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合同会社の売却は難しい!その理由と売却するための対処法を解説

2021/06/28
更新日:2021/06/30

はじめに

合同会社とは、2006年に施行された会社法によって定められた新しい会社形態の一つです。株式会社と比較すると「設立のコストが安いこと」、「利益配分の自由度が高いこと」などから、近年、合同会社の設立件数が増加する傾向があります。しかし一般的に合同会社は売却が難しいとされているため、M&Aが活発に行われているわけではありません。ここでは、その理由と売却する際の対処方法や注意点について、M&Aの専門家であるSBAパートナーズ株式会社代表取締役の佐良土雄亮さんに解説していただきました。


1.合同会社と株式会社との違い

手を合わせる社内チームのメンバー

※pexelsよりイメージ引用

日本における会社は、会社法によって持分会社と株式会社に分類されます。持分会社には「合名会社」、「合資会社」、「合同会社」という三つの形態があります。
ここではその持分会社の一つである「合同会社」と株式会社の違いについて説明しましょう。

(1)株式会社は「所有と経営」が分離

株式会社は「所有と経営」が分離しているため、会社の所有者である株主が必ずしも経営に参加するとは限りません。基本的に株式会社とは株主が出資した資金をもとに経営者が会社を運営し、利益を生み出す仕組みになっているからです。しかし中小企業の場合は、株主と経営者とが一致しているケースが大半を占めています。法的には一致している必要はないのですが、現状では同じ人物が兼ねていることが多いのです。

(2)合同会社は「所有と経営」が同一

株式会社と違って合同会社では、「所有と経営」が同一になっています。会社設立時に出資した人は「社員」と呼ばれ、原則的には出資した社員全員が経営に参加する権利を有しているのです。株式会社の代表者が「代表取締役」であるのに対して、合同会社では「代表社員」となります。会社に関する重要事項を決める機関も、株式会社の場合が「株主総会」であるのに対して、合同会社の場合は「社員総会」です。

2.合同会社の売却が難しい三つの理由

会議室で会議をする5人

※pexelsよりイメージ引用

合同会社の売却はなぜ難しいのか、主な理由は三つあります。それぞれ解説しましょう。

(1)社員全員の同意が必要

そもそも合同会社には株式というものがないので、売却を考える場合には株式譲渡という選択肢を取ることができません。合同会社を売却するには社員が所有している持分を売ることになります。しかし株式と違って、持分の譲渡には社員全員の同意が必要です。

重要事項を決定するためには全員の同意が必要になります。持分の譲渡を全員が同意し、一人の社員が外部の人間に持分を売却しても、全員の合意がなければ買手が経営に加わることはできません。この「全員の同意」という決まりが合同会社の売却を難しくしている大きな要因と言えるでしょう。しかも仮に社員の中の一名が第三者に持分を譲渡し、社員全員が経営に加わることに同意したとしても、会社の経営権までを握るのは簡単なことではありません。

株式会社の場合は、過半数の株式を所有すれば会社を支配することが可能になります。しかし、合同会社の場合は持分の多い少ないに関わらず、社員それぞれが一票の議決権を持っているため、持分を手に入れただけでは経営権を掌握できません。ただし、合同会社は一人だけでも設立することができます。社員が一人だけの場合は、その社員の意志によって、持分を譲渡することも合同会社を売却することも可能になるのです。

(2)株式会社への変更の手続きが複雑

持分の譲渡が難しいならば、株式会社に変更して売却する手段があるのではないかとの考え方もあるでしょう。株式会社ならば、株式譲渡という選択肢が増えます。しかし問題なのは、売却同様に合同会社を株式会社に変更する際の手続きの煩雑さです。

株式会社を合同会社に変更することは重要事項に該当するため、社員全員の同意が必要になります。つまり、売却するのと同等のハードルが存在するのです。それだけではありません。債権者にとっても重要事項となるので、債権者保護の手続きが必要になります。具体的には、官報での公告と個別での催告が必要となり、さらに債権者が異議を述べるための期間を1カ月設けなければなりません。

合同会社の中には大企業もありますが、一般的には小さな会社が多いため、売却の手続きにそんなに時間をかけられないことがほとんどです。何カ月も時間がかかると業績が悪くなり、M&Aが成立しないケースも出てくるでしょう。株式会社に変更してから売却というやり方には手続きの手間と時間がかかるため、実際にはあまり行われていないというのが現状です。

(3)事業譲渡においても半数の同意が必要

合同会社を売却する場合にもっとも現実的と言えるのが事業譲渡です。「重要事項」ではなく「業務執行」に分類されるため、社員の過半数の同意があれば可能になります。ただし、会社の定款によっては全員の同意が必要と定められている場合もあるので注意が必要です。原則的には過半数となっています。

事業譲渡には一部分を譲渡する場合と全部を譲渡する場合がありますが、一般的には一部を譲渡して、合同会社をそのまま存続させるケースのほうが多いと言えるでしょう。事業譲渡する場合には、その事業に必要な資産や契約内容も含めて譲渡されるため、契約している相手の同意を取ることが必須となります。合同会社をそのまま売却するよりは難易度は低いのですが、取引先や債権者などの理解を得る必要があることが多く、丁寧に手続きを行う必要があるのです。

3.合同会社を売却するための対処法とは

丸印の書かれたブラックボードと電球

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※pexelsよりイメージ引用

合同会社を売却するのは決して簡単ではありませんが、正しい手続きを踏めば可能になります。ここでは事業譲渡と株式会社への変更、吸収合併という三つの方法について詳しく解説しましょう。

(1)事業譲渡なら会社売却よりも容易

社員全員の同意が必要な会社売却に対して、事業譲渡は過半数の社員の同意があれば実行できるため、より容易であることは間違いありません。売手にとっては売りたい事業だけを選択して売れ、買手にとっては買いたい事業だけを買えるため、それぞれにメリットがあります。

合同会社において事業譲渡を行った場合でも、社員はその地位をそのまま継続することができます。注意しなければいけないのは、譲渡する事業に関わる契約は引き継ぎの作業が必要になるということです。従業員や取引先などの契約相手と契約を結び直さなければなりません。また、事業譲渡することによって得た利益には税金が発生します。事業承継の税制はかなり複雑なので、税理士、会計士などの専門家を交えて検討するのがいいでしょう。

(2)売却の前に株式会社へ変更する

前章で合同会社を株式会社に変更するための手続きは煩雑であると説明しました。しかし時間をかけて丁寧に手続きを行えば、株式会社への変更は可能です。株式会社にした後であれば売却の方法も広がるため、さまざまなメリットが期待できます。その具体的な手順を説明しましょう。

1 組織変更計画書を作成する

まずは合同会社から株式会社への組織変更計画書を作成します。どんな株式会社を作ろうとしているのかを文章化して、明らかにするということです。事業内容や商号、発行予定株式数、定款、取締役や役員の割当、株式会社としての効力の発生日などを明記し、この組織変更計画書を基にして、周りの理解を得る作業に入ります。

2 社員全員の同意を得る

合同会社から株式会社へ変更するためには、社員全員の合意が大前提となります。ただし、社員が一人だけの合同会社であれば、その社員が変更を決断すればそのまま計画を進行できます。

3 債権者保護の手続きを行う

会社の組織変更を行うにあたって債権者の利害に影響を及ぼす可能性がある場合には、債権者保護の手続きを行わなければならないことが会社法に定められています。具体的には、官報への公告と個別の催告が必要となり、合同会社から株式会社への変更に対して債権者が異議を申し立てる期間を1カ月設けなければなりません。異議の申し立てがなかった場合には、変更の手続きを進めていきます。

4 解散登記と設立登記を行う

合同会社の解散登記を行い、株式会社の設立申請を行います。合同会社からの変更ではあるとは言え、新しく株式会社を設立するのと同じような手続きが必要になるのです。登記の申請には約1週間程度の審査があり、審査が完了して登記が終了すると株式会社の登記簿謄本を取得できます。

(3)吸収合併も可能

合同会社の売却には、吸収合併という方法もあります。合同会社同士の合併のみならず、合同会社と株式会社という組み合わせも可能です。その場合には、一方の会社が消滅してもう一方が存続します。また、新設合併として二つの会社の受け皿となる会社を新たに作ることも可能です。ただし、合同会社の売却と同様に「重要事項」なので、社員全員の同意が必要になります。

4.合同会社における事業譲渡のメリットとデメリット

グラフが掲載されている紙の資料とパソコン

※pexelsよりイメージ引用

合同会社において事情譲渡が選択されるケースが多いのは、それだけプラスの要因があるからでしょう。ここでは事業承継のメリットとデメリットを解説します。

(1)事業譲渡のメリット

ここで挙げている項目は、合同会社だけに限らず全ての事業承継に言えることですが、ここでは合同会社に視点を置いて解説していきます。

1 会社を存続させることが可能

会社の売却と違って事業譲渡は事業の一部だけを譲渡することができるので、会社を存続させることが可能になります。社員が持っている持分にも変更がないので、会社は同じ社員の構成が維持されるのです。

2 譲渡する事業を選択できる

合同会社における事業の一部を選んで譲渡することができるので、譲渡によって得た利益で経営強化をする、会社として得意な分野に経営資源を集中させるなど、戦略的な経営が可能になります。

3 後継者問題の解決

持分を所有している社員が亡くなった場合には、その社員の持分は相続されません。その時点で消滅するのです。複数の社員がいる場合には会社は存続しますが、社員が一人しかいない場合には会社が消滅します。しかし、事前に第三者への事業譲渡を行っていれば会社は継続し、後継者問題も解決するのです。

(2)事業譲渡のデメリット

合同会社の事業譲渡で考えられるデメリットも解説しましょう。メリットと同じように、合同会社としてのデメリットに限定しています。

1 手続きが煩雑で時間がかかる

合同会社における事業譲渡において、デメリットとなる可能性があるのは手続きが煩雑であることです。事業一つ一つにさまざまな契約が結ばれていることが考えられ、それぞれの事業における契約者と再契約を結ぶことが必要になります。特に、従業員や取引先が多数いる場合には、手間だけではなく時間がかかることも想定する必要があります。

2 課税や負債への注意が必要

事業譲渡した際に利益が出た場合には法人税や消費税が課せられることになります。逆に負債が残った場合には、どのように返済していくかの計画を立てる必要があります。税も負債もスムーズに処理するためには専門的な知識が必要であるため、注意が必要になります。

5.まとめ

肩を組んで整列している8人

※pexelsよりイメージ引用

年々、合同会社の設立件数が増えています。設立費用が安いことや経営の自由度が高いことが、増加の理由と言えるでしょう。社員それぞれが持分の金額に関わらず議決権を一票ずつ持っているため、民主的であるなどのメリットがあります。しかし、売却を考えたときにはそのメリットが足かせとなってしまうケースも出てきます。合同会社の売却を考える場合には、事業譲渡や合併など幅広い選択肢を視野に入れる必要があるでしょう。煩雑な手続きが求められるケースもあるので、専門家も交えて検討することをおすすめします。

〈話者紹介〉


SBAパートナーズ株式会社 代表取締役
一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)認定M&Aアドバイザー(CMA)

佐良土 雄亮(さろうど ゆうすけ)

卸売業、サービス業、製造業など、数社の一般事業会社での役員を経験後、その経験を活かして2018年にSBAパートナーズ株式会社を設立。北海道の中小企業を中心に、戦略的な事業・企業の買収や売却、救済型のM&A、事業再生、事業承継などについて、クライアントの実態に合った形での支援を行っている。

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