【事業承継・M&A】の専門家の解説サイト【リクルートが提供する事業承継総合センター】ロゴ

【事業承継・M&A】の専門家の解説サイト【リクルートが提供する事業承継総合センター】ロゴ

後継者探しのご相談はこちら フリーコール 0120-15-7207 受付時間:平日10:00〜19:00 無料相談

【半導体業界の事業承継】現状のM&Aの動向と事例集から成功のためのポイントを解説!

はじめに

1980年代、日本は世界の半導体市場の中心的存在でした。IT製品に欠かせない半導体は、IT化が進むことで一気に需要が高まり、半導体企業は飛躍的にシェアを伸ばしてきました。

しかし昨今は、海外企業の追い上げが激しく、経営的に苦境に喘ぐ企業も少なくありません。さらに、後継者不足問題も重なり、今後どのように企業を存続させるかで悩む経営者の方も少なくないでしょう。

そこで今回は、半導体業界の事業承継案件を多数手がけてきたPMAパートナーズの加藤伸一さんに、詳しくお話を伺いました。


1.半導体業界の動向は

半導体の日本メーカーは、世界的に見ても大きなシェアを占めますが、実際のところ半導体業界は、現在どのような状況なのでしょうか。

(1)半導体とは

半導体とは、電気を通す金属などの「導体」と電気をほとんど通さない「絶縁体」の2つの性質を併せ持った物体のことをいいます。加工して使用されますが、この電子部品はIT 製品に欠かせないものです。

半導体を作る過程は、回路を製造する「前工程」と、製品向けの組み立てや検査のための「後工程」とに分けられます。「前工程」は、高度な技術が求められるため、大企業が手掛けることが多く、「後工程」を中小企業が請け負うといったケースがほとんどです。

半導体や電子部品は、デジタル家電やPC、携帯電話など広範囲の製品に組み込まれています。また、最近では従来半導体が使われていなかった製品にも使われるようになり、市場が拡大・変化しているのがわかるのではないでしょうか。製品分野が拡大することで需要は伸びていますが、その製品の売れ行きに大きく影響されるといった特徴があります。

半導体は、新しい技術が次々と開発されるため、常にスピード感を持った対応が求められます。タイミングよく設備投資を行い、生産体制を整えなければならず、市場の動向に対応するのが難しいといった側面があります。

(2)半導体業界の現状は

現在でも、半導体の国内メーカーは、世界的に大きなシェアを占めます。しかし、製造のプロセスは日本と海外では対照的です。

海外では、技術革新とコスト削減のため、設計に特化した企業と製造に特化した企業とに二分され、水平分業で成り立っています。一方、国内の企業は、設計から販売まで一貫して行う垂直型での製造が多いようです。コスト面で見ると、海外の水平分業のほうが優れているといわざるを得ません。

今までは、日本の半導体メーカーは精度の高い製品で差別化を図ってきましたが、近年はアジアの新興国メーカーの品質も向上し、競争が激化しています。

2.半導体業界のM&Aについて

加藤伸一さん
半導体業界では、M&Aでの事業承継が積極的に行われています。特に2015年以降、大型のM&Aが目立ち、生き残りをかけて企業の再編が進んでいます。

先述したように、今まで半導体が使われていなかった製品にまで使われるようになり、市場環境は拡大しています。このような変化に対応するためには、ビジネスモデルの転換が必要不可欠です。

市場環境の変化に合わせ、投資を続けながら取り扱い製品分野を拡大しなければなりません。さらに、顧客へのサービス提供を高めることも必要です。これらのことを、スピード感を持って一企業で行うには限界があり、新規事業参入、販路拡大、コスト削減のために、M&Aが活発に行われています。

半導体業界での中小企業は、市場の選択と集中を図り、大企業では手が出せないニッチな分野での市場確保が不可欠です。在庫調整や物流機能を強化しながら、技術サービスなどでの差別化も充実させ、独自の専門分野を確保することが大事です。

3.半導体業界でM&Aを行うメリットとは

半導体業界でM&Aを行うときに得られるメリットを、売手企業と買手企業、それぞれの立場から見てみましょう。

(1)売手企業のメリットとは

当然ですが、M&Aを行うことで企業を存続させることができます。企業が生き残ることで、従業員の雇用も確保でき、自分の家族のみならず従業員の家族も支えていくことができます。

また、M&Aで大企業の傘下に入れば、知名度が上がり、財政基盤を固めることも可能です。大きな資本をバックに事業拡大が見込めます。

半導体業界は、海外からの受注も多いですが、海外へ製造や販売拠点を設けることは、資金面やコネクション、また人材面から、それなりの規模の企業でなければ難しいでしょう。しかし、既に海外進出している企業と協力できれば、海外展開も容易になります。

企業の経営状況が厳しい状況であった場合は、売却することである程度まとまった資金を手に入れることができ、負債から解放されます。長らく負債に苦しんでいた経営者にとって、大きなメリットといえるでしょう。

そして、買手企業が経営を引き継いでくれるため、事業承継問題も解決します。充分な老後資金を手に、安心して企業を去ることができるでしょう。

(2)買手企業のメリットとは

買手企業は、売手企業のネットワークを手に入れることができます。このネットワークは、実績のある取引先だったり顧客だったりと様々ですが、ゼロからネットワークを構築する必要がなく、時間と資金の節約に繋がります。

昨今は後継者不足と共に、人材不足も深刻な問題ですが、企業や事業を引き継ぐことで同時に人材も確保できます。これで求人にかかる手間と時間、費用を省くことが可能です。

また、今まで進出できずにいた地域や国に進出することも可能です。工場建設や人材確保、運営まですでに整っている企業を買収することで、一気に事業拡大や販路拡大が見込めます。さらに、従来の外注業務を内製化することで、大量発注が可能になり、コスト削減や収益性の改善が図れるでしょう。

4.半導体業界のM&Aの流れ

ステップ画像
ここでは、半導体業界のM&Aの流れを解説します。

(1)仲介会社へ相談する

半導体業界での事業承継には、M&Aに詳しい仲介会社への相談が欠かせません。M&Aには専門知識が必要であるため、経営者が自ら進めていくことは難しいでしょう。

専門家は充実したノウハウを持っており、幅広いネットワークの中から適した相手先企業を選定してくれます。仲介会社に依頼することで、より良い結果に繋がるでしょう。

仲介会社を選ぶ際には、次のポイントを参考にしてください。
・過去に同規模の案件を受注した実績がある
・半導体業界の専門知識やM&Aの知識がある
・M&A全般にノウハウがあり、幅広いネットワークを確立している
・手数料や相談料などの報酬体系が明確である
・担当スタッフの対応が丁寧で、相性が良い

仲介会社を決定したら、秘密保持契約書を締結します。情報漏えいを防ぐために、必ず手続きを取りましょう。

(2)売却先を選定する

M&Aを行う場合は、どのような相手先であれば期待できるシナジー効果が得られるのか、前もってある程度の条件を決めておくことが大切です。

仲介会社が条件に合った候補をいくつか選定してくれるので、その中から希望の企業を絞り込みます。

相手先企業とのトップ会談を終えると、M&Aを進めたいという買手企業からの意向表明書が提出されます。提出が義務ではありませんが、双方とも真剣にM&Aを進める意向を確認でき、その後の交渉がスムーズに進みます。

(3)交渉から基本合意書の締結まで

話し合いの結果、取引金額や条件をある程度合意できたら、基本合意書を締結します。基本合意書は事務手続き上交わすもので、法的拘束力はないので、締結後も内容を変更することが可能です。

特にデューデリジェンスの結果によっては、条件や取引金額の変更も考えられるでしょう。

(4)デューデリジェンスの実行

デューデリジェンスとは、企業の資産価値や将来起こり得るリスク、予想される収益性などを査定・評価することです。基本合意書の締結後は、買手企業によってデューデリジェンスが実施されます。

デューデリジェンスは、事前に提供された情報を基に調査が行われます。この調査の結果によって、買収をするかどうかを決定することになるでしょう。

デューデリジェンスは、公認会計士や弁護士、経営コンサルタントが、法律的な観点から行います。企業の内部機密である資産リスクを調査するため、専門的な知識や知見が必要であり、経営者自らが行うのは困難でしょう。

(5)最終契約書を締結する

デューデリジェンスの結果、買収を決定したら最終契約書の締結へ進みます。締結前に、デューデリジェンスの結果を再度考慮して、条件や価格の調整を行います。

双方が内容に合意したら、最終契約書を締結します。最終契約書は、法的拘束力があるので、一方的に契約書を破棄することはできません。

(6)クロージング

最終契約書を締結して、文書や印鑑などの受け渡しを行う調印式を開き、M&Aは終了です。

その後、売手企業の従業員へM&Aを発表しますが、時間をかけ丁寧な説明を行いましょう。長く一緒に働いてきた従業員へ、敬意を持って接することが非常に重要です。M&A後も新しい経営者の下で意欲をもって働き続けられるように、できるだけの支援を惜しまないようにします。

5.半導体業界の事業承継を行うときの注意点とは

黒板
半導体業界で事業承継を進めるときの注意点を、売手企業と買手企業の両方の立場から説明します。

(1)売手企業側から見た注意点とは

まず、売手企業側から見た注意点を説明します。

1.事業承継を考え始めたら、早めに準備する

事業承継を考え始めたら、早めに準備することが最も大事です。市場価値のある魅力的な企業に、体制を整えていきましょう。

豊富な取引先を持っている、海外での販路を構築している、今後大きい市場になると予想される電気自動車や宇宙産業へ参入している、など何かしらのセールスポイントを強化することで、市場での企業価値が高まります。

2.売却する目的を明確にする

何のために売却するのか、その目的を明確にすることが大事です。経営者が高齢で事業を続けていくことが難しいのか、販路拡大のためなのか、新規事業参入のためなのか、目的によって買手企業の条件が決まります。

明確な目的を設定することで、交渉の優先順位もはっきりとし、柔軟な交渉ができるようになります。曖昧な目的のままM&Aを進めても、期待できるような結果を得ることは難しいでしょう。

3.事業について資料を揃える

事業承継を行う前に、自社の事業に関する資料をまとめておきましょう。特殊な技術や販路、取引先、顧客リスト、不動産、設備などの客観的資料を揃えます。

また、経営者自身が、全ての株券の在り処を把握していないことも多いので、事業承継を考えたら株券の在り処を把握しましょう。

4.売却価格の相場を調べる

事業承継を度々行う経営者は、そう多くはないでしょう。自社の価値といわれても、よくわからないのではないでしょうか。そういった場合は、他社の事例を参考に、おおよその自社の価値を把握しておきます。

これは、M&Aを進めるときに提示する条件の参考になります。

5.M&Aの専門家に依頼する

売却を成功させるためには、専門家への依頼が欠かせません。候補先を探したり、また企業価値の判定を行ったり、自社のみで行うには難しいプロセスが含まれるので、専門家へ依頼する方が満足できる結果となるでしょう。

(2)買手企業から見た注意点とは

次に、買手企業側の立場から見た注意点を説明していきます。

1.デューデリジェンスをしっかりと行う

買手企業側は、売手側が提供した資料を基に、企業価値がどれほどなのかを把握することが大切です。以下の点について詳しい調査を行いましょう。
・簿外債務、簿外保証
・土壌汚染、水質汚染その他の公害問題
・贈収賄、横領、背任、業者との癒着などの法的問題

特にこの業界では、経営が厳しくなると一番初めに削るのは外注費とされているので、経営状況を判断する際は、外注費に注目するとよいでしょう。

また取引先が、ある一部の企業のみである場合、取引先の経営状況に大きく影響されかねません。目安としては、一企業あたりの依存度が、全体の5%以内で収まっていれば安心でしょう。

ここでの調査がいい加減だと、適正価格を算出できないばかりか、後から顕在化する簿外債務まで引き受けてしまうことになりかねません。弁護士や公認会計士などの専門家へ依頼する必要があり、多額の費用がかかりますが、しっかりと行うことが大切です。

2.買収後に従業員が退職しないようにする

中小企業の場合は、人材が大きな財産です。このような中小企業は、社長と従業員との関係は密接な場合が多く、社長退任をきっかけに従業員が退職することが多々あります。買手企業は、立場的には売手企業より強いですが、双方のトップ同士の関係を良好に保つことは、M&Aを進めるにあたって不可欠です。

もし、M&Aをきっかけに多くの人材が離れていくと、企業価値は大幅に低下します。こういった状況を防ぐために、一定期間、売手側の社長に残留してもらうことがあります。社長が残ることで、売手側の従業員も安心して仕事に専念できます。

従業員も含めての企業価値です。従業員が離れてしまう、勤労意欲が下がるなどのデメリットを防ぐためにも、従業員の労働環境(地位や待遇)には配慮しましょう。また、買手企業の理念を理解してもらい、双方の従業員がコミュニケーションを図れるような場を積極的に設けましょう。

3.売手企業の設備を確認する

半導体業界では、部品製造のための設備や機械は、重要な資産の1つです。設備がしっかりとメンテナンスされているかどうか、製品のクオリティにも問題がないかどうか、確認を怠らないようにしましょう。

買収後に設備の買い替えが必要となった場合、想定外の費用がかかります。買収する設備や機械の使用年数、整備環境の確認は不可欠といえます。

4.売手企業の人材や技術を確認する

半導体業界では、高い技術力が大きな資産と見なされます。質の高い製品を製造できるノウハウや人材は、非常に貴重です。また人材育成のためのノウハウが確立されていなければ、従業員の高齢化により、先々の製造に影響が出ることも考えられます。

買収時の高い技術力を維持すること、さらにその技術を次の世代に繋いでいくこと、そういった教育システムが構築されているかどうかも大事なポイントでしょう。

5.M&Aの専門家に相談する

買収する側もM&Aへの相談が必要です。買収する側はデューデリジェンスを実施しなければならないので、各方面に精通した専門家のサポートは必須です。

M&A仲介会社であれば、候補先の選定から適正価格の提示まで、必要なアドバイスが受けられるでしょう。さらに仲介会社に在籍する専門家への依頼により、ワンストップでのサポートが期待できます。

M&A仲介会社も得意分野があるので、半導体業界のM&Aに実績のある仲介会社を選びましょう。

6.半導体業界のM&A事例集

ビジネスマン
ここでは、電子機器や回路基板を扱う企業のM&A事例集をいくつか紹介します。

(1)メイコーによる十和田ベトナム社の子会社化

メイコーは十和田ベトナム社の出資持分の60%を取得し、子会社化しました。

メイコーグループは、2007年にオフショア開発のためにベトナムのハノイ市に子会社を設立し、生産販売体制の拡大に取り組んできました。一方、十和田ベトナム社は、十和田グループのベトナム現地法人としてEMS事業を主に行っています。

このM&Aにより、メイコーグループは、基盤設計から生産、組み立てまで一貫した供給体制を構築でき、さらに量産体制を図りながら外資系顧客の取り込みを目指しています。

(2)アクセルによるモーションポートレート社の全株式取得、子会社化

アクセルは、連結子会社であるaxがモーションポートレート株式会社の全株式を取得し、子会社化しました。

アクセルは、機械学習(AI)、ミドルウェア、セキュリティ、ブロックチェーンの4領域で新規事業を進めており、axはその内の機械学習(AI)とミドルウェア領域を担っています。axは、アクセルと共に、独自に開発したディープラーニング・フレームワーク「ailia」を中核に、AI実用化に向けたトータルソリューションの提供をしています。

モーションポートレートは、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社の100%子会社であり、画像認識や画像処理に関する独自の技術や開発力を有する会社です。

このM&Aにより、アクセルは、ディープラーニングに関する先端技術とモーションポートレートの画像認識技術を融合させ、AI領域におけるサービスの拡充を図ることができます。それまでの製品に高い付加価値を加えることにより、既存の顧客へ新たなサービス提供ができ、さらに新規顧客の獲得が望めるでしょう。

(3)日東工業による北川工業の株式を公開買付け

日東工業は、北川工業の株式を公開買付けにより取得しました。

日東工業は、27社の子会社を保有しており、配電盤関連製造事業、情報通信関連流通事業、及び工事・サービス事業の3事業をメインとする会社です。

北川工業は、エレクトロニクス機器の電磁波環境コンポーネント及び各種機器機構部品や精密エンジニアリングコンポーネント部品の製造・販売を行っています。

このM&Aにより、両社の技術力を融合させ、一層の競争力の強化が可能になりました。さらに両社が協力することで、事業や技術領域の拡大が図られ、高いシナジー効果が期待できるでしょう。

7.まとめ

日本の半導体業界は、世界でも大きなシェアを占めてきましたが、アジアの新興国メーカーの急速な追い上げにより、競争は激化しています。そういった中、生き残りをかけて国内国外問わずM&Aが活発に行われています。特に2015年以降は、大型のM&Aが行われ、世界規模での事業の再編が伺えるでしょう。

半導体業界は、高い技術力を必要としますが、その技術変化のスピードが速く、対応することが難しいといった側面があります。M&Aを行うことで、既に確立された技術を取り込み、新規顧客獲得や事業拡大、海外展開などが図れます。

今後も、半導体業界でのM&Aは、より一層活発になることが予想されます。自社を存続させるために適切な事業承継ができるよう、日頃から情報を集め、早めに準備をすることが大切です。

話者紹介


PMAパートナーズ
President
加藤 伸一(かとう しんいち)

1988年に都市銀行へ入行後、1997年中央官庁へ業務出向。2003年、大手損保グループへ入社。2014年にMBAを取得後、中小企業診断士の資格を取得する。2014年に株式会社PMAパートナーズ設立。

ご相談・着手金は無料です

後継者探し事業承継総合センターご相談ください!

第三者承継のお手伝いをいたします

まずは相談する無料
お電話でのご相談 0120-15-7207 (FAX:03-5539-3514)
受付時間:平日10:00~19:00
お問い合わせにあたり、プライバシーポリシーに同意したとみなされます。