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飲食店の現状と廃業・倒産する際に注意すべきポイントを詳しく解説

はじめに

2019年の消費税増税や消費者の節約志向の高まりにより、飲食店の経営は厳しい状況にあります。消費税増税のみならず、人手不足や人件費・食材費の高騰なども追い打ちをかけているようです。帝国データバンクの調査によると、2017年から飲食店事業者の倒産・休廃業件数が増えており、業界の厳しさが伺えます。

そこで今回は、飲食店の廃業や倒産に詳しいSKIP税理士法人の曾我隆二さんに詳しくお話を伺いました。


1.廃業と倒産の違い

廃業と倒産はお店を畳むという点においては同じですが、その状況は大きく異なります。

廃業とは、後継者不足や病気などの個人的理由から、経営者が自ら計画的にお店を畳むことをいいます。一方、倒産とは、資金が底を付き、経営を続けていくことが困難となってお店を畳まざるを得なくなる状態のことです。

お店を畳む場合は経費がかかるので、経営的に余裕がないと廃業という手段は選べません。倒産の場合は資金が全くなくなり、従業員への給料未払いといった事態も起こり得ます。

2.飲食業界の実情

カフェ

飲食業界における廃業や倒産は、どのような状況なのでしょうか。廃業と倒産、それぞれについて説明していきます。

(1)飲食店の廃業理由

帝国データバンクによると、人手不足や社長の高齢化、後継者不足問題、キャッシュレス化などさまざまな理由によって倒産・休廃業が増えています。消費税増税により、テイクアウトやデリバリーなどが好まれるようになったのもその一因でしょう。

実は、お店の経営は黒字なのに廃業を選ぶ経営者は少なくありません。後継者がいなかったり経営者に健康問題あったりと、その理由はさまざまです。

こだわりの強い経営者であれば、ほかの人にお店を譲った後にお店が変わっていくことを受け入れられないという人もいます。また、お店の譲渡に関して金額などの交渉自体を面倒だと感じる人は、M&Aでお店を残すのではなく廃業を選ぶようです。

(2)飲食店の倒産理由

飲食店は、黒字でありながらも廃業するケースが少なからずあると述べましたが、それでは倒産の場合はどうでしょうか。ここでは、倒産の理由について説明していきましょう。

①運転資金不足

開業後に経営が安定する前に、廃業せざるを得なくなる大きな理由は、運転資金不足です。最初に作成する事業計画書通りに行くケースは稀であり、予想以上に内装工事に費用がかさんだり、期待していたような集客が図れず売上不足に陥ったり、とさまざまな要因が考えられます。

運転資金は最低でも月々の費用の6ヶ月分を準備するように推奨されていますが、6ヶ月分でも十分とはいえません。初期費用を可能な限り抑え、開店する前の準備段階からSNSなどで周知して、開店時からお客様に足を運んでもらえるような体制作りが大切です。

②リサーチ不足

リサーチ不足も倒産の1つの理由です。開業する場合は、店舗周辺の顧客の情報をきちんと把握しておくことが必要です。たとえば住宅街であれば、ファミリー層が多いのか独身層が多いのかで求められるメニューや営業時間、内装までも異なります。

どのような店舗にしたいのか、そのコンセプトがすでに決まっている場合は、ターゲットにしている顧客の多い場所でお店を構える必要があるでしょう。いずれにしても、お店のコンセプトと顧客のニーズが合っていなければ倒産のリスクが高まります。

③経営の失敗

飲食店倒産の理由の1つが、経営戦略の失敗です。人気が出始め、急激な出店を続けたことで資金繰りが悪化し、倒産するというケースは後を絶ちません。また、売り上げを上げるために移転や事業拡大を図り、却って経費がかさみ収益が悪化するというケースもあります。

飲食店は、流行するスタイルや料理、食材が現れてはあっという間に廃れていく業界でもあります。ブームに乗ることも大切ですが、引き際の見極めが非常に大事であることはいうまでもありません。

④人手不足

昨今の倒産理由として多いのが、人手不足です。従業員を募集しようと賃上げをしても集まらない状況が続いています。人手不足によりサービスが低下して客離れが進み、そのため経営状況が悪化するという悪循環に陥るケースが多いようです。

また、そもそも人手がいないことでお店を開けることすらままならないという店舗も少なくありません。人手不足が理由で、黒字であってもお店を畳まざるを得ないといったケースは急激に増えています。

(3)倒産・休廃業の状況

飲食店は、開業後3年以内に70%のお店で経営が立ち行かなくなるといわれています。さらに10年後に、10%生き残っているかどうかといわれるほど厳しい業界です。

データによれば、負債総額5,000万円未満の小規模倒産が、2015年から5年連続で8割を超えています。このことからも個人経営の倒産・休廃業が多いことが推測されます。

飲食店の開業は初期費用が500〜600万円くらいかかるものの、特別な資格がなくても誰でも参入できます。経営の素人が料理好きという理由で、マーケティングもせずに開業し、すぐに閉店に追い込まれるというパターンが多いのではないでしょうか。

飲食業界はトレンドやブームの移り変わりが激しいため、継続していくことにも難しさがあります。市場ニーズの変化にスピード感を持って対応する必要がありますが、個人店においてはこのような対応は難しいのが実情です。

廃業や倒産に追い込まれた場合、テナントの賃貸借契契約で原状回復が義務となっている場合は、そのための費用がかかるため、簡単にお店を畳むことすらできません。通常、開業するときはお店を畳むことなど想像もしないので、意外な盲点といえるでしょう。

3.飲食業界におけるM&Aのメリット

レストラン

廃業や倒産の場合に、なるべく資金をかけずにお店を畳む1つの方法としてM&Aがあります。飲食店のM&Aはイメージしにくいかもしれませんが、実はメリットも多く、資金や時間に余裕がない場合は検討する価値があるといえるでしょう。

(1)買手側のメリット

飲食店を始めるのが夢という人は決して少なくありません。しかしながら、飲食店を経営したことがない人がゼロから開業する場合、何から手をつければよいのかわからないことも多いでしょう。

ゼロから起業すると、設備を整えるために時間と資金がかかります。また、経営が軌道に乗るまでにある程度の時間がかかりますが、すでにリピーターのいるお店を買収すれば、買収後もスムーズな経営が期待できます。買収することで、このような時間と労力、経費を削減できます。

また、買収によってお店と同時に従業員まで獲得することができます。飲食業界は、深刻な人手不足の状況が続いており、M&Aにより求人のコストや手間を省くことができるでしょう。

さらに、飲食店の経営には自治体や消防署への届け出が必要ですが、お店をまるごと買収するので諸々の手続きをする必要がなくなり、すぐに経営を始めることが可能です。

(2)売り手側のメリット

飲食店を売却する一番のメリットは、廃業にかかる費用を削減できる点です。廃業する場合に必要な原状回復や空家賃の費用などを合わせると、数百万円に及びます。廃棄物を処理するだけでも費用がかかることを考えれば、お店を売却するほうがメリットは大きいといえます。

費用を削減できるだけでなく、譲渡利益を得ることも可能です。M&Aで譲渡利益が手に入れば、新しく別の事業を始めることもできます。お店を始めたものの経営が上手くいかない場合、売却後に別のオーナーのもとでシェフとして残るといったケースも考えられるでしょう。

4.飲食店のM&Aにおける相場

実際に、飲食店のM&Aにおける相場は100万〜250万円程度といわれています。ゼロから開業する場合、予算相場は500万〜600万円ほどといわれているので、M&Aのほうがはるかに初期費用を抑えることができます。初期費用で浮いた分を運転資金に回すことができるので、開業後に余裕を持った経営ができるでしょう。

飲食店のM&Aでは、さまざまな要素から買収金額が決まります。売上高(数字の部分)やブランド力、立地、店舗の広さや周りの環境などが考慮されます。

売手側からすると自分のお店の売却金額を客観的に測ることは難しいので、専門家に相談したほうが良い結果につながります。想像もしていなかった異業種からのオファーがくる場合もあります。金融機関や日頃からお世話になっている税理士、また自治体の相談機関などに売却金額について相談することをおすすめします。

しかしながら場合によっては、M&Aをしたくても時間がなく廃業せざるを得ない人もいるかもしれません。また買手が見つからず、廃業以外の選択肢がないということも考えられるでしょう。そこで事項では、廃業する場合の手続きについて説明していきます。

5.廃業の手続きについて

廃業届

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飲食店を廃業するときは、開業するときと同様にさまざまな手続きが必要です。従業員を雇用していれば、届け出先も増えるため漏れのないように手続きをすませることが大切です。

(1)公共職業安定所

従業員を雇い雇用保険に加入していた場合は、次の書類を廃業日からそれぞれの期限内に公共職業安定所に提出します。
・雇用保険適用事業所廃止届(廃業日から5日以内)
・雇用保険被保険者資格喪失届(廃業日から10日以内)
・雇用保険被保険者離職証明書(廃業日から10日以内)

(2)日本年金機構(年金事務所)

従業員を雇い雇用保険や健康保険に加入していた場合は、次の書類を廃業日から5日以内に提出します。
・「雇用保険適用事業所廃止届の事業主控」のコピー
・健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届

(3)保健所

開業する際に届け出を出した保健所に、以下の書類を提出・返納します。提出期限は廃業日より10日以内が多いようですが、保健所により異なるため確認が必要です。
・廃業届
・飲食店営業許可書(返納)

(4)警察署

警察署に「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」と「風俗営業許可証」を提出している場合は、それぞれ「廃止届出書」と「返納理由書」を提出しなければなりません。それぞれ10日以内の提出・返納を求められている場合が多いようなので、管轄の警察署に確認して忘れずに手続きを行います。手続きを怠ると罰金が課せられる可能性があります。
・深夜酒類提供飲食店営業の「廃止届出書」
・風俗営業の「返納理由書」の提出と「風俗営業許可書」の返納

(5)消防署

廃業日を解任日として、「防火管理者選任(解任)届出書」を管轄の消防署に提出します。提出期限は決まっていませんが、速やかに提出しましょう。
・防火管理者選任(解任)届出書

(6)税務署・税事務所

「個人事業の開業・廃業等届出書」を廃業日から1ヶ月以内に、管轄の税務署へ提出します。都道府県税事務所へも「廃業届」の提出が必要ですが、提出期限は税事務所により異なるため確認が必要です。

また、従業員を雇用していた場合や家族が青色専従者であった場合は、「給与支払い事務所等の開設・移転・廃止届出書」を廃業日から1ヶ月以内に税務署へ提出します。

確定申告の関係書類ですが、所得税の青色申告が承認されている場合は、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を翌年の3月15日までに提出します。また売上が1000万円以上あり消費税の課税事業者だった場合は、廃業後速やかに「事業廃止届出書」の提出が必要です。
税務署や税事務所への届け出は煩雑なため、確定申告に関わる書類も忘れないうちに早めに提出しておきましょう。
・個人事業の開業・廃業等届出書(税務署)
・廃業届(税事務所)
・給与支払い事務所等の開設・移転・廃止届出書(税務署)
・所得税の青色申告の取りやめ届出書(翌年の3月15日までに税務署へ提出)
・事業廃止届出書(税務署)

(7)労働基準監督署

雇用保険や労災保険に加入していた場合は、「労働保険確定保険料申告書」を事業廃止日または事業終了日から50日以内に提出します。管轄の労働基準監督署や都道府県労働局、また日本銀行で提出することが可能です。
・労働保険確定保険料申告書

6.まとめ

カフェ

飲食業界は、深刻な人手不足や消費税増税などの理由から倒産・休廃業が増えており、厳しい状況が続いています。

飲食店のM&Aはあまりよく知られていませんが、売手と買手の双方にとってメリットがあります。経営が上手くいかない場合でも、M&Aをおこなえば、廃業でお店そのものをなくすのではなく、ほかのオーナーのもとでお店を存続させていくことができます。たとえば、経営者としてではなく、シェフとして自分が開業したお店に残ることもできるかもしれません。

また、廃業や倒産でお店を畳む場合の費用を大幅に削減することも期待できるでしょう。飲食店の廃業を考えているのであれば、M&Aを一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

話者紹介

曽我さん

SKIP税理士法人
曾我 隆二
一橋大学商学部卒業。野村證券株式会社(3年間)、株式会社リクルート(4年半)を経て、公認会計士の世界へ。中央クーパース・アンド・ライブランド・アドバイザーズ株式会社(中央監査法人グループ)勤務を経て、平成15年6月公認会計士曾我事務所として独立開業。平成24年1月SKIP税理士法人に組織変更し、代表社員に就任。平成31年4月SKIP監査法人 代表社員に就任。

 

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