。最大のメリットは、会社の清算や解散をしないため、取引先との取引関係や従業員の雇用を維持できることです。また、M&Aを行った場合、株式を資金化すると同時に借入金や個人保証なども譲受企業に引き継げるというメリットもあります。
一般的に廃業すれば企業価値は毀損し、清算する際に資産が大きく目減りしてしまいます。M&Aを行う場合、一般的に時価純資産額に営業権を加算した価格で譲渡することから、オーナー経営者の手取りが多くなるケースが多いと考えられます。

「自分の会社が譲渡できるとは思わなかった」という経営者もいますが、会社が存続している以上、必ずなんらかの強みがあるはずで、それを必要とする企業もあるはずです。会社の廃業を決断する前に、事業承継に詳しい税理士と相談してM&Aの選択肢を検討してみてください。あなたの会社を引き継ぎたいと思う会社があるかどうか、半年や1年の期間を決めて、本当に清算・解散という手段しかないのかを再度検討してみてはいかがでしょうか。


話者紹介

中村 晃久
名南M&A株式会社
情報開発部 税理士
中村 晃久(なかむら あきひさ)
2007年に国内大手税理士法人に入社し、各種申告、事業承継・資産承継対策に携わる。その後、2013年から会計系コンサルティング会社にて、上場企業オーナーから中堅中小企業オーナーまで、多くの企業オーナーの事業承継・M&A支援に携わる。2019年10月に名南M&A株式会社に入社し東海エリアにおいて中小企業の事業承継型M&A支援に従事する。

ご相談・着手金は無料です

後継者探し事業承継総合センターご相談ください!

第三者承継のお手伝いをいたします

事業承継総合センターの特徴

  • 1万社以上の中から買手企業を比較検討可能
  • M&A品質の担保
  • 着手金なし成果報酬

第三者承継のお手伝いをいたします

まずは相談する無料
お電話でのご相談 0120-15-7207 (FAX:03-5539-3514)
受付時間:平日10:00~17:30
お問い合わせにあたり、プライバシーポリシーに同意したとみなされます。

その他にもご相談ください

M&Aの譲渡価格はどう決まる? 無料ダウンロード