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【廃業とは?】廃業と倒産の違い、廃業の方法を事業承継のプロ・税理士が解説!

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税理士法人タクトコンサルティング 玉越賢治氏バストアップ

 

はじめに

廃業とは、個人事業主・企業の経営者が理由を問わず自主的に事業を辞めること。会社を廃業するにはさまざまな手続きが必要で、それなりの手間・期間・費用を要します。今回は税理士法人タクトコンサルティングの代表社員である税理士・玉越賢治氏に、廃業で失敗しないための進め方や廃業の手続きについて解説していただきました。
 


税理士法人タクトコンサルティング 玉越賢治氏プロフィール

話者紹介

株式会社タクトコンサルティング代表取締役社長
税理士法人タクトコンサルティング代表社員/税理士
玉越 賢治 Kenji Tamakoshi

 関西大学経済学部を卒業し、商工組合中央金庫、株式会社リクルートを経て、株式会社タクトコンサルティングに入社。2003年に税理士法人タクトコンサルティングを設立、2012年に株式会社タクトコンサルティング代表取締役社長に就任。相続・事業承継、M&A、組織再編などに携わる。

 

 
 

1.廃業以外の選択肢としての「M&A」

「廃業」とは、理由を問わず「自主的」に会社の経営・事業を辞めること。“経営・事業を辞める”と言うと、倒産や破産などの言葉と混同されるかもしれませんが、全く異なるものです。

「倒産」とは法的な定義があるわけではありませんが、業績不振により取引先への買掛金や従業員への給与を支払うことができなくなり、これ以上会社経営を続けることができない状態を指す言葉として使われています。一方の「破産」は清算を目的とした法的整理手段の一つのこと。債務超過などにより債権者へ弁済できない場合、法律に従い破産手続きを行う必要があります。この手続きを行うことで会社の所有する資産が現金化され、債権者に分配されるのです。いずれにしても、経営状態の悪化により会社を「畳まざるを得ない」状況にあるのが倒産・破産と言えるでしょう。

会社が破産したからと言って経営者まで個人破産するわけではありません。しかし、小規模事業者の場合、会社の債務を経営者自身で個人保証をしているケースが多く、債務を完済できないときは個人が返済しなければなりません。資金繰りが厳しくなると自主的な「廃業」を選ぶことができなくなり、その結果、「倒産」してしまうのです。

 


2.廃業の現状(休廃業・解散企業数)

次に、年間どれくらいの数の企業が廃業しているのかを見ていきましょう。

東京商工リサーチが2019年1月に発表した調査結果によると、2018年に休業や廃業、解散した企業は4万6,724件と、2016年以来2年ぶりに増加しています。その一方で、2018年の企業倒産数は8,235件。年間約5万5,000件もの企業が休廃業・解散・倒産しているのです。

■休廃業・解散 倒産件数 年次推移(単位:件)

休廃業・解散 前年比 倒産 前年比
2013 34,800 13.68% 10,855 ▲10.47%
2014 33,475 ▲3.81% 9,731 ▲10.35%
2015 37,548 12.17% 8,812 ▲9.44%
2016 41,162 9.63% 8,446 ▲4.15%
2017 40,909 ▲0.61% 8,405 ▲0.49%
2018 46,724 14.21% 8,235 ▲2.02%

東京商工リサーチ「休廃業・解散企業動向調査」2018より

休廃業・解散した企業の代表者の年齢は、大半が60歳以上であることなどから、休廃業・解散の原因として経営者の高齢化や後継者不足が考えられます。また、休廃業・解散した企業の半数以上が直前まで黒字の状況であったとしており、廃業の原因が経営状態の悪化だけではないと言えるでしょう。

次に、休廃業・解散した企業の従業員数を見てみましょう。

従業員数
2013 115,562
2014 106,366
2015 105,189
2016 117,003
2017 107,757
2018 133,815

東京商工リサーチ「休廃業・解散企業動向調査」2018より

2018年に休廃業・解散した企業の従業員数は、合計13万3,815人で、2年ぶりに増加しています。事業譲渡に伴う休廃業・解散もあり、すべての従業員が失業したわけではありませんが、休廃業・解散で13万人以上の従業員が勤務先の変更や離職を余儀なくされています。

廃業により働く場所が消滅すれば、そこでの雇用は失われることになります。廃業は経営者だけの問題ではありません。特に小規模事業者の場合、経営者だけでなく従業員の年齢も高い傾向にあります。高齢者の雇用の場を提供するという意味においても、小規模事業者の廃業による雇用の喪失は無視できません。

 


3.廃業する・しないを見極めるポイント

税理士法人タクトコンサルティング 玉越賢治氏インタビュー風景
 
廃業した方がいいのか、しない方がいいのかを判断するには、会社の資産と負債の状況や業績を見極めなければなりません。資産の方が多く、負債を完済できるのであればスムーズに廃業できるでしょう。現時点で内部留保はなく、負債の方が多くても、事業が好調で返済の目処が立つようであれば廃業も可能です。

ただし、廃業すれば企業の資産価値は下落し、清算する際に資産が大きく目減りしてしまうことも忘れずに。在庫や設備など、帳簿上ではそれなりの資産があるように見えても、事業が継続できてこそ価値を持つ資産も多いものです。貸借対照表では資産過多であったはずなのに、清算したら借金だけが残ったということも珍しくありません。

廃業するまでには多くの時間と費用を要し、また、仕入先や販売先にも迷惑をかけてしまうことも事実です。さらにこれまで築き上げてきた独自のノウハウ、技術、人脈といった経営資源が失われることも重大な損失です。廃業一択ではなく、引き継いでくれる従業員や第三者への承継などの選択肢を検討することをおすすめします。

 


4.廃業の流れ・気をつけるべきポイント

通常、会社を廃業するには解散決議を行い、営業活動を停止した上で資産の整理、負債の返済など一連の清算手続きを行う必要があります。つまり、廃業には計画や準備が必要で、すぐにたたむというような簡単なものではありません。解散、清算を行う場合は法的な手続きも発生するため、登記手続きは司法書士や弁護士に、確定申告は税理士と相談しながら進めるのが無難です。ここからは、会社の廃業手続きについて解説します。

ステップ1:事業終了日の決定
会社を廃業するためにはさまざまな手続きが必要です。従業員が再就職先を見つける期間、債権の回収と債務の返済などを考慮し、関係者に迷惑がかからないよう、事前に計画を立てて会社の廃業を進めていく必要があります。
ステップ2:取引先への連絡
一度廃業を決断したら、取引先や従業員などの関係者に対して、できる限りの配慮が必要です。一番重要なのは、告知する相手の優先順位を間違えないこと。廃業予定というだけで、相手が過剰に反応してしまうリスクもあるため、関係者の重要度に合わせて告知する順番を決めるのがいいでしょう。

廃業は、販売先や仕入先のサプライチェーンを遮断することになるため、優先的に告知することが望ましいでしょう。販売先には売掛金の回収漏れがないようにすること、仕入先には仕入れを縮小することを伝えながら、買掛金の支払いを優先して行うことを伝え、安心してもらうことが大切です。

健全な廃業であれば、金融機関への連絡は最後で十分です。あまりに早く告知しすぎると、債権の早期回収を迫られその後の廃業全体のスケジュールに大きな影響を与えるため、慎重に告知しましょう。

ステップ3:従業員への説明・告知
仕入れ量や販売量の圧縮が始まり、借入金や未払金の整理が進んでくると、従業員も廃業を察します。重要なことは、廃業の当日までそれぞれの役割をこなし、会社を守ってもらうこと。取引先よりも従業員に先に告知したい気持ちはわかりますが、従業員が再就職先を探すあまり、会社が回らなくなってしまっては元も子もありません。取引先への連絡を済ませた後で、廃業の理由や具体的な時期などを丁寧に説明し、従業員の理解を得ることが大切です。
ステップ4: 解散手続き
清算とは会社の営業活動をすべて停止し、法人格を消滅させることを言います。廃業を決定するには、株主総会における決議を経て、この後の清算事務を行う清算人を選任し、法務局で解散の登記とともに清算人の選任の登記を行う必要があります。解散手続きを行えば廃業手続きが終わるわけではなく、会社を清算する目的の範囲内で権利能力を有し、清算が完了するまで会社は存続します。
ステップ5:清算手続き
解散の手続きを終えると、財産の処分や売掛金の取り立て、また債権者への弁済、残余財産の株主への分配といった清算段階に進みます。

株主総会で選任された清算人は、会社の財産を調査し、財産目録および貸借対照表を作成し、株主総会の承認を受ける必要があります。その後、清算人は債権者に対して一定の期間内に債権申出の催告手続きを行います。

清算人は債権の回収や、会社が所有する財産を金銭化して債務を弁済し、余剰があれば株主への分配を行います。最終的に決算報告書を作成し、株主総会での承認を得た日から2週間以内に法務局で清算結了の登記を行わなければなりません。清算結了の登記が完了したら、管轄税務署、都道府県税事務所、市町村役場へ届け出を提出し、清算が完了します。

 


 

5.廃業手続きにかかる期間・費用

税理士法人タクトコンサルティング 玉越賢治氏解説風景

廃業するためには解散と清算の手続きが必要です。廃業にかかる期間はケースバイケースですが、法的整理を除けば解散登記から清算完了まで最低でも3ヶ月ほどかかるでしょう。仕入先や販売先などの関係者が多く、手続きが長引けば6ヶ月から1年ほど要する可能性もあります。

また、法人の清算手続きにかかる費用に関して言えば、登録免許税として解散登記に30,000円、清算人選任登記9,000円、清算結了登記に2,000円が必要になります。その他にも官報公告費用に30,000円以上がかかります。清算の手続きは会社設立の手続きよりも複雑で、すべての手続きを経営者一人で行うのは難しいものです。司法書士や税理士などの専門家に依頼する場合には、別途10万円前後の報酬がかかります。

解散、清算には、取引先・仕入先・金融機関はもちろん、従業員などさまざまな関係者が関わっています。つまり、期間や費用の問題だけではなく、むしろ関係者との利害調整に時間がかかると言えます。

 


6.廃業の相談先

中小企業・小規模事業者の数は減少傾向で推移しており、特に小規模事業者数の減少は深刻で、雇用にも深刻な影響を与えかねない危機的状況です。そこで政府は後継者不在で事業承継の課題を抱える経営者を対象に、相談先を充実させています。また、民間企業の間でも小規模事業者への事業承継支援が活発化するなど、これまで以上に事業承継は身近なものになりつつあります。
 


7.廃業以外の選択肢としての「M&A」

数々の困難をはねのけ、企業を大きく成長させたところで後継者にバトンタッチできれば、経営者にとってこれ以上の幸せはないでしょう。しかし、ご子息が別の道に進んで事業を引継ぐ意思はなく、また、従業員などに最適な後継者が見つからない場合、残された選択肢は「廃業」か「M&Aによる事業承継」に限られます。

後継者がいないという理由で廃業を検討している経営者の方も少なくありませんが、廃業した場合とM&Aによる事業承継を行った場合とでは、経営者、従業員、取引先のその後に大きな差が出ることを忘れてはいけません。

M&Aで引き継がれるのは資産や負債だけでなく、目に見えない資産である「のれん」も引き継がれます。のれんとは、特許権やブランド力、独自の技術、顧客ネットワークなどの無形固定資産のことです。M&Aの最大のメリットは「時間を買うこと」にあると言われるように、買収企業にとって大幅な時間と労力を削減した上でヒト・モノ・ノウハウ・情報を手に入れることができるのです。

近年深刻化している「後継者不足」という課題を解決する方法としても、従業員の雇用や取引先との関係も継続する方法としてもM&Aは有効です。廃業はあくまで最後の手段。廃業を検討する前に、M&Aによる事業承継の可能性も検討しましょう。

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