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会社を売却(M&A)したいと思う経営者がまずやるべきこと

2019/10/09
更新日:2024/05/13

はじめに

中小企業が会社売却を考える際に、経営者の頭を悩ませるのが「事前準備」です。M&Aのプロセスに入る前に、どんな準備したら良いのでしょうか。準備不足のまま会社売却を進めてしまうと、希望する売却価格に届かなかったり、そもそも買手が見つからなかったりする事態に陥ってしまうことも。ここでは、会社を適正価格で売るための事前準備のポイントを、企業の経営戦略策定支援を行う、社楽パートナーズの北義昭氏に伺いました。


1.会社売却(M&A)事前準備の重要性

資金繰りや営業先の拡大、人材の採用など、日々悩みが尽きないという方も多いと思います。中でも事業承継は経営者にとって最大の悩みの一つではないでしょうか。経営者が悩みを相談できる相手は多くありません。M&A仲介会社に相談する経営者も多いのですが、事前準備なしに会社売却を進めた結果、自社の価値について知らずに相場よりも低い金額で売却してしまったり、反対に、相場より高い金額で売却しようとして買手が見つからなかったりするケースが見られます。さらに、M&Aが成立した後に、不良債権や不正会計の存在が発覚し、大きな訴訟問題などに発展するケースもあります。

M&Aの準備段階では、M&A仲介会社に安易に相談することが必ずしも良いとは言えません。M&Aを進める際、売手はM&A仲介会社に対して財務諸表などを提出し、それをもとにM&A仲介会社はノンネームシートや企業概要書を作成し、買手探しを行います。M&A仲介会社と秘密保持契約を締結しているとはいえ、ノンネームシートには地域・業務内容・社員数・売上高・特徴などが記されており、自社の取引先に近い企業や同業種の企業から、社名を特定されやすいのも事実です。その結果、風の噂で従業員の耳に入ってしまうかもしれません。M&Aがうまくいくかわからない段階で、従業員に情報が広まり、従業員のモチベーション低下、退職など企業価値の低下につながってしまうことも考えられます。

経営者の仕事は多岐にわたります。なかなか事業承継について考えられないという経営者も多いものです。事業承継は業務のように納期が決まっているものではないため、ついつい先延ばしにしているという経営者も多いのですが、「いつかはやらなければならない」こと。事業承継の準備には「早すぎる」ということはありません。M&Aのプロセスに進める前に、どんな事態に陥っても、自信を持って事業承継を行えるよう綿密な準備をしておきましょう。


2.あなたの会社、売れる状態になっている? 経営者が準備すべきこと

あなたの会社、売れる状態になっている? 経営者が準備すべきこと

では、準備をする際に何から手をつければ良いのでしょうか。まず、自社事業の現状把握と、今後の見通しを立てることが必要です。一つ目の自社事業の現状把握について、押さえるべき観点は「売れる状態」になっているかどうか。一つずつポイントを紹介します。

【法人資産と個人資産の区別が明確】

中小企業の場合、オーナー所有の不動産を法人に貸し付けていたり、社長の自宅や自動車が法人名義になっていたり、社長の自宅が法人の借入金の担保に入っているなど、法人資産と個人資産の区別が明確でない場合が多々あります。節税対策の一環とはいえ、買手が敬遠するポイントになるため、事業の実態がわかるよう、法人・個人の資産の切り分けを行いましょう。

【株主構成を見直し、議決権を確保する】

株主構成の見直しも重要なポイントです。中小企業のM&Aでは、ほとんどのケースで100%の株式譲渡が用いられます。この株式譲渡を行うには、株主が保有する議決権の3分の2以上の賛成が得られなければ実現できません。オーナー経営者が株式を100%保有している場合は、問題が起こることは多くありませんが、相続などによって株式が分散されているケースもあり、事業へのコミットも薄い親戚などが反対する可能性も十分考えられます。買手にとっては、円滑に事業承継できるかどうかが重要。事業の承継がうまくいかなければ、M&Aを行う意味がありません。議決権を確保するためにも、株主構成を見直したり、分散した株式を集約したりと、事前に対策を打っておきましょう。

【適正な企業価値を知る】

M&Aを行う売手の経営者にとって、気になるのは「いくらで譲渡できるか」ということではないでしょうか。自社の売却価格(企業価値評価)を知ることは、会社売却を決定する際の重要なポイントとなるため、M&Aのプロセスを進める前に目安の金額を知っておきたいところです。企業価値評価の方法は「時価純資産価額法」「ディスカウントキャッシュフロー(DCF)法」「類似業種比準法」など複数あります。通常、中小企業の企業価値を表すのにM&A仲介会社が使用しているのは、企業が有する時価純資産に収益性を考慮した営業利益(数年分)を追加して計算する簡便な方法です。しかし、本来、売上が成長している企業と安定している企業、衰退している企業では企業の価値が異なり、一律の算定方法で売却価格を割り出すことは難しいものです。ましてや、成長しているのにもかかわらず、節税対策などで利益を圧縮しているあまり、企業評価を下げられてしまうのはもったいないことです。つまり、自社事業の実態を正確に把握することが重要です。

では、「適切な価値」を正確に把握するためにはどうしたら良いのでしょうか。はじめに、自社にどれくらいの利益があり、どんな価値があるのかといった観点で事業を分析しましょう。中小企業の経営者の中には、複数のグループ会社を経営しており、グループ内の法人間で取引を行っているケースが多々あります。連結グループ会社間の取引は、内部取引になるため、それだけを取り上げて企業の価値と見なすことはできません。純粋な外部との取引額を見る必要があります。

次に、事業系統図を作成して、仕入れから売上までの流れを図で表し、事業の特徴をつかみましょう。顧客、販路、製造業者に発注する流れなど、現状のビジネスの商流を整理することで、どこに自社の強み・弱みがあるのか、外的環境にはどんな機会や脅威があるのかが明らかになります。買手にとっては、その会社にどんな強みがあり、どうすればその弱みを補完できるかが買収のポイントになるため、会社の価値を正しく伝えるための資料として用意しておくのが望ましいでしょう。

【事業計画書を作成する】

企業の価値は、過去・現在の業績だけで決まるわけではありません。マーケットのトレンドなど、市場環境を踏まえた今後の見通しも考慮されます。将来の展望は明るいと予想できるのか、そうでないのか、3年~5年後の事業収支はどうなるのかを事業計画書に落とし込むことが重要です。事業の実現性、将来性、収益性などの根拠をはっきり示すことで、売手に対する買手の理解も深まるため、M&Aを行う前に事業計画書の作成をおすすめします。

【労務面の整理】

労務面で注意すべきは未払い残業や社会保険の加入・支払い状況です。特に、未払い残業代に関しては、買収後に発覚するケースも多く、買手に多大な迷惑をかけてしまいます。また、社会保険未加入・未払いの会社については、いくら利益が出ていたとしても、売却が一気に難しくなってしまいます。こうした事態を避けるために、事前に社会保険の加入や未払い金の支払いなどを済ませておくことをおすすめします。

【組織的な経営にする・幹部の育成】

中小企業の場合、オーナー経営者の技術やノウハウ、人脈で業績を上げているケースが少なくありません。買手側からしてみれば「オーナー経営者が退職してしまうと業績が大幅に崩れてしまうのではないか」と懸念してしまうのも仕方ありません。マニュアルを整備する、経営者自身のノウハウを従業員に引き継がせる、経営者自身の顧客を従業員に引き継がせるなど、組織的な経営を行いましょう。

また、会社売却後に事業を推進していくキーパーソンや幹部が会社に残るかどうかは、買手にとって大きな問題です。M&Aを行う際には、組織的な経営を意識しながらも、幹部に対して積極的な権限移譲を行い、売却後の事業運営を円滑に進むようにしましょう。


3.会社売却(M&A)を検討する経営者が持つべき心構え

会社売却を検討する経営者が持つべき心構え

これまで会社売却を行う上で必要な準備について紹介してきましたが、適正な価格で売却するためには、入念な準備が必要です。この準備をどれだけ行うかによって、会社売却の成功は大きく左右されます。前述したように、あいまいな気持ちのままM&Aプロセスをはじめてしまい、途中でその決断の重さに気づいて案件を中止してしまっては、そこまでかけた時間とコストがもったいないと思います。

これから会社売却を検討する経営者に伝えたいのが、M&Aを行うということについて“自分でしっかり考え、他人任せにしない”ということです。「M&Aありき」でM&A仲介会社に相談する前に、そもそもM&Aによる事業承継でよいのか、何のためにM&Aを選択するのか、自社の強み・弱みを踏まえて自社の企業価値について改めて把握しておくことは、その後の意思決定で迷わないためにも重要なプロセスです。売手にとって、M&Aは一生に一度あるかないかの重要な意思決定。入念な準備を行い、「芯」がブレないM&Aを行ってほしいと思います。

ただし、はじめてのM&Aで、自分一人で考えることが難しいということもあると思います。M&Aについて理解するために、M&A仲介会社や金融機関などが開催する経営者セミナーに参加する方もいらっしゃいますが、セミナーで聞いた内容で必要以上に焦ったり、舞い上がったりしないことが大切です。

まずは、M&Aを経験した経営者や信頼できる企業財務アドバイザーに話を聞いてみるのが良いでしょう。経験者にしかわからない失敗談やアドバイスが必ずあります。経営者仲間や専門家の話を参考に、M&Aについて考えてみるのが良いでしょう。

 


話者紹介

法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科 教授 玄場 公規 (げんば きみのり)

M&A・事業承継を検討している方へ

当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。

話者紹介

株式会社 社楽パートナーズ
代表取締役社長 兼 CEO
北 義昭 (きた よしあき)

慶應義塾大学卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。支店勤務後、同行本店企画部にて経営戦略・財務戦略に従事。全行レベルのプロジェクトに数多く携わる。その後大手外資系投資銀行のUBS証券会社に入社し、投資銀行本部における金融機関担当マネージングディレクターとして、大手銀行、地方銀行、ノンバンク、事業法人に関わる数多くの大型M&A、資本調達、社債起債、事業再生案件を担当。2007年にトップマネジメント支援会社「社楽パートナーズ」を設立し代表取締役に就任。以後はコンサルタント・財務アドバイザーとして多数の大型M&A、企業再生、ファイナンス、金融機関案件を手がける。企業経営を全く新しいフレームワークで分析し適切なファイナンス行動を導く『7つの経営』(幻冬社)を2019年8月刊行。

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