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OA機器卸業におけるM&Aの現状とは?事例や注意点を詳しく解説!

2020/04/20
更新日:2020/04/20

はじめに

多くの業界では、後継者不在の問題を解決するためや事業を存続させるためなど、さまざまな理由で事業承継が活発に行われています。OA機器卸業界には、他の業界とは違った業界の特徴があります。

今回は、OA機器卸業からコンサルタント業へ事業の方向性を変えることで会社の経営を立て直してきたという、豊富な経験と知識の持ち主である株式会社フォーバル事業承継支援部部長の山田健一さんに、OA機器卸業の動向やM&A事情、実際に行われた事業売買の事例についてお話を伺いました。


1.OA機器卸業の業界動向

サイン

時代とともに変化しつつある、最近のOA機器卸業界の動向について説明します。

(1)OA機器卸業界の動向

近年のOA機器業界には、私の会社の以前の姿のように、OA機器の販売スキルを身につけてから独立して、顧客リストの端から連絡していき、バリバリ営業をかけるという運営方法をいまだに採用している会社もあります。その一方で、時代の変化とともにLINEやSkypeが主流になり固定電話の必要性がなくなってきたことと同様の事象がOA機器業界にも起こっています。
これまではコピー機で毎月たくさんの紙を印刷し印刷枚数に応じてカウンター料金を支払っていたけれども、ペーパーレス化がどんどん進んでいく中で、そもそもコピー機が必要なくなってきたという会社が増えてきています。このような時代背景の変化によって、OA機器販売は極めて厳しい業界になりつつあるのです。

そのため、OA機器業界には打たれ強い営業担当者だけが残っているような状況です。このような営業担当者は、OA機器の需要が年々少なくなってくる中で、世の中でまだ必要とされているOA機器を探して代理店になっていくということを繰り返しています。とはいえ、顧客のニーズや抱えている課題が多様化している中で、物売りだけでは解決することはできないため、次の一手を考えていかなければ業績の向上は見込めないでしょう。

今後の事業方針を抜本的に変えていかなければ、OA機器業界で生き残っていくのは難しく、いかにバリバリの営業担当者であっても、最新のIT技術を駆使する人には勝てない時代がいずれ必ず訪れるため、時代の流れによって昔ながらの営業担当者は必要なくなるでしょう。
このような意味で、OA機器業界は現在転換期に来ていると考えています。

2.OA機器卸業におけるM&Aのポイント

契約

OA機器卸業界では事業を売りたくても買手がなかなか見つからないという特徴があるため、うまく買手を見つける方法を知っておくことが売手にとっては重要になります。

(1)顧客の数が重要

OA機器卸会社を売却しようと考えている場合、買手へのアピールで大切なポイントは「人」で、特に顧客の数がどれだけ多いかが重要です。
基本的にOA機器は現金一括払いではなく、60回払いなどリースで販売するため、コピー機のリース代がおおよそ月々1万円、電話機が月々1.5万円、セキュリティサーバー代も合計して毎月4~5万円支払うといった支払い方法になっています。

OA機器卸業を買いたいと考えている会社は、OA機器を取り入れて毎月利用料金を支払っている顧客リストを求めているケースが多いです。その顧客リストがあれば、4~5年でリースを組んでいる会社に対して、「最近の機器はこんなに機能が変わっています。あと数年で支払いが終わるので次の商品を購入しませんか?」というように、営業をかけやすいのです。顧客情報が無い状態で商品を売ろうとすると、たいていの会社ではリースが長期間残っていることから、営業がうまくいきません。しかし、顧客リストが手に入るとリースが終了する時期が分かるため、営業成績を上げやすくなるのです。

(2)必要な心構えを知っておくことが大切

OA機器卸会社を売却したい会社が持っておくべき心構えは、次回のリースの切り替えの時にどのような提案ができるのかを、イメージしておくことです。もしもイメージのつかない顧客が一定以上あるのであれば、今すぐに物売り以外の事業に転換するなど抜本的な手を打つ必要があります。

例えば、あるOA機器のリース契約が続いていたとしても、その商品に何かトラブルが起こり電話対応や保守管理をしなければならない状態が続けば、結果的に契約が更新されない可能性があります。今後はOA機器が必要なくなってくる会社が増えてくるため、代わりに販売できるサービスを提案できなければ、今後も顧客として契約を続けてもらえなくなってしまいます。現在の販売契約が続いている間に、今後も契約を続けてもらえるような営業ができなければ、今後の経営は厳しくなるでしょう。

また、取引先のオフィス空間を快適にできるような具体的なツールを提示するなど、ソリューション提案ができるような事業の転換も必要になるでしょう。そのために必要な勉強ができているのか、実際に事業の転換を迫られた時に会社の運営方針を変えられるのかが重要になってきます。

3.OA機器卸業がM&Aをするメリット

プレゼン

M&A・事業承継を検討している方へ

当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。

OA機器卸業においてM&Aによるメリットを最大限にするためには、あらかじめ対策をとっておく必要があります。また、買手にとっては、縮小傾向であるOA機器卸会社を買収することにどのようなメリットがあるのかを知っておくことが大切です。
ここからは、OA機器卸業でM&Aをするメリットについて説明します。

(1)売手がメリットを受けるためには早めの対策が必要

私の会社も何社かOA機器卸会社を購入していますし、実際にOA機器卸会社を売りたいと相談される事例は多いです。とはいっても、単に従業員の数に対して売り上げ業績が高いだけのOA機器卸会社はあまり魅力的には見えません。重要なのは顧客リストをどれくらい持っているかですので、営業実績のある従業員数が多いからといっても、すでに人員は充足しているため評価を上げるポイントにはならず、リストを手に入れる目的のために価格交渉をするパターンが多くなっています。

将来的にOA機器卸会社を売りたいと考えている場合は、人材を含めて会社を買い取ってもらえるように、顧客にOA機器だけでなくソリューション提案ができる人材の育成について早めに手を打っておかなければ顧客リストしか売れなくなってしまう状態になりかねないということを知っておきましょう。

(2)買手もメリットは大きくない

OA機器卸会社を買収する買手にとっても、リース契約が終了してから新たなサービスを提案できる能力を持った人材がいない限り、顧客リストを入手できること以外に大きなメリットはありません。買手もOA機器の販売をしているのであれば、人材が余ってきているにも関わらずさらに人材を増やす余裕がないという会社がほとんどです。現在はリース契約が続いていて売上を維持できていたとしても、新たに人が増えたところでその人に与える仕事がないため、今以上に人材を増やす必要がないということです。

そのような状況を考えると、私たちのように自社の経験をもとにOA機器卸会社が生まれ変われるような方法を提案するといったコンサルタント業に事業を転換した会社は、買収を考えているOA機器卸業にとってメリットのある会社だといえます。

4.OA機器卸業が事業を継続するためのポイント

面談

OA機器卸業界でM&Aをするかどうかに関わらず、事業を将来的に存続させるためには、意識しておくべきポイントがあります。ここからは、OA機器卸業が将来も事業を継続するためのポイントについて説明します。

(1)顧客のニーズに合わせた提案をする

OA機器卸会社が今後も事業を継続していくためには、OA機器を販売したその先を提案できるようにしておくことです。顧客がコピー機を購入することで印刷物を印刷し、会議で共有していくということをイメージするなど、OA機器そのものを使って顧客が何をするのかを考えて商品を販売することも大切です。しかし、利用目的を達成するためにはコピー機を使わなくてもWeb会議で資料の提供ができるのであれば、コピー機ではなくWeb会議を提案すべきであると考えられることが重要です。

時代の変化に合わせて顧客がどのような目的で商品を使うのかを考えながら、適切なサービスを考えて物を売れるようにならなければOA機器卸業界で生き残っていけなくなるでしょう。
リースの期限が来たから新たな商品を売ろうとするなど、いつまでも商品を販売することに執着して物を売ることだけにこだわるような、旧来の手法をいつまでも続けていると、ジリ貧になってしまうでしょう。

5.OA機器卸業のM&A事例

握手

ここからは、OA機器会社を売却した事例と、事業規模の違いによるM&Aへの影響について説明します。実際の売買事例を参考にして、今後のM&Aをスムーズに行えるようにしておきましょう。

(1)OA機器会社を買収した事例

売手の場合は、事業の先行き不安があるため事業を手放そうとするケースが多いです。私たちの会社が買収したOA機器卸会社も、後継者はいないけれども事業がある程度の業績を上げているため事業を辞められないという会社がありました。その会社は、自分の会社が生まれ変われるように、OA機器卸業からコンサルタント業に生まれ変わった私たちの会社に買い取ってもらうことを希望されました。私たちの会社は、過去に生まれ変わってきた経験を活かしてコンサルティングすることで、買収した全ての会社を生まれ変わらせてきた経験やノウハウがあるため、信頼してもらいながら買収することになりました。

買収して特に大変だったのは、従業員への対応でした。会社が変わらなければならないというのは全ての従業員が理解していましたが、従業員にもプライドがあるため、簡単に変化を受け入れてもらうことができず、上層部で合意した事業の方向性と現場の従業員との温度感の違いが大きかったため、新たな方針で事業を運営していくのに非常に苦労しました。そのため、事業を買収してから会社の運営方法が変わる場合は、少しずつ従業員に受け入れてもらえるように配慮していかなければならないと感じました。

買手としては、売手も同じような事業を運営しているため、買収後も従来と同様に営業として活躍してもらえる場所を提供できるよう配慮しています。しかし、営業担当者として旧来の働き方が身についている従業員の働き方を変えるというのは、従業員にとって簡単に受け入れられることではないのです。そのような可能性もあることを考慮し、従業員への対応は慎重に進めていく必要があります。

(2)エリア拡大のために買収されるケースもある

規模が小さいOA機器卸会社のM&Aに関しては、大手企業が出張所や営業所として買い取るケースがあります。例えば、関東に本社があるOA機器卸会社が、関西に支社を持つために規模の小さな会社を買収するといった場合です。買手にとって新たに顧客を確保することは簡単ではないため、手間をかけずに顧客を増やしたい場合は、規模が小さくても買収に積極的になることもあるので、全く買手が見つからないというわけではありません。

6.まとめ

OA機器卸業界でM&Aをしてメリットを得るためには、業界の動向や将来性、事業を存続させるためのポイントを理解しておくことが大切です。場合によっては、事業を買収することで負担が増えてしまう可能性もあるため、従業員と折り合いをつけながら会社を運営していく方法をあらかじめ考えておくことも大切です。

事業を買収した後も、会社の強みを活かして顧客の課題を解決していけるような方法を考えて経営していかなければならないため、買収後の運営方法をよく考えておきましょう。事業を売約しようと考えている人は、会社を買いたいと思われるような状態になるよう早めに対策をとっておくことが大切です。

<話者紹介>

山田さま

株式会社フォーバル
事業承継支援部 山田健一
大手インターネット通販会社にてマーケティング業務を経て、大手M&Aアドバイザリー会社にて上場企業の経営戦略立案や数多くのM&Aを支援。その後小規模企業の事業承継支援のため2016年に、㈱フォーバルの事業承継支援事業立上げに参画。日刊自動車新聞、日経トップリーダー等で多数コラム執筆実績あり。

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