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住宅建設(ハウスメーカー)業界のM&Aの現状とメリットを解説

2020/12/09
更新日:2021/02/26

はじめに

住宅建設業界でM&Aを検討している場合、業界の特徴や業エリアの状況を理解してM&Aを推進する必要があります。特に住宅建設業界はビジネスモデルが独特なので業界の特徴を理解しておかないと会社を買収する判断基準を持つことができません。

そこで、今回は住宅建設業界のM&Aに精通しており、これまでに数多くの住宅建設会社のM&Aに関わってきた実績がある株式会社M&Aパートナーズ松尾直樹さんに、住宅建設業界のM&Aに関する現状や高く売却するポイントを詳しく解説していただきました。


1.住宅建設業界とは?

住宅を設計する人

住宅建設業界は基本的にはB to Cのビジネスモデルです。一般のお客さんから戸建て住宅やアパートなどの集合住宅を建築する依頼を受け、住宅を建築することで収益をあげます。

「建設」と「建築」はよく似ている言葉ですが、「建設」が建物を建てるだけでなく、土地の造成や道路・橋の建設など土木作業全般を指す言葉なのに対し、「建築」は建物を建てることをだけを指しています。住宅建設業界の中でも、建設会社やハウスメーカー、規模の大きな工務店は宅地開発などの建設業務にも対応できますが、小規模な工務店や「一人親方」と言われる個人事業主の大工は建設業務に対応していない場合があります。住宅建設のM&Aを検討している場合には、この違いを押さえておきましょう。

住宅建設業は製造業の中でも産業の裾野が広い業界です。家を建てる場合は住宅建設会社が単独で建築するのではなく「協力会社」と呼ばれる専門分野に特化した施工業者に委託をするのが一般的です。施工業者としては住宅の基礎や骨組みを施工する「基礎屋」や「鉄筋屋(鍛冶屋)」や柱や梁を組み立てる大工。電気・水道・ガスの配線や配管を設置するそれぞれの専門業者、内装屋などが挙げられます。さらに、「建材屋」と呼ばれる建物の建築に使うコンクリートや木材、電線や壁紙といった膨大な資材を製造するメーカーが存在します。

住宅建設会社は、これら様々な種類の施工業者や建材屋を統括し、設計図に沿ってスケジュール通りに住宅を建設するための監督業務(施工管理)を主な業務としています。中にはそれぞれの分野の職人を自社で雇用して「自社施工」を行う住宅建設会社もありますが、大多数は施工管理を自社で行い、それぞれの業務を施工業者に依頼しています。

2.住宅建設業界の市場は好調?

住宅

社会全体に大きな影響を与えた新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、住宅建設業界にそこまで大きな影響を及ぼしていません。4月~7月の緊急事態宣言の発令前後は影響があったものの、現在では持ち直しています。分譲住宅を販売しているハウスメーカーなどは既存の住宅がほとんど売れてしまい、新たな分譲地を開発するため、土地の仕入れなどの準備に入っているほどです。

テレワークが普及した影響で、都心のマンションに住んでいた人が出社する必要がなくなったため、郊外に家を建てるというケースが増えています。そのため都心よりも郊外の住宅メーカーのほうが受注は盛んです。もともと都心は土地の値段が高いため、この時期に積極的に家を建てるメリットを感じる人が少ないため、郊外の住宅建設会社の方が好況といえるでしょう。

全国的にみても住宅建設業界の市場が極端に悪化しているという事はありません。住宅建設業界は産業の裾野が広く、住宅市場が不況になると協力会社である電気・水道や内装業者など様々な業種に影響が出ます。国としても支えていくべき重要産業の一つなので力を入れて保護しています。現在、住宅ローン減税の特例を延長する方向で検討が進んでいますが、これも国の姿勢の現れといえるでしょう。

3.住宅建設業界の今後の動向

住宅の設計図

M&A・事業承継を検討している方へ

当社では買手企業だけでなく、「M&A仲介会社」とのマッチングも可能です。
今すぐにM&Aをご検討されていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。

住宅建設業界の先行は新型コロナウイルスの流行状況に左右されると考えています。コロナ禍でテレワークが普及したため、わざわざ通勤の必要がなくなった人々は広くて安価な郊外の住宅に引っ越すようになりました。また、「巣ごもり」や「ベランピング」など自宅での時間を満喫するムーブメントに乗るために購入を前倒しする動きも一部では見られました。

コロナ禍が収束せずに人の動きが郊外に流れ続けるのか。それともワクチンの開発や流行の収束で引き続き都心に人が残り続けるかで住宅市場のニーズは大きく変わります。また、コロナ禍が収束したタイミングでテレワークを終了する企業がどれだけ出てくるかもポイントです。特に都心部に本社を構える企業ではテレワークが一気に普及しましたが、最近では徐々に出社の日数を増やしている企業もあるため、政策や企業の動向によって市場が左右されていくでしょう。

仮にコロナ禍が収束せず、「withコロナ」の生活が本格化すると郊外に人が動く傾向が本格化すると見られます。この傾向は年度が変わる2021年の3月ごろには明らかになるでしょう。

4.住宅建設業界M&Aの現状

部品を加工する人

住宅建設業といっても大きく2つの家の建て方があり、それによりビジネスモデルが異なります。それぞれの特徴とM&Aの状況について解説していきましょう。

(1)分譲住宅(建売分譲・建売住宅)

分譲住宅は、住宅建設会社が複数の住宅が建てられる土地をまとめて購入し、宅地として開発後に住宅を建てて購入希望者に販売する手法です。先に建物を建ててからお客さんを見つけるので「建売分譲」や「建売住宅」とも呼ばれます。

分譲住宅のビジネスモデルは不動産業界とよく似ており、土地を仕入れ、複数の建物を同時に建てることで人件費や材料費などのコストを抑えて建築することで利益をあげていきます。

「建てる」→「売る」のサイクルが高まるほど利益が出るため、回転重視のビジネスモデルといえます。

分譲住宅については、回転数を上げるために自社で工事をすることはあまりありません。多くは一括発注で協力会社に建築を依頼することが多く、後述する注文住宅の会社に比べると現場監督や職人の数が少ないため、購入側からするとメリットが少ないためM&Aは成立しづらい部分があります。

 

(2)注文住宅(売建住宅)

「注文住宅」は顧客の購入した土地に家を建てる手法で、多くの方がイメージする住宅メーカーは注文住宅を販売しています。注文住宅の中でも顧客の希望に沿って設計士が1からデザインする注文住宅と、ある程度の規格の中から外見や内装を選択して家を建てることでコストを抑える「規格住宅」の2パターンがあります。

M&Aで人気があるのは注文住宅を建築できる会社です。住宅建設業のM&Aでは自社で現場監督を雇用しており、「分離発注」やっているかどうかでポテンシャルを確認します。現場監督の数や同時に建築可能な住宅の数がM&Aを左右する場合もあるため、どのように住宅を建てているかを把握しておくことが重要です。

住宅の建設方法には2通りあり、「一括発注」と「分離発注」があります。一括発注とは顧客から住宅建設を受注した際に、協力関係を結んでいる工務店などに建築を依頼し、自社では工事をしない方法です。

大手のハウスメーカーの中には自前で現場監督を雇用せず、建築を全て協力会社に依頼しているケースもあります。このように、自社で工事をやらない会社はM&A市場では分離発注の会社に比べると人気がありません。

「分離発注」とは、自社で現場監督や職人を雇用し、設備工事や電気工事など、必要な部分のみを専門業者に発注する方法です。分離発注が可能な企業は自社で住宅建築が可能なように設計士や現場監督、職人が在籍しているため、業界全台で資格保有者の不足に悩んでいる現状では人気があります。

 

(3)住宅建設業界に参入してくる企業は?

M&Aの買手は不動産業が比較的多く、住宅建設会社を買収して建築業界への参入を目指すケースが中心です。不動産業であれば住宅の売却に関しては豊富なノウハウがあることが多く、住宅建設会社を買収することでビジネスの幅を広げていきたいと考える会社が積極的にM&Aを行います。

先に紹介したとおり、分譲住宅は不動産業界の要素が含まれており、不動産会社と親和性が高い点も参入が多い理由といえるでしょう。

また、住宅建設会社がエリアの拡大を目的にM&Aを行うケースもあります。住宅建設市場で成長していくためには、既存のエリアでシェアを伸ばしていくのには限界があります。そこでエリアを拡大し、資材の調達コストを下げ、作業を効率化していくのが一般的な方法です。

例えば大阪の建築会社が関東に進出する場合、大阪から設計士や現場監督を連れてくることは難しく、何のネットワークもないエリアで建設や資材調達を依頼できる協力会社をゼロから探すのも大変です。

そこで関東にある住宅建築会社をM&Aにより買収し、エリアを拡大していくケースがあります。進出先の企業を買収できれば、その企業と取引があった協力会社とのネットワークを引き継ぐことができるため、そのエリアへの進出が容易になります。

5.住宅建設業界M&A 5つのメリット

建設中の住宅

住宅建設業界でM&Aをおこなうメリットは大きく以下の5点です。それぞれのメリットについて解説していきましょう。

(1)技術力&事業ノウハウ

住宅建設会社をM&Aをする理由の1つに、住宅メーカーが持つ技術力や事業ノウハウの獲得が挙げられます。譲受企業が同業であれば、自社が取り組んでいない工法の技術力や、注文住宅、規格住宅、建売分譲等の事業ノウハウを取得できるメリットがあります。

同様に異業種が住宅業界に参入する場合にも、住宅事業における技術力及び事業ノウハウを取得できます。 

(2)事業エリアの拡大

先述しましたが、人口や住宅着工数が伸びているエリアに事業を拡大させることができるのもメリットです。住宅建設会社が同業をM&Aをする理由の多くは事業エリアの拡大です。拡大する先のエリアで地元業者とのネットワークを構築するために効率的な方法がM&Aです。M&Aで事業エリアが拡大できるのもM&Aのメリットのひとつです。

 

(3)現場監督や職人の確保

建築業界は慢性的な人材不足で、優秀な現場監督や職人はどの企業も不足しています。特に現場監督は1つの建築現場に必ず1人は配置しなければ住宅が建築できないため、事業を拡大するためには現場監督の確保が不可欠です。近年は採用によって人材を獲得することが難しくなっているため、M&Aによって資格取得者をまとめて確保できる点もメリットといえるでしょう。

 

(4)施工の内製化

住宅業界でより多くの利益を得るためには内製化は欠かせません。不動産業者等が譲受先になる場合、これまで一括発注で外注していた公示を自社で行うことができれば外注費は削減でき、自社で施工を行う事で、その分の利益が自社の利益として計上できます。

 

(5)シナジー

M&Aによって両社のシナジーが発揮できるのもメリットです。M&Aの相手が自社よりも媒体を使った集客が得意であれば、その集客ノウハウを得ることできます。規模が拡大することで広告費を効率的に使うことができるようにもなります。

また、原材料の仕入れを共通化することでコスト削減も可能です。建築資材はより多く仕入れるほどコストを削減することが可能なので、仕入れの共通化によって原価が圧縮され、利益構造が改善されます。

6.まとめ

住宅を建築する人

これまで解説してきたように、住宅建設会社のM&Aを行う場合は売手がどんな会社であるか、買収後にどんな事業展開を行うかによって選択肢は自ずと変わります。異業種から住宅業界に進出する場合は基本的に住宅建設会社を買収することが第一歩となりますが、買収先のビジネスモデルや発注方法はしっかりと確認しておきましょう。
これまでと異なるエリアや事業領域に進出するためには、目的に合ったM&A先を見つけなければなりません。新領域へ進出する際には業界やエリアに精通したM&A仲介会社のサポートを受けながら、スムーズにM&Aを進めていきましょう。

話者紹介

松尾直樹さん

株式会社M&Aベストパートナーズ

代表取締役副社長 松尾直樹(まつお なおき)

大学在学時、箱根駅伝に2度出場。卒業後、大手証券会社にて富裕層向けのリテール営業を経験した後、大手M&A仲介会社のM&Aキャピタルパートナーズに転職。主に、不動産・建設業界を担当して、事業承継及びM&Aアドバイザリー業務に従事。不動産仲介、管理、ゼネコン、住宅メーカー、設備工事会社等における成約実績を多数有する。2018年、株式会社M&Aベストパートナーズを設立。

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