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新たな選択肢「縮小型事業承継」であなたの事業は引継げる。その具体例を紹介

2021/09/07
更新日:2021/09/16

はじめに

近年、中小企業のM&Aは増加傾向にあり、2018年から2020年の間も毎年4,000件前後で推移しています。
他方で、売却を希望する企業の中には買手候補がなかなか現れない企業も多数あります。
買手候補がなかなか見つからない場合、「縮小型事業承継」という選択肢があります。今回は、株式会社青山財産ネットワークスの取締役執行役員 島根伸治さんに、ご自身が提唱されている「縮小型事業承継」という考え方や具体例について解説していただきました。


1.事業承継の現状と動向を解説

島根伸治さんinterview
縮小型事業承継について説明する前に、まずは事業承継の現状と動向について解説します。

(1)後継者の決まっていない経営者が多数

後継者不在率の推移
※2021年版「中小企業白書」 <第2-3-21図>より引用

上図からわかるように、2020年時点での後継者不在率は6割を超えます。年代別に見ていくと、60代の後継者不在率が48.2%、70代が38.6%、80代以上でさえ31.8%です。当社が事業承継に携わっている中でも、後継者不在率の高さを実感しています。

(2)現経営者の高齢化が深刻

大きな人口ボリュームを持つ団塊世代が70歳を超えています。しかし、その中で後継者を見つけている経営者は決して多くありません。結果として、中小企業経営者の平均年齢がスライドし、経営者の高齢化が深刻化しています(下図参照)。
経営者の平均年齢の推移

M&A・事業承継を検討している方へ

当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。


年代別に見た中小企業の経営者年齢の分布
※「2021年版中小企業白書 <第2-3-8図> 経営者の平均年齢の推移、<第2-3-9図> 年代別に見た中小企業の経営者年齢の分布」より引用

団塊ジュニア世代以降は、子供の数も減少傾向にあるため、家族で既存事業を引き継ぐという発想にはつながりにくくなってきています。

(3)廃業件数が増えている

廃業件数は倒産件数を上回った2004年以後概ね右肩上がりに増えており、2020年の休廃業・解散件数は49,698件でした(下図)。
休廃業・解散件数の推移
※「2021年版中小企業白書 p.38 <第1-1-42図> 休廃業・解散件数の推移(東京商工リサーチ)」より引用

当社にも、子供も継がないし、事業の見通しも厳しいとのことで、廃業の腹を決めた相談が増えています。以前は、迷い悩んだ状態で相談を受け、検討の結果として廃業を選択し、その実行をご支援することがほとんどでした。経営者の高齢化が進み、資産が残っていて畳めるうちに畳もうと考える経営者が増えた結果だと思います。今後ますます増えていくと思います。

(4)M&Aを採用する企業が増えている

近年、M&Aに前向きな経営者が増えています。実際2011年から2019年までのM&A件数は下図のように右肩上がりになっています。
M&A件数の推移
※「2021年版中小企業白書 <第2-3-51図> M&A件数の推移」より引用

以前はM&Aを提案すると頭ごなしに否定されてしまうこともありました。しかしながら近年は、企業が成長手段としてM&Aを積極活用し、売却側の元経営者の経験談なども広まっており、中小企業経営者のM&Aに対する抵抗感が薄くなってきたと感じています。

(5)売却したくてもできない企業が増えている

M&Aで第三者に会社を売却しようとした時、人気のある業種であれば10社、20社と買手候補があがることもあります。他方で、斜陽となってしまった業種や、赤字が続く企業、技術革新に取り残された企業などはなかなか買手が現れないことがあります。業容が縮小したにも関わらず、資産規模が大きすぎる企業などは買収金額がふくらみ、ミスマッチが生じてなかなかM&Aが成立しないことがあります。残念ながら成長産業よりも衰退産業の方が多い日本においては、売却希望の企業が増えれば増えるほど、買い手市場となって売却しきれない企業は増えるでしょう。

2.縮小型事業承継のエッセンス

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※photoACよりイメージ引用

ここからは、私たちが新たに定義づけた「縮小型事業承継」のエッセンスを紹介します。

(1)縮小型事業承継とは

縮小型事業承継とは、自社の競争力や能力に合わせて、事業規模を縮小させて会社を承継するという考え方のことです。具体的には、承継者がなかなか見つからない会社であっても不採算商品や店舗から撤退して赤字をなくし、資産売却でスリム化して譲渡価格を小さくすることで承継に成功した事例がいくつもあります。このように、承継できない原因を改善し、ピカピカに磨くというよりもむしろ縮小均衡を図って事業承継を可能にすることを意味します。

縮小均衡を目指しても難しい場合、「廃業」という手段も、悪くない選択肢として考えられるのです。赤字が継続していても資産超過であれば、資産の処分代金で従業員に退職金を渡して再就職斡旋を行い、実質的に雇用を継続することができます。場合によっては清算手続きの中で、取引先や知財などを他社に引き継ぐことも可能です。こうした廃業も縮小型事業承継の一つと考えています。

(2)縮小型事業承継のメリットとは

続いて、縮小型事業承継のメリットを紹介します。

1 売却しやすくなる

M&A仲介会社に相談しても買手が見つからないケースでも、事業から不動産を切り離して売却する、赤字店舗は閉鎖してから売却するなど、縮小方向に一工夫を行うことで、売却実現の可能性は高まります。こうした一工夫は、言うは易しですが、外部の誰かに背中を押され、手伝ってもらわないとできないものでもあります。

2 多くのものを守ることができる

赤字のためM&Aなどが成立しない場合、そのまま放っておくと倒産という事になります。倒産すると人材、取引先、技術等は霧散することになります。早めに縮小したり、計画的に廃業したりすることにより、部分的に、あるいは分解して承継していける可能性があります。過去には、廃業を覚悟したうえで事業を縮小していたところ、幹部社員が会社を継ぎたいと手をあげてくれた例もあります。売却金額は大きくはありませんでしたが、事業と雇用が部分的にでも引継がれ、経営者の精神的な負担が大きく軽減されました。もちろん少しでも雇用が継続されることは社会的にも有用です。また、オーナー経営者の生活面でも、倒産すると、債務保証を履行し個人財産も失います。この場合、倒産をする前に自主的に縮小型の事業承継を行うことが望ましいでしょう。結果的に残余財産などにより生活の糧を確保することができます。

(3)縮小型事業承継のデメリットとは

縮小型事業承継を進めるにあたって、手間がかかる点はデメリットと言えるかもしれません。資産を移動したり、従業員の再就職を支援したりするにあたっては、会社法や税法、労働法なども絡んで専門性が要求されたり時間も要するため、ハードルが上がります。
また、買手候補が複数ある一般的なM&Aよりも売却価格は低くなります。しかし、そもそも縮小型事業承継は、買手が現れず一般的なM&Aが成立しない場合に取られる手段なので、単純に売却価格だけで比較することはできないでしょう。
むしろM&Aの見通しがつかなければ、通常は廃業するしかないところ、M&Aと廃業の隙間を埋めて承継を可能ならしめる存在が縮小型事業承継であると考えています。買手有利な業界が増え、その隙間に陥る会社の数が年々増えているため、縮小型事業承継の活用の場は広がっていくでしょう。

3.縮小型事業承継におけるポイントとは

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※Adobestockよりイメージ引用

縮小型事業承継におけるポイントとして、対象となりえる企業や廃業との関連性を解説します。

(1)なかなか承継ができない原因を認識して、対応すること

当社には、M&A仲介会社に探してもらっているにもかかわらず、なかなか買手が現れないという会社からの相談が多く寄せられます。本業の赤字を不動産賃貸で補う構造だったり、事業規模に比して本社や設備が高価であったり、技術が陳腐化していたりと原因は様々ですが、短期的に可能なものから対応することが重要です。その際、外部の知見のある人も入れて進めることが肝心です。自分たちのみではなかなかできないものです。また、承継する側の視点に立って対応策を検討実行することもポイントです。こうした対応をした結果、M&Aの成功に至ったケースが多々ありました。

(2)縮小しても承継が難しい場合、計画的な廃業がベストの選択

M&Aを含めてなかなか事業承継できず、縮小したとしても難しそうな場合には、廃業するのがベストの選択です。特に赤字の場合には、即刻計画を立てて実行に移すことが経済合理的です(心情的にすぐに決断しがたいことも理解します)。資産超過で資金に余裕があれば、先に述べたように清算手続きの中で一部事業の譲渡や社員の承継などが可能になりますし、退職する社員に割増退職金や再就職斡旋プログラムを提供したりもできます。また、残余財産(資金)が残れば残るほど、オーナー経営者のセカンドライフの生活設計も行いやすくなります。通常、廃業資金を銀行が積極的に出すのは難しいため、とにかく資金がある早い段階での決断が重要です。
私たちは廃業を実行しきることで、実質的に様々なものが引き継がれ、経営者に感謝していただいた経験を多数しています。したがって、ポジティブな一つの選択肢と捉えています。

(3) 早めの現状把握と選択肢の検討が大切

私たちが相談を受ける時点では、承継の方針が決まっていない方や決まっていても上手くいっていない方が圧倒的に多いです。理由をうかがうと、身近な顧問の先生や金融機関などに相談して色々な意見をもらううちに迷いが出てきたが、家族には会社のことをつぶさに相談しにくく自身で抱え込んでしまっている、といった点が挙がります。
黒字企業はまだ良いですが、赤字基調の企業は一刻も早く現状を把握し、どんな選択肢があるかを出しておくことが肝心です。資産超過で資金に余裕があれば良い結果につながることが多いからです。家族のため、社員や取引先のため、そして経営者自らため、一歩踏み出してください。

4.縮小型事業承継の2つの具体例

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※photoACよりイメージ引用

買手がなかなか見つからない先を中心に、当社では縮小型事業承継をサポートしてきました。卸売業とアパレル業での縮小型事業承継の事例を紹介します。

(1)事例1 卸売業

高度経済成長期に卸売業で成功した企業の事例です。3代目が若くして社長に就任した後、時代の流れもあって本業の利益が下がっていました。東京23区内にビルを複数所有していたため、本業以外の賃貸業収入で企業の存続ができていたのですが、老朽化対策の大規模修繕費用が見込まれ、先行きが厳しいためM&Aを検討しました。

しかし、直接買手候補企業と交渉したりM&A業者に相談したりしても、なかなか買手が見つかりませんでした。そんな中、事業承継ファンドに話があったため、対象企業に手を加えて(縮小させて)売却する方法(縮小型事業承継)を提案しました。

本件は対象企業が赤字で、たとえ収益物件を所有していたとしても、同業者からは逆に投資金額が多額になり魅力がありませんでした。M&A仲介会社も赤字の会社は売却が難しく買手を見つけることができませんでした。

会社が売却できる可能性は決して高くないため、社長には廃業の覚悟も持ってもらいましたが、結果的に相応の金額を得て売却することができました。縮小型事業承継でM&Aを成功させた流れは次のとおりです。

まず、役員報酬の削減や経費の見直しにより収益の改善を図りました。同時に不動産と一緒では引き受け手が現れないと判断し、営業権のみの売却を目指しました。その結果、関西を拠点とする企業が相談企業のM&Aに関心を持ち始めました。「東京進出のきっかけを探していた」「赤字だが新たに支店を作るよりコストが大幅に削減できる」、「ある程度の従業員を確保できる」、「昔からの優良顧客がついている」、などの理由でM&Aが成立しました。

M&A後、以前から在籍していた従業員を中心に東京支店として営業を続けています。本件をまとめると、事業は資産と切り離して従業員を含めて関西企業に譲渡、収益ビルは売却し借入返済、本社ビルは簿価が低く検討の結果、会社ごと別企業に不動産M&Aで譲渡しました。事業と資産を分離して売却していくような手間のかかることを手掛けるM&A仲介会社はあまりありません。ファンドの機能が発揮された事例だと思います。

(2)事例2 アパレル業

創業者が一代で築き上げたアパレル業の事例です。倉庫業、ショップ(小売業)、デザイン(製造業)などの機能を持つ複数の企業を経営して成功していた中、創業社長が急逝してしまいました。当面、デザイナーを務めていた配偶者が社長に就任しますが、為替の影響や新社長が経営経験に乏しかったため赤字となり、幅も増加していきました。

このまま続けると先代が築き上げた会社が倒産してしまうため、M&A仲介会社に相談しましたが、赤字のアパレル業では買手を見つけることはできませんでした。M&Aの可能性が低いことから、廃業も検討しましたが、数十店ある店を全て閉めるのは困難な作業です。最終的に私たちのファンドに相談があり、オーナー家の少しでも事業を残す可能性を追求して欲しいという意向もあり、縮小型事業承継で対応することになりました。

投資後に、デザイン部門を全て止め、倉庫も閉じ、赤字店舗も閉店しました。1年かけて整理した結果、最終的に黒字店舗だけが残りました。最終的に従業員がセレクトショップとして事業を引き受けたいということになり、事業承継に成功しました。

結果的に半分近くのお店が残り、雇用も継続されたため、当初検討していた全部お店を閉めてしまう結果よりも圧倒的に良い結果となりました。今回のケースは、赤字になった段階ですぐに動き出したことがポイントです。1年遅れていれば赤字はさらに膨れ上がり、売却が難しくなったのではないでしょうか。

5.まとめ

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※photoACよりイメージ引用

M&Aを含めて、事業承継先がなかなか現れなくてもあきらめないでください。資産が負債を上回っていれば、「縮小型事業承継」にトライすることでM&Aや社員承継が可能になるかもしれません。
逆に負債が資産を上回ってしまうと廃業で軟着陸することもできなくなり、一部の法的整理・私的整理を除いて倒産という方法を取るしかありません。後継者が見込めず、赤字基調に陥った場合には、売却のタイミングを逃さないように早めに検討を開始し、相談するようにしてください。

〈話者紹介〉

島根伸治さん
株式会社青山財産ネットワークス
取締役執行役員 コンサルティング第四事業本部長
島根 伸治(公認会計士)

大手監査法人、メーカーを経て2001年当社グループに入社。
多くの企業オーナー様と会社の将来について話し、長きにわたり財務・資本政策や事業承継のご支援を実施。経済ショックや自然災害なども多発する今の高齢化社会においては、必ずしも「成長」でなく、「縮小均衡」させて承継を図ることも有用と実感している。
他社様と「縮小型」の事業承継ファンドを運営し、株主となってご支援する例もある。

ご相談・着手金は無料です

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