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事業承継に必要な準備とは?経営者が知っておくべき知識について解説

2020/03/28
更新日:2024/05/13

はじめに

将来的に事業承継をしたいけれど、具体的にどうしたらよいのかわからないという悩みを抱えている中小企業の経営者はたくさんいるのではないでしょうか? 事業承継を円滑に行うには、長期的な視野で計画を立てて入念に準備することが必要です。事業承継に向けた支援を行っているロングブラックパートナーズ株式会社の牛越 直さんに、事業承継をする上でのポイントと知っておくべき知識について、解説していただきました。


1.事業承継の問題点

事業承継に関して問題を抱えている中小企業は少なくありません。ここでは、中小企業の事業承継の問題点と解消方法にテーマを絞ってお話しさせていただきます。
事業承継の一般的な論点は、株価対策やM&A等が挙げられますが、これらを検討しなければならない中小企業はごく少数の優良企業です。

多くの中小企業は財務や業績に課題を持っており、そもそも円滑に事業承継できないという問題を抱えているのです。では事業承継において何が問題になるのか。またどう対処していけば良いのか。順を追って説明していきましょう。

(1)後継者が決定していない

中小企業の経営者に「事業承継を経営の重要課題だと感じていますか?」と質問すると、ほとんどの場合、「重要課題だと感じています。」との答えが返ってきます。実際に様々な会社の経営者の方と接していても、そう答える方がほとんどですし、帝国データバンクを始めとする中小企業に関する様々なアンケート結果を見ても、そのような回答結果が出ています。

参考:2017/11/15 事業承継に関する企業の意識調査(2017年)

また、「いつ事業承継しようと考えていますか?」との問いにも、事業承継を3年後以降のことと考えている方が60歳代で約8割、70 歳代で約6割、80 歳代でも5割超存在していることがわかります。さらに「後継者を育成するのに何年必要だと思いますか?」との質問には、最低でも「3年はかかる。」と答えている方がほとんどです。

ところがそう回答している人たちに「後継者は決定していますか?」と聞くと、「決定しています。」と答える人は約3割しかいません。つまり事業承継が重要な経営課題であり、後継者の育成に時間がかかることは認識しているけれど、後継者は決定していないという経営者が約7割いることになります。

(2)経営者の平均年齢は60歳

重要な経営課題である後継者決定問題を抱える企業経営者は平均何歳くらいなのでしょうか。日本企業の経営者年齢は平均約60歳です。ちなみに、世界平均は53歳です。この数字は一体何を意味するのか?次の章で考察していきます。

2.後継者は本当にいないのか?

牛越直さん

(1)後継者不在率はなぜ高いのか?

まず中小企業における、後継者が決まっていない「後継者不在率」がどのくらいなのかを確認しておきましょう。帝国データバンクによると、2019年における後継者不在率は65.2パーセントという数字が出ています。2019年11月発表の東京商工リサーチによると、「後継者不在率」は55.6パーセントとなっています。アンケートの母数が違うので、やや幅がありますが、半数以上が「後継者不在」と答えています。

しかし、この数字と我々が認識している実態との間にはかなりズレがあります。弊社はこれまでに300社以上の経営者の方をサポートしているのですが、実際に対面でお話しして感じるのは、本当に後継者がいない会社はそんなに多くはないのではないか、ということです。

(2)組織には必ずナンバー2がいる

後継者が本当にいないのではなくて、社長自身がいないと「決めつけている」だけというケースがとても多いのです。我々から見ると、多くの会社で後継者「候補」は存在します。

答えは非常にシンプルなことですが、どんな中小企業であっても、組織である以上、当然ナンバー2の立場の方がいるからです。順番を付けていけば、すぐに分かるでしょう。会社によっては社長の息子でも専務でもなく、工場長かもしれません。それらしく見えないけれど、実質的にはナンバー2だという場合もあるでしょう。

(3)将来への不安が後継者不在率に影響

では、なぜ多くの経営者が「後継者はいない。」と答えているのか。信用調査会社の設問は、「後継者が決まっていますか?」なのだそうです。「後継者候補はいますか?」ではないのです。

ところで、この60数パーセント、50数パーセントという数字と酷似している統計結果があります。それは何かと言うと、国税庁「会社標本調査」の欠損法人割合です。その数字が60%超で、後継者不在と答えた経営者の比率と近似しています。

つまり、将来の業績に不安を抱えている赤字企業の経営者が、実際は後継者候補がいるけれど、アンケートに対して、「後継者候補がいます。」と書き切れなかったのではないかということです。我々が実際に現場で感じている感覚からすると、そういう推論が導き出されます。

3.後継者不在率を高くしているもの

後継者不在,事業承継の問題点

(1)中小企業の半数以上が赤字

産業構造、経営環境の変化が激しく、半数以上の中小企業が赤字です。しかも中小企業の経営者の7割から8割は個人保証をしていると言われています。そういった状況が、「後継者不在率」を高めることにつながっていると考えられます。

(2)親心が後継者不在を招く

将来の業績に不安を抱えていて、個人保証を後継者に負担させるのが不憫で、「後継者不在」と答えている経営者がどれだけいるかということを想像してみてください。いわゆる親心が後継者不在という状況を招いているひとつの要因であろうと推測できます。

昨今は空前のM&Aブームでもあり、「後継者不在率」という数字をM&Aに結びつけたくなりがちですが、その前になぜそういうことが起こっているのかを考察し、問題点の解消に向けた解決策を探ることが重要です。

4.事業承継に必要な6つのステップ

事業承継,円滑に進めるステップ

M&A・事業承継を検討している方へ

当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。

後継者への事業承継を円滑に進めるためにはしっかり準備して、段階を踏んで着実に実行しなければなりません。そのステップは大きく分けると、次の6つです。

1.情報共有
2. 課題の整理
3. 不安感の具体化
4. 目標設定
5.段階的な権限委譲
6.承継宣言して承継実行

(1)情報共有

実は中小企業の経営者が事業承継をするにあたって、現経営者から後継者に自社の問題点を説明して承継しているケースは極めて稀です。
何の説明も無いまま引き継ぎが行われるケースや、業績不安などで経営者が後継者候補に何の相談もなく廃業や事業売却を決めてしまうケースが多々あります。

情報共有は、経営者と後継者候補が共通認識を醸成し、事業承継後の企業の業績を向上させていくためにも重要なステップです。具体的には
自社の事業、財務、経営、組織に関する経営情報全てを整理して共有することになります。

この整理という作業もとても重要です。整理することによって、経営者自身が現状を直視し、問題点を把握し、自社の課題を認識できるというメリットがあるからです。

(2)課題の整理

経営者が会社の課題を整理できていないというケースもかなり多いと言えます。中小企業の多くの経営者は個人保証をしていて、赤字を抱えていて、漠然とした不安を抱えています。ところが赤字の原因や実態を把握していないことが多いのです。不安感を覚えるものは見たくない、知りたくないという心理も理解できますが、まずは知ることが大切です。多くの経営者が現在抱えている漠然とした不安を整理して具体化することが、将来的な不安の解消につながるからです。

(3)不安感の具体化

現経営者の曖昧な不安感を具体化し問題点を可視化することで、後継者候補が自社の弱みを把握して、なぜ業績不振になっているのか、その要因を理解することができます。
理解できたら、解消に向けての対策を講じることができます。どう赤字を減らすのか、どう業績を伸ばすのか、アイディアを錬る、対策を講じるなど、リカバリーの可能性が大きくなるので、整理と共有のメリットは計り知れないほど大きいと言えます。

(4)目標設定

次にすべきなのは、後継者候補が承継のための条件を具体化し、その条件を踏まえた上で、会社全体の数値目標を立てることです。債務超過の会社の場合は借入金が過剰になっているわけで、どこでブレイクスルーするのか、目標を掲げて実行することが必要です。では、不安を解消するラインとはどこなのか。一義的には後継者候補が安心できる水準ということになりますが、それを具体的に認識できていることは稀です。そのような時に参考になるのが、金融機関の審査目線です。

・金融機関の審査目線を利用

経営者や後継者候補の不安要素に個人保証があるとすれば、個人保証を差し入れている金融機関の目線を目標にすることには一定の意義があります。

金融機関が企業を審査するひとつの基準として、債務償還年数という考え方があります。簡単に説明すると、自分の会社の借入金を今の収益性と比較した場合、あと何年で返せるかという基準です。この債務償還年数は業種によって幅はありますが、正常な会社の場合は概ね10年です。
・事業価値を確認
もうひとつの基準に上場企業の事業価値を参考にする方法があります。上場企業の事業価値(時価総額+他人資本)は株式の売り買いの結果として導き出される数値なのですが、おおよそ自分の会社の出しているキャッシュフローの8倍から9倍となっていて、この数字を非上場企業に当てはめるのです。
現在、出しているキャッシュフローの8倍から9倍が自分の会社の事業価値と考えればいいわけです。その事業価値と借入金とのバランスを比較すると、 自ずと借入金がいくらまでならば良いのかというラインが見えてきます。

中小企業の多くの経営者がこうした目線を十分には理解できていません。そのため、自分の会社の借入金がどれくらいの範囲に収まれば良いのか、どれくらいの利益を出せていれば良いのか分からないまま、将来への漠然とした不安を抱えてしまっているのです。
・ハードルの高さを認識
我々が経営者と相談して、会社の目標を設定する時には、金融機関の方も交えて行うようにしています。たとえば、金融機関の審査目線をパスするには、現在のマイナス1000万円をプラス2000万円に持っていかなければならない。この3000万円の差を埋めるためにはどうすればいいのか。明確なラインを引いてあげることによって、ハードルの高さを認識することができ、事業承継できるかどうかという議論もできるようになります。この差額を埋めるにはどんなアイディアが必要なのか、どんな改善策があるのか、将来に向けての目標を立てることができます。

場合によっては、「親父の会社を継ぐつもりだったけれど、無理そうだから、やっぱり辞めるよ」という結論に達することもあるでしょう。ですが、そういう結論を出すことが、後継者候補の今後の人生を救うことにもなります。「不安もあるけど、承継に向けて頑張ってみるよ」という結論に達した場合は、次のステップに移るわけです。

(5)段階的な権限委譲

第5ステップは段階的な権限委譲です。事業承継において、承継するものをシンプルに分けると、経営権と株主権の2つです。経営権と株主権を引き継ぐ場合、一般的には個人保証も付いてきます。ただし、事業承継に必ず個人保証が付いてくるというわけではなく、経営権を先行して承継していくことも可能です。

・経営権を先に承継

金融機関によっては色々な考え方があって、代表取締役(≒経営権)になったらすぐに個人保証を取る金融機関もあります。しかし、経営権に加えて、財産権としての株主権が移った時に合わせて個人保証が移るのが本来のあり方です。相続の時に財産と債務が移るのと同じ考え方です。財産と債務が移る承継と、経営権のみが移る承継の2つに分けて、まず経営権を先に承継させましょうというのが、我々がお勧めしているステップです。

・個人保証を引き継がせない

具体的な例をあげて説明していきましょう。赤字の会社があって、経営者は60歳で、息子さんは40歳とします。本業キャッシュフローはトントン、借入金が1億円だとしましょう。父親は息子が立派な経営者に育つためには5年は必要だと考えています。父親は個人保証していて、息子の能力に不安を抱いているので、経営をやらせないまま時間だけが経過してしまっています。第4ステップの目標としては、本業キャッシュフローを 1,000万円水準にまで高めたいところです。

この事例でも、早い段階で情報共有・目標設定し、息子に経営を継がせるべきです。しかもその際に息子に個人保証を負わせる必要はありません。個人保証は自分で引き受けておけばいいのです。
そして3~5年間の息子の経営手腕を親子で確認した上で、本格的に株式・個人保証まで承継すべきか否かを判断して欲しいわけです。

・行政も段階的な委譲を後押し

昨年10月の安倍首相の国会での所信表明演説でも、「事業承継の際には、先代経営者と後継者からの二重取りを原則禁止するなど、次の世代に個人保証を引き継ぐことのないよう、あらゆる施策を講じてまいります」と言及していました。二重保証の禁止が政策として掲げられており、同12月には具体的に「事業承継に焦点を当てた「経営者保証ガイドライン」の特則」が公表されました。

この考え方は金融機関にもかなり浸透し始めています。ですが中小企業の経営者の多くはこういった現状を知りません。自分が社長を退いて取締役会長(株式は過半数を維持)になり、息子を代表取締役社長にした場合、息子にも個人保証を負わせなければならないと思い込んでいる経営者が多くいます。ですが、時代は自分が個人保証を負いながら息子に早期に経営をやらせることが可能な方向にシフトしています。

・実質的な育成期間

後継者が経営を先行承継し、追って株主権・保証債務を承継していく段階的な権限委譲によって、個人保証の不安感無く後継者に対して経営者としての実質的な育成期間を設けることができます。

我々は、“絶対に”という言葉はめったに使いませんが、ひとつだけ“絶対に”という言葉が使えるのは、現経営者は次世代の経営には“絶対に”コミットできないという点です。人間には寿命があり、生命には限りがあります。いずれは絶対に事業承継しなければいけないのなら、早い段階で経営権から委譲しましょうということなのです。

(6)承継宣言して承継実行

後継者に事業承継しないことの理由のひとつに後継者の能力不足というのがありますが、「何を言っているのですか。」と言いたくなります。というのは、次世代を担っていくのは今の経営者ではないからです。能力が不足しているならば、経営しながら不足分を身に付けていけばよいし、どうしても不足を埋められないというならば、会社を売ればいいでしょう。ですが、その前にチャレンジさせるべきです。

「後継者候補に権限を委譲する決断をしてください。」と促すことも我々の任務のひとつだと考えています。

経営権を委譲する際には、「まず社内にはっきり宣言してください。」とお願いしています。我々はこの工程を「承継宣言」と呼んでいます。そうしないと、経営を委譲したことにならないケースが多いからです。
前経営者が院政を敷いていて、実質的な権力を持っていると、みんな、前経営者のほうを向いて業務に携わることになってしまいます。自らは世話役に徹して、後継者に任せるためにも覚悟を持って宣言し、周囲にもそのことを知らしめる必要があるのです。
宣言することは、後継者が自覚や覚悟を持つきっかけにもなります。円滑な事業承継には覚悟や決断が必要になってくるのです。

ここまでやり抜いて、後継者が能力不足だった、あるいは業績が目標まで回復しなかった場合にM&Aや廃業を選択していってもらいたいと思います。そうすれば、関係者全員が納得感を得られますし、後継者候補が不要な保証債務負担を負わずに済みます。

5.最大のロスは経過する時間

後継者選び,早めの決断

ここまで読んでいただくと、ご理解いただけると思うのですが、企業にとって、何が最大のロスかというと、経営者が何も決断しないまま時間が経過していくことです。

早めに後継者を決めて、企業の実状と問題点を整理し、事業・財務・経営・組織に関する情報を共有して、目標を設定して、事業意欲のある次世代の経営者に早期に権限委譲を図り、納得感のある事業承継を果たすことが重要です。そうした段階を踏むことで、企業を再び成長曲線に乗せていくことが可能になります。

事業承継に関する問題を抱えて困っている企業に対して、1社でも多くの会社が円滑な事業承継を進めていけるように支えていくことが、我々の任務であると考えています。

〈話者紹介〉

牛越直さん

ロングブラックパートナーズ株式会社(LBP)
パートナー 牛越 直(うしこし ただし)

慶應義塾大学法学部在学中に公認会計士試験に合格、監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)に入所。監査業務や経営管理コンサルティングの経験を積んだ後、2003年PwC FAS(現 PwCアドバイザリー)に移り地方中堅中小企業の事業再生案件を数多く手掛ける。2008年にロングブラックパートナーズを設立、現職。現在は、ロングブラックパートナーズグループ全体を統括しつつ、運用ファンドの投資委員にも就任し、投資先へのハンズオン支援、企業価値向上にも積極的に関与している。

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