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自動車販売業界M&Aの市場について専門家が解説!コロナ禍以降の業界動向は?

2020/12/30
更新日:2021/06/01

はじめに

自動車販売業界では、少子高齢化による購買層の伸び悩みに加えて2020年春に発生した新型コロナウイルスの蔓延により、さらに厳しい状況が続いています。このような不況下において、自動車販売業界においてもM&Aによって事業の活路を見出そうという会社が増えてきているようです。

そこで、自動車販売業界のM&Aを数多く手がけ、業界事情にも詳しい株式会社フォーバルの山田健一さんにお話を伺いました。


1.自動車販売業界について解説

自動車販売業界のイメージ
自動車販売業界とは、文字通り「自動車を販売する会社」の業界です。そして自動車販売店はディーラー系販売店と非ディーラー系販売店とに大別されています。また、中古車販売のに特化したプレーヤーも存在します。

(1)ディーラー系と非ディーラー系

自家用自動車のような高額かつ安全性が要求される製品では、販売だけでなくメンテナンスなども重要となります。ディーラー系販売店では販売に加えて「車検整備・保険・修理」など購入後に必要な一連のシステムがそろっていますが、非ディーラー系販売店では、販売後のアフターサービスを協力店に依頼しているケースが多いようです。

その意味では、ディーラー系販売店の方が顧客の安心度が高いので、一般的にステータスが優位に立っています。しかしながら、非ディーラー系販売店の中でも多くの顧客を獲得している店舗も少なくないので、必ずしも非ディーラー系販売店がディーラー系販売店よりも劣るというわけではありません。

(2)中古車販売店

新車の販売ではなく、中古車の販売店が多いのも自動車販売業界の大きな特徴です。車体価格が高額なことは中古車市場が広がった大きな要因ですが、あえて型落ちの中古車を車検切れの前に数年おきに安価に購入することを繰り返すカーマニアも少なくありません。また、新車と中古車の両方を販売している店舗もかなりあります。

中古車をメインとする販売業者は、自動車専門のオークションで車体を仕入れる企業が多く、自動車オークション事業ではトップのシェアを持つ、株式会社USSが全国で主催している「USSオークション」には国内外から多くの中古車販売業者が買い付けに訪れることで有名です。なお中古車販売業者には、顧客の安心度と信頼性を高め常連客を増やす効果を狙い、販売と同時に修理工場を併設している会社が多いことも特徴です。

2.自動車販売業界の現在の動向は?

自動車販売業界の動向のイメージ
自動車販売業界は新型コロナウイルス感染症の影響を受けています。車体のメンテナンスに該当する整備や車検部門には大きな影響はないものの、やはり販売部門の影響は少なくないというのが実態です。

日本全体が「コロナ禍による自粛」というムードに包まれている現状では、贅沢品に属する自家用車の購入は「買い控え」という状況が、特に2020年の前半期には顕著に見られました。中古車販売においても同様で、オークションの集客や入札率は低迷し、外国からの購入も落ち込んでいます。新車販売については、2020年後半から徐々に回復してきていますが、コロナ禍の影響はしばらく続くと思われます。

3.自動車販売業界におけるM&A市場の現状とは?

自動車販売業界の市場のイメージ

M&A・事業承継を検討している方へ

当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。


「新型コロナウイルス感染症」の影響下にある今だからこそ、自動車販売業界におけるM&A市場も活性化してきている傾向があります。現在の自動車販売業界では、単に販売だけをやっておけばよいという状況ではありません。販売後のメンテナンス業務も含めてワンストップで対応できる企業でないと、今後業界での生き残りは難しくなってくると思われます。

自動車のメンテナンスやアフターサービスには「損害保険、整備、修理、鈑金塗装、レッカー、ガラス交換、コーティング、センサーの取付け」など多種多様な分野があります。これら販売以外のサービスを持たない限り、苛烈な生存競争を勝ち抜くことは難しいでしょう。

このような状況下において「M&Aで事業拡大」を模索する自動車販売企業が出てくるのは、むしろ必然です。販売だけにとどまらず、車検台数や保険契約の獲得、そしてゼロからの構築が困難な車体整備・メンテナンスのノウハウを確保し、事業を拡張したいと願う自動車販売企業がM&Aの買手となります。そしてこれまでの事業体制では成り立たなくなった地方の自動車修理工場などが売手となるというマッチング構図ができあがりつつあるのが、現在の自動車販売業界のM&A市場動向なのです。

4.自動車販売業界におけるM&A事例

M&A成功のイメージ
現在の自動車販売業界におけるM&A事例を成功例として以下に紹介しましょう。

■事業:自動車販売業
■年商:年間売上数十億円
■メインの事業:新車の販売
■アピールポイント:地域No.1企業

●M&Aの経緯と実績
地元ではNo1規模の企業だが、販売だけでの事業拡大には限界を感じていた。
また、不況下の時代に自力でエリア拡大戦略をとるためには多額の資本を必要とする。
しかも販売以外のメンテナンス事業をゼロから立ち上げるのは難しいとの判断でM&Aを決断。
M&A以後は、順調に事業拡大を実現し、地域No1企業の座を確固たるものにしている。

5.自動車販売業界でM&Aをするメリット・デメリットとは?

メリット・デメリット
業種・業態を問わず活性化しているのが日本産業界におけるM&Aです。それでは、自動車販売業界で、業者がM&Aをするメリットはどのような内容なのでしょうか?そして、デメリットはあるのでしょうか?

以下に、自動車販売業界におけるM&Aのメリットとデメリットについて解説しましょう。

(1)自動車販売業界 M&Aのメリット

今後さらに加速する「少子高齢化」により、車の所有者は減少傾向にあります。そして現在開発が急ピッチで進められている「自動運転」が普及し始めると、自動車業界はどう変わっていくのか予想がつきません。自動運転の普及によって車検制度が見直しとなるのは確実ともいわれています。車検の期間が長くなることで、新車の購入サイクルにも大きな影響を及ぼすともいわれています。

いずれにせよ、自動車販売業界にとっては新規顧客の獲得が困難かつ購買サイクルの長期化という冬の時代の訪れが迫っているのが現在の状況なのです。したがって、今のうちに販売エリアを広げ事業規模を販売以外にもシフトする戦略が必要といえるわけです。

顧客が減少傾向にある場合、小売業では一人の顧客に複数の商品やサービスを勧め顧客単価を挙げる「クロスセル」という販売手法が有効とされています。自動車販売業者においても「販売以外にも複数のサービスがあること」をクロスセルとしてアピールする必要に迫られているといえます。

自動車販売業者が自社の将来を見据えると、事業の積極的拡大が重要な戦略となり、地域一番店を目指すのなら、独力での事業化が難しい「車検整備・修理・鈑金・保険」などの分野にノウハウを有する企業をM&Aによって業種拡大を図るというのは適切な選択肢といえるでしょう。特に、地方の自動車修理工場などでは高齢化が進んでいる傾向が強くあり、後継者不足で廃業寸前という会社も少なくないため、現在は買手・売手の両者にとってM&Aに踏み切るメリットは大きいとも考えられます。

(2)自動車販売業界 M&Aのデメリット

自動車販売業者のM&Aは、同業種間で行われることが多く、他業種からの参入が少ないことが特徴です。したがって、自動車販売業者のM&A自体が少なく「いざM&Aを」と望んでも売手・買手ともに「相手が見つからない」というのが自動車販売業者におけるM&Aでの唯一のデメリットといってよいでしょう。

この現実は、相手さえ見つかればM&Aのデメリットはないといえるのが自動車販売業者の現状ともいえるので、逆にいえば「いかに理想に近い相手を見つけるか」という点が最大の課題といえるかもしれません。

6.自動車販売業界におけるM&A成功の鍵とは?

成功の鍵のイメージ
新車専門の販売業者が中古販売店をM&Aで傘下に収める場合、相当の資金が必要となります。中古車市場においては、商品である中古車をある程度の台数を揃えて展示しなければならないので、その傾向が顕著です。
自動車の販売単価は、一般消費財に比べてはるかに高額なので、年間売上も億単位となりますが、その分中古車を安価に仕入れる能力と、買い付けるための資金力を持てるかがM&A成功のポイントともなるでしょう。また、中古車販売に関しては新車とは異なるノウハウが重要なので、セールス実績にある人材確保も重要です。

自動車販売業者が販売に加えて整備・修理などを事業化するケースも多く、これは中古車販売とは異なり在庫を抱える必要なくM&Aで事業拡大が見込めます。地方にて少人数でやっている整備工場などは、経営者の高齢化で後継者不足のケースが多いので、M&Aには適したターゲットだといえるでしょう。あとは、そのような工場をいかにスムーズに自社の新規事業に組み込めるか、作業する有能な人材の雇用も含め、これらがM&A成功の鍵となります。

7.まとめ

自動車という目を引く製品を取扱うだけに、自動車販売業界は華やかな業界と想像しがちです。しかしながら、少子高齢化と共に、自動運転やFCV(燃料電池車)の開発に代表される21世紀型の新しいモータリゼーションは、目の前に来つつあります。

旧態依然とした「セールスオンリー」の手法では、この厳しい時代を乗り越えるのは困難といってよいでしょう。そのような時代だからこそ、M&Aに事業発展の活路を見出す自動車販売会社は今後も増え続けると予想します。

事業拡大を検討している自動車販売業者にとって「いつ、どのタイミングで、どのような会社とのM&Aを実現させるか」という点が、自社の発展にとって最大の関心事といえるのではないでしょうか。

話者紹介

山田健一さん
株式会社フォーバル
事業承継支援部 部長 山田 健一
大手インターネット通販会社にてマーケティング業務を担当。
その経験を生かすべく、大手M&Aアドバイザリー会社に転職し、上場企業の経営戦略立案や数多くのM&A支援業務をこなす。
その後、小規模企業の事業承継支援のため、2016年に(株)フォーバルの事業承継支援事業立上げに参画。数々のM&A業務で活躍し現在に至る。
日刊自動車新聞、日経トップリーダー等でM&A関連のコラムを多数執筆。

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