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多くの中小企業が抱える後継者問題とは?原因や解決策・対策を徹底解説!

2020/03/17
更新日:2021/04/15

はじめに

少子高齢社会や働き方の多様化などさまざまな要因から、中小企業では後継者不足が大きな問題となっています。多くの中小企業が抱えるこの問題は、大企業での後継者不足よりも深刻です。

今回は、中小企業における後継者不足の原因、そして問題解決策としてのM&Aについて、みどり未来の三村さんにお話を伺いました。


1.中小企業で深刻な後継者問題とは

中小企業は日本の事業者の9割以上を占めますが、その多くが深刻な後継者不足に陥っているといわれています。具体的にどのような企業が後継者問題を抱えているのか、後継者不在により廃業する企業の事情と併せて見ていきます。

中小企業の95%以上は事業を継がせたいと考えているとの調査結果が出ているものの、5%ほどの中小企業経営者は自分の代で会社を廃業したいと考えていると回答しています。この5%の企業の中では、赤字の企業ほど会社の経営状況を理由として廃業を考えているのに対し、財政状況が良い企業ほど後継者不在を理由に廃業している傾向が見られます。

(1)国内事業者の2/3が抱える後継者問題

日本国内の中小企業の3分の2以上、つまり65%以上が後継者不足に悩んでいるといわれています。そして、会社を売りたいけれど売れるような状態ではない会社も多いのが現状で、その割合は全体の半分以上です。

(2)廃業企業の5割が実は黒字

廃業と倒産では、大きく状況が異なります。
廃業は経営者が後継者不在や個人的な理由などにより自ら会社をたたむこと、倒産は会社の資金がなくなり、会社経営の継続が困難となる状態のことです。廃業は計画的に実施されるので、従業員への影響を最小限にとどめられます。一方、倒産は企業の資金が底をついてしまう状態なので、給与未払いなど従業員への影響も大きい点も異なります。

実は、廃業している企業の5割は黒字です。逆に言えば、黒字だからこそ廃業できるのです。なぜ黒字だと廃業できるのかというと、会社をずっと続けていても赤字を垂れ流す状態となってしまうので、社長または経営者がお金を入れて負債を埋め、計画的に廃業するからです。一方、赤字の会社は廃業という選択ができず、倒産となります。

つまり、廃業する会社が黒字なのは当然のことといえるのです。

(3)サービス業・建設業で特に深刻

よく、「どのような業種のM&A案件が多いですか?」と聞かれることがあります。調剤薬局のようにM&Aが盛んな業種がありますが、後継者不在はある程度すべての業種で均等にあります。

特に後継者不足が深刻なのは、サービス業や建設業です。これらの業種は、儲かっていないところが多いのです。母数が多く競争が激しい業種なので儲かりにくいことが想定されること、人口が減っている状況では先行きが見えにくい、短いことは間違いありません。

業界的には深刻な問題ではありますが、いい会社は積極的にM&Aをしているので、もし仮にサービス業や建設業がM&Aを選択した場合、買手がいることはいます。ただし、「売れる会社である場合」に限った話です。債務超過で赤字の会社は買われませんし、良い経営をしていて黒字を出しているいい会社であれば、業種にかかわらず買うところはあります。あとは、高いか安いかという問題になるでしょう。

(4)高齢経営者の企業で特に問題

高齢の経営者の企業では、後継者不足は特に問題です。企業を休廃業する経営者の割合で最も多いのは70代で、全体の80%以上は60代以上が占めているのが現状です。このことからも、経営者の高齢化が企業の休廃業の要因として挙げられます。

高齢の経営者で後継者を育成しながら自身の事業を経営している人は1割程度、もしくはそれ以下です。そもそも、売却を想定しているので後継者を育てていない人もいます。このような経営者は、後継者を育成していないだけです。つまり、会社を組織化し、自分がいなくても組織が回るよう、権限移譲をすることで後継者を育成している優秀な経営者は1割ほどしかいないということです。
センシティブな問題になってしまいますが、中には子どもがおらず、後継者を作らない、作れない経営者もいます。その場合、後継者問題が浮上しないように、売却を選択することとなるでしょう。

2.後継者問題を引き起こす要因

約65%の企業で後継者不足が問題となっている要因としては、自由な社会になったことが挙げられます。今は社会の流れや価値観の変化により、職業選択の自由が浸透しています。必ずしも家の事業を継ぐだけではなく、別の職業を好きに選択する、または事業を継がないなど、経営者が子どもの職業選択を自由にさせすぎているように思います。

(1)後継者候補を子供や孫に限定

日本では「家長制度」があり、長男など親族に後を継がせることが普通でした。昔は選択肢が少なかったため、仕方なく子や孫が会社を継ぐこともあったかもしれません。

しかし、先ほど述べたように自由な社会で職業選択の自由が広がったことにより、子どもや孫が別の職業を選択することもあるわけです。もし経営者が後継者候補を子どもや孫に限定してしまった場合、その候補者が別の選択をしてしまうと、後継者はいなくなってしまうでしょう。

(2)引き継ぎのタイミングが掴めない

これは、現社長に要因があるのは明確です。タイミングを先送りにしてしまっているのでしょう。会社を継続していく気があれば、後継者問題というものは重要度が高いもののはずです。これを先送りし、引き継ぎのタイミングが掴めないのであれば、それは経営能力に問題があるはずです。

その意味では、後継者候補となる従業員の人材不足や会社を引き継ぐ魅力をアピールできない点も、引き継ぎのタイミングと同様に現社長が原因と考えていいでしょう。

3.後継者問題対策

バトンを渡すシーン
中小企業の多くが抱える後継者問題に対して、企業側ができる対策とはどのようなものなのでしょうか。

(1)企業価値を高める

これは、利益を出すだけではなく組織的にきちんと回っているかどうかも含まれます。まず自分たちの企業にどのような価値や強み、弱みがあるかを認識してもらいます。
そこで後継者不足、後継者不在が弱みとして挙がっていたら、後継者をどうするかという問題に発展します。

しかし、後継者不足問題というものは、経営者サイドに寄りすぎたセンシティブな問題になりかねません。後継者がいるなら収益性が高く、業務が寄らないように組織的に動ける、継いでもらえる会社にしなければならないでしょう。そのように企業価値を高めることは重要です。

また、社長や経営者がいなくなった後に会社が潰れる可能性が高くなるのであれば、権限移譲をして組織化すること、継続していくためのリスクマネジメントをおこなうことも大切です。リスクマネジメントのためにはリスクを知り、減らす必要があります。収益の低さもリスクの一つなので、まずは収益を高めることも、企業価値を高めることに直結します。

組織、企業で稼げるようにすることが、企業価値を高めることにつながるのです。

(2)従業員の経営者としての人材育成

親族外承継を行う企業は、全体の3割ほどといわれており、そのほとんどが社内の役員または従業員が後継者となっています。

しかし、後継者不足問題を抱え、売却を検討していた経営者でも、実際にはそれをしきれなかった方も大勢います。子どもがいる、いないに関しては外部の人間が口を出せる問題ではありませんし、経営者のプライドにも関わります。特に創業者の場合は、自分が一から育ててきた会社を他の人に譲りたくないと考えがちです。会社を自分の娘に例え、嫁に出すと考えればわかりやすいでしょうか。

そんな会社と一体という気持ち、感情的なつながりがありながら、人材育成や人材構成を合理的に判断できる経営者は、優秀だと考えます。

(3)外部から招聘

後継者を外部から招聘するメリットは、すでに経営能力を持つ人材を招けるという点です。事業が継続できるばかりではなく、企業の成長も期待ができます。しかし、必ずしもその企業にマッチした人材が来るとは限らないので、招聘した人材の経営方針が従来と異なり、企業文化や社風が変わる可能性もあるでしょう。

(4)専門機関に相談する

現在、国がある程度力を入れ始めていて、例えば中小企業庁が管轄する「事業引継ぎ支援センター」のような相談窓口が各都道府県にあります。

このような窓口でお金をかけずに利用できる専門家に相談するのも一つの方法です。また、金融機関でも同様のことをおこなっているところも増えています。

(5)M&Aを活用する

後継者不足により廃業をする前に、M&Aを活用する手段があります。廃業とは異なり事業は継続されるので、これまで培った技術や事業、経営資産を残せること、取引先や従業員の生活へ与える影響が少ない点がメリットです。

(6)最終手段としての廃業

後継者がおらず、事業承継が完了できないときの最終手段は、廃業です。廃業は企業の技術や経験が失われるばかりか、従業員が職を失う事態となるので、できるだけ避けたいところです。

後継者がいる、または外部から招聘して事業承継ができたとしても、その後継者が企業にとって不適格な人材であった場合、業績悪化から廃業につながる可能性もあります。

4.M&Aの活用によるメリット

後継者不足、不在により企業の存続が危ぶまれるケースでは、廃業または倒産のほか、M&Aを活用するという選択もあります。具体的なM&Aの活用によるメリットには、以下の3点が挙げられます。

(1)従業員雇用の安定

企業の廃業や倒産は、従業員にとっては職を失うことにつながるわけですから、生活に多大な影響を及ぼします。

これに対し、M&Aで会社を売却すれば、少なくとも企業自体は存続します。従業員もそのまま働き続けられることも多いため、雇用安定できることは大きなメリットでしょう。

(2)地域経済や取引先への影響を軽減

もし、地域で長年事業をおこなってきた企業が廃業や倒産すると、雇用など地域経済へ与える影響が大きくなることが考えられます。同じように、長年の付き合いがある取引先にとっても、会社が一つなくなることは経済的な影響が出ることは避けられません。

廃業や倒産を避けてM&Aを選択することは、地域経済や取引先へ与える影響を軽減させ、従来の取引先との関係も維持できるでしょう。M&Aにより企業規模が大きくなった場合は、取引先にとっても大きなベネフィットを得られる可能性もあります。

(3)売却資金で負債を返済

中小企業のM&Aでは主に株式譲渡を行うので、売却益を得られます。この利益で、負債を返済できることもあるでしょう。会社を売却すると、経営者がこれまで抱えていた債務や保証も売却先へ引き継がれることも、メリットの一つです。

また、M&Aでは後継者がいない場合でも外部に候補を求めることができます。売手、買手のシナジー効果により、企業価値が高められる可能性があるのも、M&A活用のメリットといえるでしょう。

5.まとめ

後継者不足、後継者不在問題は、多くの中小企業が抱える問題ながら、子どもの有無などにもつながるセンシティブな内容になりがちです。最初から廃業をする、または倒産を選択せざるを得ない企業も多い中、M&Aの活用をすれば、後継者を得られるだけではなく、従業員の生活や取引先の収益、ひいては地域経済の安定につながります。

後継者の有無、M&Aでの売却いずれの場合でも、企業価値を高めることは重要です。収益を高める、組織化して稼げる組織にすることが、後継者不足問題対策の一環になり得るのではないでしょうか。

話者紹介

株式会社みどり未来パートナーズ
事業承継アドバイザー 三村尚

資格:M&Aシニアエキスパート(認定番号:00D-00-0029)
専門分野、担当業務:M&Aコンサルティング、事業承継対策
香川県高松市生まれ。横浜国立大学(経営学部)卒業後、百十四銀行、帝国データバンク勤務。
2012年より株式会社みどり未来パートナーズ勤務。
金融機関、調査会社での勤務時を含め、延べ2,000社の企業評価を行った経験を活かし、M&Aを中心とした事業承継を手掛ける。

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