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零細企業を売却する方法とは?現状からM&Aの対処法まで詳しく解説

2021/06/25
更新日:2021/08/31

はじめに

2025年までに70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者数は約245万人となり、そのうち約半数の127万が後継者未定と中小企業庁は発表しています(*1)。そこで、後継者不在の課題を解消する手段の一つがM&Aです。しかし、M&Aについての理解が得られず、特に小規模事業者のM&Aはまだ限定的と言われています。

小規模事業者はなぜM&Aに積極的になれないのでしょうか。今回はSBAパートナーズ株式会社の代表取締役佐良土雄亮さんに、小規模事業者の中でも特に小さい零細企業におけるM&Aの現状や売却するための方法について解説していただきました。


1.大企業・中小企業・零細企業の区分とは

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大企業や零細企業は法律の用語ではありません。中小企業だけが「中小企業基本法」の第二条で決められています。例えば製造業、建設業、運輸業、そのほかの4種類は資本金3億円以下、従業員数300人以下の会社や個人が中小企業者です。

中小企業基本法には小規模企業者というワードが登場します。従業員数が20人以下(卸、小売、サービス業は5人以下)の組織が小規模企業者です。出資金額の決まりはありません。零細企業とされるのは、小規模企業者の中でもさらに小さい会社や個人と言えるでしょう。

※photoACよりイメージ引用

2.零細企業におけるM&Aの現状

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※photoACよりイメージ引用

当社で請け負うのは大きくても3億円前後の案件で、大型案件はあまり多くありません。一方で多いのは、個人の飲食店のような零細企業からの依頼です。中小企業や零細企業からの依頼を受ける中で、以下のようなM&Aの現状を実感しています。

(1)中小企業と零細企業の約半数が後継者未定

後継者がいないことは、中小企業や零細企業が抱える深刻な課題です。人口減少や経営人材の不足が主な要因と言えます。また、儲かっている零細企業が少ないのが現状です。零細企業の多くが利益を上げているのであれば、もっと事業承継を希望する人もいるのではないでしょうか。M&A業務に携わってきた経験から、ほかに事業を継ぎたいと考える人がいないことこそが後継者不在の主な要因と感じています。

また、零細企業においては親から子への承継が特に少ないです。ただし、業種や規模によっても状況はやや異なり、工場を継ぐために親族が戻ってくるケースは存在します。一方で、一人で切り盛りしていた居酒屋を料理経験のない息子が継ぐというのは難しいのではないでしょうか。

準備不足という点も後継者を生み出すことができない理由の一つです。親族内承継する場合であっても、承継前に入社させて数年かけて従業員や取引先等のステークホルダーに周知したり、複数の部署を経験させたりしなければなりません。

(2)零細企業のM&Aマーケットは限定的

親族外承継の場合、地理的に近隣もしくは同業の会社というケースがほとんどです。それ以外のケースであれば、ノウハウがないことなどから零細企業のM&Aは難しいと考えます。例えば、沖縄・九州の方が500〜1,000万円の営業利益が出ている北海道の企業を買収したとしても、移動費などを考慮すると採算が合わないでしょうし、実際そのようなオファーも受けたことがありません。ある程度の規模でない限り、限定的なエリアで零細企業のM&Aは進んでいるのではないでしょうか。

「M&A」というワードは知っていても、リスクのある取引ということを知らないがために、専門家を使わないで独力でM&Aを進めようとしてしまう零細企業の経営者もいます。また、フルパッケージだと高いコストがかかってしまうため、アドバイザーへの相談が零細企業にとっては採算が合わず、ハードルが高いのも事実です。アドバイザーにとっても小さい案件はメリットが少ないことから、前向きではない場合もあります。これらが零細企業のM&Aが加速しない要因でしょう。

アドバイザーの活用を工夫した柔軟な対応があることを零細企業の経営者が知ると、零細企業のM&A案件はもっと増えてくると考えます。
相談だけは無料というM&Aのアドバイザーも多いです。零細企業の経営者は、まず無料で相談してみてください。その後、交渉相手は自分で決め、交渉や契約書に関するアドバイスは専門家にお願いするなどの工夫をするようにしていけば、今後小さい案件でも誠実なM&Aが増えていくでしょう。

(3)零細企業がM&Aを行う三つの理由

続いて、零細企業がM&Aを行う三つの理由について具体的なケースを交えながら解説します。

1 事業承継のため

半分以上の中小企業で後継者が不在と言われています。さらに、経営者の年齢もどんどん上がっており、70代や80代でもまだ後継者が見つかっていないというケースも少なくありません。零細企業も従業員や家族、顧客の生活に深く関連しています。特に地方の場合、その会社がなくなってしまうと地元で品物を入手することが難しくなってしまうこともあるでしょう。このような事態を避けるためにも、事業承継は重要な手段なのです。

2 事業売却のため

「売却」は承継の一つの形です。従業員や家族が事業を引き継ぐことができなければ、第三者に事業を売却することになります。会社売却ではなく、事業売却を選ぶのは事業を複数営んでいる場合などです。例えば、事業セグメントが分かれている場合、一部分のセグメントのみを売るのが事業売却です。また、飲食店で複数店舗のうちの一部の店舗を売るケースもあります。

採算の取れている事業と不採算事業があり、不採算事業だけを売りたいという声も多いです。しかし、赤字事業だけを売却するのは現実問題として難しいでしょう。それでもなんとか不採算事業だけを売却したいというのであれば、買ってから採算を取れる会社を見つけることができるかが鍵を握ります。不採算事業であっても、価値あるリソースが存在しているはずです。売手が自分で考え、買手が採算を取れるような魅力的な提案を上手くできるかが重要です。

3 会社売却のため

会社売却は事業承継の延長だと考えています。親族内にも会社内にも承継する人がいなければ第三者へ会社を売却するというイメージです。売手が創業当初から会社売却を目的にしているケースもあります。地方でこのようなケースは多くありません。ただし、ベンチャー、IT企業で初めから1年後に売ることを考えて進めるケースがありました。実際に数億円で売却し、雇われ社長として大手企業である買手に就職しています。

このように、大手のリソースを使ってさらに大きくなるような成長戦略としての売却も多いです。今後、全国や全世界に展開したいとビジョンを持っているのであれば、すでに進出しているより大きい同業他社に資本参加してもらい、子会社になるパターンがあります。零細企業の場合は急にそのような展開にはなることは少ないです。ただし、その企業にしかない特別な技術やノウハウがあり、市場に上手くマッチすれば高額での売却の可能性もあります。

3.零細企業におけるM&Aの手法とは

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M&A・事業承継を検討している方へ

当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。


※Adobestockよりイメージ引用

零細企業におけるM&Aの手法としては、株式譲渡や事業譲渡が考えられます。それぞれ特徴は異なりますが、零細企業の場合には価値を算出するのが難しいという点が共通する部分です。

(1)株式譲渡

株式譲渡は株式だけを売買することで、株式会社で使われる一般的な手法です。所有と経営の分離という原則から、買手は株式を買うことでその会社の所有権を得ることができます。売買の際、対価を受け取るのは株式を売った株主個人です。売却された会社は買手の子会社になることなどが考えられます。

株式譲渡のメリットは、あくまで株式を売買するだけなので手続きが簡単という点です。会社はそのまま残るため、内部の契約関係も引き継ぐことができます。一方、余計な契約も引き継いでしまう点はデメリットです。簿外債務や仕入れ先との不利な契約なども引き継がなければなりません。それゆえ、デューデリジェンスを徹底することが求められます。

ただし、デューデリジェンスによって全てが明らかになるわけではありません。万が一簿外債務があった場合にどうするかを契約で決めておきましょう。

(2)事業譲渡

事業譲渡の場合、売却の主体が会社なので売ったお金は会社に入ります。事業譲渡は会社の一部又は全部の営業用資産を売却するイメージであり、会社が所有する車一台を売るイメージすると分かりやすいでしょう。

事業譲渡する場合には従業員との契約や取引先との契約、店名、ブランドといった事業を営むのに必要な資産をワンパッケージにして売却しますが、売り手企業が締結している契約や許認可等は買手の企業が取り直さなければなりません。基本的に負債まで引き継ぐというケースは少ないです。ただし、過去に負債を引き継いで欲しいという依頼があったこともあるので、負債を含める可能性もゼロではありません。

事業譲渡のデメリットは、必要な資産や契約を一つ一つ精査しなければならないため面倒という点です。例えば、売手の従業員が買手の従業員になるため、20人いると20人分の雇用契約を結び直さなければなりません。

4.零細企業のM&Aを成功させる対処法とは

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※pexelsよりイメージ引用

零細企業のM&Aを成功させる対処法について、売手と買手の観点から説明していきます。

(1)売手の対処法

売手が成功させるための対処法として以下のことが考えられます。

1 自社の強みを明確化する

M&Aを成功させるために、自社の強みを強化することは大切です。しかし、時間に限りがある中で今さら強みを強化するのは難しいのではないでしょうか。むしろ自社の強みを明確化することこそが大切だと考えます。そもそも経営者が自社の強みを分かっていなければ、相手にも気づいてもらえません。結果として、相手は高いお金を出してまで買うメリットを見出せなくなります。

現状、自社の強みを理解していない零細企業の代表者は多いです。強みを上手く見出せない場合は、どういう買手に買って欲しいのか、どういう会社ならシナジーが見込めるかといったことから意識するようにしてください。

2 許認可や契約書類を意識する

許認可なしではできない業種で、その許認可の取得が難しい業界への進出を目指している会社であれば、許認可狙いでM&Aを検討する場合もあるはずです。取得に費用や時間などの障壁がある許認可もあります。そのため、利益が赤字や僅少の場合であっても、許認可を保持していることを強みにすれば売却に成功することもあるでしょう。

許認可を持っているのは、あくまでも会社です。事業譲渡の場合、対象事業の運営主体が変わるため許認可を引き継ぐことはできません。たとえ許認可を持っている企業の事業を買ったとしても、買手で許認可を持っていなければ新たに取得することが必要です。

例えばガス販売事業者には営業所の一定範囲内の消費者にしか販売を行えないなどという規制があります。そこで、あえて事業所を作るよりもM&Aの方が手早いこともあるでしょう。許認可だけでなく、営業が強みになることもあります。

M&Aにあたっては、重要書類を整理しておくことも大切なことです。会社の売却が決まり、秘密保持契約を締結した後には買手から財務資料や対外的な契約書、従業員名簿などの資料提示を求められます。しかし、必要書類を用意できない零細企業が多いです。事業譲渡したいのにもかかわらず、対象の店舗別売上高が分からないというケースもあります。

買手によって希望は異なりますが、最低でも3年分の資料は求められることを覚悟したほうが良いでしょう。零細企業のM&Aではスピード感が求められるため、書類が揃っていないとすぐに状況が変わってしまいます。代表者は売上高や原価、利益など最低限の財務内容を答えられるようにしておいてください。

(2)買手の対処法

一方、買手はM&Aの成功に以下が大切です。

1 契約書のチェックやデューデリジェンス

デューデリジェンスはM&Aを成功させるためにも大切な作業です。しかし、資料がなければデューデリジェンスができません。デューデリジェンスができない場合は資料を作成しなければなりませんし、事業譲渡契約書や株式譲渡契約書といったM&Aに関する契約書は必ず弁護士にチェックしてもらうようにしてください。

零細企業のM&Aでは、ネット上の雛形にはんこを押しているだけの契約書も多いです。過去には、不動産業を営む会社を買った後、実は許認可を持っていなかったことに気づいたという事例もありました。このようなケースは、M&Aの際に専門家を利用しない零細企業でよく起こり得ることです。はんこを押してしまうと契約が成立してしまうため、事前に必ず専門家のチェックを受けてください。

2 買った後にどうするかを事前に決めておく

買った後に誰が社長を務めるのか早い段階でシナジーをどのように出していくかという点は検討段階から決めておくことが必要です。そもそも、買った後の方向性が定まらないようであれば、その会社や事業を買うべきではありません。

5.零細企業におけるM&Aの課題とは

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※Adobestockよりイメージ引用

零細企業におけるM&Aには以下の課題があります。

(1)社長が変わると会社が立ち行かない

零細企業の場合、経営者がトップセールスマンであるケースが多いです。ノウハウを持たずにこのような会社を買っても、経営することはできません。そのため、基本的に買手は見つからないでしょう。そこで、近郊の同業他社によるM&Aに可能性があります。同業であれば従業員もノウハウを有しており、近ければマネジメントもしやすいからです。

(2)大きなリターンが見込めない

アドバイザーに支払う報酬、契約書類のリーガルチェック、デューデリジェンス、不足資料の作成など、M&Aにはお金がかかります。そのため、小さい案件であればあるほどリターンが小さくなるでしょう。リターンが出せそうな企業に対して売手が上手くアプローチできるかどうかが成約可能性を上げるための秘訣です。

6.その他の課題

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※pixabayよりイメージ引用

そのほか、マーケットにおける適切なアドバイザーが特に地方において不足していることも課題です。国は事業引継ぎ支援センターなどを各所に設置していますが、相談先はまだまだ足りないと感じております。サポートできる人間をもっと増やしていかない限り、よく分からない書面にはんこを押してしまう案件が今後も出てくるのではないでしょうか。

実際は500万円程度の案件にもかかわらず、言い値の2,000万円で払ってしまうケースもあります。このようなことになるのは、誰に相談すれば良いかわからず精査もできないことが要因でしょう。これが整って対応できるようになれば解決につながるはずです。

経営者自身がM&Aにもっと関心を持って勉強しておくという点も大切です。スキームまで熟知する必要はありませんが、M&Aの流れや自社のビジネスについての理解は深めておくべきです。そもそもM&Aでなくてはいけないのかということも検討してください。例えば、株式譲渡では余計な契約が付随してくるなど、M&Aの取引には高いリスクが存在します。

売手と買手の間に情報格差が存在することも課題です。買手は少ない情報から買い物をしなければなりません。相手から送られてくる決算書が実際の数字と異なる可能性もあります、デューデリジェンスは失敗を避けるために有効な手段ですが、万能ではありません。つまり、最終的にリスクを負うのは買手です。自分で勉強し、情報収集を行い、どのタイミングで何を専門家にお願いするのかを理解するようにしてください。

7.まとめ

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※Adobestockよりイメージ引用

零細企業がM&Aを進めようとすると、相談費用などでリターン以上の費用が発生するケースが見受けられます。しかし、単独でM&Aを進めていくと契約面のチェックなどが甘くなり、後々問題が発生してしまうこともあります。M&Aの相談については無料というケースもあるので、まずはM&Aアドバイザーに相談してください。

特に地方では、中小企業のM&A自体がまだまだこれからという段階です。零細企業に至っては、個人事業主でも売却できるということを知らない方もいます。経営者自身がM&Aについて理解を深めていくことが、今後零細企業のM&Aを成功させていく鍵となるでしょう。M&Aについて興味を持った方は、まず自社の強みや弱みを分析することから始めてみてください。

〈話者紹介〉

佐良土雄亮さん
SBAパートナーズ株式会社 代表取締役
一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)認定M&Aアドバイザー(CMA)

佐良土 雄亮(さろうど ゆうすけ)

卸売業、サービス業、製造業など、数社の一般事業会社での役員を経験後、その経験を活かして2018年にSBAパートナーズ株式会社を設立。北海道の中小企業を中心に、戦略的な事業・企業の買収や売却、救済型のM&A、事業再生、事業承継などについて、クライアントの実態に合った形での支援を行っている。

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