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ゼネコンなど建設業界におけるM&Aはコロナ禍によってどうなる?市場動向を専門家が解説

はじめに

近年、ゼネコンなどの建設業界は好調が続いていました。コロナ禍が市場動向にどのような影響を与えているのか、気になるところです。市場動向はM&Aの動向とも連動しているでしょう。建設業界のM&Aの現状と事例、さらには注意点などを株式会社M&Aベストパートナーズの松尾直樹さんに解説していただきました。


1.建設業、ゼネコン、サブコンの正しい定義とは?

建設途中の建物と資材

建設業について語るときに、建設業、建設会社、ゼネコン、サブコンなど、さまざまな言葉が登場します。まず建設業やゼネコンの定義を説明しましょう。

(1)建設業とはなにか?

建設業という言葉は建設業法第2条によって、「元請け、下請けその他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう」と明確に定義されています。つまり建設工事に関わる仕事ということです。建設業には許認可の取得が不可欠で、それぞれ業種別に認可を受けます。その業種は土木、建築、大工、左官、とび・土工など含めた29の専門ジャンルに分けられます。

国土交通省「建設業法」

(2)ゼネコンとはなにか?

ゼネコンは「建設の完成を請け負う営業」という定義に該当するので、建設業の中に含まれます。ただし、特定の業種を指す言葉でも複数の業種を指す言葉でもありません。

ゼネコンとは発注者から土木や建設工事を一式で請け負い、元請けとして、サブコンと呼ばれる下請け業者に発注して、工事全体を管理して統括する建設業者です。ゼネコンという言葉は英語の「general contractor」の略で、日本語に直訳すると、総合契約者といった意味になります。

つまり建設工事の具体的な業種を表す言葉ではなくて、元請けして下請けに発注し、工事全体を管理し、統括する組織を指す言葉なのです。このゼネコンの中でも特に大手のものはスーパーゼネコンと呼ばれています。清水建設、大成建設、大林組、鹿島建設、竹中工務店などがスーパーゼネコンです。

「建設」「工務店」「組」といった言葉がついていることからもわかるように、これらの企業を仕事の内容によって定義すると、建設会社となります。つまりゼネコンと建設会社とは別のものではなくて、それぞれまったく違う角度、違う基準で表した言葉なのです。

(3)サブコンとはなにか?

ゼネコンの下請け業者がサブコンです。サブコンは英語の「sub contractor」の略で、日本語に訳すと「下請け業者」という意味になります。日本の建設業界は重層的な下請け構造があって、サブコンのさらに下請けは「孫請け」と呼ばれています。

サブコンは建設、土木工事関連の仕事一式を受注することが多く、孫請けになると、さらに電気工事、空調工事、衛生設備、管工事、消防設備工事など、それぞれ専門の分野での受注となることが多いのが特徴です。サブコンが総合工事業者だとすると、孫請けは専門工事業者というケースが多くなっています。重層構造なので、下請けになればなるほど、担当する範囲は狭くなる傾向があり、鉄筋、足場、基礎、型枠など、専門分野に特化していくのです。

2.ゼネコンなど建設業界における市場動向

オリンピックの開会式が行われる予定の新国立競技場

ゼネコンは規模の大きな企業が多いのですが、ここでは建設業界全般というくくりで、サブコン、孫請けなどの中小企業も含めて、市場動向を説明しましょう。

(1)近年、好調が続いたゼネコン業界

建設業はここ数年好調が続いていました。要因はいくつかありますが、特に大きかったのは次の3つです。

①国土強靱化計画

2012年に発足した第2次安倍政権の政策として、アベノミクスが掲げられ、10年間で200兆円を投じる国家的なプロジェクト、国土強靱化計画がスタートしました。この国土強靱化計画は災害に強い国作りを目的として、河川の整備、橋梁や道路の補修など、インフラの強化を進めるもので、この計画が成立してから官庁からのゼネコンへの発注量が急激に増えました。

②オリンピック誘致

東京オリンピックが決まったことによって、民間の受注量が増え、東京だけでなく、日本の各地でホテルの建設ラッシュが始まりました。「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」によって2016年に発表された「明日の日本を支える観光ビジョン」で、インバウンド政策の一環として、訪日外国人旅行者4000万人を目標に掲げたことも後押しする要因のひとつです。

③全国各地の都市部での再開発

都市部の再開発がラッシュとなったことも大きな要因です。特に東京ではここ数年の間に渋谷や日本橋などで、大規模な再開発が進行しました。さまざまな場所で建物を壊して、新たに建築するなどの動きが目立っています。

(2)コロナ禍がゼネコンなど建設業界に与えた影響

上記であげた3つの要因もあり、ゼネコン業界では落ち込みはほとんどありませんでした。緊急事態宣言が発令された2020年4月から5月にかけては作業がストップするケースもありましたが、あくまでも一時的なものであり、すぐに平常運転に戻ったのです。発注が急に減ることもありませんでした。ゼネコンの場合は数年前から発注を受けているケースが多いため、コロナ禍の影響が表面化していないのが現状です。

(3)一部の建設会社ではコロナ禍の影響がある

建築業の中でも一部の業種ではコロナ禍の影響が出ています。特に顕著なのは店舗向けの設備工事です。飲食店、カラオケ店、スナックなどの建築や改装に関わっているところはかなり影響が大きくなっており、ホテル建設なども今後厳しくなることが予想されます。コロナ禍によって計画の中止、延期なども出てきているので、今後、ホテル建設の発注は落ち込んでいくでしょう。

戸建などの住宅分野でもコロナ禍の影響を受けたという話は現時点ではほとんど出ていません。介護施設、保育園などの建設に関しては、値段が下がるのを待って、発注しようと考えている企業がたくさんあります。今後、そうした建築物の需要が一気に減ることはないでしょう。特定の業種をのぞき、建設業界全体として、これから数年は好調な状態を維持することが予想されます。

3.ゼネコンなど建設業界におけるM&Aは二極化

工事現場の作業員


好調を維持している建設業界のM&Aがどうなっているか、解説していきましょう。

建設業のM&Aは二極化しています。コロナの影響を受けていない分野と受けている分野ではっきり明暗が分かれているのです。影響を受けていないものとしてまずあげられるのは改修工事でしょう。高速道路や橋梁の補修、マンションの改修といった分野も買いたいという企業がたくさんあります。新築と違って、改修や補修は景気の動向に左右されにくいため、M&Aのニーズはきわめて高い状況が続いているのです。

一方、伸びていないのはコロナ禍の影響を直接的に受けている店舗の新築工事、ホテルの新築工事を請け負っている企業です。もともと建設業界は新築よりも改修、メンテナンスに関わる分野の建築会社に対してニーズが多いという状況があります。

4.ゼネコンなど建設業界におけるM&A事例

建設途中のマンションを見つめながら会話する2人の男性
ここでは建設業界のM&Aの事例をいくつか紹介しましょう。

(1)関東の空調設備工事業の会社のM&A

売手は関東で空調工事業を展開しており、高い技術力と優秀な資格者を有していたのですが、リーマンショック時に多額の負債を抱えてしまい、債務超過状態に転落しました。オーナーが60代であることと病気が重なったことにより、M&Aを検討したのです。隣接異業種である電気工事関連の上場企業が名乗りを上げ、事業拡大の目的とも合致し、成約に至りました。

設備工事関連会社のM&Aの特徴としてあげられるのは、隣接する業種同士によるものが多いことです。もともと設備工事は横のつながりが強いという特徴があります。元請け会社から電気工事会社に発注がある場合に、空調工事や管工事もやれるかなどの問い合わせがあるケースが多いのです。発注する側も、受注する側も、仕事がまとまっていればプラスが大きいのです。

プラットフォーム化という形で、隣接する会社を買収することによって、受注が増える可能性もあるため、近年こうしたM&Aが増加しています。

(2)創業30年の建設会社のM&A

売手は創業30年の戸建住宅・リフォーム会社です。経営者は60代で、後継者不在という問題と先行きへの不安を抱えていました。長年にわたって、地域に密着して実績を積み重ねてきたのですが、財務体質が脆弱だったのです。買手は上場のリフォーム会社でした。買手は事業拡大という目的があり、売手は傘下に入ることで、後継者不在問題も将来への不安も解消できるため、それぞれの求めるところが合致して成約となりました。

(3)関東エリアの戸建住宅施工会社のM&A

売手は下請け施工を主体とする関東エリアの住宅メーカーで、一代で会社を大きく成長させたのですが、借入が多額ということもあり、将来への不安を感じていました。買手は東京進出を考えていた関西の建設会社です。売手は傘下に入ることで将来的な不安を解消でき、買手は関東にエリア拡大することができるため、双方の目的が一致してM&Aが成約しました。

建設業の特徴の1つに、土地との関係が深いことがあげられます。建物を立てる、補修するなどの仕事であることから、その土地に根ざしたものになることが多いのです。エリア拡大を考えているときには、別の地区の同業会社を買い、事業拡大をはかるケースは少なくありません。この例がまさにそうでしょう。

5.ゼネコンなど建設業界のM&Aで売手が注意すべきこと

ミニチュアのトラックとクレーン車
ここではM&Aの売手の注意点を解説しましょう。

(1)会社組織としての基盤が固まっていることが前提

建設業のM&Aでは小さなものでも、会社がしっかりしていれば、ニーズはあります。しかし基盤がしっかりしていないと、なかなか買手がつきません。数人でやっている建設会社で、しかも社員それぞれが自分の仕事を持っている場合には、M&Aをきっかけとして空中分解する可能性があるからです。

(2)買いたい会社へと体質を改善することが必要

建設業は業種の違いによって、好調不調の差がはっきり表れる傾向があります。しかし業種を変えるのは現実的にはなかなか難しいことです。鉄筋工事ひと筋でやってきた会社が補修工事へと転換しようとしても、難しいでしょう。それまで積み上げてきた実績、技術、設備がゼロになってしまうからです。

改善すべきなのは業種ではなくて、会社の体質ということになります。例えば、少人数でやっている会社の場合、営業から何からすべて社長が中心にやっている会社は買手がつきにくいでしょう。社長に依存しない会社作りを心がける必要があります。

買手の立場になればわかることなのですが、60代以上の社員がほとんどの会社には、ほとんどニーズがありません。若返りをはかる、社内研修を積極的に行い、一級施工管理技士など、建設業関連の有資格者を増やすなど、人材を育てていくことも大きなポイントになります。

6.ゼネコンなど建設業界におけるM&Aのメリットとデメリット

工事現場の鉄骨の足場で働く作業員

建設業界でM&Aにおける買手と売手のメリットとデメリットを解説しましょう。

(1)買手のM&Aでのメリット

大きく分けると、次の5つです。

1.取引先のコネクションの獲得

官庁からの受注がメインの企業が、民間からの受注がメインの企業を買うことによって民間の取引先を獲得でき、仕事の受注量を安定させられるメリットがあります。

2.事業エリアの拡大

ある地方の企業が別の地方の企業を買うことによって、買った企業の拠点となっている場所への進出を果たすことができます。

3.人材の確保

建設業界では人材の採用難という状況が続いています。優秀な現場監督や職人の数が足りていない場合、M&Aによって、不足する人材を補うことができます。

4.外注している施工の内製化

これまで外注していた工事をM&Aをすることで、内製化できた場合には、利益率を上げるだけでなく、受注の増加を期待することもできます。

5.技術と事業ノウハウの獲得

シナジーのある会社を買う場合、特にこのメリットが大きくなります。例えば、空調工事会社が電気工事会社を買うことによって、電気工事の技術、事業のノウハウなどを得ることができるからです。

(2)売手のM&Aでのメリット

1.事業の継続

後継者不足や将来への不安を抱えている場合、M&Aによって企業を売ることで事業を継続することができます。

2.従業員の雇用の維持

事業が継続することによって、役員、従業員の雇用を守ることができます。

3.売却益の獲得

会社を売ることによって、売却益を獲得して、資産を残すことができます。

4.廃業コストの削減

廃業する場合には設備の処分、社員への手当などの支出がありますが、M&Aならば、それらの支出はなくなります。

(3)買手のM&Aでのデメリット

デメリットはそれほど多くはないのですが、場合によってデメリットとなりうるものをあげましょう。

1.従業員が退職するおそれがある

人材の確保のためにM&Aをしてみたものの、M&Aを期に社員が辞めてしまうケースも考えられます。

2.期待していたシナジーが得られない

M&Aをすることによって、事業の拡大、エリアの拡大、技術の獲得などを目指したものの、思ったような成果が得られない場合もあります。

(4)売手のM&Aでのデメリット

1.譲渡価格が想定よりも低い

想定していた価格で売れない場合は、売却後の計画の変更を余儀なくされます。

2.従業員や取引先の反発

M&Aにおいては従業員や取引先に理解、納得してもらうことも重要です。場合によってはM&Aそのものの成約が困難になる場合もあります。

まとめ

建設途中のビルと日暮れ前の青空

近年、好調が続いているのが建設業、そして特にその中のゼネコン業界です。公共事業の促進、オリンピック、都市部における大型の再開発など、好材料がたくさんありました。ゼネコン業界においてはコロナ禍の影響もさほど深刻な事態に至っていません。しかしながら、好調期がいつまでも続くわけではないでしょう。社会の構造も経済構造も大きな転換期を迎えています。さまざまな変化に対応するために、しっかり準備して将来に備え、M&Aを有効に活用することをおすすめします。

話者紹介

松尾直樹さん
株式会社M&Aベストパートナーズ
代表取締役副社長 松尾直樹(まつお なおき)

大学在学時、箱根駅伝に2度出場。卒業後、大手証券会社にて富裕層向けのリテール営業を経験した後、大手M&A仲介会社のM&Aキャピタルパートナーズに転職。おもに不動産・建設業界を担当して、事業承継及びM&Aアドバイザリー業務に従事。不動産仲介、管理、ゼネコン、住宅メーカー、設備工事会社等における成約実績を多数有する。2018年、株式会社M&Aベストパートナーズに参画。

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