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中小企業における廃業の実態と問題点の解消法とは?

はじめに

少子高齢化や人手不足など、日本経済は様々な問題に直面しています。その影響をダイレクトに受けるのが中小企業です。近年、多くの中小企業において後継者不足が深刻化しています。その結果、廃業を選択する経営者も少なくありません。中小企業における廃業の実態はどうなっているのでしょうか。事業承継のスペシャリストである税理士法人アイユーコンサルティングの社員税理士、七島悠介さんに解説していただきました。


1.廃業とはどういうものか

まずは廃業という言葉の定義を確認しておきましょう。

廃業と倒産とを混同している方もたくさんいますが、実はまったく違うものです。倒産は経営者の意思に関わらず、業績の悪化にともなって債務が増大し、返済する見込みもたたず、やむなくもたらされるものと定義されます。一方、廃業は経営者が自分の代で会社を閉じることを決断して行うものです。倒産と廃業は、強制的なものなのか、自主的に計画したものなのかという点において大きく異なります。

2.中小企業における廃業の現状

継続か断念かの別れ道

日本経済の先行きが不透明であるなか、中小企業もたくさんの課題を抱えています。中小企業における廃業の現状を見ていきましょう。

(1)2025年問題とは

経済産業省と中小企業庁が2019年に発表した試算によると、中小企業・小規模事業者では今後10年間で70歳を超える経営者が約245万人にのぼり、そのうちの半数以上にあたる127万の企業で後継者が未定との数字が報告されています。このまま現状が改善されなかった場合には中小企業の廃業が急増し、2025年までに累計で約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性が指摘されています。2025年はすでに遠い未来ではありません。中小企業の廃業は、早急な対策が必要な社会問題となっているのです。

(2)廃業を選ぶ会社の規模

大手企業はM&Aを選択する割合が高く、中小企業においては規模が小さくなるほど廃業を選ぶ割合が高くなります。その傾向は、個人事業者になるとさらに顕著です。

(3)廃業を選択する企業の半数近くが黒字

廃業という言葉にネガティブなイメージを持っている方もおられるでしょう。しかし、2016年度の東京商工リサーチ『休廃業・解散企業動向調査』によると、廃業や休業を選択した会社の半数にあたる50.5%の企業が黒字というデータがあります。つまり健全経営でありながら、廃業を選ぶケースが多いのです。

3.なぜ経営者は黒字でも廃業を選ぶのか

前述したように、会社が黒字でありながら廃業を選ぶケースは少なくありません。中小企業が廃業を決めるのは、どのような理由によるのかを見ていきましょう。

(1)後継者不足

経営者が廃業を選択する理由はいくつかありますが、まず挙げられるのは後継者不足です。息子はいるけれど継がせたくない、もしくは息子側も継ぎたくない、といったケースが目立ちます。
家族や親戚に候補がいない場合、従業員の中から後継者候補を選ぶ場合もありますが、株式の譲渡にともなって資金も必要になるため、ハードルが高くなります。従業員承継も簡単ではないのです。

(2)人手不足

経営者に廃業という大きな決断をうながす要因の1つとして、人手不足があげられます。事業を行うにあたって重要なのがマンパワーです。優秀な人材が集まらなければ、企業は成り立ちません。特に地方では人材不足が深刻で、中小企業ほど人が集まりにくい傾向にあります。
「人が来てくれないのだったら、もう会社をたたもうか」と考える経営者も数多くいるのです。

(3)地方で目立つ連鎖廃業

地方で目立つケースは、「まわりの同業者や取引先の社長も廃業するみたいだから、この機会に自分も廃業しよう」と決断する経営者が多いことです。下町の工場をイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。日本独自の風土的なものでもありますが、地域のコミュニティーが発達しているため、同業者や取引先の動向はすぐに広まります。経営者がそうしたまわりの動向に影響を受けるケースは少なくありません。その結果、廃業が連鎖的に起こることもありうるのです。

(4)将来的な展望が見通せない

現在は業績も悪くなく、黒字経営を続けているものの、将来的には先細りすることが予測されるため、廃業を選択するという経営者もいます。
産業構造の変化にともなって、業種によっては今後の発展が見込めないものもあるでしょう。将来的な展望が見えず、廃業を決断する企業もあるのです。

(5)M&Aに対して積極的になれない

近年、M&Aに対するマイナスのイメージはなくなってきていますが、地方ではまだあまりよい印象を持っていない経営者もいます。M&Aを決断して会社を売った経営者に対して、批判的な意見や感想が出てくる場合もあり、M&Aに積極的になれないという経営者も少なくありません。その結果、廃業という選択肢をとらざるを得ないと考えるのです。

4.廃業を決めるときに留意すべきポイント

売り上げに関するミーティング

廃業という決断をしたときにやるべきことはたくさんあります。その際に注意すべきポイントを解説しましょう。

(1)廃業するには準備期間が必要

廃業することは、従業員とその家族や取引先など、周囲にも大きな影響を及ぼします。できるだけ周囲に迷惑をかけないように廃業するには、それなりの準備期間が必要です。どんなに短くても1年前、できることなら3年前には準備していただきたいものです。ソフトランディングすることによって、周囲への影響を最小限に抑えることができます。

金融機関から借入金がある場合は計画的に返済して、廃業するときには借入金ゼロというのが理想です。従業員への退職金も計画的に用意しましょう。

(2)従業員への通知が必要

経営者と同年代の従業員であれば、廃業の時点で一緒に退職するという選択肢もありますが、20代~40代の若い従業員の場合は次なる雇用先を探さなければなりません。従業員への通知が早ければ早いほど、次の就職先を見つけるための準備期間も長くなります。場合によっては、新たなスキルを身につけるという従業員も出てくるでしょう。従業員の再雇用をサポートすることも経営者の務めです。

(3)取引先への通知が必要

適切なタイミングで取引先に通知することは不可欠です。相手の会社が仕入れする側だった場合、新たな仕入先を探さねばならず、そのための期間を要します。取引先にできるだけ迷惑をかけないように、早めに通知をすることが大切でしょう。

5.M&Aのメリット

手のひらの上のプラスという記号

M&A・事業承継を検討している方へ

当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。

最初からM&Aを選択肢に入れていない経営者もいます。しかし、M&Aが最善の道である場合も多くあります。ここでは経営者、つまり売手側のメリットを見ていきましょう。

(1)事業の継続

M&Aを行うことによって経営陣が引き継がれ、そのまま事業を継続できます。これは大きなメリットです。従業員の雇用を守ることができ、取引先との関係もそのまま維持できます。

(2)会社独自のノウハウの継承

廃業を選択した場合、工場における独自の技術など、会社独自のノウハウがすべて失われてしまう可能性があります。廃業は経営者にとってのみならず、地域経済にとっても大きなマイナスになる場合もあるのです。M&Aによって事業を引き継げば、それらのノウハウを守ることを期待できます。

(3)売却益が入る

会社を売ることによって、売却益が入ってきます。その資金を元手にして新たな事業を展開することもできますし、豊かな老後を送ることもできます。ハッピー・リタイアを実現するうえでもM&Aは大きなメリットとなるのです。

(4)廃業コストの削減

廃業を選択すると、会社の設備を処分するために費用がかかる可能性があります。しかし、M&Aで会社を売ることができれば、設備なども資産としてカウントされるので、廃業コストを減らすことができるのです。

6.M&Aのデメリット

会社運営で悩む経営者

もちろん、M&Aにはメリットばかりではなく、場合によってはデメリットもあります。どのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。

(1)手続きなどに時間がかかる

M&Aを行うのは簡単ではありません。相手選び、交渉、監査など、手続きは複雑で時間がかかります。M&Aを行うことは、かなり時間と労力を費やします。

(2)社員や取引先の反発

M&Aによってスムーズに移行できればよいのですが、労働条件や環境が変わったり、システムが変わったりすることによって、従業員が反発する可能性も少なくありません。取引先との関係がギクシャクしてしまったという例もあるようです。すべてがよい方向に向かうわけではないことも承知しておくべきでしょう。

7.まとめ

握手する2人のビジネスマン

廃業にせよM&Aにせよ、経営者にとっては人生の大きな決断となり、冷静に判断することが難しいこともあります。創業者である経営者のなかには、自分で始めたのだから自分で閉じる、という考えを持っている方もいます。そこまでやったうえで事業というストーリーを完結させたいということでしょう。

廃業を選ぶ場合も、第三者のアドバイスは必要です。選択をついつい先延ばししているうちに突然病気になって、周囲が大混乱するケースもたくさんあります。まずは身近な専門家や顧問税理士など、普段から会社経営に深く関わっている方に相談するのがいいでしょう。そのほかにも金融機関や保険会社、不動産会社なども交えてコミュニケーションを取ることも大切です。

M&Aを行うことを決めた場合は、実際にM&Aの知識を持っていて、経験も豊富な専門家に相談することをおすすめします。
廃業もM&Aも周囲への影響が大きく、ナイーブな要素もたくさんあります。人生における大きな選択なので、信頼できるアドバイザーの言葉に耳を傾け、次なる人生をより豊かなものにしてください。

話者紹介
七島悠介さん
税理士法人アイユーコンサルティング
社員税理士 営業統括 七島悠介(ナナシマ ユウスケ)

2010年国内大手税理士法人に入社。上場会社の税務申告、相続税申告、組織再編コンサルティング、富裕層向けコンサルティングなどの多分野の業務を経験する。
2013年、税理士法人アイユーコンサルティングの前身である岩永悠税理士事務所の創業メンバーとして参画し、新規顧客開拓、営業拠点開拓など現組織の土台作りに携わる。
その後、税理士法人アイユーコンサルティング設立に伴い、社員税理士に就任。
現在、アイユーコンサルティンググループの営業統括として、1人でも多くの方々の資産承継、事業承継問題を解決するために、相続・承継のスペシャリストとして活躍中。
またその傍ら、全国で税理士・金融機関・保険会社・不動産会社向けのセミナー・勉強会の講師を多数務め、アイユーコンサルティンググループの周知に邁進している。

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